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第2章 大星祭編
第63話 吐息
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なぜこうなったのだろう……………。
私がアーサー様の約束を守らなかったのは悪いと思う…………反省してます。
お仕置きと称してなぜかキスをされ、さらには。
「練習詰めだったし息抜きにデートしよっか。ずっとデートできていなかったし、一緒に行きたい店があったし…………あと、ギル君とも離れらるし」
と最後の方は聞こえなかったが、デートを提案されて、当然拒否などできず、現在私はアーサー様と街に出てきていた。
隣を歩くアーサー様はいつもと違って、眼鏡をかけている。でも、端正な顔立ちは隠せない。護衛は姿を消しているものの、すれ違う人全員が2度見をしていた。
アーサー様って気づかれてはいないみたいだけど、それにしても横が眩しい。
今日のアーサー様は淡い青のシャツに、紺のズボンというシンプルな服装を着ている。が、抜群なスタイルと美しい顔で眩しさは消えない。逆に引き立っていた。
「あの………アーサー様、今日はどちらへ?」
「着くまでの秘密だね」
ま、いいか。今日は何の予定もないし、アーサー様は上機嫌みたいだし、メガネのアーサー様も可愛いし…………。
そうして、アーサー様に連れられ、着いた先は高級感漂う店。
看板も外装も全て品がある店だった。
何が売ってる場所なんだろう。
外からは何が販売されているか分からず、アーサー様に促されるまま店内へと入る。
そのレッドカーペットの先にあったのは大量の武器。レイピアや大剣、槍など様々な武器が綺麗に飾られていた。
「武器屋………ですか? なぜ?」
「エレちゃんのアーチェリーを買おうと思ってさ」
「なるほど」
魔法戦で使用する杖や大杖は持っているけど、自分専用のアーチェリーは持ち合わせていない。新たな本や杖を買う時もそうだが、私はマイアーチェリーに少しワクワクしていた。
「あ、もちろん。僕からのプレゼントだから。遠慮せず、エレちゃんが気に入ったものを買ってね」
自分で払うと主張したものの、アーサー様に押し負け買ってもらうことになった。
1階には武器が多数並んでいたが、そこで決めるのではなく、私たちは2階へと案内された。私はアーサー様とともにソファーに座り、なぜかお茶まで出された。
「えっと………探しに行かなくていいんですか?」
「うん。持ってくると思うから、待ってればいいよ」
すると、店員さんが次々と弓を持ってきてくれた。
いっぱいあって、色も可愛いのもあったり、かっこいいのもあるけど…………。
あまりの種類の多さに迷ってしまう。
1つ1つ丁寧に見ている所で、私は白の弓に目を留めた。雪のように真っ白なその弓には、銀の装飾が施されており、星々が描かれていてとても可愛らしい。
「あの………この宝石は?」
「ああ、これは魔法石だよ」
どうやら、左手で持つ部分には宝石が埋め込まれており、魔力を込めると矢の性能が変わる者らしい。
「炎魔法を唱えれば、火の矢に変わるし、氷魔法を唱えれば、氷の矢に変わるんだ」
「へぇ、面白いですね」
魔物を倒すわけではないので、大星祭の時は使用しないだろうが、一度試してみたいと好奇心がうずく。
他のものも観覧し気になるものが数点あったが、やはり白の弓が一番興味を引かれ、それを購入することになった。その白の弓にも宝石が埋め込まれており、スカイブルーの宝石がついていた。アーサー様の瞳みたいでつい嬉しくなる。
「アーサー様は武器はいりませんか? 購入されるようでしたら、ぜひ私に支払いをさせてください! アーサー様にプレゼントしたいです」
しかし、アーサー様は横に首を振った。
「僕にはこれがあるから、大丈夫だよ」
彼は腰にしまっていたレイピアを見せ、柔らかな笑みを浮かべて「気持ちだけ頂いておくね」と返す。
そうよね。使いもしないものをあげても意味ないものね。
…………………でも、いつかレイピアとか毎日使ってもらえるものをプレゼントしたいな。
★★★★★★★★
「えっと次は服ですか?」
「うん」
武器屋の次に向かったのは仕立て屋さん。これまた品格のある店で、入る人も貴族らしい人が多い。アーサー様が選ぶだけあって、人気なのかお客さんが多かったが、私たちは奥の部屋と案内された。
「じゃあ、選んでいこうか」
そうして、私は着せ替え人形状態になった。普段着るワンピースから、パーティー用のドレスまで。服だけでなく、靴も購入していく。
「エレちゃん、これも似合うね」
「うん、可愛い」
「今すぐ結婚したいな」
着替える度に感想を述べ、時折アーサー様は深い溜息をついて「これも買おう」とこぼしていた。何着買うのだろう。
これ、可愛いな……………。
着替えては脱いでを繰り返していく中、思わず目を留めたのは、青と白のグラデーションのフレアドレス。シンプルなデザインではあったが、鏡に映る自分に見とれてしまった。
「エレちゃん、綺麗だよ」
後ろに立っていたアーサー様に後ろからぎゅっと抱きしめられる。彼は私の肩に頭をうずめ、息が肩に当たった。
「可愛いな」
「っ………………」
「こんな可愛い姿、誰にも見せたくないな………」
近距離でしかも甘い声。頬が熱くなっていくのを感じる。
すると、アーサー様はちゅっと音を立て、首に口づけ。いつになく積極的なキスと時折肌に触れる吐息で、全身に熱を帯びていく。
「アっ、アーサー様、ここには店員さんが……………」
流石に店員さんの前では恥ずかしくて止めたのだが、アーサー様はどこか名残惜しそうにしていた。
そうして、買うと選んだ全てのものをアーサー様が購入。本当にいつも貰ってばかりだ。
「エレちゃんの誕生日もこれ以上のプレゼントを送るから、楽しみにしてて」
帰りの馬車ではそう楽しそうに話すアーサー様。これ以上って、今日もかなり貰ったと思うのだが…………。
祝っていただけるのはとても嬉しいけど。
にしても、アーサー様の誕生日っていつだったかしら?
