32 / 59
32. お前の幸せは? Sideポール
しおりを挟む
【Side ポール】
テオは真剣な目でポールを見つめた。
(だが僕は‥‥‥もう)
ポールは言葉に詰まって、うつむいた。おちゃけているようで、一番の核心をつく。テオの言葉からいつも逃げられない。
「なんてな。」
テオは真剣な表情を崩して、ポールの肩を組んだ。
「ポールが難しい立場にいることはわかってるよ。無茶言って悪いな。幼馴染として、焦れったくなっただけだ。」
ポールは黙って、テオを見た。
(追い詰めすぎないのも‥‥‥テオの狡いところだ‥‥‥。)
「なんだよ?」
「いや。何でもない。」
「そうかよ。んで、こっからが本題だ。」
「本題‥‥‥?」
「マティアの手紙を処分せず、あいつの望む相手に、届けてやってくれ。今日はそれを伝える為にここに来た。」
そう言って、テオはポンポンとポールの肩を叩いた。きっとテオは、どんなに難解な暗号を書いても、ポールは見破るとわかっていたのだろう。その上で、マティアの意志を守るために、テオはここに来たのだ。
(僕を惑わせることを言ったのは、そのためか‥‥‥‥。)
"マティアがドントール国王を倒す"
それが実現したら、本当に戦いは止められるのだろうか。
「あんま考えすぎんな。いざとなれば、俺がマティアを隠して逃げてやるからさ。頼むよ。」
(テオは‥‥‥マティアなら、戦いを止められると本気で信じているんだな‥‥‥。)
「‥‥‥危険だぞ。」
マティアは、正真正銘の頑固者だ。ここで止めてもきっと、また違う策を練るのだろう。分かっている、それでもポールには決断ができない。
「危険だからって、マティアの意志は止められねえよ。」
「マティアを守りたいんじゃなかったのか?」
「守りたいさ。けど、俺は我儘なんでね。全ての願いを叶えたいんだ。」
「全ての願い?」
テオは頷き、3本指を立てた。
「ああ。マティアを幸せにする。ドントール国とリックストン国の戦いを止める。そんで、ポール、お前を幸せにすることだよ。」
テオの言葉に、ポールは思わず笑いがこぼれた。
(君は本当に馬鹿だな‥‥‥テオ。)
「全部叶えるには、戦いを止めて、お前らを仲直りさせたらいい。簡単な話だ。」
そう言って、テオは胸を張ったポールは苦笑しながら反論する。
「簡単じゃないだろ」
テオは芝居がかった仕草で両手を広げた。
「いいや。目標は単純だ。だからな、頼むよ。マティアの手紙を、届けてやってくれ。今は俺が、マティアを全力で守るから。」
ポールは小さくため息をつく。
(わかったよ、テオ。お前を信じるからな。)
「考えとく。」
ポールはそれだけ言った。
「それは、ポールの了解したってことだな。」
テオは満足げに笑って手を振る。去っていく姿にポールは声をかけた。
「なぁ、テオ。お前の幸せは?」
テオは笑顔で首をかしげながら答える。
「さっき言ったろ。お前ら二人が幸せになることだよ。」
そしてテオは最高に優しい笑顔で笑った。
◇◇◇
テオは真剣な目でポールを見つめた。
(だが僕は‥‥‥もう)
ポールは言葉に詰まって、うつむいた。おちゃけているようで、一番の核心をつく。テオの言葉からいつも逃げられない。
「なんてな。」
テオは真剣な表情を崩して、ポールの肩を組んだ。
「ポールが難しい立場にいることはわかってるよ。無茶言って悪いな。幼馴染として、焦れったくなっただけだ。」
ポールは黙って、テオを見た。
(追い詰めすぎないのも‥‥‥テオの狡いところだ‥‥‥。)
「なんだよ?」
「いや。何でもない。」
「そうかよ。んで、こっからが本題だ。」
「本題‥‥‥?」
「マティアの手紙を処分せず、あいつの望む相手に、届けてやってくれ。今日はそれを伝える為にここに来た。」
そう言って、テオはポンポンとポールの肩を叩いた。きっとテオは、どんなに難解な暗号を書いても、ポールは見破るとわかっていたのだろう。その上で、マティアの意志を守るために、テオはここに来たのだ。
(僕を惑わせることを言ったのは、そのためか‥‥‥‥。)
"マティアがドントール国王を倒す"
それが実現したら、本当に戦いは止められるのだろうか。
「あんま考えすぎんな。いざとなれば、俺がマティアを隠して逃げてやるからさ。頼むよ。」
(テオは‥‥‥マティアなら、戦いを止められると本気で信じているんだな‥‥‥。)
「‥‥‥危険だぞ。」
マティアは、正真正銘の頑固者だ。ここで止めてもきっと、また違う策を練るのだろう。分かっている、それでもポールには決断ができない。
「危険だからって、マティアの意志は止められねえよ。」
「マティアを守りたいんじゃなかったのか?」
「守りたいさ。けど、俺は我儘なんでね。全ての願いを叶えたいんだ。」
「全ての願い?」
テオは頷き、3本指を立てた。
「ああ。マティアを幸せにする。ドントール国とリックストン国の戦いを止める。そんで、ポール、お前を幸せにすることだよ。」
テオの言葉に、ポールは思わず笑いがこぼれた。
(君は本当に馬鹿だな‥‥‥テオ。)
「全部叶えるには、戦いを止めて、お前らを仲直りさせたらいい。簡単な話だ。」
そう言って、テオは胸を張ったポールは苦笑しながら反論する。
「簡単じゃないだろ」
テオは芝居がかった仕草で両手を広げた。
「いいや。目標は単純だ。だからな、頼むよ。マティアの手紙を、届けてやってくれ。今は俺が、マティアを全力で守るから。」
ポールは小さくため息をつく。
(わかったよ、テオ。お前を信じるからな。)
「考えとく。」
ポールはそれだけ言った。
「それは、ポールの了解したってことだな。」
テオは満足げに笑って手を振る。去っていく姿にポールは声をかけた。
「なぁ、テオ。お前の幸せは?」
テオは笑顔で首をかしげながら答える。
「さっき言ったろ。お前ら二人が幸せになることだよ。」
そしてテオは最高に優しい笑顔で笑った。
◇◇◇
416
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。
三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。
だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。
レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。
イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。
「子供の親権も放棄しろ!」と言われてイリスは戸惑うことばかりで、どうすればいいのか分からなくて混乱した。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
【完結】実兄の嘘で悪女にされた気の毒な令嬢は、王子に捨てられました
恋せよ恋
恋愛
「お前が泣いて縋ったから、この婚約を結んでやったんだ」
婚約者である第一王子エイドリアンから放たれたのは、
身に覚えのない侮蔑の言葉だった。
10歳のあの日、彼が私に一目惚れして跪いたはずの婚約。
だが、兄ヘンリーは、隣国の魔性の王女フローレンスに毒され、
妹の私を「嘘つきの悪女」だと切り捨てた。
婚約者も、兄も、居場所も、すべてを奪われた私、ティファニー16歳。
学園中で嘲笑われ、絶望の淵に立たされた私の手を取ったのは、
フローレンス王女の影に隠れていた隣国の孤高な騎士チャールズだった。
「私は知っています。あなたが誰よりも気高く、美しいことを」
彼だけは、私の掌に刻まれた「真実の傷」を見てくれた。
捨てられた侯爵令嬢は、裏切った男たちをどん底へ叩き落とす!
痛快ラブ×復讐劇、ティファニーの逆襲が始まる!
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤
しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。
父親は怒り、修道院に入れようとする。
そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。
学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。
ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる