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辺境伯家にて
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「がははははっ! 小僧、お主シュムツ鉱山で働いておったのか! よく生きて下りられたな!」
「お爺様! そんな言い方はサトルさんに失礼ですよ!」
「なに、褒めておるのだ! あそこは崩落しやすい地質な上、監督している貴族がクズだからな! あの劣悪な環境を生き延びることができたということは、よほどの強運の持ち主だぞ!」
「はあ。でもまあ、あんなところに売り飛ばされた時点で運が悪いと言えますけどね」
「違いないわ! がはははははっ!」
「もう、お爺様ったら…………申し訳ありません、サトルさん。お爺様に悪気は無いのですが…………」
「いえいえ、しんみりされるよりは笑い飛ばしてくれたほうが報われますよ」
でかい爺さん────クローネン家の現当主であるゼスト卿に食事に招待され、俺はこの世界に来て初めて『うまい!』と思える食事を楽しんでいた。
出された食事は、館の外観と同じように貴族らしい気取ったものではなく、豪華な家庭料理といったラインナップだ。
しかも、作ったのは全部クレアちゃんのお母さんなのだとか。
俺はチラリとクレアちゃんのお母さん────ミリアーネさんを見た。
クレアちゃんに妖艶さをプラスしたような感じのミリアーネさんは、当然の如く超美しい。
胸のサイズも、クレアちゃんよりふた回りは大きいんじゃないだろうか。
現在十六歳のクレアちゃんも、あと数年もしたらミリアーネさんのような妖艶な美女に成長するんだろうなぁ…………
くぅっ…………クレアちゃんと結婚する貴族の男が羨ましいぜ。
「サトルさん、お食事はお口に合いまして?」
成長したクレアちゃんの姿を想像しながら脳内寝取られに勤しんでいた俺は、ミリアーネさんの言葉で現実に引き戻された。
「あ、は、はい。すごく美味しいです」
「よかったわ。最近はお義父様とクレア以外の方に食べていただく機会がなかったから、少し不安だったの」
「不安だなんて…………俺、こんなに美味しいもの食べたの、生まれて初めてですよ」
「うふふ…………ありがとう」
おぉう…………その微笑みは反則やで、ミリアーネさん。
腰のあたりにゾクゾク来てしまった。
「がははははっ! そうだろう、そうだろう! なにせミリアは〈調理〉スキル持ちだからな!」
「ああ、だから貴族の奥方であるのにミリアーネ様が食事の用意を?」
「単純にお料理をするのが好きだからってこともありますけどね。そう言えば、サトルさんはどんなスキルをお持ちなの?」
「あ、いや、それは…………」
ミリアーネさんの質問に言葉を濁す。
別に言っても構わないんだけど、『えっ、〈振動〉? どうせエロいことに使うんでしょ?』とか思われるのは嫌だ。
「がははははっ、ミリアーネ! 冒険者というのは、自分のスキルについて語らぬものなのだ!」
「あら、そうでしたの? ごめんなさいね」
「い、いえいえ、いいんです。絶対に秘密というわけじゃないんですが、習性といいますか…………」
爺さんナイスフォローだ。
どうやら昔冒険者と旅をしたことがあるというのは本当らしい。
「それで、小僧。お主これからどうするつもりなのだ?」
「えっと、そうですね。どこか浮民でも入れるような街に行って、冒険者登録をするつもりだったんですが…………」
「なんだ、それならそうと早く言えばいいものを。おい、ロナルド!」
「…………はっ、なんでございましょうか、旦那様」
爺さんに呼ばれて、ロナルドというスーツを着た銀髪メガネのご老人が現れた。
うん、執事だな、こりゃ。
異世界でも執事ってのは執事とわかる格好をしているものらしい。
「今日から儂がこの小僧の後見人になる。その旨パロミアの冒険者組合に伝えておけ!」
「かしこまりました」
一礼して、執事のロナルドさんが去っていく。
「…………えっと?」
話の流れを理解できない俺。
でも、しょうがないと思う。
説明とか、なんもなかったよね? 今。
「なんだ、後見人制度を知らんのか? 小僧」
「はぁ、勉強不足ですいません」
どうやら一般常識の範囲らしい。
「後見人というのはな、『こいつの身元は儂が保証する! 文句があったら儂に言え!』という意思表示だ。
まあ、いわば保護者のようなものだな」
「…………なるほど。それはありがとうございます」
「もちろん、儂の名前を出して好き勝手するようなことは許さんぞ? もしそんなことをしたら、うちの騎士団が小僧の首を取りに行くからな! がっはっはっはっは!」
まあ、そりゃそうだ。
大笑いで言うようなことではないと思うけど。
「それともう一つ」
まだあるんかい。
「儂が何か依頼した時には、それを優先して受けてもらうことになるが構わんな?」
…………そうだな…………貴族の依頼とか正直気は進まないけど、この爺さんは悪い奴には見えないし、浮民の俺を貴族が名前で守ってくれるというのは非常に魅力的だ。
それに────
チラリ
「? どうかなさいましたか? サトルさん」
クレアちゃんと今後も会える機会があるかもしれないしな。
