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【第一章】一部
【呼び出されし者】08.現状把握
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西の空が赤く染まり始めた頃、馬車は平原のど真ん中で停まり夜営の準備を始めたようだ。
馬の世話をするもの。火を興し炊事を始める者、周囲を警戒する者、テントを設営する者それぞれが作業をしている。
「見える範囲で21人か」
御者以外は全員なにかしらの武装をしている。剣、槍、弓、手斧、棍棒。杖はない。
鎧は皮製のようだ。
俺としては一番警戒すべきなのは魔術師なので、魔術師然とした格好の者を探してみたがそれらしい格好の奴は居ない。
ただこの世界の魔術師が典型的な格好をしているとは限らないので油断はできない。
「こういう時は異世界転生ものの定番スキル『索敵』が欲しいなー」
アナライズも定番スキルとして知識を獲られるので十分にありがたいのだけど戦闘に関しては会敵してから役立つものだ。一方的に敵の接近を知ることができれば圧倒的アドバンテージを得られることになり生き延びるためにはこれはかなり重要だ。
さらに索敵と鑑定を組み合わせられれば、相手への対策も事前に取れるようになるから欲しいところだ。
ゲームでしか戦闘したことしかない日本人としてはこれらの情報が無い状態で戦う現実の戦闘なんて怖すぎて逃げ出したくなるがそういう奴から殺されるというフラグもあるので、そう考えると現実の戦場に居る兵士たちはやはり凄い胆力の持ち主なんだなと心底尊敬する。
スキルヘルプで地図や索敵を検索してみる。
地図も索敵もヘルプが見つかるが『機能未開放』とありグレイアウトされてなにもわからない。
機能としてはあるにはあるのか。でも開放条件がわからないので保留するしかないな。
魔術で代わりの物が出来ないか。まずどうやって対象を判別するのかを考えなければどうしようもないのでそこから考えるか。
思い付くのは体温や音だが体温は気温に左右されそうだし変温動物だと朝とかダメそうだしアンデットなんかもダメそうだよな。音は心音も生きている相手だからアンデットとかは無理そうだ。
アンデットが居るのか知らないけど魔法のある世界だから警戒して損はないだろう。
すべてに共通してありそうなのはなんだ?
何か使えないかとメニューを開いてスキル一覧を開く。
アクティブスキル:アナライズ
アクティブスキル:魔力感知
アクティブスキル:魔術式解析
アクティブスキル:生体組成解析
そうか魔力感知か。このスキル、取得してから一度も使ってなかったから忘れてた。
魔力ならアンデットとかも魔力で動いていそうだし、確か生物は少なからず持って居るはずだ。
魔力感知を使用してみるとサーモグラフのような色合いが人間に被って見える。
夜営している連中を見ると御者は僅かに体が青く光る程度だが武装している連中は少し明るい青が全身を包んでいる。みな同じ程度の明るさで魔力特化の奴は居ないようなので魔術師らしいのは居ないようだ。
同居人達を見てみると同じように体が青く光っているが一人だけ光が強いのがいる。
瀕死から回復したクミンだ。
クミン 10歳
獣人(混血) モモンガ種 蜘蛛種
HP 46/46
MP 61/62
睡眠
脱水症状 軽度
まだ僅かに脱水症状が残っているな。
MPもほぼ回復している・・・あれ?こんなにHPとMPあったっけ?ログは無いが確かMPの最大は22だったはずだけど、瀕死から立ち直ってレベルアップでもしたのか?
使えば使うほど最大値が増えるRPGがあったなぁ。仲間内で殴り愛ですね。
あとさっきは気にする余裕がなかったけど、獣人でモモンガと蜘蛛って?
今更ながら獣人て言葉に心が踊るのを抑えられない。これこそ異世界ですよね。
見た目的に獣人といえばケモミミに尻尾が定番だけど、治療の際にフードを取った時には気付かなかったけどケモミミあったかな?
肝臓の治療の時にお腹は剥き出しにしたけど、それ以外の場所は特に脱がしてはいないので尻尾にも気付かなかった。
モモンガって腕から足先まで繋がった皮膚膜で滑空する動物だよな。両腕と両手にヒールを掛けた時にそんな感じの膜はなかったと思う。
後、蜘蛛って獣じゃないよな。しかもモモンガとの混血ってどういうこと?
