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一章 メイクオタク地味子
ヒミツ②
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い、言ってしまったーーー!
「……何? 交換条件出すの? お前のメイク好き秘密にしてやるって言っただろ?」
怒るかもと思ったけれど、日高くんは何だか面白そうな笑みを浮かべている。
「そ、その代わりに火燕の総長だってことを秘密にするって言ったでしょ?」
「……つまり、本当は地味男じゃないって秘密の方をを守る代わりにメイクさせろってことか?」
「そうよ」
「……ふーん」
何だかニヤニヤしている日高くん。
怒ってはいないけれど、良い予感もしなくて何だか不安になる。
「ま、良いぜ。それだけで秘密にしてもらえるなら悪い話じゃない」
「そ、そう? ありがとう!」
不安はまだちょっとあったけれど、了承してもらえて良かった。
「じゃあそろそろ戻るか。あいつらどこにいるだろうな?」
そう言いながら立ち上がり、メガネを掛けようとする日高くん。
「あ、待って」
私はすぐにメガネ拭きを取り出して手を差し出した。
「メガネ貸して。やっぱりそれじゃあ見えづらいでしょう?」
日高くんのメガネにはまだ私の手あかがついたままだ。
気になるし、私のせいだから綺麗にしておきたい。
「ん? ああ、じゃあ頼む」
今度は素直に渡してくれる。
さっきはメガネなしで工藤くんたちに会わないように焦ってただけなのかな?
そんなことを考えながら拭いていると、このメガネに度が入ってないのが分かった。
入っていたとしてもそこまで強くない。
「これ、度が入ってない? もしかして本当はメガネもいらないんじゃない?」
そう聞きながら返した。
「まあな。地味男になるって言ったとき、親父がこれもつけてけって買ってきたやつだからな」
メガネを掛けながら教えてくれる。
「お父さんが?」
父親も協力的なんだ。
「総長なんてやってないでまともな人生送れっつって今の高校に行かせたのは親父だからな」
「……そうなんだ。でも反発しないで地味男になって通ってるってことは、日高くんも総長はやめたかったの?」
「……まあな」
間をあけて答えた日高くんに、その辺りも事情がありそうだなと思った。
その後は電話をしてみんなと合流し、いくつかのアトラクションに乗ってそれぞれ帰路につく。
ちょっとハプニングはあったけれど、全体的に見れば皆が楽しめた。
それに目的である親交を深めることも出来たし、良かったねーと話しながら帰る。
私自身も色々あったけれど、最終的には良い事の方が多かっただろう。
美智留ちゃんたちと仲良くなれたし、男子チームとも少しは話せた。
さくらちゃんの恋の行方はまだどうなるか分からないけれど、今日の出来事を思い返せばそこまで悪い感じには思えない。
課題としては、私がもう少し恋愛方面も学んだ方が良いのかなというところだ。
そして日高くん。
ケンカが強くて元総長で、めちゃくちゃイケメン。
そんな彼にメイクを施せることになるなんて、つい帰り道でスキップをしてしまいそうだ。
本当にスキップまではしなかったけれど、鼻歌を歌っているとSNSの着信があったのか、スマホからピコンと音が鳴った。
取り出してチラリと見ると、日高くんだった。
校外学習の班でグループ登録していたから、そこから私個人にメッセージを送ったんだろう。
ロック画面に表示されているメッセージには《そういえば俺にメイクするって言ってたけど……》と書かれている。
その話か! と嬉しくなった私はすぐにメッセージを開いた。
そしてショックを受ける。
そうだ、そうだった。
「どうしよう……」
呟き、考えるけどすぐにいい案は浮かばない。
メッセージにはこう書かれていた。
《そういえば俺にメイクするって言ってたけど、どこでするんだ? 学校は無理だろ?》
と……。
そうだ。
秘密にするなら学校は無理。
どこかのメイクとかも出来そうなお店や施設とか――そう考えてもすぐには出てこないし、それだとやっぱり誰かの目がある。
日高くんくらいカッコイイと、どうしたって噂になっちゃう。
秘密を守ろうと思うとメイクをする場所がない。
交換条件を出したときは場所の事なんて考えていなかったから、どうすればいいのかサッパリ分からない。
