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四章 校外学習そして
校外学習 一日目
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校外学習一日目は美術館での芸術鑑賞と、工芸品の施設へ行って見学と制作体験をするものだった。
一学年全員で行くものだし、大して騒げるわけでもないので無難に終わったという感じ。
大抵の生徒は明日が本番って気分だし、お楽しみは宿泊施設に着いてからなんて言っている人もいた。
宿泊施設もそこそこ良いところで、築年数は多少いってるけれどそこまで古臭い感じはしない。
しかも百パーセントかけ流しの大浴場はリフォームしたばかりとあって皆楽しみにしていた。
「灯里ちゃんってメガネ取ると可愛いんだね」
脱衣所で服を脱いでいると、さくらちゃんに突然そんなことを言われる。
「え? そ、そう?」
学校では地味子で通そうとしていたから極力メガネを外さないようにしていた。
外で皆に合うときも確かにずっとつけていたから、外したところを見せるのは今回が初めてかもしれない。
「顔もそうだけれど、実はスタイルも良かったのね。胸が大きいとかってわけじゃないんだけど、何て言うかバランスが良いわ」
少し離れた場所から美智留ちゃんが言った。
上から下までジッと見られているみたいで恥ずかしい。
「しかも肌すべすべ。しっとりしてて何か触り心地良さそう~」
そう言ってさくらちゃんは手を伸ばしてくる。
さくらちゃん……それセクハラだから。
褒められて気恥ずかしくなった私は、話を逸らすために「二人だって」と矛先を変えた。
でも二人は自分のコンプレックスを上げて、やっぱり灯里は良いなぁと話が戻ってしまう。
こうなると埒が明かないので、私はさっさと全部脱いで風呂場に先に向かった。
お風呂から上がると、部屋までの道に男子生徒がチラホラ固まっているのが見える。
後は寝るだけだし、みんな部屋に戻らないのかな? と不思議に思ってたんだけど……。
「おーやっぱ宮野の湯上り姿やべぇわ」
「ってか風呂上りって誰でも色っぽく見えるのな? あの地味な倉木ですらちょっと良く見えるぜ?」
そんな会話が聞こえてしまい能面の様な表情をしてしまう。
この色ボケ男子が!!
心の中で悪態をついていると、牛乳瓶を片手に集まっている工藤くん達が見えた。
私達に気付いた花田くんが瓶を持っていない方の手を上げて手招きする。
「そっちも今上がったところ? 牛乳瓶の自販機あったからみんなで飲んでるんだけど、そっちもどう?」
と誘われた。
彼らは色ボケじゃあないみたいで少し安心した。
……と言うか。
私は日高くんを見上げて思う。
色っぽくなるのって、男子も同じなんだね……。
火照った頬に、潤いのある唇。
濡れ髪はシットリとした雰囲気を出していて、いつもとはまた違う魅力を見せる。
男子の事色ボケって思ったけれど、これじゃあ私も変わらないなぁ。
なんて思ってしまった。
「やっぱり風呂上がりは牛乳だろ」
「いや、俺はフルーツ牛乳だな」
「それって寧ろ銭湯って感じじゃねぇ?」
女子が誘いに乗って各々牛乳瓶を買っていると、工藤くんと花田くんが何やら論じていた。
そこに日高くんが「俺はコーヒー牛乳だけどな」と自分の意見を口にすると。
「それは邪道!」
と工藤くんに叫ばれる。
「何くだらない事で言い争ってるのよ。好きなの飲めば良いでしょ? って言うかあんたらちゃんと髪乾かした? 拭いただけじゃあ傷むんだからね?」
美智留ちゃんの言葉に、花田くん以外の二人は目を逸らした。
花田くんしか乾かしてないのね……。
「あんたら……」
低い声を出して凄む美智留ちゃんに、花田くんが「まあまあ」と宥める。
「そ、そうだ。お前らにビックリな報告があるんだよ」
工藤くんが美智留ちゃんの睨みから逃れる様に話題を逸らした。
「ビックリな報告? 何よそれ」
あまり期待してない様子だけれど、一応聞いておこうと言った感じの美智留ちゃん。
「俺達もさっき知ってビックリしたんだけどな、実は……」
内緒話でもする様に声を潜めて工藤くんは続けた。
「実は日高って、超絶イケメンだったんだよ」
「……」
沈黙が流れる中、私は内心絶叫していた。
そうだよ!