蜘蛛型の獣人てとアラクネか。下半身蜘蛛で上半身が美女ってのが定番の姿だけど下半身も普通に人間ぽいし。
ちなアラクネの出自は、ギリシャ神話に出てくる凄腕の機織り娘で神にも負けないと豪語した結果、アテナに図に乗るなと忠告されたが聞き入れられなかったとしてアテナに機織り勝負を挑まれたが、アテナ自身も認める甲乙付けがたい出来映えのタペストリーだったのに機織り娘のタペストリーに描かれたゼウスと三人の娘との浮気現場(事実)だったためにアテナが激怒してタペストリー引き裂いておまけに機織り娘の頭かち割るとか公正さもへったくれもないことされた挙げ句、アテナ飽きたらずにトリカブトの毒で魔物にしちゃうとか酷い話だった。虚覚えだが確かこんな感じだったはず。
アテナ、神として(以前に人としても)どうよ?って逸話のひとつだ。
まあギリシャ神話の神々みんなろくでなしな逸話持ってるけど、最高神ゼウスすら下した最強女神はアレな逸話ばかりな気がする。
きっとモデルになったアテネの統治者は、浮気三昧で力自慢の下半身ゆるゆるな実の父親をしばき倒した女傑だったのだろう。
さておきクミンはモモンガと蜘蛛の獣人てらしいけど、なんか期待してた獣人てのとは違うのかもしれない。ケモミミもふもふしたかったんだがなぁ。
さて、俺なにしてたんだっけ?
ああそうだ魔力感知の実験してたんだった。
一先ずは魔力で人間は判断できることはわかった。
出来ればゲームでよくあるレーダーみたいな表示にして目視しなくても居場所が分かる方法で表示できるのが理想だけど、GUIとして表示する方法も今のところ解らない。
範囲索敵はドーム型やスクウェア型を複数作ってその型に接触した魔力を感知し反応を確認できるようにすればできそうかなと考えている。
まずは半径100mのドーム型に魔力感知を組み合わせる。
【ドームサーチ(試作)を魔術式一覧に登録しました】
実行。
視界内の生物に魔力の色が被せられて光って見える。
俺も光っていることに気付く。青ではなくかなり強い殆ど使うことがない白に近い黄色だ。自分はそう見えるのか魔力の質や量によるものなのかは今のところ不明だ。
自分が見える以外は魔力感知スキルと変わらん気がするのでこれはこれで使い方を考えるか。
奴等は夜営の準備を済ますと交代で食事をし始め、そして全員食べ終わる。
しかしこちらに飯は来ない。
「本当に何も与えないつもりなのか?水すら一度も持ってこなかったぞ」
俺が目覚めて半日経ったがこの檻の中には水すら置いていない。
トイレ用と思われる異臭を放つ蓋が乗せられた樽がひとつ置かれているだけだ。何度か同居人たちが使っているところを見たので間違いはないだろう。
仕方ないのでまた同居人達に水と先ほど用意した丸薬飴を渡すことにした。
起きている同居人達に声を掛けて集まってもらう。
みな水と治療をしたお陰か素直に集まってくれた。情報収集をするのには良い下地ができているようでなによりだ。
「皆さん、私は・・・ダイン。魔術師です。すみませんが状況を教えて欲しいのですがよろしいでしょうか」
名乗る際に少し悩んで偽名を名乗った。名前を鍵にする魔法なんて設定を聴いたことがあったので念のためにだ。
「それとこんな物しかありませんが今はこれを舐めて空腹の足しにでもして凌いでください」
とひとりに5つずつ丸薬飴を渡していく。
「先程の治癒魔法といい水といい本当に助かった。そして大事な仲間の命を助けてくれて心から感謝している。ありがとう。俺はダラ。傭兵をやっている」
最初に治癒したおっさん(43)だ。ベテラン傭兵のようだ。頭を剃り上げているのかつるっ禿げで焼けた肌で筋骨隆々だ。見えている手足のあちこちに無数の切り傷痕が残っているのが傭兵の年季を感じさせる。太い眉と厚い唇から情に厚い頼れる隊長って印象だ。
「僕はスバイ。ダラと同じく傭兵だ。本当に助かったよ。あのままだと脱水で死んでたかもしれないから、水、ありがとね」
にこやかに笑う。男の俺から見ても可愛い笑顔にちょっと変な汗が流れる。そっちの趣味は無いはず。はずだ。
スバイは幸い擦り傷切り傷程度で大した怪我はしていなかったが脱水症状が深刻だった。クミンと違い意識があったので多目に水を作って与えていたので回復も早かったようだ。
傭兵の割りに肌はあまり焼けておらず身体も其ほど筋肉質というほどでもない。魔術師っぽい感じだが水を作り出して飲むことをしていなかったので違うのだろう。
髪はキンパツに青い瞳で童顔可愛い系だ。ショタなお姉さんたちに人気が出そうなタイプだ。