よし、受けよう。
「もちろんです、ぜひ、後見人をお願いします」
俺は主に下心から、この申し出を受けることにした。
「お爺様! そんな言い方はサトルさんに失礼ですよ!」
「なに、褒めておるのだ! あそこは崩落しやすい地質な上、監督している貴族がクズだからな! あの劣悪な環境を生き延びることができたということは、よほどの強運の持ち主だぞ!」
「はあ。でもまあ、あんなところに売り飛ばされた時点で運が悪いと言えますけどね」
「違いないわ! がはははははっ!」
「もう、お爺様ったら…………申し訳ありません、サトルさん。お爺様に悪気は無いのですが…………」
「いえいえ、しんみりされるよりは笑い飛ばしてくれたほうが報われますよ」
でかい爺さん────クローネン家の現当主であるゼスト卿に食事に招待され、俺はこの世界に来て初めて『うまい!』と思える食事を楽しんでいた。
出された食事は、館の外観と同じように貴族らしい気取ったものではなく、豪華な家庭料理といったラインナップだ。
しかも、作ったのは全部クレアちゃんのお母さんなのだとか。
俺はチラリとクレアちゃんのお母さん────ミリアーネさんを見た。
クレアちゃんに妖艶さをプラスしたような感じのミリアーネさんは、当然の如く超美しい。
胸のサイズも、クレアちゃんよりふた回りは大きいんじゃないだろうか。
現在十六歳のクレアちゃんも、あと数年もしたらミリアーネさんのような妖艶な美女に成長するんだろうなぁ…………
くぅっ…………クレアちゃんと結婚する貴族の男が羨ましいぜ。
「サトルさん、お食事はお口に合いまして?」
成長したクレアちゃんの姿を想像しながら脳内寝取られに勤しんでいた俺は、ミリアーネさんの言葉で現実に引き戻された。
「あ、は、はい。すごく美味しいです」
「よかったわ。最近はお義父様とクレア以外の方に食べていただく機会がなかったから、少し不安だったの」
「不安だなんて…………俺、こんなに美味しいもの食べたの、生まれて初めてですよ」
「うふふ…………ありがとう」
おぉう…………その微笑みは反則やで、ミリアーネさん。
腰のあたりにゾクゾク来てしまった。
「がははははっ! そうだろう、そうだろう! なにせミリアは〈調理〉スキル持ちだからな!」
「ああ、だから貴族の奥方であるのにミリアーネ様が食事の用意を?」
「単純にお料理をするのが好きだからってこともありますけどね。そう言えば、サトルさんはどんなスキルをお持ちなの?」
「あ、いや、それは…………」
ミリアーネさんの質問に言葉を濁す。
別に言っても構わないんだけど、『えっ、〈振動〉? どうせエロいことに使うんでしょ?』とか思われるのは嫌だ。
「がははははっ、ミリアーネ! 冒険者というのは、自分のスキルについて語らぬものなのだ!」
「あら、そうでしたの? ごめんなさいね」
「い、いえいえ、いいんです。絶対に秘密というわけじゃないんですが、習性といいますか…………」
爺さんナイスフォローだ。
どうやら昔冒険者と旅をしたことがあるというのは本当らしい。
「それで、小僧。お主これからどうするつもりなのだ?」
「えっと、そうですね。どこか浮民でも入れるような街に行って、冒険者登録をするつもりだったんですが…………」
「なんだ、それならそうと早く言えばいいものを。おい、ロナルド!」
「…………はっ、なんでございましょうか、旦那様」
爺さんに呼ばれて、ロナルドというスーツを着た銀髪メガネのご老人が現れた。
うん、執事だな、こりゃ。
異世界でも執事ってのは執事とわかる格好をしているものらしい。
「今日から儂がこの小僧の後見人になる。その旨パロミアの冒険者組合に伝えておけ!」
「かしこまりました」
一礼して、執事のロナルドさんが去っていく。
「…………えっと?」
話の流れを理解できない俺。
でも、しょうがないと思う。
説明とか、なんもなかったよね? 今。
「なんだ、後見人制度を知らんのか? 小僧」
「はぁ、勉強不足ですいません」
どうやら一般常識の範囲らしい。
「後見人というのはな、『こいつの身元は儂が保証する! 文句があったら儂に言え!』という意思表示だ。
まあ、いわば保護者のようなものだな」
「…………なるほど。それはありがとうございます」
「もちろん、儂の名前を出して好き勝手するようなことは許さんぞ? もしそんなことをしたら、うちの騎士団が小僧の首を取りに行くからな! がっはっはっはっは!」
まあ、そりゃそうだ。
大笑いで言うようなことではないと思うけど。
「それともう一つ」
まだあるんかい。
「儂が何か依頼した時には、それを優先して受けてもらうことになるが構わんな?」
…………そうだな…………貴族の依頼とか正直気は進まないけど、この爺さんは悪い奴には見えないし、浮民の俺を貴族が名前で守ってくれるというのは非常に魅力的だ。
それに────
チラリ
「? どうかなさいましたか? サトルさん」
クレアちゃんと今後も会える機会があるかもしれないしな。
よし、受けよう。
「もちろんです、ぜひ、後見人をお願いします」
俺は主に下心から、この申し出を受けることにした。
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