水晶龍といっしょ ~ダンジョン巡って魔王の種もぎ~(仮題)

眠り草

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【第一章】一部

【呼び出されし者】21.神託の巫女 受難

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痛ましい胸くそ表現なので、苦手な方は読み飛ばしてください。

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「いたい、やめて、いたいよぉ。ごめんなしゃい、いたいのやらよー、クミン、なんにも悪いきょとしてなふぃよぉーー」







クミンはエロニヤお兄ちゃん達と聖地の入り口の近くで聖地から出てくる人を待ってたの。凄く獣臭いの。

そうしたら突然何かを被せられて、クミン地面に引き倒されたの。

「クミン!お前ら何をす・ぐえっ・・・・・ク、ミン」
「ゲブォ・・」
「クローぉぉぉぉ!ドッダぁぁぁ!」
「お前で最後だよ」
「よくもぉぉぉぉぉ!」
ドシュッ、ザン、ザク、ドサッ

クローお兄ちゃんがクミンを呼んでる。
でも被せられた上から何かに殴られてクミン痛くて泣いてるのに助けて貰えない。

「いたい、やめて、いたいよぉ。ごめんなしゃい、いたいのやらよー、クミン、なんにも悪いきょとしてなふぃよぉ。エロニヤお兄ちゃん!ドッダお兄ちゃん!クローお兄ちゃん!だすげでぇおねがい、だれがぁだじゅげでぇ」

ボゴッボガッボグッ絶え間無く容赦の無い殴打が降り注ぐ。
痛い痛い痛い痛いよぁ、助けて、お兄ちゃん、お母さん、お父さん、助けて
クミン痛いの嫌ぁぁぁ、誰か助け・・て・・・


「あははははは、獣人とはいえ魔獣の臭いがあの穴から溢れ出たこの辺じゃ鼻がやられてたようだな。風下からあっさりとこの様だぜ」

「その小娘は死なない程度でな。他のは処分だ」
「小娘以外、もう済んでますぜ」

「お頭、小娘、やっちまっても良いか?へへ」

「仕事を忘れないなら自由にしろ。但し殺すな。殺したらお前らも同じになると理解しておけ」

「へぃへぃ」
「ふへへへ、獣人は馬鹿だが筋肉が発達してっから、締まりは良いらしいからな」
下卑た笑いを浮かべる男供が腰紐を弛めながら、大人しくなった麻袋の周りを囲んで行く。

「お前ら、やるのは良いが縛るなり牢馬車に載せるなりしてからやれよ。万が一逃げられたら、俺らもこうなんだぞ」

そういうと男は口に手を突っ込む仕草をするとその手を腹の辺りまで一気に下ろすゼスチャーをする。

「ま、まあそうだな。そんなへまするつもりはないが、も、もしもの時にあんな殺され方したくねぇもんな。へへ」

厳つい体格で強面の男が目を泳がせ青くなりながら震える声で誰にでもない言い訳のようなことを言う。
こんな従わなければ腕力で黙らせると言わんばかりの男達が震え上がっている。

「頼むぞ。とばっちりで死ぬのは勘弁だからな」

忠告していた男はそう言いながら獣人に聖地と言われる穴の入り口へと向かっていった。

「しゃーねーな。牢馬車に載せっぞ」





牢馬車の上で麻袋から出された少女は見るも無惨な姿になっていた。

「チッ、やり過ぎたか。こりゃ下手したら死ぬぞ」
「おめえら容赦無さすぎだろ。獣人とはいえこんな小娘じゃポックリ死んじまいかねないだろ」
「うるせぇ!お前だって宙に浮き上がるくらいの蹴り見舞ってたろうがよ!」
「ああ、あれ良い感触だったからな。内臓イッてるかもな」

他人事のように軽く宣うこの男は真性のサド野郎なのだ。せっかく拐ってきた女もあっという間にダメにして廃棄しちまう奴だ。今も足の感触を思い出しうっとりとしていやがる。

「死んだらお前のせいだってぜっていチクってやるからな」

こんな奴の性癖のせいで連帯責任とかとばっちりは御免だ。うんざりしながら小娘を見る。
(こりゃ下手したら明日明後日には死ぬぞ。獣人の生命力に願うしかねぇかもな)
親方と呼んでいる存在の恐怖は身に染みているので背筋に悪寒が走る。
(あんな死に方ぁおれは御免だぜ)






あいつは突然やってきた。
俺ら盗賊ゴズルデ団のアジトとして使っていた洞窟に手ぶらで乗り込んできた。
ゴズルデ団は40人を越える大所帯だ。
こんなとこに男一人でのこのこやってくるたぁ阿呆な奴だ。
良いカモじゃねえかと高を括っていたのに矢も刃物も効きゃしねぇ化けもんだった。

だが奴は反撃してこず、真っ直ぐかしらだったゴズルデの元まで進むと、有無を言わせぬ速さで首の後ろを片手で持ち吊し上げると、空いた手でかしらの口に手を突っ込み下顎を掴んでおもむろに引き下ろした。
顎が身体から外、喉、胸、腹まで綺麗に割かれ腸が溢れ出した。
声になら無い悲鳴を上げてばたくつかしらは投げ棄てられたが暫く悶えのたうち回りそして暫くして漸く死んだ。

「今からお前達は我の手足だ。逃げる者は同じ末路だと理解しろ」

従うしかなかった。
何人か逃げ出したが、暫くすると元かしらと同じ姿でアジトの傍で見付かった。
もう考える余地もない。誰もが従った。

やつは洞窟をダンジョンにしていった。
いつの間にかアジトの奥が拡がり迷路と化していた。

俺らはこのアジトであるダンジョンの出入りの管理と、とある獣人の村の監視を命じられた。
もちろん生きてくための盗賊稼業も続けていた。

奴は命令以外にはわりと寛大で襲撃でヘマしてアジトまで追ってきた馬車の護衛どもも片付けてしまえばお咎めは無しだったし、何人女を囲い込もうと逃がしてアジトがバレなければ好きにしろと言った。
しかもいざとなれば、親方自らが始末してやるとも言うので俺らは好き放題させてもらってたもんだ。


数日前に村の監視をしていた奴が戻ってきた。

報告を受けると親方は満面の笑みを浮かべて宣言した。



「お前ら、仕事の時間だ」


その言葉に我に還り、ほどき掛けだった腰紐を結び直すと武器を腰に挿し直し聖域といわれる穴に向かった。
(あの小娘、死ななきゃ良いが・・・死なれちゃこっちまで殺されっちまう)
そう思いながらこれからってタイミングで聖域の奥から出てくる奴等にこのイライラをぶつけてやろうと思うのだった。




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