見た目10代半ばの実年齢も17と若い。少女マンガだと実は王子様でしたってキャラだが、そんなのが傭兵やってるとはさすがに思えないので違うのだろう。何よりもその顔なら町で御姉様方が放っておかないだろうに何故傭兵?と訝しんでしまう。
「同じく傭兵のグラヤだ。怪我を治してくれて感謝しかない。ダイン殿の魔法は凄いね。何度か治癒術師に治して貰ったことがあるけど、あんなに素早くしかも違和感も残らずに綺麗に治ったのは初めてだよ。もう傭兵廃業かと思ってたから感謝しきれないよ」
グラヤは人懐っこい笑顔で笑った。彼は見た目10代後半くらい(実年齢は24だった)の青年で浅黒く日焼けした爽やか童顔イケメンだ。赤茶けたボサボサの短髪と茶色の瞳が特徴的だ。
グラヤは右手首が取れるかと思えるほどの深い刀傷で自然治癒した場合は間違いなく右手は使い物にならなくなっていたか壊死して切断していただろう。幸い腕の付け根で止血していたので失血死は免れていた。傭兵にとって利き腕が使えなくなるのは致命的だろうことは想像に難くないので俺のヒールで元に戻って良かったと安堵する。
しかし他の治癒術師の魔術は治癒が遅く後遺症が残るということは俺のヒールと何が違うのかという疑問が出てきた。目にする機会があったら解析してみたい。別の回復方法が獲られるかもしれない。
「サランです。ダラさん率いる傭兵さんたちのポーター兼雑用係です。ダイン様、怪我の治癒と水ばかりでなく貴重な砂糖菓子まで分けていただき申し訳ありません。ありがとうございます」
畏まって俯き加減からの上目遣いが来るものがある。特段美人という訳ではないけど庇護欲をくすぐられるタヌキ顔の可愛い系タイプだ。
ドジっ子特性を備えていそうなタイプだなぁとか考えてしまう。
日焼け少な目の白い肌にソバカス垂れ目と如何にもなキャラだ。髪は金に近い茶色で癖っ毛で細く肩口辺りで緩く纏められ毛先は腰の辺りまである。
ポーターというわりには華奢で仕事的に邪魔になる長髪おまけに調べた年齢的にもポーターというのには無理がある気がする。
髪の長さや体格からして側仕えという気がする。やはりスバイは王子様?王子様でなくても良いところの坊っちゃんてのは当たらずしも遠からずなのではないだろうか。もしかしたらここからええとことのパイプが、なんて妄想膨らみまくりですよ。
そして砂糖が貴重なことが判明!これは今後の生活のためにも有用な情報頂きました!
駄菓子屋ダイン開業待った無し!いや卸しの方が楽だな。販売なんて客待ちで無駄に拘束されるのは時間が勿体ないだけだ。
「ナタルゥ。傭兵。回復、補給感謝。ありがと」
出た。単語で喋るお約束キャラ来たよ。
黄色いかなりの短髪に三白眼でしかも見事な双丘!テンプレっすよ!
年齢15としては見事なゲフンゲフン
種族ハーフダークエルフと納得のボリューム感
上がるテンションを悟られないようにゆっくりと全員を見渡す。
実は彼女もかなり酷い傷を負わされていた。
舌を切り裂かれ失血死寸前だった。多分詠唱させないためなのだろうが惨いことをする。傷口を見て貧血を起こしかけたのは我ながら仕方ないだろう。救急外科医でもなきゃあんなん見たら気絶しててもおかしかないわ!舌が真ん中から左右に別れてたんだぞ!思い出しても血の気が引くのが分かりぶるりと震える。
一通り起きている者達の自己紹介が終わる。
クミンはまだ寝ている。
「あの子も傭兵仲間ですか?」
と聞いてみるが違うとのことで彼等より先に既に乗せられていたそうだ。
なるほどクミンは別口なのか。少なくともダラ達傭兵があの子に手を下した訳ではないわけか。言い分が正しければの話だが。
ということなので一先ず起きている傭兵たちに現状を確認することにした。
「それで皆さんはどうして囚われの身になったのでしょうか?私は気付いたらここに居たので状況がさっぱりわからないので・・・」
とハハッと引き吊り笑いをしながら後ろ頭をバリバリ掻きながら質問してみた。
「順を追って話そう。まず俺達は依頼によりある遺跡の魔物排除のために雇われた。依頼通り魔物が住み着いていたので魔物を掃討していたら依頼人から渡された地図に存在しない通路を見付けて奥に進むとダイン殿が倒れていたんだ」
なんだと。彼処から気絶した俺を連れ出してくれたのはダラ達だったのか。
「そうだったのですか。ありがとうございます」
そう感謝の言葉を述べる。
しかしダラは険しい表情になる。
「ダイン殿はどうして彼処に居られたのでしょうか?あの場所まではかなりの数の魔獣が居ましたがあの通路までの間に倒された形跡がありませんでした」
ちょっと待て。マジであのまま階段進んでたら地獄を見ていたってことだろそれ。
ハードモード過ぎんだろ神様!殺る気満々じゃねぇか!
食料も無いのにふざけんなや!