私だってメガネ取って美智留ちゃん達に素顔見られたんだから、日高くんだって見られててもおかしくないじゃない!
秘密がバレちゃったってこと⁉
日高くんはどうしたいの⁉
混乱と絶叫が心の中で吹き荒れていた。
ギギギ、と音が鳴りそうな動きで日高くんを見ると、意外にも落ち着いている。
それを見て、私は少し落ち着くことが出来た。
「工藤……お前それ秘密にしろよって言っただろ?」
「でも仲間うちには話しても良いって言ってただろ?」
文句を言う日高くんに、工藤くんはケロッとしている。
「え? ってことは本当なの? 冗談じゃなくて?」
本気で驚いた様子のさくらちゃんに、工藤くんがニヤニヤしながら日高くんを見た。
「ほら日高、冗談じゃないって見せてやれってよ」
「ったく、お前らちゃんと隠しとけよ?」
日高くんは不満そうにしながらもメガネを外し、さくらちゃんに見えるように顔を上げる。
「っ!」
湯上り姿の日高くんは、メガネなしだと更に破壊力が高かった。
その状態で流し目なんてされたので、私は恥ずかしさで思わず目を逸らしてしまう。
何これ⁉
イケメン通り越して美人なんだけど⁉
テンパるけれど、逸らした目線の先にいた美智留ちゃんを見てあれ? と思う。
美智留ちゃんは日高くんの顔を見ず、周囲を警戒するように見張っていた。
「……あ、日高メガネ戻しな。誰か来るよ」
その様子に疑問を覚えていると、また別の湯上りの生徒達が歩いて来たらしい。
私もそれを見つけて、日高くんがメガネを戻して髪で顔を隠すところを確認する。
何とか他の人達には見られずに済んだと安堵していると、さくらちゃんが呟くように言葉を発した。
「……本当に、超絶イケメンなんだね」
率直な、そのままの感想。
なのに……。
「だよね? 宮野さん、日高に見惚れちゃったかな?」
よりにもよって、花田くんがそんなことを口にした。
「見惚れるってほどじゃあ……」
笑う花田くんに、さくらちゃんはハッキリと眉間にしわを寄せて不満を顕わにする。
「そうかなぁ?」
「絶対にないよ!」
そのまま二人で会話が進んでいく。
少し心配になる会話だったけれど、私は他に気になっていることがあるのでそっちを優先した。
「そういえば田中も驚いてなかったな? 知ってたのか?」
工藤くんが聞くと、美智留ちゃんは「まあね」と答える。
「こないだ日高の髪切ってあげてたじゃない? そのときにね」
確かにそれもそうだ。
髪を切るときはメガネは外すもの。
しかも内側から切るために髪を上げるんだった。
それなら知っていて当然だ。
疑問が一つ解消されたので、私は日高くんに目を向ける。
私が疑問に思うのは当然予想していたんだろう。
待ってましたと言わんばかりの笑みで彼は対応する。
「何で皆にバラしたのかって顔だな?」
「当然でしょう? 良かったの?」
自分でメガネを取って見せたんだから良いに決まってるけれど、一応確認。
「まあな。風呂に一緒に入るのに全く見られずに済むとか流石に無理だし、それならこいつらにだけでも話して協力してもらった方がいいだろ?」
「それは、確かに」
納得はしたけれど、何だかモヤモヤする気持ちが残っていた。
このモヤモヤが何なのか分からなくて、むーとしわを寄せて考えていると。
「何? 不満?」
何故かニヤニヤしながら顔を覗き込まれた。
確かに、何かを不満に思っている様な感じのモヤモヤだけど……。
「安心しろって、もう一つの秘密は話してねぇからお前の秘密も話さねぇよ」
もう一つの秘密とは彼が元暴走族の総長だったってことだろう。
あ、そうか。
秘密はもう一つあったんだっけ。
そう思うと、何故かホッとした。
「?」
ホッとした? 何で?
私の秘密をバラされなくて済むからってわけじゃないよね?
