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7.一度目の婚約破棄
しおりを挟む「オリビア、お前はアレキサンドル家長男ガリクと婚約しろ!」
父は娘を心配する父親として、私を連れ戻しに来たのではない。ジェームズ家を拡大する駒として、私を利用しようとしたのだ。
当時ガリクは20歳。14歳の私より6歳も歳上であった。
「ガキは近づくな!!」
私のことをガキ、と呼び、親しく話そうとはしない。
(私だって貴方と婚約したくなんて無いのに。早く皆のところに帰りたいわ。)
私は一人、与えられた部屋に閉じこもり医療本を夢中で読んでいた。お別れの日に、医療団のルイスにもらったのだ。
アレキサンドル家の使用人達は、外に全く出ようとせず勉強ばかりしている私に、どう接したらいいのか戸惑っている様子だった。
そして、私がアレキサンドル家に来て3ヶ月が経った頃。
「ガリク様、、、メイドのノエルと浮気してるでしょう?」
私がガリクに放った一言は大問題になった。なぜならば使用人のノエルは当時すでに同僚の男と結婚し、妊娠していたからだ。
「ノエルの子供は、ガリクの子供では無いのか?!」
私の手紙を受け取った父は激高してガリクに問い詰めた。ガリクの顔が真っ青であったのも当然だ。ノエルとガリクは長い間不倫関係にあり、ノエルの子供はガリクとの子供であったからだ。
「婚約破棄するしかないだろう!!」
不祥事が明らかになると、私とガリクの婚約は破棄された。
ガリクの浮気に気づいたのは、偶然ではない。鼻が効く私は、ノエルとガリクの匂いから二人の不倫に気がついたのだ。
(これで医療団に戻れるわ!)
私はガリクと婚約破棄を心の底から喜んだが、父の言葉に愕然とすることになる。
「お前が余計なことに気づいたせいでこんなことになったのだ!次の婚約者が見つかるまで、家を出ることは許さん!!」
それからの2年間はまるで囚人のような生活だった。どこに行くにも見張りをつけられ、外部との手紙のやり取りも禁止されてしまった。
(皆、元気かな、、、。)
押入れに一人籠もった私は金色の宝石を握りしめ、ただじっと時を過ごした。
2年後、父の一言で私はようやくジェームズ家を出ることになったのだ。
「次の婚約者が決まった。さっさと準備をしろ!」
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