それにしても確かにそんな魔獣三昧地獄をスルーして奥に居たなら怪しまれても仕方がないな。
「私があの部屋に居たのは転位魔法のようなもので飛ばされて辿り着いたからで、あそこが遺跡の中だとすら知らりませんでした。
あの部屋は最初仕掛けで閉じられていて出口が無く、部屋の仕掛けを解除してようやく出口ができたというところでマンティコアが侵入してきて、それをなんとか撃退してそこで出口付近で外を警戒しなが休憩していたところ気力尽きたのか突然睡魔に襲われ気絶したようなのです。なのであの部屋を出た先がどうなっているのか全く知りませんでした。多分ダラさんたちが来ていなかったら別の魔獣に食い殺されていたのでしょうね。だからダラさんたちは命の恩人です。こちらことありがとうございました」
引き吊り笑いのまま、後頭部をガシガシ掻き毟る。
マジで死ぬところだったじゃねぇか!
あんなところで気絶するのが悪いんだけどさ。
ダラは怪訝な表情とばつが悪そうな雰囲気を漂わせ
「そうですか。お互いにそれは幸運でした。我々だけではマンティコアに止めを刺すのは厳しかったでしょうからね。追い払うことは出来たかもしれませんがそれでも厳しかったでしょうね。しかしダイン殿はお一人であの部屋に転がっていたマンティコアを倒されたのですか?あれ体格からして上位種だったと思いますよ」
なぬ?傭兵4人+1でもあのマンティコアって厳しいの?
彼らの武装が今はないのでなんともだが、前衛ぽいのが3人も居るのに厳しいものなのか?
俺、よく生きてたなぁ
神様、素人の初陣に無茶振り過ぎんだろぉぉぉぉぉ!
壮大に頬を引き吊らせながら応える。
「ええ、無我夢中でなんとか倒せました。倒した後に出口付近で休憩していたら突然猛烈な睡魔に襲われてしまって」
と言うとダラとナタルゥがますますばつが悪そうな顔をして焦っている。
もしかして・・・
ダラが突然ジャンピン土下座して大声で謝りだす。
嗚呼この世界でも土下座はあるんだなぁと、綺麗な軌道を描きながらされた土下座を思い出し遠い目をして感慨に耽る。
「すまん!俺の指示で部屋の入り口付近に昏睡の魔法を掛けさせたんだ。魔獣の不意討ちを想定してナタルゥに魔法を掛けさせたんだ。本当に申し訳ない!警告無しの不意の魔法は敵対行為として殺されても文句は言えないのだから本当に済まない!」
なぁるほど、それで焦ってたのか。でもまあいきなりファイアボールとか撃ち込まれたわけじゃないし責めるほどのことでもないだろう。お陰で無事脱出したわけだし。
・・・されてたら2度と目覚めぬ眠りに就いてたんだなと冷や汗が頬を伝う。入り口付近の死角を陣取る時は気を付けよう。
一応彼処を陣取ったのは実際不意討ちをかますためだったのだが、不意討ち見越して魔法撃ち込まれることまでは考えていなかったのは自分のミスだしな。
「ま、まあまあまあ。火力魔法じゃなかったから怪我も無かった訳ですし被害があった訳じゃありませんし気にしないで下さい。魔獣の巣窟の奥に人が居るともおもわないでしょうしね。それに私も皆さんのお陰で魔獣の巣窟をさ迷うことなく遺跡を出れたようですし。ね?」
乾いた笑いをあげながら無理矢理笑顔を作って流すことにする。
「そう言って貰えると助かる。あそこでダイン殿を誤って殺していたら、今頃俺達は痛みと空腹を抱えながら脱水症状で死に掛けていただろうからな」
「そうそこです。聞きたいのは。どうしてこの状況になっているのかですよ」
そう俺はこの謎状況に陥っている理由が知りたい。
少なくとも生け捕りにされているから単なる強盗というわけでは無さそうだし殺すのを目的にしている訳でもなさそうだ。あのナタルゥが凌辱されていなさそうなところから盗賊という訳では無いだろうという予測をしている。(実はされてるのかもしれんが)
「それなんだが、ダイン殿を拾ってからもう間もなく遺跡を出ようというところで奴等に襲撃されたんだ。多勢に無勢なので降伏はしたが憂さ晴らしのように殴られた後に捕まった。奴等が何者か何が目的なのかもわからん。我々には一切喋らずここに放り込まれて1日半経つが水も食料も与えられず放置されている状況なのだ。奴隷商ならば商品なのでそれなりの食料は与えられるはずだ。奴等の身成からして役人による犯罪者の取り締まりということでも無さそうだしな。此方の生死問わずという態度からいまいち目的が見えてこないのだ」