それとは何か違う感じが……。
考えて、その答えを見つけそうになったとき――。
「どうしてそんなこと言うの⁉」
すぐ近くで悲痛な叫び声が響いた。
一学年全員で行くものだし、大して騒げるわけでもないので無難に終わったという感じ。
大抵の生徒は明日が本番って気分だし、お楽しみは宿泊施設に着いてからなんて言っている人もいた。
宿泊施設もそこそこ良いところで、築年数は多少いってるけれどそこまで古臭い感じはしない。
しかも百パーセントかけ流しの大浴場はリフォームしたばかりとあって皆楽しみにしていた。
「灯里ちゃんってメガネ取ると可愛いんだね」
脱衣所で服を脱いでいると、さくらちゃんに突然そんなことを言われる。
「え? そ、そう?」
学校では地味子で通そうとしていたから極力メガネを外さないようにしていた。
外で皆に合うときも確かにずっとつけていたから、外したところを見せるのは今回が初めてかもしれない。
「顔もそうだけれど、実はスタイルも良かったのね。胸が大きいとかってわけじゃないんだけど、何て言うかバランスが良いわ」
少し離れた場所から美智留ちゃんが言った。
上から下までジッと見られているみたいで恥ずかしい。
「しかも肌すべすべ。しっとりしてて何か触り心地良さそう~」
そう言ってさくらちゃんは手を伸ばしてくる。
さくらちゃん……それセクハラだから。
褒められて気恥ずかしくなった私は、話を逸らすために「二人だって」と矛先を変えた。
でも二人は自分のコンプレックスを上げて、やっぱり灯里は良いなぁと話が戻ってしまう。
こうなると埒が明かないので、私はさっさと全部脱いで風呂場に先に向かった。
お風呂から上がると、部屋までの道に男子生徒がチラホラ固まっているのが見える。
後は寝るだけだし、みんな部屋に戻らないのかな? と不思議に思ってたんだけど……。
「おーやっぱ宮野の湯上り姿やべぇわ」
「ってか風呂上りって誰でも色っぽく見えるのな? あの地味な倉木ですらちょっと良く見えるぜ?」
そんな会話が聞こえてしまい能面の様な表情をしてしまう。
この色ボケ男子が!!
心の中で悪態をついていると、牛乳瓶を片手に集まっている工藤くん達が見えた。
私達に気付いた花田くんが瓶を持っていない方の手を上げて手招きする。
「そっちも今上がったところ? 牛乳瓶の自販機あったからみんなで飲んでるんだけど、そっちもどう?」
と誘われた。
彼らは色ボケじゃあないみたいで少し安心した。
……と言うか。
私は日高くんを見上げて思う。
色っぽくなるのって、男子も同じなんだね……。
火照った頬に、潤いのある唇。
濡れ髪はシットリとした雰囲気を出していて、いつもとはまた違う魅力を見せる。
男子の事色ボケって思ったけれど、これじゃあ私も変わらないなぁ。
なんて思ってしまった。
「やっぱり風呂上がりは牛乳だろ」
「いや、俺はフルーツ牛乳だな」
「それって寧ろ銭湯って感じじゃねぇ?」
女子が誘いに乗って各々牛乳瓶を買っていると、工藤くんと花田くんが何やら論じていた。
そこに日高くんが「俺はコーヒー牛乳だけどな」と自分の意見を口にすると。
「それは邪道!」
と工藤くんに叫ばれる。
「何くだらない事で言い争ってるのよ。好きなの飲めば良いでしょ? って言うかあんたらちゃんと髪乾かした? 拭いただけじゃあ傷むんだからね?」
美智留ちゃんの言葉に、花田くん以外の二人は目を逸らした。
花田くんしか乾かしてないのね……。
「あんたら……」
低い声を出して凄む美智留ちゃんに、花田くんが「まあまあ」と宥める。
「そ、そうだ。お前らにビックリな報告があるんだよ」
工藤くんが美智留ちゃんの睨みから逃れる様に話題を逸らした。
「ビックリな報告? 何よそれ」
あまり期待してない様子だけれど、一応聞いておこうと言った感じの美智留ちゃん。
「俺達もさっき知ってビックリしたんだけどな、実は……」
内緒話でもする様に声を潜めて工藤くんは続けた。
「実は日高って、超絶イケメンだったんだよ」
「……」
沈黙が流れる中、私は内心絶叫していた。
そうだよ!
