水晶龍といっしょ ~ダンジョン巡って魔王の種もぎ~(仮題)

眠り草

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【第一章】一部

【呼び出されし者】20.神託の巫女 母の想いと約束

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クミンは聖地の入り口から少し離れた場所で一緒に住んでる護衛の人達と隠れて聖地の魔獣退治に入った人達が出てくるのを待ってたの。

いつもの村のお祈り処で日の出のお祈りしてたら『稀人が来るから迎えに行きなさい』と言われたの。
周りを見ても誰も居なかったけど怖かったからお母さんにそう言われたのって言ったら、お母さんがびっくりしてたけど「そう、クミンは巫女に選ばれたのね」と笑顔で言ってたの。



「お母さん、巫女ってなあに?」
「クミン、この村の巫女はね、神様から神託を受けて、遠い処からやってくる稀人様をお迎えするのがお仕事なのよ」
「シンタク?マレビト?」
よくわかんない。
首を横に傾げてわかんないポーズをすると、お母さんはわかんないわよねと笑いながら教えてくれた。

「そう、神託というのはね神様からのお願い事のことよ。稀人はね神様が遣わしてくださる神様の代理人のことよ」
「神様の代わりの人?どんな人なの?神様の代わりだからとーてっも強い人なのかな?」

神様の代わりだからきっと魔獣なんか簡単に倒しちゃうようなおっかない人なのかも。ちょっと怖い。
村一番の樵の虎族のグラーンおじさんよりも強いのかな?
グラーンおじさんなら大きな斑熊も倒しちゃうからきっとクミンも守ってくれるよね。

「どうでしょうね?お母さんも稀人様が来るのなんて初めてだから分からないけど、稀人様はきっと優しい方だと思うわ」

優しい人なんだ。クミンもよしよししてくれるかな?



「でも・・・タイミング悪いわね。今は聖地に魔獣がたくさん住み着いてしまってお迎えにあがれないのよね。先週人族の町で傭兵さんを雇って殲滅をお願いしてあるのだけど、そろそろ聖地に着く頃かしら。稀人様は大丈夫かしら」

お母さんは顎に人差し指を宛ながら首を少し傾けてなにか心配してる。

「お母さん、なんで人族の人にお願いしたの?」

「私達はね、神様から聖地を見守って欲しいけど、中は危険だから普段は入らないようにと言われたそうなの。それに今は男連中が出払ってるからね」

どうしても入らないといけない場合のために神様は聖地の地図を遺してくれたんだって。
でも今は村の男の人達は、お母さんが魔獣のことを知る前に狩りに出てしまって直ぐには帰ってこないんだって。だからお母さんは近くの人族の町に行ってお願いしたんだ。


村の東の方から誰かが走ってくる音が近づいてくる。
玄関を外れるんじゃないかって勢いで扉を開くと、村の見廻りをしてるエーゼルお兄ちゃんがハァハァ言いながらお母さんの名前を呼んでる。

「アミラドさん、至急来て下さい!」
「どうしたの?まず落ち着いて。何がどうしたの?」

お母さんはエーゼルお兄ちゃんにコップのお水を勧める。
エーゼルお兄ちゃんがコップを見ると

「この水、いつ汲んだものですか?水源の泉に異変が出ています。泉の色が真っ黒に変わってしまっています。掬ってみると透明なのですが泉の水全体は黒いのです」
「何時からなの?」
「昨日の夕方の見廻りでは普通でしたので、早ければ昨晩からだと思います」
「わかったわ。急いで行きましょ。村のみんなには昨日の夜以降に泉で水を汲んだ人が居たら捨てるよう徹底して伝えて。棄てるのも小川の下流で棄てることもね」
「わかりました。伝令してから僕も泉に向かいます」
というとエーゼルお兄ちゃんは走って出ていった。

「神託があったのは今朝。ここから聖地までは昼四半日{※約3時間}。今すぐにでも聖地に向かわなければ稀人様は聖地を出てしまうかもしれない。その場合、この大森林で迷い最悪死んでしまうかもしれない。でも泉は村にとっては死活問題。代わりに行ける人は・・・居ないわね。ハァ、あのボンクラこの肝心の時にどこほっつき歩いているのよ!チッ」

お母さんが難しい顔で独り言を言ってる。
最後のはきっとお父さんのことだってわかった。
お父さんまたお母さんに黙って旅に出てるから、お母さん、お父さんのこといっつも怒ってるの。

でもお母さんがお父さんのこと大好きなのは知ってるんだ。一緒に居る時、お父さんを見つめて良い子良い子撫でしながら可愛いから食べちゃいたいってよく言ってるもん。お父さん恥ずかしがり屋だからお母さんがそういうと逃げようとするんだよ。お父さん可愛いよね。


お母さんは顔を上げると真面目な顔になってクミンを見つめるの。

「仕方がありません。お母さんは急いで泉に行かなければなりません。
・・・クミン、巫女として聖地から稀人様を連れてくるお仕事をお願いします。
護衛にエロニヤとドッダとクローを連れてお行きなさい。

お願いした傭兵の方達は5人組です。
リーダーはダラという褐色肌で、髪の毛が一本も無い頭の男です。
もし彼等が6人以上で聖地から出てくるか、もしかしたら稀人様独りだけで出てきたら話し掛けてここにお連れするのですよ」

クミン、巫女としての初めてのお仕事なの。頑張る!

「クミン、頑張って稀人様を連れてきます!」

お母さん、心配そうな顔をしながら

「気を付けるのですよ。
魔獣だけでなく周りの人間達にも注意をするのですよ。
お願いした傭兵の方々以外には聖地の場所は教えないようにお願いしましたが、どうなるかは分かりません。
最悪、エロニヤ達や稀人様を捨ててでも逃げなさい。
お父さんの飛翔を使っても構いませんからね」

お母さんが酷く恐ろしいことを言うの。

エロニヤお兄ちゃん達を捨てるなんて出来ないよ。神様にお願いされた稀人様も。
そんな怖い言葉を聞いて頭がくらくらするの。

「余り時間がありません。お母さんももう行かなければなりません。
クミン、稀人様をお願いしますね。
でもねクミン、クミンが一番頑張らないといけない大事なお仕事はね、生きてお母さんのところに帰ってくることだからね。必ずよ約束だからね」

そういうとお母さんはクミンをいつもより強くぎゅってしてくれたの。

お母さん、クミン頑張るよ。
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