俺、丸1日寝てたのか。
そして彼等も理由は知らないことは理解した。
少なくとも生かして帰すつもりは無さそうなことはわかった。よし逃げよう。残っててもどう贔屓目に見てもろくな未来はなさそうだし。
後はクミンだな。
あの子が起きて話をしてからだな。
馬の世話をするもの。火を興し炊事を始める者、周囲を警戒する者、テントを設営する者それぞれが作業をしている。
「見える範囲で21人か」
御者以外は全員なにかしらの武装をしている。剣、槍、弓、手斧、棍棒。杖はない。
鎧は皮製のようだ。
俺としては一番警戒すべきなのは魔術師なので、魔術師然とした格好の者を探してみたがそれらしい格好の奴は居ない。
ただこの世界の魔術師が典型的な格好をしているとは限らないので油断はできない。
「こういう時は異世界転生ものの定番スキル『索敵』が欲しいなー」
アナライズも定番スキルとして知識を獲られるので十分にありがたいのだけど戦闘に関しては会敵してから役立つものだ。一方的に敵の接近を知ることができれば圧倒的アドバンテージを得られることになり生き延びるためにはこれはかなり重要だ。
さらに索敵と鑑定を組み合わせられれば、相手への対策も事前に取れるようになるから欲しいところだ。
ゲームでしか戦闘したことしかない日本人としてはこれらの情報が無い状態で戦う現実の戦闘なんて怖すぎて逃げ出したくなるがそういう奴から殺されるというフラグもあるので、そう考えると現実の戦場に居る兵士たちはやはり凄い胆力の持ち主なんだなと心底尊敬する。
スキルヘルプで地図や索敵を検索してみる。
地図も索敵もヘルプが見つかるが『機能未開放』とありグレイアウトされてなにもわからない。
機能としてはあるにはあるのか。でも開放条件がわからないので保留するしかないな。
魔術で代わりの物が出来ないか。まずどうやって対象を判別するのかを考えなければどうしようもないのでそこから考えるか。
思い付くのは体温や音だが体温は気温に左右されそうだし変温動物だと朝とかダメそうだしアンデットなんかもダメそうだよな。音は心音も生きている相手だからアンデットとかは無理そうだ。
アンデットが居るのか知らないけど魔法のある世界だから警戒して損はないだろう。
すべてに共通してありそうなのはなんだ?
何か使えないかとメニューを開いてスキル一覧を開く。
アクティブスキル:アナライズ
アクティブスキル:魔力感知
アクティブスキル:魔術式解析
アクティブスキル:生体組成解析
そうか魔力感知か。このスキル、取得してから一度も使ってなかったから忘れてた。
魔力ならアンデットとかも魔力で動いていそうだし、確か生物は少なからず持って居るはずだ。
魔力感知を使用してみるとサーモグラフのような色合いが人間に被って見える。
夜営している連中を見ると御者は僅かに体が青く光る程度だが武装している連中は少し明るい青が全身を包んでいる。みな同じ程度の明るさで魔力特化の奴は居ないようなので魔術師らしいのは居ないようだ。
同居人達を見てみると同じように体が青く光っているが一人だけ光が強いのがいる。
瀕死から回復したクミンだ。
クミン 10歳
獣人(混血) モモンガ種 蜘蛛種
HP 46/46
MP 61/62
睡眠
脱水症状 軽度
まだ僅かに脱水症状が残っているな。
MPもほぼ回復している・・・あれ?こんなにHPとMPあったっけ?ログは無いが確かMPの最大は22だったはずだけど、瀕死から立ち直ってレベルアップでもしたのか?
使えば使うほど最大値が増えるRPGがあったなぁ。仲間内で殴り愛ですね。
あとさっきは気にする余裕がなかったけど、獣人でモモンガと蜘蛛って?
今更ながら獣人て言葉に心が踊るのを抑えられない。これこそ異世界ですよね。
見た目的に獣人といえばケモミミに尻尾が定番だけど、治療の際にフードを取った時には気付かなかったけどケモミミあったかな?
肝臓の治療の時にお腹は剥き出しにしたけど、それ以外の場所は特に脱がしてはいないので尻尾にも気付かなかった。
モモンガって腕から足先まで繋がった皮膚膜で滑空する動物だよな。両腕と両手にヒールを掛けた時にそんな感じの膜はなかったと思う。
後、蜘蛛って獣じゃないよな。しかもモモンガとの混血ってどういうこと?