私だってメガネ取って美智留ちゃん達に素顔見られたんだから、日高くんだって見られててもおかしくないじゃない!
秘密がバレちゃったってこと⁉
日高くんはどうしたいの⁉
混乱と絶叫が心の中で吹き荒れていた。
ギギギ、と音が鳴りそうな動きで日高くんを見ると、意外にも落ち着いている。
それを見て、私は少し落ち着くことが出来た。
「工藤……お前それ秘密にしろよって言っただろ?」
「でも仲間うちには話しても良いって言ってただろ?」
文句を言う日高くんに、工藤くんはケロッとしている。
「え? ってことは本当なの? 冗談じゃなくて?」
本気で驚いた様子のさくらちゃんに、工藤くんがニヤニヤしながら日高くんを見た。
「ほら日高、冗談じゃないって見せてやれってよ」
「ったく、お前らちゃんと隠しとけよ?」
日高くんは不満そうにしながらもメガネを外し、さくらちゃんに見えるように顔を上げる。
「っ!」
湯上り姿の日高くんは、メガネなしだと更に破壊力が高かった。
その状態で流し目なんてされたので、私は恥ずかしさで思わず目を逸らしてしまう。
何これ⁉
イケメン通り越して美人なんだけど⁉
テンパるけれど、逸らした目線の先にいた美智留ちゃんを見てあれ? と思う。
美智留ちゃんは日高くんの顔を見ず、周囲を警戒するように見張っていた。
「……あ、日高メガネ戻しな。誰か来るよ」
その様子に疑問を覚えていると、また別の湯上りの生徒達が歩いて来たらしい。
私もそれを見つけて、日高くんがメガネを戻して髪で顔を隠すところを確認する。
何とか他の人達には見られずに済んだと安堵していると、さくらちゃんが呟くように言葉を発した。
「……本当に、超絶イケメンなんだね」
率直な、そのままの感想。
なのに……。
「だよね? 宮野さん、日高に見惚れちゃったかな?」
よりにもよって、花田くんがそんなことを口にした。
「見惚れるってほどじゃあ……」
笑う花田くんに、さくらちゃんはハッキリと眉間にしわを寄せて不満を顕わにする。
「そうかなぁ?」
「絶対にないよ!」
そのまま二人で会話が進んでいく。
少し心配になる会話だったけれど、私は他に気になっていることがあるのでそっちを優先した。
「そういえば田中も驚いてなかったな? 知ってたのか?」
工藤くんが聞くと、美智留ちゃんは「まあね」と答える。
「こないだ日高の髪切ってあげてたじゃない? そのときにね」
確かにそれもそうだ。
髪を切るときはメガネは外すもの。
しかも内側から切るために髪を上げるんだった。
それなら知っていて当然だ。
疑問が一つ解消されたので、私は日高くんに目を向ける。
私が疑問に思うのは当然予想していたんだろう。
待ってましたと言わんばかりの笑みで彼は対応する。
「何で皆にバラしたのかって顔だな?」
「当然でしょう? 良かったの?」
自分でメガネを取って見せたんだから良いに決まってるけれど、一応確認。
「まあな。風呂に一緒に入るのに全く見られずに済むとか流石に無理だし、それならこいつらにだけでも話して協力してもらった方がいいだろ?」
「それは、確かに」
納得はしたけれど、何だかモヤモヤする気持ちが残っていた。
このモヤモヤが何なのか分からなくて、むーとしわを寄せて考えていると。
「何? 不満?」
何故かニヤニヤしながら顔を覗き込まれた。
確かに、何かを不満に思っている様な感じのモヤモヤだけど……。
「安心しろって、もう一つの秘密は話してねぇからお前の秘密も話さねぇよ」
もう一つの秘密とは彼が元暴走族の総長だったってことだろう。
あ、そうか。
秘密はもう一つあったんだっけ。
そう思うと、何故かホッとした。
「?」
ホッとした? 何で?
私の秘密をバラされなくて済むからってわけじゃないよね?
それとは何か違う感じが……。
考えて、その答えを見つけそうになったとき――。
「どうしてそんなこと言うの⁉」
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