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俺は電話越しに宣言されるんです
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次の日の日曜日。
休日にも関わらずいつも通り早く起きた俺はキッチンに立っていた。
ここには俺にしか料理を作る人はいない。「お袋の味」というものがあるが、そんな味がする料理を作ってくれる人はこの家にいない。だから、毎日妹にまだ美味しい料理を作ってやらねば!!
そう張り切って顔を洗い、キッチンに向かうと、彼女がフライパンを片手に立っていた。
「樹梨?? 何してるんだ??」
いつもならまだ寝てるじゃないか??
樹梨は少し眠そうな目をして、
「私、本気なの。だから、今日は私が朝食作る」
と言った。
へっ?? 樹梨が朝食を作る??
おいおい……………………。
「樹梨、お前は料理1回も作ったことないだろ」
「そんなことないよ。1回はある最低でも」
樹梨はプクーと頬を膨らませる。
何年前の話だよ。ここにお前がやってきて料理しているところなんて見たことないぞ。
「かなり前の話だろ」
「……………………小学生になる前にちゃんと料理したもん」
小学生になる前って……………………今、樹梨は高校1年生。10年くらい前の話じゃないか。
絶対できない。包丁を扱うのは持ってのほかだ。
「いいって、樹梨の気持ちはわかったから。だから、俺がごはんは……………………」
「全然分かってない」
「でも、包丁使ったことないだろ。お前が怪我されたら困る」
お嫁に行けなくなるだろ。
樹梨は少しだけ頬を赤く染める。
「むぅ……………………なら、一緒に作ってよ。私が作るから、お兄ちゃんは手伝って」
「分かった」
俺は樹梨が一番手慣れていなさそうな包丁を使って、野菜を切っていく。ちらりと隣を見ると、コンロの前に立つ樹梨が不器用ながらにも卵焼きを一生懸命作っていた。
「おはよう、光汰、樹梨ちゃん」
「茉里奈、おはようさん」
「樹梨ちゃん、おはよ」
「へぇ、朝から仲良く作ってるのね」
キッチン前のカウンターに持たれて、茉里奈はこちらを見ていた。
普通の人なら家に勝手に入るのは非常識。しかし、茉里奈はこれを10年以上やっている。もうこれが習慣化しているのだ。茉里奈はこの家のドアが開いていたら、挨拶なしに自分の家のように入ってくる。
「それにしても、樹梨ちゃん。抜け駆けはいけないわね」
「抜け駆けってなんだよ??」
「光汰はいいの。黙ってて」
妹はお箸で頑張って、フライパンの上の卵焼きを動かしながら、言った。
「抜け駆けじゃないよ。家族の特権」
「それがズルいって言ってるのぉ」
すると、プルプルと呼び出し音がリビングに響く。
ダイニングにある長机の上を見ると、俺のスマホ画面が光っていた。
「あ、電話だ」
俺は包丁を置き、スマホの方に向かう。手に取り、俺はスマホを耳元に当てた。
一体誰だろう?? こんな朝から電話をかけてくるとは
「もしもし……………………」
『光汰くん?? 私なんだけど……………………』
「芦ケ谷!?」
電話をかけてきた主はなんと大好きな芦ケ谷だった。
あっちから電話をかけてくるとは……………………。
「チート女ですって!?」
カウンターにいた茉里奈は声を上げる。
あ、やべ。
俺は茉里奈を刺激しないよう廊下の方に逃げた。
『朝早くにごめんね??』
「いいや、いいよ!! そんなこと気にすんな!!」
芦ケ谷からの電話なら深夜2時であろうと、取るぞ!!
