【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう

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33. 邪魔者? Side ポール

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【Side ポール】


 (僕とマティアが幸せになることが、幸せ‥‥‥か。)

 部屋に戻るテオの後ろ姿は、眩しく見えた。テオはきっと、何くわぬ顔でマティアの元に戻るんだろう。ポールに暗号がバレたことを、マティアに秘密にしたまま。

(仲直り、な‥‥‥。)

 ポールは頬付けをついて、手紙を眺める。

 (マティアは本当に、僕とリックストン国を助けようとしているんだ。そんなマティアのために僕が出来ることはなんだ‥‥‥?)

 物思いにふけっていると

「ポール!」

 騎士団長室にサラが入ってきた。彼女は薄いローブを着て、髪を束ねている。お風呂に入ったあとなのか、サラのうなじは濡れていた。

「来たのか‥‥‥。」

 マティアの噂を、一晩で流したサラ。幼馴染に対して、あのような仕打ちが出来る人間だとは思わなかった。

「ポールはサラのものなの。早く分かってよ。」

 サラはポールの背中に抱きついて、顔を埋める。ポールが引き剥がそうとしても、サラは強い力でしがみつく。

「サラ、もうやめてくれ。」

(僕は君を好きにならない。)

「やだ。欲しいものは全部手に入れるよ。ポールはサラと一緒にいるのが幸せだってなんで分からないの?」

「君は僕に執着してるだけなんだよ‥‥‥。」
 
 サラはニッコリと笑って反論する。

「愛ってそういうものでしょ。」

 ぺろりと舌を出すサラが恐ろしい。

「邪魔者は全員排除するよ。あの、恐ろしいドントールの王女はもう少しでいなくなる!」

サラは歌うように言う。

(サラを狂わせたのは、僕なのか‥‥‥?)

「もう十分だろう。あの噂で、マティアの居場所は無くなった。耐えきれなくなって、明日にでも城を出ていくだろう。」

(なぜ、僕はサラに愛人のふりを頼んでしまったのか‥‥‥。)

「ううん。マティアはしつこい女よ。もっとちゃんと追い詰めなきゃ。ふふ。明日も楽しい噂が流れるわ。」

「噂?」

サラは陰険な笑みを浮かべながら続ける。

「皇太子ポールの妻マティアは、他国の王子と不倫してる。本当の話でしょう?」

 ポールはサラを引き離し、頭を押さえる。

「あの二人は、そんな関係じゃない。」

「皆が信じることが真実だよ、ポール。ポールも言ってたじゃない。マティアを追い払うためには、テオが邪魔だって。」

「‥‥‥。」

「そういえばさ、ポール。マティアが大事そうに持っている小瓶を知ってる?」

(小瓶?)

ポールには心当たりがない。

「分からないが、何かあるのか?」

「マティアを見張らせてた奴が言ってたのよ。大事そうに小瓶を持ってたって。気になるなぁ。なーんか、上手く利用できる気がするのよねぇ。奪ってしまおうかしらぁ。」
 
 サラの気付きが、大きな波乱を巻き起こすことを、ポールはまだ知らなかった。



   ◇◇◇

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