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ドラマで一番不人気のキャラになった私
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「わぁ…………」
テレビに映るのは堀の深い人たち。日本人とは異なる顔立ちと瞳の色。
小学生の頃から海外ドラマは好きだった。最初は海外のアニメを見ていたのだけど、日本ではめったに見ないブロンドの髪の少女とか堀が深いイケメンが出ている海外ドラマに出会ってしまった。それ以来、その世界観に夢中になっている。
海外ドラマのおかげで気の合う友人もできていた。お気に入りの海外ドラマや好きな俳優、女優さんを共有する、そんな毎日が楽しかった。
海外ドラマ、ホント最高。
海外ドラマにどっぷりハマっていた私が高校生の年になった時、ある海外ドラマに夢中になってしまった。
「Alissa」
日本版のタイトルは「底辺魔法使いアリッサ」
主人公は田舎育ちの少女。その子がシカゴのはずれにある魔法学校に通うって話なんだけど、そこで出会う悪役が本当に酷くて彼女は本当に印象に残っている。
アリッサはアメリカの田舎とされるカンザス州出身。それと祖母が普通の人間だったことを理由に、ブロンドの髪の少女ミランダにいじめられていた。彼女は生粋の魔法使いの家。権力もあったからみんな逆らうことができなくて、アリッサはいじめに耐えていたの。
そんな日々を送っていた半年後のある日。
アリッサの魔法学校に転校生が現れた。
その転校生が本当にかっこよくてハンサム。私はすぐに彼のファンになった。
イケメン転校生はトレントという銀髪の少年。学校の女王ミランダの幼なじみらしく、ずっと彼女がいっつも引っ付いていた。
その日の放課後、アリッサは教室でトレントに出会う。
ここまでが1話。私は第1話の続きが気になってすぐに次の話も見た。
アリッサは彼の力や友人に支えてもらいながら、成長していく。そして、1話で出会ったトレントとは恋に発展。
シーズン1のラストには宿敵ミランダと決闘するのだけど、アリッサは見事勝利。
シーズン2の予告を見終え、ワクワク気分でいた私は病室にいた。
ドラマの世界とはほど遠い病室。常に清潔にされていて、ツーンとした消毒の匂いが漂っている。
この匂いには初めは嫌いでたまらなかったが、今ではもう慣れてしまった。私はかれこれ数年ここから動いていない。
病気さえなおれば、安定さえすれば、友達と「Alissa」の聖地に行けるかもしれないのに。
友人とした約束。
それは退院したら、アメリカに行って「Alissa」の舞台をこの目で見ること。
私はそのためにどんなにつらくて痛い治療であっても耐えてきた。絶対にアメリカに行くためにね。
でも、その約束は叶えることはできなかった。
ごめんね、みっちゃん。みっちゃんは退院してね。
17歳。それが私、赤坂 鳴海が永遠の眠りについた時だった。
★★★★★★★★
強い光を右から感じる。
ついに天国に来たのね。17年間、よく頑張った。
私はずっと、ずっと病気と闘ってきた。学校に行きたいと願いながらも頑張っていた。
そうよ、自分を褒めてあげなくちゃ。やるだけのことはやったのよ。
…………。
でも、死ぬ前に「Alissa」のロケ地に行ってみたかったな。
手で触れてみると地面がフカフカ。まるで雲の上にいるよう。
上体を起こし、ゆっくり目を開けてみる。
そこには想像した通り白い雲いっぱい、おじいちゃんおばあちゃんがいっぱいの天国…………ではなく、洋風の部屋があった。
私はベッドの上。右側にある窓からは朝日が差し込んでいる。
あれ?? 私、死んだはずなんだけど。ここが天国なの?? それとも地獄??
両手を見てみると、小さな手があった。綺麗な真っ白の手。
美しい手ね……………………って、これ私の手じゃない!?
自分が寝ていた豪華な天井付ベッドから足を下ろす。そして、くるりと部屋を見渡した。
ピンクのベッドに大きな窓、そして大量の可愛い人形。まさに女の子の部屋。
部屋を歩き回っていると、姿鏡を見つけた。鏡を覗くと、そこには小さな金髪の少女が立っている。
青い瞳がこちらをじっと見つめていた。
これって、まさか私??
頬に触れると、鏡に映る少女も頬を触っていた。頬はマシュマロのように柔らかい。
私ってまさかこの美少女に転生したの??