「それでどうしたんだ??」
『私、光汰くんのことを考えていると眠れなくって仕方なくって……………………』
俺、鼻血出そう。誰か、ティッシュをくれ。
『会いたくって仕方なくって……………………』
あー。箱ティッシュ1つじゃ足りない。10箱ぐらいいるぞ。
吹きだしてしまいそうな鼻血をなんとか堪え、芦ケ谷の言葉を待つ。
『あの……………………今日、一緒にお出かけしませんか??』
「いやよ、チート女。お断り、お断り」
「お兄ちゃんは渡さないんだから」
そう答えたのは幼馴染と妹だった。
彼女たちは気が付かぬ間に俺の両側に立ち、スマホの方に耳を傾けていた。
「大体光汰とデートするなんて無理よ。知ってるでしょ?? お付き合い行為は呪いによって封じられているの」
「近づいたら、強制的に離れさせるようにしてるから」
2人はスマホに向かって、脅す。
『呪いって本当なの??』
「ええ、そうよ!! わざわざ魔法少女になってやったんだから」
『魔法少女って……………………』
芦ケ谷の声には呆れがあった。きっとウソだと思っているんだろうな。始めは俺もウソとか冗談とか悪ふざけと思ってたし。
「芦ケ谷、悪い。これは本当なんだ」
『本当なんだ。……………………光汰くんが言うんだったら本当になんだろうね』
「なら、私も魔法少女になる!!」
電話越しの芦ケ谷は高らかに宣言する。
「な、なんだって??」
『光汰くん!! 私も魔法少女になる!!』
「いや、それは聞こえてるんだけども!!」
『なって、呪いを解除して光汰くんとちゃんと付き合いたいの!!」
そりゃあ、俺も芦ケ谷と付き合いたいんだけどさ。
「魔法少女」になるって……………………。
俺は学園一美少女の芦ケ谷が魔法少女になる姿を想像する。
………………………………………………………………あ、意外といいかも。コスプレみたいで。
俺がまた鼻血を出しそうになっていると、『それでなんだけど……………………』と芦ケ谷は話を続ける。
『魔法少女になるにはどうしたらいい?? 茉里奈ちゃん??』
「教えるわけないでしょ!! このチート女!!」
そう叫んだ茉里奈は俺のスマホを奪い取って、ブチっと電話を切ったのだった。
休日にも関わらずいつも通り早く起きた俺はキッチンに立っていた。
ここには俺にしか料理を作る人はいない。「お袋の味」というものがあるが、そんな味がする料理を作ってくれる人はこの家にいない。だから、毎日妹にまだ美味しい料理を作ってやらねば!!
そう張り切って顔を洗い、キッチンに向かうと、彼女がフライパンを片手に立っていた。
「樹梨?? 何してるんだ??」
いつもならまだ寝てるじゃないか??
樹梨は少し眠そうな目をして、
「私、本気なの。だから、今日は私が朝食作る」
と言った。
へっ?? 樹梨が朝食を作る??
おいおい……………………。
「樹梨、お前は料理1回も作ったことないだろ」
「そんなことないよ。1回はある最低でも」
樹梨はプクーと頬を膨らませる。
何年前の話だよ。ここにお前がやってきて料理しているところなんて見たことないぞ。
「かなり前の話だろ」
「……………………小学生になる前にちゃんと料理したもん」
小学生になる前って……………………今、樹梨は高校1年生。10年くらい前の話じゃないか。
絶対できない。包丁を扱うのは持ってのほかだ。
「いいって、樹梨の気持ちはわかったから。だから、俺がごはんは……………………」
「全然分かってない」
「でも、包丁使ったことないだろ。お前が怪我されたら困る」
お嫁に行けなくなるだろ。
樹梨は少しだけ頬を赤く染める。
「むぅ……………………なら、一緒に作ってよ。私が作るから、お兄ちゃんは手伝って」
「分かった」
俺は樹梨が一番手慣れていなさそうな包丁を使って、野菜を切っていく。ちらりと隣を見ると、コンロの前に立つ樹梨が不器用ながらにも卵焼きを一生懸命作っていた。