蜘蛛型の獣人てとアラクネか。下半身蜘蛛で上半身が美女ってのが定番の姿だけど下半身も普通に人間ぽいし。
ちなアラクネの出自は、ギリシャ神話に出てくる凄腕の機織り娘で神にも負けないと豪語した結果、アテナに図に乗るなと忠告されたが聞き入れられなかったとしてアテナに機織り勝負を挑まれたが、アテナ自身も認める甲乙付けがたい出来映えのタペストリーだったのに機織り娘のタペストリーに描かれたゼウスと三人の娘との浮気現場(事実)だったためにアテナが激怒してタペストリー引き裂いておまけに機織り娘の頭かち割るとか公正さもへったくれもないことされた挙げ句、アテナ飽きたらずにトリカブトの毒で魔物にしちゃうとか酷い話だった。虚覚えだが確かこんな感じだったはず。
アテナ、神として(以前に人としても)どうよ?って逸話のひとつだ。
まあギリシャ神話の神々みんなろくでなしな逸話持ってるけど、最高神ゼウスすら下した最強女神はアレな逸話ばかりな気がする。
きっとモデルになったアテネの統治者は、浮気三昧で力自慢の下半身ゆるゆるな実の父親をしばき倒した女傑だったのだろう。
さておきクミンはモモンガと蜘蛛の獣人てらしいけど、なんか期待してた獣人てのとは違うのかもしれない。ケモミミもふもふしたかったんだがなぁ。
さて、俺なにしてたんだっけ?
ああそうだ魔力感知の実験してたんだった。
一先ずは魔力で人間は判断できることはわかった。
出来ればゲームでよくあるレーダーみたいな表示にして目視しなくても居場所が分かる方法で表示できるのが理想だけど、GUIとして表示する方法も今のところ解らない。
範囲索敵はドーム型やスクウェア型を複数作ってその型に接触した魔力を感知し反応を確認できるようにすればできそうかなと考えている。
まずは半径100mのドーム型に魔力感知を組み合わせる。
【ドームサーチ(試作)を魔術式一覧に登録しました】
実行。
視界内の生物に魔力の色が被せられて光って見える。
俺も光っていることに気付く。青ではなくかなり強い殆ど使うことがない白に近い黄色だ。自分はそう見えるのか魔力の質や量によるものなのかは今のところ不明だ。
自分が見える以外は魔力感知スキルと変わらん気がするのでこれはこれで使い方を考えるか。
奴等は夜営の準備を済ますと交代で食事をし始め、そして全員食べ終わる。
しかしこちらに飯は来ない。
「本当に何も与えないつもりなのか?水すら一度も持ってこなかったぞ」
俺が目覚めて半日経ったがこの檻の中には水すら置いていない。
トイレ用と思われる異臭を放つ蓋が乗せられた樽がひとつ置かれているだけだ。何度か同居人たちが使っているところを見たので間違いはないだろう。
仕方ないのでまた同居人達に水と先ほど用意した丸薬飴を渡すことにした。
起きている同居人達に声を掛けて集まってもらう。
みな水と治療をしたお陰か素直に集まってくれた。情報収集をするのには良い下地ができているようでなによりだ。
「皆さん、私は・・・ダイン。魔術師です。すみませんが状況を教えて欲しいのですがよろしいでしょうか」
名乗る際に少し悩んで偽名を名乗った。名前を鍵にする魔法なんて設定を聴いたことがあったので念のためにだ。
「それとこんな物しかありませんが今はこれを舐めて空腹の足しにでもして凌いでください」
とひとりに5つずつ丸薬飴を渡していく。
「先程の治癒魔法といい水といい本当に助かった。そして大事な仲間の命を助けてくれて心から感謝している。ありがとう。俺はダラ。傭兵をやっている」
最初に治癒したおっさん(43)だ。ベテラン傭兵のようだ。頭を剃り上げているのかつるっ禿げで焼けた肌で筋骨隆々だ。見えている手足のあちこちに無数の切り傷痕が残っているのが傭兵の年季を感じさせる。太い眉と厚い唇から情に厚い頼れる隊長って印象だ。
「僕はスバイ。ダラと同じく傭兵だ。本当に助かったよ。あのままだと脱水で死んでたかもしれないから、水、ありがとね」
にこやかに笑う。男の俺から見ても可愛い笑顔にちょっと変な汗が流れる。そっちの趣味は無いはず。はずだ。
スバイは幸い擦り傷切り傷程度で大した怪我はしていなかったが脱水症状が深刻だった。クミンと違い意識があったので多目に水を作って与えていたので回復も早かったようだ。
傭兵の割りに肌はあまり焼けておらず身体も其ほど筋肉質というほどでもない。魔術師っぽい感じだが水を作り出して飲むことをしていなかったので違うのだろう。
髪はキンパツに青い瞳で童顔可愛い系だ。ショタなお姉さんたちに人気が出そうなタイプだ。