アーサー様はルイだから、ルイと一緒の誕生日。でも、ルイの誕生日も…………よく考えたら知らない。聞いたこともない。
「あの、アーサー様。アーサー様の誕生日はいつですか?」
「僕は12月だよ。12月の25日」
「へぇ、クリスマスと同じ日なんですね」
「うん。誕生日パーティーもするけど、他の行事もあるから年末とかは忙しくなるんだよね」
確かにクリスマスに、年末は新年を迎えるパーティーもある。多忙だろう。でも、誕生日は祝いたいな。身内で集まってする小さなパーティーとか。
ああ、そうだ。サプライズでプレゼントとかパーティーとかできたらいいかも。いつも私ばかり貰ってばかりだし。それにアーサー様は私がプレゼントを用意すると、その何倍ものプレゼントを用意してくるに違いない。
うん、尚更気を遣われないように隠そう。
そうして、私は帰宅すると、忘れないようにカレンダーにアーサーの誕生日を書き込んだ。
――――――――
いつもご拝読いただきありがとうございます! せんぽーです!
いつもは特別な時以外後書きを書かなくなった私ですが、今回自分の作品ってどんな風に思われているのだろうと気になったので、よかったら感想をいただきたいです!
ど、どうかお手柔らかにお願いします!
私がアーサー様の約束を守らなかったのは悪いと思う…………反省してます。
お仕置きと称してなぜかキスをされ、さらには。
「練習詰めだったし息抜きにデートしよっか。ずっとデートできていなかったし、一緒に行きたい店があったし…………あと、ギル君とも離れらるし」
と最後の方は聞こえなかったが、デートを提案されて、当然拒否などできず、現在私はアーサー様と街に出てきていた。
隣を歩くアーサー様はいつもと違って、眼鏡をかけている。でも、端正な顔立ちは隠せない。護衛は姿を消しているものの、すれ違う人全員が2度見をしていた。
アーサー様って気づかれてはいないみたいだけど、それにしても横が眩しい。
今日のアーサー様は淡い青のシャツに、紺のズボンというシンプルな服装を着ている。が、抜群なスタイルと美しい顔で眩しさは消えない。逆に引き立っていた。
「あの………アーサー様、今日はどちらへ?」
「着くまでの秘密だね」
ま、いいか。今日は何の予定もないし、アーサー様は上機嫌みたいだし、メガネのアーサー様も可愛いし…………。
そうして、アーサー様に連れられ、着いた先は高級感漂う店。
看板も外装も全て品がある店だった。
何が売ってる場所なんだろう。
外からは何が販売されているか分からず、アーサー様に促されるまま店内へと入る。
そのレッドカーペットの先にあったのは大量の武器。レイピアや大剣、槍など様々な武器が綺麗に飾られていた。
「武器屋………ですか? なぜ?」
「エレちゃんのアーチェリーを買おうと思ってさ」
「なるほど」
魔法戦で使用する杖や大杖は持っているけど、自分専用のアーチェリーは持ち合わせていない。新たな本や杖を買う時もそうだが、私はマイアーチェリーに少しワクワクしていた。
「あ、もちろん。僕からのプレゼントだから。遠慮せず、エレちゃんが気に入ったものを買ってね」
自分で払うと主張したものの、アーサー様に押し負け買ってもらうことになった。
1階には武器が多数並んでいたが、そこで決めるのではなく、私たちは2階へと案内された。私はアーサー様とともにソファーに座り、なぜかお茶まで出された。
「えっと………探しに行かなくていいんですか?」
「うん。持ってくると思うから、待ってればいいよ」
すると、店員さんが次々と弓を持ってきてくれた。
いっぱいあって、色も可愛いのもあったり、かっこいいのもあるけど…………。
あまりの種類の多さに迷ってしまう。
1つ1つ丁寧に見ている所で、私は白の弓に目を留めた。雪のように真っ白なその弓には、銀の装飾が施されており、星々が描かれていてとても可愛らしい。
「あの………この宝石は?」
「ああ、これは魔法石だよ」
どうやら、左手で持つ部分には宝石が埋め込まれており、魔力を込めると矢の性能が変わる者らしい。
「炎魔法を唱えれば、火の矢に変わるし、氷魔法を唱えれば、氷の矢に変わるんだ」
「へぇ、面白いですね」