自分の体をベタベタ触っていると、部屋の外から声が聞こえてきた。
「ミランダ、起きてちょうだい。もう朝よ」
ミランダ??
コンコンと女性は扉をひたすらノックしてくる。
はて、ミランダとは誰のことだろう??
返事しないままでいると、女性はずっと「ミランダ」と名前を呼んできた。部屋には私しかいない。
「ミランダ!! 起きてるの!?」
「あ、あ」
ど、どうしよう。とりあえず返事はしておかないと。なんか女の人の声がだんだん荒げてきてるよ。
「起きてるよ!!」
必死に大声で叫ぶ。
すると、さっきとは打って変わった優しい女性の声。
「なら、朝ごはんできているから、いらっしゃい」
と言って、女性は部屋の前を去っていった。
私は姿鏡の所に走り、鏡をもう一度覗く。そこには見たことがある金髪碧眼の少女が立っていた。
この顔…………この髪。
幼い姿ではあるが、どっからどう見ても「Alissa」に登場する悪役的キャラ、ミランダだった。
正直に言っていい?? 最悪なんだけど。
シーズン2の予告でのミランダは白目の部分が真っ黒くなっていた。そんでもって、黒いオーラをまとっていた。THE・悪役って感じの演出だったわ。
予告を見た時の私はシーズン2が楽しみで仕方なかったけれど、今はこれっぽっちも楽しみじゃない。敵役のミランダは今の私だもの。
あの予告から判断すると、彼女は魔法界で恐れられる「Black Bone」の仲間になっている。
最悪…………最悪だよ。主人公との敵対は避けられない。
確かに「Alissa」の世界観は好きよ。でも、いくら好きな世界であっても悪役にはなりたくない。
しかし、転生したのはその悪役の方。顔はいいけど、絶対になりたくなかったキャラ、ミランダ。
彼女はドラマの中で一番の嫌われていたキャラで、Twitterではいい餌になっていじられていた。
思わずはぁと溜息が出て、肩を落としてしまう。
ぐうぅぅ。あと、お腹の音もなる。
…………。
お腹空いたし、とりあえず朝ごはん食べよ。
どうすればいいかは後で考えればいいでしょ。うん。
私はクローゼットに向かい、可愛らしい水色のミニドレスを取る。着替えると、ブロンドの髪を揺らしながら部屋を出た。
テレビに映るのは堀の深い人たち。日本人とは異なる顔立ちと瞳の色。
小学生の頃から海外ドラマは好きだった。最初は海外のアニメを見ていたのだけど、日本ではめったに見ないブロンドの髪の少女とか堀が深いイケメンが出ている海外ドラマに出会ってしまった。それ以来、その世界観に夢中になっている。
海外ドラマのおかげで気の合う友人もできていた。お気に入りの海外ドラマや好きな俳優、女優さんを共有する、そんな毎日が楽しかった。
海外ドラマ、ホント最高。
海外ドラマにどっぷりハマっていた私が高校生の年になった時、ある海外ドラマに夢中になってしまった。
「Alissa」
日本版のタイトルは「底辺魔法使いアリッサ」
主人公は田舎育ちの少女。その子がシカゴのはずれにある魔法学校に通うって話なんだけど、そこで出会う悪役が本当に酷くて彼女は本当に印象に残っている。
アリッサはアメリカの田舎とされるカンザス州出身。それと祖母が普通の人間だったことを理由に、ブロンドの髪の少女ミランダにいじめられていた。彼女は生粋の魔法使いの家。権力もあったからみんな逆らうことができなくて、アリッサはいじめに耐えていたの。
そんな日々を送っていた半年後のある日。
アリッサの魔法学校に転校生が現れた。
その転校生が本当にかっこよくてハンサム。私はすぐに彼のファンになった。
イケメン転校生はトレントという銀髪の少年。学校の女王ミランダの幼なじみらしく、ずっと彼女がいっつも引っ付いていた。
その日の放課後、アリッサは教室でトレントに出会う。
ここまでが1話。私は第1話の続きが気になってすぐに次の話も見た。
アリッサは彼の力や友人に支えてもらいながら、成長していく。そして、1話で出会ったトレントとは恋に発展。
シーズン1のラストには宿敵ミランダと決闘するのだけど、アリッサは見事勝利。
シーズン2の予告を見終え、ワクワク気分でいた私は病室にいた。
ドラマの世界とはほど遠い病室。常に清潔にされていて、ツーンとした消毒の匂いが漂っている。
この匂いには初めは嫌いでたまらなかったが、今ではもう慣れてしまった。私はかれこれ数年ここから動いていない。
