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異界を渡るマレビト
女神さまと回復魔法⑤
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「とにかく、回復魔法については理解してもらえたかしら?」
「……はい」
「ならわかるわよね? 命にかかわるほどのケガを治すというのがどういうことか」
「あっ……寿命が、なくなる?」
たぶん答えはこれで合ってる。
でも。
「でもそれだと、マーガレットさんのケガが治って元気そうに起き上がったのはどうして?」
寿命が亡くなったらふつうは死んじゃうよね?
どういうこと?
「半分正解ね。察しの通り、ふつうは寿命がなくなって死んでしまうわ。でも回復魔法はケガを治して元の状態にもどす力。元気な状態になるようにできているの」
「で、でもその後生きていくための寿命は? もしかして元気そうなのは初めだけですぐに死んじゃうんですか?」
もしそうなら回復魔法を使っても使わなくても死んじゃうってことだ。
ハッキリ言って、意味がない。
でも、フェリシアさまは「いいえ」と首を横にふる。
「治療された人はそのまま生きて天寿をまっとうするわ」
「でも、それじゃあその分の寿命はどこから――っ!」
どうしてか、ピンときた。
死ぬはずだったマーガレットさんが回復魔法で生きのびた。禁忌と呼ばれる方法で。
その後も天寿を全うするくらいの寿命があったってことは、どこからか持ってきたもの。
そして、マーガレットさんの来世であるお母さんは若くして余命宣告を受けた。
それはつまり……。
「そう。その分の寿命は、来世で生きるはずだった分の寿命から無理やり引っぱってきたのよ」
「っ!」
「これが、あなたのお母さまが早世してしまう原因」
「……」
おどろきすぎて声が出ない。
でも、そういうことだったんだって納得もした。
鏡で見たときはどうして回復魔法でケガを治したことがお母さんの病気の原因なのかわからなかった。
命にかかわる大ケガを治すことがどうして禁忌になるのかもわからなかった。
でも、それがお母さんの病気の原因になっているって教えてもらって、線がつながったような気分になる。
「……私としても愛し子が禁忌を犯してしまうのを防げる。あなたたちには期待しているわ」
「あ……」
優しい声に顔を上げると、フェリシアさまのほほ笑みが白くモヤがかったようになった。
「ラミラたちを助けてあげて」
視界がぜんぶ真っ白になって、ゆっくり落ちていくような感覚。
なんとなく、元の場所にもどるんだなって思った。
フェリシアさまの説明で色々と納得出来た。
アキラ先輩と情報を共有して、対策をねろう。
そう思って目を閉じた私の耳に、最後のフェリシアさまの言葉が届く。
ただそれは、私に語りかけたというよりはフェリシアさまの独り言の様だった。
「そして、おろか者には罰を――」
「……はい」
「ならわかるわよね? 命にかかわるほどのケガを治すというのがどういうことか」
「あっ……寿命が、なくなる?」
たぶん答えはこれで合ってる。
でも。
「でもそれだと、マーガレットさんのケガが治って元気そうに起き上がったのはどうして?」
寿命が亡くなったらふつうは死んじゃうよね?
どういうこと?
「半分正解ね。察しの通り、ふつうは寿命がなくなって死んでしまうわ。でも回復魔法はケガを治して元の状態にもどす力。元気な状態になるようにできているの」
「で、でもその後生きていくための寿命は? もしかして元気そうなのは初めだけですぐに死んじゃうんですか?」
もしそうなら回復魔法を使っても使わなくても死んじゃうってことだ。
ハッキリ言って、意味がない。
でも、フェリシアさまは「いいえ」と首を横にふる。
「治療された人はそのまま生きて天寿をまっとうするわ」
「でも、それじゃあその分の寿命はどこから――っ!」
どうしてか、ピンときた。
死ぬはずだったマーガレットさんが回復魔法で生きのびた。禁忌と呼ばれる方法で。
その後も天寿を全うするくらいの寿命があったってことは、どこからか持ってきたもの。
そして、マーガレットさんの来世であるお母さんは若くして余命宣告を受けた。
それはつまり……。
「そう。その分の寿命は、来世で生きるはずだった分の寿命から無理やり引っぱってきたのよ」
「っ!」
「これが、あなたのお母さまが早世してしまう原因」
「……」
おどろきすぎて声が出ない。
でも、そういうことだったんだって納得もした。
鏡で見たときはどうして回復魔法でケガを治したことがお母さんの病気の原因なのかわからなかった。
命にかかわる大ケガを治すことがどうして禁忌になるのかもわからなかった。
でも、それがお母さんの病気の原因になっているって教えてもらって、線がつながったような気分になる。
「……私としても愛し子が禁忌を犯してしまうのを防げる。あなたたちには期待しているわ」
「あ……」
優しい声に顔を上げると、フェリシアさまのほほ笑みが白くモヤがかったようになった。
「ラミラたちを助けてあげて」
視界がぜんぶ真っ白になって、ゆっくり落ちていくような感覚。
なんとなく、元の場所にもどるんだなって思った。
フェリシアさまの説明で色々と納得出来た。
アキラ先輩と情報を共有して、対策をねろう。
そう思って目を閉じた私の耳に、最後のフェリシアさまの言葉が届く。
ただそれは、私に語りかけたというよりはフェリシアさまの独り言の様だった。
「そして、おろか者には罰を――」
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