10 / 44
一章 メイクオタク地味子
ヒミツ②
しおりを挟む
い、言ってしまったーーー!
「……何? 交換条件出すの? お前のメイク好き秘密にしてやるって言っただろ?」
怒るかもと思ったけれど、日高くんは何だか面白そうな笑みを浮かべている。
「そ、その代わりに火燕の総長だってことを秘密にするって言ったでしょ?」
「……つまり、本当は地味男じゃないって秘密の方をを守る代わりにメイクさせろってことか?」
「そうよ」
「……ふーん」
何だかニヤニヤしている日高くん。
怒ってはいないけれど、良い予感もしなくて何だか不安になる。
「ま、良いぜ。それだけで秘密にしてもらえるなら悪い話じゃない」
「そ、そう? ありがとう!」
不安はまだちょっとあったけれど、了承してもらえて良かった。
「じゃあそろそろ戻るか。あいつらどこにいるだろうな?」
そう言いながら立ち上がり、メガネを掛けようとする日高くん。
「あ、待って」
私はすぐにメガネ拭きを取り出して手を差し出した。
「メガネ貸して。やっぱりそれじゃあ見えづらいでしょう?」
日高くんのメガネにはまだ私の手あかがついたままだ。
気になるし、私のせいだから綺麗にしておきたい。
「ん? ああ、じゃあ頼む」
今度は素直に渡してくれる。
さっきはメガネなしで工藤くんたちに会わないように焦ってただけなのかな?
そんなことを考えながら拭いていると、このメガネに度が入ってないのが分かった。
入っていたとしてもそこまで強くない。
「これ、度が入ってない? もしかして本当はメガネもいらないんじゃない?」
そう聞きながら返した。
「まあな。地味男になるって言ったとき、親父がこれもつけてけって買ってきたやつだからな」
メガネを掛けながら教えてくれる。
「お父さんが?」
父親も協力的なんだ。
「総長なんてやってないでまともな人生送れっつって今の高校に行かせたのは親父だからな」
「……そうなんだ。でも反発しないで地味男になって通ってるってことは、日高くんも総長はやめたかったの?」
「……まあな」
間をあけて答えた日高くんに、その辺りも事情がありそうだなと思った。
その後は電話をしてみんなと合流し、いくつかのアトラクションに乗ってそれぞれ帰路につく。
ちょっとハプニングはあったけれど、全体的に見れば皆が楽しめた。
それに目的である親交を深めることも出来たし、良かったねーと話しながら帰る。
私自身も色々あったけれど、最終的には良い事の方が多かっただろう。
美智留ちゃんたちと仲良くなれたし、男子チームとも少しは話せた。
さくらちゃんの恋の行方はまだどうなるか分からないけれど、今日の出来事を思い返せばそこまで悪い感じには思えない。
課題としては、私がもう少し恋愛方面も学んだ方が良いのかなというところだ。
そして日高くん。
ケンカが強くて元総長で、めちゃくちゃイケメン。
そんな彼にメイクを施せることになるなんて、つい帰り道でスキップをしてしまいそうだ。
本当にスキップまではしなかったけれど、鼻歌を歌っているとSNSの着信があったのか、スマホからピコンと音が鳴った。
取り出してチラリと見ると、日高くんだった。
校外学習の班でグループ登録していたから、そこから私個人にメッセージを送ったんだろう。
ロック画面に表示されているメッセージには《そういえば俺にメイクするって言ってたけど……》と書かれている。
その話か! と嬉しくなった私はすぐにメッセージを開いた。
そしてショックを受ける。
そうだ、そうだった。
「どうしよう……」
呟き、考えるけどすぐにいい案は浮かばない。
メッセージにはこう書かれていた。
《そういえば俺にメイクするって言ってたけど、どこでするんだ? 学校は無理だろ?》
と……。
そうだ。
秘密にするなら学校は無理。
どこかのメイクとかも出来そうなお店や施設とか――そう考えてもすぐには出てこないし、それだとやっぱり誰かの目がある。
日高くんくらいカッコイイと、どうしたって噂になっちゃう。
秘密を守ろうと思うとメイクをする場所がない。
交換条件を出したときは場所の事なんて考えていなかったから、どうすればいいのかサッパリ分からない。
「どうしよう……」
私はさっきまでとは打って変わって、しょんぼりしながら帰り道を歩いた。
「……何? 交換条件出すの? お前のメイク好き秘密にしてやるって言っただろ?」
怒るかもと思ったけれど、日高くんは何だか面白そうな笑みを浮かべている。
「そ、その代わりに火燕の総長だってことを秘密にするって言ったでしょ?」
「……つまり、本当は地味男じゃないって秘密の方をを守る代わりにメイクさせろってことか?」
「そうよ」
「……ふーん」
何だかニヤニヤしている日高くん。
怒ってはいないけれど、良い予感もしなくて何だか不安になる。
「ま、良いぜ。それだけで秘密にしてもらえるなら悪い話じゃない」
「そ、そう? ありがとう!」
不安はまだちょっとあったけれど、了承してもらえて良かった。
「じゃあそろそろ戻るか。あいつらどこにいるだろうな?」
そう言いながら立ち上がり、メガネを掛けようとする日高くん。
「あ、待って」
私はすぐにメガネ拭きを取り出して手を差し出した。
「メガネ貸して。やっぱりそれじゃあ見えづらいでしょう?」
日高くんのメガネにはまだ私の手あかがついたままだ。
気になるし、私のせいだから綺麗にしておきたい。
「ん? ああ、じゃあ頼む」
今度は素直に渡してくれる。
さっきはメガネなしで工藤くんたちに会わないように焦ってただけなのかな?
