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連載
番外編-episode リアム6-
しおりを挟む「いきなり連行して悪かったな。結論から言うと、全てお前の書いたシナリオ通りになったよ。私の王太子としての立場は揺るぎなく、ラグドール伯爵令嬢の婚約も白紙になった。炎の魔石を作り出せるお前も隣国に於いて爆発的に広まったがな。第二王子とその正妃からの反対はあったがな。どうやら2人で一緒になって、ラグドール伯爵令嬢を使い潰し自分達は遊んで暮らそうとしてたのが明るみに出て再教育するそうだ。」
学園に行く前に、アレクシアの馬車が迎えに来たので同行すると、私達の城に於いての交流場所であるアレクシアの執務室に案内される。
大抵はここで、書類を見ながら語らうのだが、今回の話題は待ちに待っていた話題だった
「そうか。感謝するよ。ラグドール伯爵家に、婚約白紙の件は?」
「伝令を出している。今頃聞いているだろう。そして感謝するのは私の方なんだがな」
「君が動いてくれなければ、叶わなかったさ。」
それに色々と動くには、過度な権力は邪魔になる時さえある。
アレクシアを玉座に、私は思うがままに動く
それが必要なのが、国を動かし栄えさせる事に繋がるのは、父上の背中を見て学んだのだから。
アレクシアの執務室から出て馬車へ向かう。
その途中で、父上からの言伝を持った従事に会い、寄り道をせず真っ直ぐ帰れと書いてあるのを確認した。
子供じゃないんだが?
あぁ、私が嬉しすぎてラグドール伯爵家に乗り込む事のない様に牽制されたのか。
流石にお伺いの手鎌位出すけども。
父上にとってはまだまだ私は子供のようだ
屋敷に着いて馬車を降りると、珍しく執事ではなく家令が玄関前で待っていた
「若様、お帰りなさいませ。旦那様より直ぐに応接室に来るようにと」
「応接室?今日は私が絡む来客の予定はなかったはずだが?」
まだ先にはなるが、次期当主として一緒に会う客もいるのだが、今日はその予定は無いはずだ
不思議に思いながらも、応接室へ向かいノックをすれば、直ぐにドアが開かれた
「…クリスティア嬢」
居るはずのない彼女が、彼女の両親と共に私の両親と対面している
「リアム、お待たせしておるのだ。早く座れ」
父上に促されながら、両親の間へと腰をおろすと、ラグドール伯爵が口を開いた
「先日ぶりでございますな、公子様。本日は、先日のお話の続きに参りました。先ずは、妻のローラと、娘のクリスティアにございます。」
「伯爵夫人、お初お目にかかります。リアムと申します。…クリスティア嬢は学園でも同じクラスだね」
2人に挨拶をすると、夫人は目を潤ませながらハンカチを口元にあて頭を下げてくれ、クリスティア嬢は微笑んでくれた
いや、まて
心臓の音が煩い
心做しか熱がある様にも思える
「公子様、私ども伯爵家からのお願いです。どうか、娘のクリスティアと婚約を結んでは頂けないでしょうか?」
「それは、こちらが望んだ事…いや、しかしクリスティア嬢の気持ちを…」
「リアム様」
「クリスティア嬢…」
「リアム様、お父様からお話を伺いました。5歳の集まりの茶会でお見掛けした時からずっと、今も変わらず、貴方様をお慕いしております」
「え?5歳の茶会…から?」
「はい。私の10年の片想いでしたのよ。…隣国に嫁ぐ前にリアム様との学園生活の思い出が欲しくて、勉学に励み同じクラスとなったのです。」
「…そんなに待たせてすまなかった。もっと早く見つけられていたら辛い思いなどさせなかったのに。」
「いいえ。今、こんなに幸せなんですもの。終わり良ければ……と言うものですわ」
「クリスティア嬢。では、私の婚約者となってくれるか?」
「ティアと。家族にはクリスと呼ばれておりますが、リアム様だけの呼び方を…ティアとお呼び下さい。婚約のお話、心よりお受け致します。どうぞ宜しくお願い致します」
「ティア。大切に愛し、必ず幸せにするよ。」
「お熱いわねぇ。卒業したら直ぐにお孫ちゃんに会えそうだわ。ねぇ、伯爵夫人?」
「ええ。今からとても楽しみですわね」
「リアムに似た男児とクリスティア嬢に似た女児。少なくとも2人は欲しいな」
「そ、卒業して直ぐは、その、は、早すぎでは?!」
そうだな。
ティアとの子供なら沢山居ればいいな
ティアに似た娘なんかが産まれたら…
ラグドール伯爵の様になる自信があるぞ。
明日、ハリーとアレクシアに報告しよう。
可愛い婚約者を自慢してやるのだ。
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