【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。

五月ふう

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12.女王様は求婚されています

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女王の執務室に戻った私は、3年前の詳しい状況についてアルフレッドに尋ねていた。

クーズマが教えてくれた話が本当だとは到底思えない。だが、クーズマの話を説明するとアルフレッドは頷いた。

「クーズマ様が説明されたことは、全て実際にあったことです。

 3年前。深夜、ルカドル国の船で、シアラ様とクーズマ様が抱き合っているところが発見され、大騒ぎになりました。

船に乗っていたことから、二人は駆け落ちをたくらんでいたのでは、とデミオン国王は思われたようです。

恩を仇で返されたと大変お怒りになり、ルカドル国への援助を取りやめてしまいました。」

淡々と語るアルフレッドは少し怒っているように見える。

「シアラとクーズマは、恋人同士だったの、、、かな?」

恐る恐る尋ねると、アルフレッドは口元に小さく笑みを作った。

作り笑いだと、すぐに分かる。

「実際のところは、僕にも分かりません。

シアラ様はクーズマ様のことを単なる友達だと言っていました。でも、あの時間に二人でいたのですから、怪しまれても仕方ありません。」

突き放す口調でアルフレッドが言う。

「そうなんだ。」

私は神妙に頷いた。余計なことを言ったら地雷を踏んでしまう気がする。

「ルカドル国に帰ってきてから、シアラ様は何があったのか詳しく説明しようとはしませんでした。

僕がクーズマを責めると、シアラ様はクーズマはただの馬鹿だよ、と笑って言っていました。

だから、もしかしたらシアラ様はクーズマが好きだったのかもしれませんね。」

アルフレッドの言葉に、私は腕を組んで考えた。

(シアラはクーズマを好きだったのか?)

妙に納得がいかなかった。私が想像するシアラは、クーズマのような馬鹿を好きにならない気がするのだ。

シアラが好きになりそうな男はもっと他にいる。私はアルフレッドをちらりと見た。

「そうは思わないけどね。シアラが友達って言ったんでしょ?なら、きっと友達だったんだよ。」

シアラが嘘をつく子にも思えなかった。特に、アルフレッドには。

「どう、なんですかね。」

アルフレッドは作り笑いを浮かべたまま私に尋ねる。

「クーズマ様のプロポーズ、どうするんですか?」

「まだプロポーズはされてないし。」

「もうされたようなものでしょう。シアラ様には婚約者がいないのですから、彼のプロポーズを受けることはできますよ。」

アルフレッドの声は、小さい。

「うーーん。」

私は机に突っ伏した。

(気が乗らない。)

転生して、他国の王子に求婚される。
しかもその王子と結婚したら、国が救われるかもしれない。

(最高の展開なはずなんだけど、何で嫌な予感がするんだろう。)

なぜシアラは、クーズマとハグをしていたんだろう。そしてなぜ、アルフレッドに友達だと伝えたのか。頭の中は疑問だらけだ。

「ねぇ、アルフレッドはさ」

顔をあげ、アルフレッドに声をかける。

シアラのことが好きだったの?

思わず口にしかけるも、ギリギリのところで踏みとどまる。

(それだけは聞いたらだめだ。本物のシアラが帰ってこれたときに、初めて聞くべきことだもん。)

「なんでしょうか?」

アルフレッドは優しく微笑む。
彼は、私が名前を呼ぶといつも嬉しそうな顔をする。

「あの、、、その、、、。」

その笑顔が眩しくて、私は思わず口ごもった。

「何でしょう。」

「アルフレッドについて教えて。」

そう聞いてしまったのは、私自身がアルフレッドについて知りたかったからだ。



  ◇◇◇



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