魔物を倒すわけではないので、大星祭の時は使用しないだろうが、一度試してみたいと好奇心がうずく。
他のものも観覧し気になるものが数点あったが、やはり白の弓が一番興味を引かれ、それを購入することになった。その白の弓にも宝石が埋め込まれており、スカイブルーの宝石がついていた。アーサー様の瞳みたいでつい嬉しくなる。
「アーサー様は武器はいりませんか? 購入されるようでしたら、ぜひ私に支払いをさせてください! アーサー様にプレゼントしたいです」
しかし、アーサー様は横に首を振った。
「僕にはこれがあるから、大丈夫だよ」
彼は腰にしまっていたレイピアを見せ、柔らかな笑みを浮かべて「気持ちだけ頂いておくね」と返す。
そうよね。使いもしないものをあげても意味ないものね。
…………………でも、いつかレイピアとか毎日使ってもらえるものをプレゼントしたいな。
★★★★★★★★
「えっと次は服ですか?」
「うん」
武器屋の次に向かったのは仕立て屋さん。これまた品格のある店で、入る人も貴族らしい人が多い。アーサー様が選ぶだけあって、人気なのかお客さんが多かったが、私たちは奥の部屋と案内された。
「じゃあ、選んでいこうか」
そうして、私は着せ替え人形状態になった。普段着るワンピースから、パーティー用のドレスまで。服だけでなく、靴も購入していく。
「エレちゃん、これも似合うね」
「うん、可愛い」
「今すぐ結婚したいな」
着替える度に感想を述べ、時折アーサー様は深い溜息をついて「これも買おう」とこぼしていた。何着買うのだろう。
これ、可愛いな……………。
着替えては脱いでを繰り返していく中、思わず目を留めたのは、青と白のグラデーションのフレアドレス。シンプルなデザインではあったが、鏡に映る自分に見とれてしまった。
「エレちゃん、綺麗だよ」
後ろに立っていたアーサー様に後ろからぎゅっと抱きしめられる。彼は私の肩に頭をうずめ、息が肩に当たった。
「可愛いな」
「っ………………」
「こんな可愛い姿、誰にも見せたくないな………」
近距離でしかも甘い声。頬が熱くなっていくのを感じる。
すると、アーサー様はちゅっと音を立て、首に口づけ。いつになく積極的なキスと時折肌に触れる吐息で、全身に熱を帯びていく。
「アっ、アーサー様、ここには店員さんが……………」
流石に店員さんの前では恥ずかしくて止めたのだが、アーサー様はどこか名残惜しそうにしていた。
そうして、買うと選んだ全てのものをアーサー様が購入。本当にいつも貰ってばかりだ。
「エレちゃんの誕生日もこれ以上のプレゼントを送るから、楽しみにしてて」
帰りの馬車ではそう楽しそうに話すアーサー様。これ以上って、今日もかなり貰ったと思うのだが…………。
祝っていただけるのはとても嬉しいけど。
にしても、アーサー様の誕生日っていつだったかしら?
アーサー様はルイだから、ルイと一緒の誕生日。でも、ルイの誕生日も…………よく考えたら知らない。聞いたこともない。
「あの、アーサー様。アーサー様の誕生日はいつですか?」
「僕は12月だよ。12月の25日」
「へぇ、クリスマスと同じ日なんですね」
「うん。誕生日パーティーもするけど、他の行事もあるから年末とかは忙しくなるんだよね」
確かにクリスマスに、年末は新年を迎えるパーティーもある。多忙だろう。でも、誕生日は祝いたいな。身内で集まってする小さなパーティーとか。
ああ、そうだ。サプライズでプレゼントとかパーティーとかできたらいいかも。いつも私ばかり貰ってばかりだし。それにアーサー様は私がプレゼントを用意すると、その何倍ものプレゼントを用意してくるに違いない。
うん、尚更気を遣われないように隠そう。
そうして、私は帰宅すると、忘れないようにカレンダーにアーサーの誕生日を書き込んだ。
――――――――
いつもご拝読いただきありがとうございます! せんぽーです!
いつもは特別な時以外後書きを書かなくなった私ですが、今回自分の作品ってどんな風に思われているのだろうと気になったので、よかったら感想をいただきたいです!
ど、どうかお手柔らかにお願いします!
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