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残りの装飾品の行方
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私の視線はヴィルお兄様に向かう。
「リーゼ、どうしたんだい?」
視線に気づいたヴィルお兄様が、優しい笑顔を向けてくれる。
「ヴィルお兄様、お相手の女性とはどうなんです?一度もご紹介いただいていませんが?」
「シルビアは、彼女は公爵夫人の荷が重いらしくてね…今、私の紹介した家庭教師に一生懸命学んでくれているんだよ。」
困り顔のヴィルお兄様。
「…そんなに、学びが必要な状態なんですか?」
「いや、伯爵令嬢だからしっかりと躾けられてはいるんだが…」
「だが…?」
言いにくそうなヴィルお兄様に敢えて突っ込むと、観念したヴィルお兄様は口を開いた。
「周りの女性陣が…社交界の華と言われる母上に愛し子である妹、さらに弟の婚約者は王女殿下だ。気後れしても仕方ないだろうと思っている。」
なるほど。
気持ちは分からなくもないかも。
指環を手に取り魔法を込めて、高価なジュエリーボックスを創りヴィルお兄様に渡した。
「リーゼ?これは?」
「未来の公爵夫人になられる、シルビアお姉様にお渡し下さい。安らぎの魔法を込めました。王妃陛下とご対面しても普段通りにいられます。心に焦りがあれば上手くいくのも行きませんわ。」
「い、いや、この贈り物に気後れするのでは?」
「そんなの、ヴィルお兄様が指にはめて差し上げればいいのです!私、早くヴィルお兄様には領地に来て頂きたいのです!」
そう、連携してローゼリアをもっと良くしたいんだから!
「ぜ、善処しよう。一日でも早く領地に迎えるように。」
ヴィルお兄様、言質はとったからね!
残りのブレスレットを手に取り、魔法を込めた。
「最後になって申し訳ございません。王妃陛下こちらを。清廉・公正を込めました。これからも清く正しく美しくあらせられますよう。」
王妃陛下に差し出すと、王妃陛下と王女殿下がブワッと涙を溢れさせた。
「感謝します。このような美しい物を頂ける上に、嬉しい言葉。なによりクリスティアとお揃いなんて!」
感極まった王妃陛下と…
「ローゼバルト家の女性で分けられるのかと…わ、私だけ…お義母様もお義姉様もお持ちなのに私だけ…」
人目も憚らず、エグエグと泣き出してしまう王女殿下。
待って。
私が意地悪な小姑みたいになってる!
「エミリアお義姉様の分は、こちらの種を育てて私と対で作ろうかと思ったのですがお嫌ですか?」
隣に座る王女殿下の肩に触れながら、問いかけるときょとんとしてから、花がほころぶような笑顔を見せてくれた。
「リーゼロッテ様と対で?とても幸せですわ!」
良かった、良かった。
一件落着な雰囲気の中、クリストファー殿下の爆弾発言が投下された。
「リーゼ、どうしたんだい?」
視線に気づいたヴィルお兄様が、優しい笑顔を向けてくれる。
「ヴィルお兄様、お相手の女性とはどうなんです?一度もご紹介いただいていませんが?」
「シルビアは、彼女は公爵夫人の荷が重いらしくてね…今、私の紹介した家庭教師に一生懸命学んでくれているんだよ。」
困り顔のヴィルお兄様。
「…そんなに、学びが必要な状態なんですか?」
「いや、伯爵令嬢だからしっかりと躾けられてはいるんだが…」
「だが…?」
言いにくそうなヴィルお兄様に敢えて突っ込むと、観念したヴィルお兄様は口を開いた。
「周りの女性陣が…社交界の華と言われる母上に愛し子である妹、さらに弟の婚約者は王女殿下だ。気後れしても仕方ないだろうと思っている。」
なるほど。
気持ちは分からなくもないかも。
指環を手に取り魔法を込めて、高価なジュエリーボックスを創りヴィルお兄様に渡した。
「リーゼ?これは?」
「未来の公爵夫人になられる、シルビアお姉様にお渡し下さい。安らぎの魔法を込めました。王妃陛下とご対面しても普段通りにいられます。心に焦りがあれば上手くいくのも行きませんわ。」
「い、いや、この贈り物に気後れするのでは?」
「そんなの、ヴィルお兄様が指にはめて差し上げればいいのです!私、早くヴィルお兄様には領地に来て頂きたいのです!」
そう、連携してローゼリアをもっと良くしたいんだから!
「ぜ、善処しよう。一日でも早く領地に迎えるように。」
ヴィルお兄様、言質はとったからね!
残りのブレスレットを手に取り、魔法を込めた。
「最後になって申し訳ございません。王妃陛下こちらを。清廉・公正を込めました。これからも清く正しく美しくあらせられますよう。」
王妃陛下に差し出すと、王妃陛下と王女殿下がブワッと涙を溢れさせた。
「感謝します。このような美しい物を頂ける上に、嬉しい言葉。なによりクリスティアとお揃いなんて!」
感極まった王妃陛下と…
「ローゼバルト家の女性で分けられるのかと…わ、私だけ…お義母様もお義姉様もお持ちなのに私だけ…」
人目も憚らず、エグエグと泣き出してしまう王女殿下。
待って。
私が意地悪な小姑みたいになってる!
「エミリアお義姉様の分は、こちらの種を育てて私と対で作ろうかと思ったのですがお嫌ですか?」
隣に座る王女殿下の肩に触れながら、問いかけるときょとんとしてから、花がほころぶような笑顔を見せてくれた。
「リーゼロッテ様と対で?とても幸せですわ!」
良かった、良かった。
一件落着な雰囲気の中、クリストファー殿下の爆弾発言が投下された。
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