そんなことを考えながら拭いていると、このメガネに度が入ってないのが分かった。
入っていたとしてもそこまで強くない。
「これ、度が入ってない? もしかして本当はメガネもいらないんじゃない?」
そう聞きながら返した。
「まあな。地味男になるって言ったとき、親父がこれもつけてけって買ってきたやつだからな」
メガネを掛けながら教えてくれる。
「お父さんが?」
父親も協力的なんだ。
「総長なんてやってないでまともな人生送れっつって今の高校に行かせたのは親父だからな」
「……そうなんだ。でも反発しないで地味男になって通ってるってことは、日高くんも総長はやめたかったの?」
「……まあな」
間をあけて答えた日高くんに、その辺りも事情がありそうだなと思った。
その後は電話をしてみんなと合流し、いくつかのアトラクションに乗ってそれぞれ帰路につく。
ちょっとハプニングはあったけれど、全体的に見れば皆が楽しめた。
それに目的である親交を深めることも出来たし、良かったねーと話しながら帰る。
私自身も色々あったけれど、最終的には良い事の方が多かっただろう。
美智留ちゃんたちと仲良くなれたし、男子チームとも少しは話せた。
さくらちゃんの恋の行方はまだどうなるか分からないけれど、今日の出来事を思い返せばそこまで悪い感じには思えない。
課題としては、私がもう少し恋愛方面も学んだ方が良いのかなというところだ。
そして日高くん。
ケンカが強くて元総長で、めちゃくちゃイケメン。
そんな彼にメイクを施せることになるなんて、つい帰り道でスキップをしてしまいそうだ。
本当にスキップまではしなかったけれど、鼻歌を歌っているとSNSの着信があったのか、スマホからピコンと音が鳴った。
取り出してチラリと見ると、日高くんだった。
校外学習の班でグループ登録していたから、そこから私個人にメッセージを送ったんだろう。
ロック画面に表示されているメッセージには《そういえば俺にメイクするって言ってたけど……》と書かれている。
その話か! と嬉しくなった私はすぐにメッセージを開いた。
そしてショックを受ける。
そうだ、そうだった。
「どうしよう……」
呟き、考えるけどすぐにいい案は浮かばない。
メッセージにはこう書かれていた。
《そういえば俺にメイクするって言ってたけど、どこでするんだ? 学校は無理だろ?》
と……。
そうだ。
秘密にするなら学校は無理。
どこかのメイクとかも出来そうなお店や施設とか――そう考えてもすぐには出てこないし、それだとやっぱり誰かの目がある。
日高くんくらいカッコイイと、どうしたって噂になっちゃう。
秘密を守ろうと思うとメイクをする場所がない。
交換条件を出したときは場所の事なんて考えていなかったから、どうすればいいのかサッパリ分からない。
「どうしよう……」
私はさっきまでとは打って変わって、しょんぼりしながら帰り道を歩いた。
0
あなたにおすすめの小説
サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜
野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」
「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」
この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。
半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。
別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。
そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。
学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー
⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。
⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。
※表紙絵、挿絵はAI作成です。
※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
皆に優しい幸崎さんは、今日も「じゃない方」の私に優しい
99
ライト文芸
奥手で引っ込み思案な新入社員 × 教育係のエリート社員
佐倉美和(23)は、新入社員研修時に元読者モデルの同期・橘さくらと比較され、「じゃない方の佐倉」という不名誉なあだ名をつけられてしまい、以来人付き合いが消極的になってしまっている。
そんな彼女の教育係で営業部のエリート・幸崎優吾(28)は「皆に平等に優しい人格者」としてもっぱらな評判。
美和にも当然優しく接してくれているのだが、「それが逆に申し訳なくて辛い」と思ってしまう。
ある日、美和は学生時代からの友人で同期の城山雪の誘いでデパートのコスメ売り場に出かけ、美容部員の手によって別人のように変身する。
少しだけ自分に自信を持てたことで、美和と幸崎との間で、新しい関係が始まろうとしていた・・・
素敵な表紙はミカスケ様のフリーイラストをお借りしています。
http://misoko.net/
他サイト様でも投稿しています。
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる