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最強メイド!誕生のお話。
第20話 その後の予定
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紫苑くんがぐずって始まった私の着せ替え。
杏くんも参加すると言い出したけれど、お昼に予約していたお店の時間もさしせまっていたからね。
どちらにしても勝負の続きなんてする時間はない。
というわけで、私たちは次の目的地である高級レストランに向かった。
車の中ではまだ杏くんがムスッとしていたけれど、柊さんに撮った写真を見せられ「杏はどっちが望乃さんに似合ってると思う?」と聞かれると真剣にジャッジしていた。
「……そうだな、俺はこの紫苑が選んだ桜のドレスが望乃に合ってると思うぜ? 望乃の顔って少なくとも今は可愛いっていう方が強いと思うし」
女の子のドレス姿の評価なんて出来るとは思わなかったけれど、杏くんはなかなかしっかり見ているんだな。
たしかに柊さんのドレスを見て、着こなせるかなって私自身不安になったし。
「それに兄さん、望乃の大人っぽい姿も見てみたいって欲が丸出し。中学生なったばかりのやつにマーメードラインとか着せるか?」
「欲?」
なんでそんな言葉が出てくるか分からなくて首を傾《かし》げてしまう。
どういうことか聞きたかったけれど、怖い笑顔になった柊さんが杏くんの顔をガシッと掴んでしまって聞けなかった。
「杏、ちょっと黙ろうか?」
「う……はい」
良く分からないけれど、じゃれ合っていて仲が良いなーと思った。
レストランでは私も三兄弟と一緒に昼食を取る。
玲菜さん含め、他の護衛の人達だって昼食は取らなきゃないから交代で食事をするんだ。
私は先に食べる方に入っていたし、三人に一緒に食べようと前々から言われていたから一緒にってなっただけ。
他の人達は別の個室で食事をしてる。
食べたことのないほど柔らかいお肉にちょっと感動していると、玲菜さんに少し手伝ってもらいながら食事していた紫苑くんの頭がカクンカクンって揺《ゆ》れ始めた。
目はほとんど閉じていて、力つきている。
でも眠い目をしながら頑張って食べようとする姿はとっても可愛かった。
「紫苑さま、もうごちそうさましましょうね」
玲菜さんは優しく話しかけて紫苑くんの口元をぬぐうと立ち上がり抱っこする。
「いつもなら食後少ししてからのお昼寝なんですが……やっぱりはしゃぎ過ぎたみたいですね」
フフッと笑いながら言うと、玲菜さんは柊さんの方を向いた。
「では、少し席を外します」
「ああ、紫苑をお願いします」
元々食後にはお昼寝しなきゃならなかった紫苑くん。
だからこのレストランではお昼寝用の部屋を別に用意してもらっていた。
そういう設備もあるから、小さい子と一緒に食事に来られる店としても重宝《ちょうほう》しているらしい。
私たちが食事を終え、護衛の人達もみんな食べ終わる。
それでも紫苑くんは起きそうになかったから、二手に分かれて靴や小物系を買いに行くことにした。
とはいえそこまで時間はかからず戻ってくる。
その頃には紫苑くんも起きていて、元気に私たちをお出迎えしてくれていた。
「さ、そろそろいい時間だし帰って少しゆっくりしようか」
「えーもっとあそびたいー!」
お昼寝をして元気になった紫苑くんは、柊さんの言葉に不満をもらす。
でも柊さんと杏くんは疲れたのか、「ごめん」とあやまりながら何とかなだめようとしていた。
でも今日は兄二人の買い物につき合っただけの状態な紫苑くん。
遊びたいって思うのも当然だよね。
そんな紫苑くんを見かねた玲奈さんがある提案《ていあん》をした。
「この近くにボールプールなどがあるキッズパークが入ったショッピングセンターがあるんです。そこで少しでも遊べば満足すると思うんですけど」
どうでしょう? と聞かれた柊さんと杏くんは、顔を見合わせて仕方ないなぁと困り笑顔。
結局のところ、みんな紫苑くんには甘いんだよね。
「じゃあ、ちょっとだけだぞ?」
杏くんがそう言い聞かせると、とたんに満面の笑みになる紫苑くん。
