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僕は騙されていました
しおりを挟む「・・・。」
アストロ王子は、アイリさんとは違って物静かな人でした。私を気遣ってくれていないわけではありません。何度か私に話しかけようとしてくれていました。しかし、話題が思いつかないのか、口を開きかけては話すことをやめてしまいます。
(だいじょうぶですよ。アストロ王子。)
私にも、よく分かる感情でした。実際のところアストロ王子に聞きたいことは沢山あるのですが、話のきっかけがまるで掴めません。
結局、半日の間、私とアストロ王子は言葉を交わすことなく歩き続けました。
休憩所についたとき、アストロ王子の部下の一人であるクウさんが私に言いました。
「すいません。アストロがずっと黙っていて、居心地が悪かったでしょう。アストロは暗いわけではないんだけど、ひどい人見知りなんですよ。」
「だいじょうぶです、、、!私もそうなので、むしろ居心地が良いくらいです。」
アストロ王子の人見知りには私と同じものを感じました。少し話したあとの沈黙のほうが気まずいものです。最初から話していない今の状況は、それほど気まずく感じませんでした。
「それなら良いのですが。アストロも休憩の後はしっかり話そうと意気込んでいました。きっと、あいつ、頑張ってレイニャさんに話しかけるはずです。」
クウさんはいたずらっぽく笑っていました。クウさんはアストロ王子の幼馴染で親友でした。アストロ王子をよく理解した上での発言だったのです。
◇◇◇
クウさんの言うとおりでした。休憩の後、歩きすとすぐに、アストロ王子は私に話しかけてくれました。
「レイニャさん。」
「はい。なんでしょう?」
きっと話しかけられるだろうと構えていたので、しっかりと返答することができました。
「なぜ、サルティ国にいくのかまだ説明していませんでしたね。少し、僕には恥ずかしい話なんだけど、聞いてくれますか?」
恥ずかしい話とはどういうことでしょうか。私は深くうなずきました。秘書としての私の初仕事です。しっかりと内容を理解する必要があります。
「僕はこれからサルティ国に結婚詐欺師を捕まえに行くのです。恥ずかしい話、僕は詐欺師の女に騙されて、多額のお金をとられてしまいました。」
アストロ王子は正直に私に話してくれました。私も同じような経験をしています。騙されたことを話すのは、死ぬほど恥ずかしいはずです。
「それは、大変でしたね、、、。」
もっと何か言えるはずなのに、つまらない言葉しかかけられません。
「情けない話です。その女は僕だけでなく、トット国の王勢の男を騙していました。その女はサルティ国でミランダと名乗っているらしいです。」
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