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2.婚約するの、、、?
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ハリバート王国西ノ森。
「レオナ、、、婚約するの??」
私、オリビアの唯一の友達であるレオナは、長く伸ばした銀の髪をゆっくりとかきあげた。大きな青い目に長いまつ毛。レオナは友達ながら見惚れてしまうほどの美少女だ。
「そう。」
レオナの言葉に私は唇を噛んだ。悲しみを堪えて、緑色の湖に小さな石を投げ入れた。ポチャンと、水が跳ねる音がする。
「随分早いね。」
私とレオナは共に8歳。いくら貴族の令嬢といえど、まだ婚約者ができるには早い。
「うん。」
レオナは寂しそうに答えた。私はレオナの身分は分からないけれど、きっと凄く高い身分なんだろうとは予想が着く。
レオナが来ているピンクのドレスは、パーティに参加する誰よりも模様が細かくて、可愛い。
「だからもう、オリィには会えないかもしれないの。」
レオナの言葉に私は耳を押さえた。まだ出会って一ヶ月だけれども、レオナはもう私にとってかけがえのない友達だ。
「いやだ、、、!」
我慢しきれなくて、涙が溢れてきた。
「オリィ。」
レオナはしゃがみこんで私と目を合わせた。優しくて強いレオナの言葉で、私は何度も救われた。母が亡くなってしまって、悲しくて仕方なかったが、レオナに会って立ち直ることができたのだ。
「レオナぁ!」
私はレオナの華奢な体をぎゅっと抱きしめた。
「会えなくても、ずっと友達だよ。」
そう言ってレオナは金色の宝石を私に手渡した。手のひらでキラキラ光るその宝石に、私の涙がポタポタと落ちる。
「またいつか会える?」
私がそう答えるとレオナは寂しそうに笑って私の頭をそっと撫でてくれた。同じ8歳なのに、レオナは私よりずっと大人びて見えた。
「たとえ会えなかったとしても、ずっと友達だよ。」
それが、私がレオナに会った最後だった。
家族から馬鹿にされながらも必死で探したけれど、結局レオナの正体すら掴むことはできなかった。
そして、10年後の今日、私はレオ皇太子の婚約者として、ハリバート城に来たのだった。
◇◇◇
「レオナ、、、婚約するの??」
私、オリビアの唯一の友達であるレオナは、長く伸ばした銀の髪をゆっくりとかきあげた。大きな青い目に長いまつ毛。レオナは友達ながら見惚れてしまうほどの美少女だ。
「そう。」
レオナの言葉に私は唇を噛んだ。悲しみを堪えて、緑色の湖に小さな石を投げ入れた。ポチャンと、水が跳ねる音がする。
「随分早いね。」
私とレオナは共に8歳。いくら貴族の令嬢といえど、まだ婚約者ができるには早い。
「うん。」
レオナは寂しそうに答えた。私はレオナの身分は分からないけれど、きっと凄く高い身分なんだろうとは予想が着く。
レオナが来ているピンクのドレスは、パーティに参加する誰よりも模様が細かくて、可愛い。
「だからもう、オリィには会えないかもしれないの。」
レオナの言葉に私は耳を押さえた。まだ出会って一ヶ月だけれども、レオナはもう私にとってかけがえのない友達だ。
「いやだ、、、!」
我慢しきれなくて、涙が溢れてきた。
「オリィ。」
レオナはしゃがみこんで私と目を合わせた。優しくて強いレオナの言葉で、私は何度も救われた。母が亡くなってしまって、悲しくて仕方なかったが、レオナに会って立ち直ることができたのだ。
「レオナぁ!」
私はレオナの華奢な体をぎゅっと抱きしめた。
「会えなくても、ずっと友達だよ。」
そう言ってレオナは金色の宝石を私に手渡した。手のひらでキラキラ光るその宝石に、私の涙がポタポタと落ちる。
「またいつか会える?」
私がそう答えるとレオナは寂しそうに笑って私の頭をそっと撫でてくれた。同じ8歳なのに、レオナは私よりずっと大人びて見えた。
「たとえ会えなかったとしても、ずっと友達だよ。」
それが、私がレオナに会った最後だった。
家族から馬鹿にされながらも必死で探したけれど、結局レオナの正体すら掴むことはできなかった。
そして、10年後の今日、私はレオ皇太子の婚約者として、ハリバート城に来たのだった。
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