「うん! じゃあいこー!」
元気よくこぶしを上げる紫苑くんに、私たちはみんなで笑ったのだった。
杏くんも参加すると言い出したけれど、お昼に予約していたお店の時間もさしせまっていたからね。
どちらにしても勝負の続きなんてする時間はない。
というわけで、私たちは次の目的地である高級レストランに向かった。
車の中ではまだ杏くんがムスッとしていたけれど、柊さんに撮った写真を見せられ「杏はどっちが望乃さんに似合ってると思う?」と聞かれると真剣にジャッジしていた。
「……そうだな、俺はこの紫苑が選んだ桜のドレスが望乃に合ってると思うぜ? 望乃の顔って少なくとも今は可愛いっていう方が強いと思うし」
女の子のドレス姿の評価なんて出来るとは思わなかったけれど、杏くんはなかなかしっかり見ているんだな。
たしかに柊さんのドレスを見て、着こなせるかなって私自身不安になったし。
「それに兄さん、望乃の大人っぽい姿も見てみたいって欲が丸出し。中学生なったばかりのやつにマーメードラインとか着せるか?」
「欲?」
なんでそんな言葉が出てくるか分からなくて首を傾《かし》げてしまう。
どういうことか聞きたかったけれど、怖い笑顔になった柊さんが杏くんの顔をガシッと掴んでしまって聞けなかった。
「杏、ちょっと黙ろうか?」
「う……はい」
良く分からないけれど、じゃれ合っていて仲が良いなーと思った。
レストランでは私も三兄弟と一緒に昼食を取る。
玲菜さん含め、他の護衛の人達だって昼食は取らなきゃないから交代で食事をするんだ。
私は先に食べる方に入っていたし、三人に一緒に食べようと前々から言われていたから一緒にってなっただけ。
他の人達は別の個室で食事をしてる。
食べたことのないほど柔らかいお肉にちょっと感動していると、玲菜さんに少し手伝ってもらいながら食事していた紫苑くんの頭がカクンカクンって揺《ゆ》れ始めた。
目はほとんど閉じていて、力つきている。
でも眠い目をしながら頑張って食べようとする姿はとっても可愛かった。
「紫苑さま、もうごちそうさましましょうね」
玲菜さんは優しく話しかけて紫苑くんの口元をぬぐうと立ち上がり抱っこする。
「いつもなら食後少ししてからのお昼寝なんですが……やっぱりはしゃぎ過ぎたみたいですね」
フフッと笑いながら言うと、玲菜さんは柊さんの方を向いた。
「では、少し席を外します」
「ああ、紫苑をお願いします」
元々食後にはお昼寝しなきゃならなかった紫苑くん。
だからこのレストランではお昼寝用の部屋を別に用意してもらっていた。
そういう設備もあるから、小さい子と一緒に食事に来られる店としても重宝《ちょうほう》しているらしい。
私たちが食事を終え、護衛の人達もみんな食べ終わる。
それでも紫苑くんは起きそうになかったから、二手に分かれて靴や小物系を買いに行くことにした。
とはいえそこまで時間はかからず戻ってくる。
その頃には紫苑くんも起きていて、元気に私たちをお出迎えしてくれていた。
「さ、そろそろいい時間だし帰って少しゆっくりしようか」
「えーもっとあそびたいー!」
お昼寝をして元気になった紫苑くんは、柊さんの言葉に不満をもらす。
でも柊さんと杏くんは疲れたのか、「ごめん」とあやまりながら何とかなだめようとしていた。
でも今日は兄二人の買い物につき合っただけの状態な紫苑くん。
遊びたいって思うのも当然だよね。
そんな紫苑くんを見かねた玲奈さんがある提案《ていあん》をした。
「この近くにボールプールなどがあるキッズパークが入ったショッピングセンターがあるんです。そこで少しでも遊べば満足すると思うんですけど」
どうでしょう? と聞かれた柊さんと杏くんは、顔を見合わせて仕方ないなぁと困り笑顔。
結局のところ、みんな紫苑くんには甘いんだよね。
「じゃあ、ちょっとだけだぞ?」
杏くんがそう言い聞かせると、とたんに満面の笑みになる紫苑くん。
「うん! じゃあいこー!」
元気よくこぶしを上げる紫苑くんに、私たちはみんなで笑ったのだった。
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