見た目10代半ばの実年齢も17と若い。少女マンガだと実は王子様でしたってキャラだが、そんなのが傭兵やってるとはさすがに思えないので違うのだろう。何よりもその顔なら町で御姉様方が放っておかないだろうに何故傭兵?と訝しんでしまう。
「同じく傭兵のグラヤだ。怪我を治してくれて感謝しかない。ダイン殿の魔法は凄いね。何度か治癒術師に治して貰ったことがあるけど、あんなに素早くしかも違和感も残らずに綺麗に治ったのは初めてだよ。もう傭兵廃業かと思ってたから感謝しきれないよ」
グラヤは人懐っこい笑顔で笑った。彼は見た目10代後半くらい(実年齢は24だった)の青年で浅黒く日焼けした爽やか童顔イケメンだ。赤茶けたボサボサの短髪と茶色の瞳が特徴的だ。
グラヤは右手首が取れるかと思えるほどの深い刀傷で自然治癒した場合は間違いなく右手は使い物にならなくなっていたか壊死して切断していただろう。幸い腕の付け根で止血していたので失血死は免れていた。傭兵にとって利き腕が使えなくなるのは致命的だろうことは想像に難くないので俺のヒールで元に戻って良かったと安堵する。
しかし他の治癒術師の魔術は治癒が遅く後遺症が残るということは俺のヒールと何が違うのかという疑問が出てきた。目にする機会があったら解析してみたい。別の回復方法が獲られるかもしれない。
「サランです。ダラさん率いる傭兵さんたちのポーター兼雑用係です。ダイン様、怪我の治癒と水ばかりでなく貴重な砂糖菓子まで分けていただき申し訳ありません。ありがとうございます」
畏まって俯き加減からの上目遣いが来るものがある。特段美人という訳ではないけど庇護欲をくすぐられるタヌキ顔の可愛い系タイプだ。
ドジっ子特性を備えていそうなタイプだなぁとか考えてしまう。
日焼け少な目の白い肌にソバカス垂れ目と如何にもなキャラだ。髪は金に近い茶色で癖っ毛で細く肩口辺りで緩く纏められ毛先は腰の辺りまである。
ポーターというわりには華奢で仕事的に邪魔になる長髪おまけに調べた年齢的にもポーターというのには無理がある気がする。
髪の長さや体格からして側仕えという気がする。やはりスバイは王子様?王子様でなくても良いところの坊っちゃんてのは当たらずしも遠からずなのではないだろうか。もしかしたらここからええとことのパイプが、なんて妄想膨らみまくりですよ。
そして砂糖が貴重なことが判明!これは今後の生活のためにも有用な情報頂きました!
駄菓子屋ダイン開業待った無し!いや卸しの方が楽だな。販売なんて客待ちで無駄に拘束されるのは時間が勿体ないだけだ。
「ナタルゥ。傭兵。回復、補給感謝。ありがと」
出た。単語で喋るお約束キャラ来たよ。
黄色いかなりの短髪に三白眼でしかも見事な双丘!テンプレっすよ!
年齢15としては見事なゲフンゲフン
種族ハーフダークエルフと納得のボリューム感
上がるテンションを悟られないようにゆっくりと全員を見渡す。
実は彼女もかなり酷い傷を負わされていた。
舌を切り裂かれ失血死寸前だった。多分詠唱させないためなのだろうが惨いことをする。傷口を見て貧血を起こしかけたのは我ながら仕方ないだろう。救急外科医でもなきゃあんなん見たら気絶しててもおかしかないわ!舌が真ん中から左右に別れてたんだぞ!思い出しても血の気が引くのが分かりぶるりと震える。
一通り起きている者達の自己紹介が終わる。
クミンはまだ寝ている。
「あの子も傭兵仲間ですか?」
と聞いてみるが違うとのことで彼等より先に既に乗せられていたそうだ。
なるほどクミンは別口なのか。少なくともダラ達傭兵があの子に手を下した訳ではないわけか。言い分が正しければの話だが。
ということなので一先ず起きている傭兵たちに現状を確認することにした。
「それで皆さんはどうして囚われの身になったのでしょうか?私は気付いたらここに居たので状況がさっぱりわからないので・・・」
とハハッと引き吊り笑いをしながら後ろ頭をバリバリ掻きながら質問してみた。
「順を追って話そう。まず俺達は依頼によりある遺跡の魔物排除のために雇われた。依頼通り魔物が住み着いていたので魔物を掃討していたら依頼人から渡された地図に存在しない通路を見付けて奥に進むとダイン殿が倒れていたんだ」
なんだと。彼処から気絶した俺を連れ出してくれたのはダラ達だったのか。
「そうだったのですか。ありがとうございます」
そう感謝の言葉を述べる。
しかしダラは険しい表情になる。
「ダイン殿はどうして彼処に居られたのでしょうか?あの場所まではかなりの数の魔獣が居ましたがあの通路までの間に倒された形跡がありませんでした」
ちょっと待て。マジであのまま階段進んでたら地獄を見ていたってことだろそれ。
ハードモード過ぎんだろ神様!殺る気満々じゃねぇか!
食料も無いのにふざけんなや!
