6 / 6
エピローグ
しおりを挟む「む……やっぱ飲まなきゃダメ?」
「当然だ」
とくとくとボトルからグラスに注がれるのはワインに似た真っ赤な液体。今朝採れたてだと公爵は鼻歌交じりに言いますが、少年はぐっと喉を詰まらせます。
「だって、昨日も飲んだ……」
「傷が治りきるまで毎日飲むんだ」
「うぅ……」
さあ、と促す公爵にガリガリだった時の面影はありません。
見た目は人間で言えば二十代で肌もつやつやぷるぷるです。
少年を吸血鬼に変えてしまった責任を取らなければなりませんから、公爵の中から血を飲まないという選択肢は完全に消え去りました。
少年はグラスを手に持つと鼻を摘まんで一気にグラスを呷りました。やけくそです。
少年に根付いた倫理観はなかなか消えず、人間から直接吸血することができないので、こうして血を摂取することにしたのでした。そして口直しは人間用の食事です。
「食事が終われば夜会だ。服も誂えておいた。おまえのお披露目会だからな」
お披露目会というものは本当は存在しませんが、公爵は少年が可愛くて仕方がないため皆に自慢して回りたいのです。少年は生まれたてほやほやの下級の吸血鬼。周りは怖い上級ばかりですが、主である公爵がついてこいというのですから、ついていくしかありません。
ただ目を細めて微笑む公爵を見て、少年は満更でもないと、はにかむように笑うのでした。
END
おまけ
二人は片時も離れず、まるで番のようだと言われるようになりました。
そんな二人ですが、下級の吸血鬼である少年は日に当たることができないので、日中出かける時には公爵のマントの中にしまわれます。そして時折マントの合わせからひょっこりと顔を見せます。
それを見た昔なじみの吸血鬼はペンギンの親子みたいだと笑いころげたとかいないとか。
46
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する
スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。
そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
ヒーロー組織のサポートメンバーになりました!
はちのす
BL
朝起きたら、街はゾンビだらけ!生き残りたい俺は、敵に立ち向かうヒーロー組織<ビジランテ>に出逢った。
********
癖の強いヒーロー達の"心と胃の拠り所"になるストーリー!
※ちょっとイチャつきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる