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【第一章】一部
【呼び出されし者】39.慟哭の泉
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気が逸る。
踏み均された道を足早に進めて行く。
途中、村の巡回警備をしているエーゼルを捕まえ、村の人達に水を暫く使わないことと家から出ないように伝えてと指示をする。
あの叫び声に不安げに家から顔を出し様子を窺う人達。
彼らにもしものことが無いように皆への指示よろしくと頼んでおく。
クミンを聖域に送り出した日の朝に異変が確認されてたという報告を受けていた泉からの叫び声。
とても無関係とは思えない。
誰かが泉の水を飲んで問題が発生したのではと脳裡を過る。
もしそんな事が起きたのなら村の住民すべてに影響があるかもしれない。
クミンを送り出した後に確認したときには既に異常が見られなかったため、異変が報告された当日だけは取水制限を敷いたが、翌朝も異常が見られなかったため制限を解除してしまっていた。
この泉以外の水源となるところはかなり離れており危険な魔獣も時折出没するため、長時間制限し続けるの難しく、水の成分の鑑定をお願いした薬師も問題無いとのことだったので解除の承認をしたのだったが・・・
(もし水源となる泉に何かしらの問題が発生したとしたら、早急に手を打たねば村の存続にも関わりかねないわね)
自分の迂闊さに小さく舌打ちする。
巫女の役目を任せたクミンが1日経っても帰ってこなかったことから自ら聖域を目指して村を離れた。
聖域の近くで護衛を頼んだエロニヤ、ドッダ、クローの3人の遺体を見付けた。まだ若いこの子たちを死に追いやってしまったことに後悔する。
しかしそこに娘の姿が無いことに内心ホッとしてしまう自分が居る。自らの傲慢さに自嘲してしまう。だが母親とはそういうものなのだから仕方ない。
愛する子供がなによりも優先されるのだから。
娘の身を案じ焦燥に駆られながらなんとか見付けたクミンの出す標を丸一昼夜辿りなんとか追い付き、稀人様をここまでお連れし、村に帰還した後もすぐ祈り場へお連れし御遣い様との引き合わせを行っていた。
その間、薬師のケアンカに代理を頼んでは居たが私が村を放置してしまっていたことには代りはなく対策を怠ってしまっていたのは事実だ。
「ともかく確認しなければ・・・」
逸る気持ちが自然と足を早くして行く。
木々に囲まれた静かな空間の中にある大きな泉からはこんこんと清水が湧き出し清らかな水を湛えていた。
が、今はその静かな泉を喉など焼ききらんとばかりの慟哭が静寂を引き裂き鳴り響く悲しみの空間と化していた。
深い泉の中央の水面に両腕を力無くだらんと垂らし上を向き直立不動で悲愴に佇む半透明のワンピースのようなシンプルなドレスを纏った美しい少女。
いや少女から女性へと変わろうかという年頃の半透明な女性が空を見上げながら滂沱の涙とともに大きく口を開け絶叫とも言える嘆きの叫びを上げ続けていた。
明らかに生物ではない彼女こそ水の乙女と呼ばれる存在。
精霊は魔法として力を貸してくれることは有れども顕現することは大変稀である。
その姿は慈愛に満ちた微笑みを湛えすべてを許し幼子を包み込むような母性を持つ女性とされている。
しかし今俺等の前に居るのは、まるで自らの子を喪ったような悲愴に満ちた泣きじゃくる女性の姿だった。
踏み均された道を足早に進めて行く。
途中、村の巡回警備をしているエーゼルを捕まえ、村の人達に水を暫く使わないことと家から出ないように伝えてと指示をする。
あの叫び声に不安げに家から顔を出し様子を窺う人達。
彼らにもしものことが無いように皆への指示よろしくと頼んでおく。
クミンを聖域に送り出した日の朝に異変が確認されてたという報告を受けていた泉からの叫び声。
とても無関係とは思えない。
誰かが泉の水を飲んで問題が発生したのではと脳裡を過る。
もしそんな事が起きたのなら村の住民すべてに影響があるかもしれない。
クミンを送り出した後に確認したときには既に異常が見られなかったため、異変が報告された当日だけは取水制限を敷いたが、翌朝も異常が見られなかったため制限を解除してしまっていた。
この泉以外の水源となるところはかなり離れており危険な魔獣も時折出没するため、長時間制限し続けるの難しく、水の成分の鑑定をお願いした薬師も問題無いとのことだったので解除の承認をしたのだったが・・・
(もし水源となる泉に何かしらの問題が発生したとしたら、早急に手を打たねば村の存続にも関わりかねないわね)
自分の迂闊さに小さく舌打ちする。
巫女の役目を任せたクミンが1日経っても帰ってこなかったことから自ら聖域を目指して村を離れた。
聖域の近くで護衛を頼んだエロニヤ、ドッダ、クローの3人の遺体を見付けた。まだ若いこの子たちを死に追いやってしまったことに後悔する。
しかしそこに娘の姿が無いことに内心ホッとしてしまう自分が居る。自らの傲慢さに自嘲してしまう。だが母親とはそういうものなのだから仕方ない。
愛する子供がなによりも優先されるのだから。
娘の身を案じ焦燥に駆られながらなんとか見付けたクミンの出す標を丸一昼夜辿りなんとか追い付き、稀人様をここまでお連れし、村に帰還した後もすぐ祈り場へお連れし御遣い様との引き合わせを行っていた。
その間、薬師のケアンカに代理を頼んでは居たが私が村を放置してしまっていたことには代りはなく対策を怠ってしまっていたのは事実だ。
「ともかく確認しなければ・・・」
逸る気持ちが自然と足を早くして行く。
木々に囲まれた静かな空間の中にある大きな泉からはこんこんと清水が湧き出し清らかな水を湛えていた。
が、今はその静かな泉を喉など焼ききらんとばかりの慟哭が静寂を引き裂き鳴り響く悲しみの空間と化していた。
深い泉の中央の水面に両腕を力無くだらんと垂らし上を向き直立不動で悲愴に佇む半透明のワンピースのようなシンプルなドレスを纏った美しい少女。
いや少女から女性へと変わろうかという年頃の半透明な女性が空を見上げながら滂沱の涙とともに大きく口を開け絶叫とも言える嘆きの叫びを上げ続けていた。
明らかに生物ではない彼女こそ水の乙女と呼ばれる存在。
精霊は魔法として力を貸してくれることは有れども顕現することは大変稀である。
その姿は慈愛に満ちた微笑みを湛えすべてを許し幼子を包み込むような母性を持つ女性とされている。
しかし今俺等の前に居るのは、まるで自らの子を喪ったような悲愴に満ちた泣きじゃくる女性の姿だった。
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