それにしても確かにそんな魔獣三昧地獄をスルーして奥に居たなら怪しまれても仕方がないな。
「私があの部屋に居たのは転位魔法のようなもので飛ばされて辿り着いたからで、あそこが遺跡の中だとすら知らりませんでした。
あの部屋は最初仕掛けで閉じられていて出口が無く、部屋の仕掛けを解除してようやく出口ができたというところでマンティコアが侵入してきて、それをなんとか撃退してそこで出口付近で外を警戒しなが休憩していたところ気力尽きたのか突然睡魔に襲われ気絶したようなのです。なのであの部屋を出た先がどうなっているのか全く知りませんでした。多分ダラさんたちが来ていなかったら別の魔獣に食い殺されていたのでしょうね。だからダラさんたちは命の恩人です。こちらことありがとうございました」
引き吊り笑いのまま、後頭部をガシガシ掻き毟る。
マジで死ぬところだったじゃねぇか!
あんなところで気絶するのが悪いんだけどさ。
ダラは怪訝な表情とばつが悪そうな雰囲気を漂わせ
「そうですか。お互いにそれは幸運でした。我々だけではマンティコアに止めを刺すのは厳しかったでしょうからね。追い払うことは出来たかもしれませんがそれでも厳しかったでしょうね。しかしダイン殿はお一人であの部屋に転がっていたマンティコアを倒されたのですか?あれ体格からして上位種だったと思いますよ」
なぬ?傭兵4人+1でもあのマンティコアって厳しいの?
彼らの武装が今はないのでなんともだが、前衛ぽいのが3人も居るのに厳しいものなのか?
俺、よく生きてたなぁ
神様、素人の初陣に無茶振り過ぎんだろぉぉぉぉぉ!
壮大に頬を引き吊らせながら応える。
「ええ、無我夢中でなんとか倒せました。倒した後に出口付近で休憩していたら突然猛烈な睡魔に襲われてしまって」
と言うとダラとナタルゥがますますばつが悪そうな顔をして焦っている。
もしかして・・・
ダラが突然ジャンピン土下座して大声で謝りだす。
嗚呼この世界でも土下座はあるんだなぁと、綺麗な軌道を描きながらされた土下座を思い出し遠い目をして感慨に耽る。
「すまん!俺の指示で部屋の入り口付近に昏睡の魔法を掛けさせたんだ。魔獣の不意討ちを想定してナタルゥに魔法を掛けさせたんだ。本当に申し訳ない!警告無しの不意の魔法は敵対行為として殺されても文句は言えないのだから本当に済まない!」
なぁるほど、それで焦ってたのか。でもまあいきなりファイアボールとか撃ち込まれたわけじゃないし責めるほどのことでもないだろう。お陰で無事脱出したわけだし。
・・・されてたら2度と目覚めぬ眠りに就いてたんだなと冷や汗が頬を伝う。入り口付近の死角を陣取る時は気を付けよう。
一応彼処を陣取ったのは実際不意討ちをかますためだったのだが、不意討ち見越して魔法撃ち込まれることまでは考えていなかったのは自分のミスだしな。
「ま、まあまあまあ。火力魔法じゃなかったから怪我も無かった訳ですし被害があった訳じゃありませんし気にしないで下さい。魔獣の巣窟の奥に人が居るともおもわないでしょうしね。それに私も皆さんのお陰で魔獣の巣窟をさ迷うことなく遺跡を出れたようですし。ね?」
乾いた笑いをあげながら無理矢理笑顔を作って流すことにする。
「そう言って貰えると助かる。あそこでダイン殿を誤って殺していたら、今頃俺達は痛みと空腹を抱えながら脱水症状で死に掛けていただろうからな」
「そうそこです。聞きたいのは。どうしてこの状況になっているのかですよ」
そう俺はこの謎状況に陥っている理由が知りたい。
少なくとも生け捕りにされているから単なる強盗というわけでは無さそうだし殺すのを目的にしている訳でもなさそうだ。あのナタルゥが凌辱されていなさそうなところから盗賊という訳では無いだろうという予測をしている。(実はされてるのかもしれんが)
「それなんだが、ダイン殿を拾ってからもう間もなく遺跡を出ようというところで奴等に襲撃されたんだ。多勢に無勢なので降伏はしたが憂さ晴らしのように殴られた後に捕まった。奴等が何者か何が目的なのかもわからん。我々には一切喋らずここに放り込まれて1日半経つが水も食料も与えられず放置されている状況なのだ。奴隷商ならば商品なのでそれなりの食料は与えられるはずだ。奴等の身成からして役人による犯罪者の取り締まりということでも無さそうだしな。此方の生死問わずという態度からいまいち目的が見えてこないのだ」
俺、丸1日寝てたのか。
そして彼等も理由は知らないことは理解した。
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