【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう

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32. お前の幸せは? Sideポール

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【Side ポール】


テオは真剣な目でポールを見つめた。

(だが僕は‥‥‥もう)

ポールは言葉に詰まって、うつむいた。おちゃけているようで、一番の核心をつく。テオの言葉からいつも逃げられない。

「なんてな。」

 テオは真剣な表情を崩して、ポールの肩を組んだ。

「ポールが難しい立場にいることはわかってるよ。無茶言って悪いな。幼馴染として、焦れったくなっただけだ。」

ポールは黙って、テオを見た。

(追い詰めすぎないのも‥‥‥テオの狡いところだ‥‥‥。)

「なんだよ?」

「いや。何でもない。」

「そうかよ。んで、こっからが本題だ。」

「本題‥‥‥?」

「マティアの手紙を処分せず、あいつの望む相手に、届けてやってくれ。今日はそれを伝える為にここに来た。」

 そう言って、テオはポンポンとポールの肩を叩いた。きっとテオは、どんなに難解な暗号を書いても、ポールは見破るとわかっていたのだろう。その上で、マティアの意志を守るために、テオはここに来たのだ。

(僕を惑わせることを言ったのは、そのためか‥‥‥‥。)

"マティアがドントール国王を倒す"

それが実現したら、本当に戦いは止められるのだろうか。

「あんま考えすぎんな。いざとなれば、俺がマティアを隠して逃げてやるからさ。頼むよ。」

 (テオは‥‥‥マティアなら、戦いを止められると本気で信じているんだな‥‥‥。)

「‥‥‥危険だぞ。」

 マティアは、正真正銘の頑固者だ。ここで止めてもきっと、また違う策を練るのだろう。分かっている、それでもポールには決断ができない。

「危険だからって、マティアの意志は止められねえよ。」

「マティアを守りたいんじゃなかったのか?」

「守りたいさ。けど、俺は我儘なんでね。全ての願いを叶えたいんだ。」

「全ての願い?」

テオは頷き、3本指を立てた。

「ああ。マティアを幸せにする。ドントール国とリックストン国の戦いを止める。そんで、ポール、お前を幸せにすることだよ。」

テオの言葉に、ポールは思わず笑いがこぼれた。

(君は本当に馬鹿だな‥‥‥テオ。)

「全部叶えるには、戦いを止めて、お前らを仲直りさせたらいい。簡単な話だ。」

そう言って、テオは胸を張ったポールは苦笑しながら反論する。

「簡単じゃないだろ」

テオは芝居がかった仕草で両手を広げた。

「いいや。目標は単純だ。だからな、頼むよ。マティアの手紙を、届けてやってくれ。今は俺が、マティアを全力で守るから。」

ポールは小さくため息をつく。

(わかったよ、テオ。お前を信じるからな。)

「考えとく。」

ポールはそれだけ言った。

「それは、ポールの了解したってことだな。」

テオは満足げに笑って手を振る。去っていく姿にポールは声をかけた。

「なぁ、テオ。お前の幸せは?」

テオは笑顔で首をかしげながら答える。

「さっき言ったろ。お前ら二人が幸せになることだよ。」

そしてテオは最高に優しい笑顔で笑った。


   ◇◇◇
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