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連載
真珠が欲しいです
しおりを挟むお昼休みに、マライア様と2人で中庭のベンチに席を確保した
マライア様もお弁当持参だと言うので食堂に行かずに済んで内心ほっとした
食堂めちゃくちゃ混むんだよね…
行儀が悪いとは思いつつ、お弁当を広げているマライア様の手元をバレないように横目で覗き込む
これは決して食いしん坊とかではないのだ
調味料が交渉の札になるかの確認である
「…リーゼロッテ様。何かお好きな物が御座いましたら召し上がって下さいね?」
やっばい。
バレてた。
「い、いえ、マライア様。大変申し訳無かったですわ…私、他家にどれ程調味料が広がっているか確認したくて…覗いてしまいました。」
「調味料ですか…?…あぁ!様々な調味料がローゼリア商会から販売されておりますものね。ローゼバルト家が展開されて居るんでしたよね」
「えぇ。そうなんですの」
「私の家も伯爵家ではあるものの、やはり充分な量を確保するまでには至っておりません。買い占めなどもやはり起きている状況ですし…」
買い占め…?
え、それは初耳なんだが?
ちょっと確認が必要だわ
「なるほど…。私が調味料のお話をさせて頂いたのはマライア様のお家の特産品、真珠をまとまった数で卸して頂けないかと思いまして。その代わりに調味料を優先的にと思ったのですが…」
買い占め問題を解決すれば、別の物の方が宜しいですわよね?
と、続けるつもりだったのだけど
「調味料を!!それは是非!お父様にお話しても宜しいですか?!調味料が手に入ると!!!」
食い気味且つ興奮したマライア様の言葉に飲み込む事になった
「え、ええ。マライア様落ち着いて下さい。調味料は私が開発した物ですので私が責任持って確保は出来ますし、内容次第ではレシピ等もお譲り…」
「ローゼバルト公爵家のレシピですか!!王家だけにいくつか譲られた幻のレシピを!?ローゼバルト公爵家の領地のホテルや旅館でしたか?!あちらで出される絶品料理の数々を、どれだけのシェフが再現しようとして挫折したかご存知でしょうか?!あの幻のレシピですか?!私のお母様なんて旅館から帰りたくないと駄々を捏ねて駄々を捏ねて大変だったのですよ!!あのレシピを…」
「マ、マライア様…?…ぐあっ」
「きゃー?!リ、リーゼロッテ様ぁぁぁぁっっ!!!」
フルフルと震え出し俯いたマライア様が心配になってお顔を覗きこもうとしたらマライア様が思い切り顔を上げたので、マライア様の頭が私の顎にクリーンヒット
私は、その場でひっくり返る事になってしまい、遠くにマライア様の悲鳴の様な叫び声を聞きながら意識を手放したのでした
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