「おはよう、光汰、樹梨ちゃん」
「茉里奈、おはようさん」
「樹梨ちゃん、おはよ」
「へぇ、朝から仲良く作ってるのね」
キッチン前のカウンターに持たれて、茉里奈はこちらを見ていた。
普通の人なら家に勝手に入るのは非常識。しかし、茉里奈はこれを10年以上やっている。もうこれが習慣化しているのだ。茉里奈はこの家のドアが開いていたら、挨拶なしに自分の家のように入ってくる。
「それにしても、樹梨ちゃん。抜け駆けはいけないわね」
「抜け駆けってなんだよ??」
「光汰はいいの。黙ってて」
妹はお箸で頑張って、フライパンの上の卵焼きを動かしながら、言った。
「抜け駆けじゃないよ。家族の特権」
「それがズルいって言ってるのぉ」
すると、プルプルと呼び出し音がリビングに響く。
ダイニングにある長机の上を見ると、俺のスマホ画面が光っていた。
「あ、電話だ」
俺は包丁を置き、スマホの方に向かう。手に取り、俺はスマホを耳元に当てた。
一体誰だろう?? こんな朝から電話をかけてくるとは
「もしもし……………………」
『光汰くん?? 私なんだけど……………………』
「芦ケ谷!?」
電話をかけてきた主はなんと大好きな芦ケ谷だった。
あっちから電話をかけてくるとは……………………。
「チート女ですって!?」
カウンターにいた茉里奈は声を上げる。
あ、やべ。
俺は茉里奈を刺激しないよう廊下の方に逃げた。
『朝早くにごめんね??』
「いいや、いいよ!! そんなこと気にすんな!!」
芦ケ谷からの電話なら深夜2時であろうと、取るぞ!!
「それでどうしたんだ??」
『私、光汰くんのことを考えていると眠れなくって仕方なくって……………………』
俺、鼻血出そう。誰か、ティッシュをくれ。
『会いたくって仕方なくって……………………』
あー。箱ティッシュ1つじゃ足りない。10箱ぐらいいるぞ。
吹きだしてしまいそうな鼻血をなんとか堪え、芦ケ谷の言葉を待つ。
『あの……………………今日、一緒にお出かけしませんか??』
「いやよ、チート女。お断り、お断り」
「お兄ちゃんは渡さないんだから」
そう答えたのは幼馴染と妹だった。
彼女たちは気が付かぬ間に俺の両側に立ち、スマホの方に耳を傾けていた。
「大体光汰とデートするなんて無理よ。知ってるでしょ?? お付き合い行為は呪いによって封じられているの」
「近づいたら、強制的に離れさせるようにしてるから」
2人はスマホに向かって、脅す。
『呪いって本当なの??』
「ええ、そうよ!! わざわざ魔法少女になってやったんだから」
『魔法少女って……………………』
芦ケ谷の声には呆れがあった。きっとウソだと思っているんだろうな。始めは俺もウソとか冗談とか悪ふざけと思ってたし。
「芦ケ谷、悪い。これは本当なんだ」
『本当なんだ。……………………光汰くんが言うんだったら本当になんだろうね』
「なら、私も魔法少女になる!!」
電話越しの芦ケ谷は高らかに宣言する。
「な、なんだって??」
『光汰くん!! 私も魔法少女になる!!』
「いや、それは聞こえてるんだけども!!」
『なって、呪いを解除して光汰くんとちゃんと付き合いたいの!!」
そりゃあ、俺も芦ケ谷と付き合いたいんだけどさ。
「魔法少女」になるって……………………。
俺は学園一美少女の芦ケ谷が魔法少女になる姿を想像する。
………………………………………………………………あ、意外といいかも。コスプレみたいで。
俺がまた鼻血を出しそうになっていると、『それでなんだけど……………………』と芦ケ谷は話を続ける。
『魔法少女になるにはどうしたらいい?? 茉里奈ちゃん??』
「教えるわけないでしょ!! このチート女!!」
そう叫んだ茉里奈は俺のスマホを奪い取って、ブチっと電話を切ったのだった。
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