「どうしよう……」
私はさっきまでとは打って変わって、しょんぼりしながら帰り道を歩いた。
「……何? 交換条件出すの? お前のメイク好き秘密にしてやるって言っただろ?」
怒るかもと思ったけれど、日高くんは何だか面白そうな笑みを浮かべている。
「そ、その代わりに火燕の総長だってことを秘密にするって言ったでしょ?」
「……つまり、本当は地味男じゃないって秘密の方をを守る代わりにメイクさせろってことか?」
「そうよ」
「……ふーん」
何だかニヤニヤしている日高くん。
怒ってはいないけれど、良い予感もしなくて何だか不安になる。
「ま、良いぜ。それだけで秘密にしてもらえるなら悪い話じゃない」
「そ、そう? ありがとう!」
不安はまだちょっとあったけれど、了承してもらえて良かった。
「じゃあそろそろ戻るか。あいつらどこにいるだろうな?」
そう言いながら立ち上がり、メガネを掛けようとする日高くん。
「あ、待って」
私はすぐにメガネ拭きを取り出して手を差し出した。
「メガネ貸して。やっぱりそれじゃあ見えづらいでしょう?」
日高くんのメガネにはまだ私の手あかがついたままだ。
気になるし、私のせいだから綺麗にしておきたい。
「ん? ああ、じゃあ頼む」
今度は素直に渡してくれる。
さっきはメガネなしで工藤くんたちに会わないように焦ってただけなのかな?
そんなことを考えながら拭いていると、このメガネに度が入ってないのが分かった。
入っていたとしてもそこまで強くない。
「これ、度が入ってない? もしかして本当はメガネもいらないんじゃない?」
そう聞きながら返した。
「まあな。地味男になるって言ったとき、親父がこれもつけてけって買ってきたやつだからな」
メガネを掛けながら教えてくれる。
「お父さんが?」
父親も協力的なんだ。
「総長なんてやってないでまともな人生送れっつって今の高校に行かせたのは親父だからな」
「……そうなんだ。でも反発しないで地味男になって通ってるってことは、日高くんも総長はやめたかったの?」
「……まあな」
間をあけて答えた日高くんに、その辺りも事情がありそうだなと思った。
その後は電話をしてみんなと合流し、いくつかのアトラクションに乗ってそれぞれ帰路につく。
ちょっとハプニングはあったけれど、全体的に見れば皆が楽しめた。
それに目的である親交を深めることも出来たし、良かったねーと話しながら帰る。
私自身も色々あったけれど、最終的には良い事の方が多かっただろう。
美智留ちゃんたちと仲良くなれたし、男子チームとも少しは話せた。
さくらちゃんの恋の行方はまだどうなるか分からないけれど、今日の出来事を思い返せばそこまで悪い感じには思えない。
課題としては、私がもう少し恋愛方面も学んだ方が良いのかなというところだ。
そして日高くん。
ケンカが強くて元総長で、めちゃくちゃイケメン。
そんな彼にメイクを施せることになるなんて、つい帰り道でスキップをしてしまいそうだ。
本当にスキップまではしなかったけれど、鼻歌を歌っているとSNSの着信があったのか、スマホからピコンと音が鳴った。
取り出してチラリと見ると、日高くんだった。
校外学習の班でグループ登録していたから、そこから私個人にメッセージを送ったんだろう。
ロック画面に表示されているメッセージには《そういえば俺にメイクするって言ってたけど……》と書かれている。
その話か! と嬉しくなった私はすぐにメッセージを開いた。
そしてショックを受ける。
そうだ、そうだった。
「どうしよう……」
呟き、考えるけどすぐにいい案は浮かばない。
メッセージにはこう書かれていた。
《そういえば俺にメイクするって言ってたけど、どこでするんだ? 学校は無理だろ?》
と……。
そうだ。
秘密にするなら学校は無理。
どこかのメイクとかも出来そうなお店や施設とか――そう考えてもすぐには出てこないし、それだとやっぱり誰かの目がある。
日高くんくらいカッコイイと、どうしたって噂になっちゃう。
秘密を守ろうと思うとメイクをする場所がない。
交換条件を出したときは場所の事なんて考えていなかったから、どうすればいいのかサッパリ分からない。
「どうしよう……」
私はさっきまでとは打って変わって、しょんぼりしながら帰り道を歩いた。
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