病気さえなおれば、安定さえすれば、友達と「Alissa」の聖地に行けるかもしれないのに。
友人とした約束。
それは退院したら、アメリカに行って「Alissa」の舞台をこの目で見ること。
私はそのためにどんなにつらくて痛い治療であっても耐えてきた。絶対にアメリカに行くためにね。
でも、その約束は叶えることはできなかった。
ごめんね、みっちゃん。みっちゃんは退院してね。
17歳。それが私、赤坂 鳴海が永遠の眠りについた時だった。
★★★★★★★★
強い光を右から感じる。
ついに天国に来たのね。17年間、よく頑張った。
私はずっと、ずっと病気と闘ってきた。学校に行きたいと願いながらも頑張っていた。
そうよ、自分を褒めてあげなくちゃ。やるだけのことはやったのよ。
…………。
でも、死ぬ前に「Alissa」のロケ地に行ってみたかったな。
手で触れてみると地面がフカフカ。まるで雲の上にいるよう。
上体を起こし、ゆっくり目を開けてみる。
そこには想像した通り白い雲いっぱい、おじいちゃんおばあちゃんがいっぱいの天国…………ではなく、洋風の部屋があった。
私はベッドの上。右側にある窓からは朝日が差し込んでいる。
あれ?? 私、死んだはずなんだけど。ここが天国なの?? それとも地獄??
両手を見てみると、小さな手があった。綺麗な真っ白の手。
美しい手ね……………………って、これ私の手じゃない!?
自分が寝ていた豪華な天井付ベッドから足を下ろす。そして、くるりと部屋を見渡した。
ピンクのベッドに大きな窓、そして大量の可愛い人形。まさに女の子の部屋。
部屋を歩き回っていると、姿鏡を見つけた。鏡を覗くと、そこには小さな金髪の少女が立っている。
青い瞳がこちらをじっと見つめていた。
これって、まさか私??
頬に触れると、鏡に映る少女も頬を触っていた。頬はマシュマロのように柔らかい。
私ってまさかこの美少女に転生したの??
自分の体をベタベタ触っていると、部屋の外から声が聞こえてきた。
「ミランダ、起きてちょうだい。もう朝よ」
ミランダ??
コンコンと女性は扉をひたすらノックしてくる。
はて、ミランダとは誰のことだろう??
返事しないままでいると、女性はずっと「ミランダ」と名前を呼んできた。部屋には私しかいない。
「ミランダ!! 起きてるの!?」
「あ、あ」
ど、どうしよう。とりあえず返事はしておかないと。なんか女の人の声がだんだん荒げてきてるよ。
「起きてるよ!!」
必死に大声で叫ぶ。
すると、さっきとは打って変わった優しい女性の声。
「なら、朝ごはんできているから、いらっしゃい」
と言って、女性は部屋の前を去っていった。
私は姿鏡の所に走り、鏡をもう一度覗く。そこには見たことがある金髪碧眼の少女が立っていた。
この顔…………この髪。
幼い姿ではあるが、どっからどう見ても「Alissa」に登場する悪役的キャラ、ミランダだった。
正直に言っていい?? 最悪なんだけど。
シーズン2の予告でのミランダは白目の部分が真っ黒くなっていた。そんでもって、黒いオーラをまとっていた。THE・悪役って感じの演出だったわ。
予告を見た時の私はシーズン2が楽しみで仕方なかったけれど、今はこれっぽっちも楽しみじゃない。敵役のミランダは今の私だもの。
あの予告から判断すると、彼女は魔法界で恐れられる「Black Bone」の仲間になっている。
最悪…………最悪だよ。主人公との敵対は避けられない。
確かに「Alissa」の世界観は好きよ。でも、いくら好きな世界であっても悪役にはなりたくない。
しかし、転生したのはその悪役の方。顔はいいけど、絶対になりたくなかったキャラ、ミランダ。
彼女はドラマの中で一番の嫌われていたキャラで、Twitterではいい餌になっていじられていた。
思わずはぁと溜息が出て、肩を落としてしまう。
ぐうぅぅ。あと、お腹の音もなる。
…………。
お腹空いたし、とりあえず朝ごはん食べよ。
どうすればいいかは後で考えればいいでしょ。うん。
私はクローゼットに向かい、可愛らしい水色のミニドレスを取る。着替えると、ブロンドの髪を揺らしながら部屋を出た。
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