悪役令嬢は拳銃をお好みです ~ログインしてきたのは乙女ゲームのキャラでした~

せんぽー

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1回死んでやり直せばいいのに

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 事の発端は俺、月本つきもと友也ともやがこのVRMMOゲーム世界にダイブしたことから始まる。
 つらく厳しかった受験を乗り越え、見事志望校に合格した俺はVRMMOゲームの1つ「Vivid Sense」を購入した。

 このゲームは1年前から話題になっていたものの、俺は勉強でそれどころではなかったので、プレイすることはなかった。
 自由の身となった俺はやっと出会えたゲームをすぐに持ち帰り、セットし、電源を入れた。
 
 ずっと空を飛んでみたかったんだよな。
 その夢は子どもじみていたが、俺にとっては大切なものだった。
 空を飛ぶって羽のない人間じゃできない。
 
 それに飛行機に乗って飛ぶのとは違って音も心地いいはず—————————まだ飛んだことないけど。
 それにVRゲームでは魔法も使える。エフェクトもキレイと話題になっており、女子のプレイヤーも多数いるとか。
 
 俺は専用のメットを被り、ベッドの上に寝転がって目を閉じる。
 初めてプレイするので、名前や照度などの設定を行った。
 エルフとか色んな種族があったけど、俺は普通の人間を選んだ。

 人間でも空を飛べるらしいから、無難な選択をしたんだよな。
 容姿は基本リアルと同じだが、髪色は金髪にして、身長を少し高くした。
 190㎝台の身長に憧れていたんだ。ゲーム世界だし望んだようにしたいんだよ。

 そうして、カスタマイズし、スタート画面が目の前に現れる。
 いよいよだ。やっと空を飛べる。
 どんな世界が待っているのだろう??

 そっと目を開ける。
 そこには鮮やかな緑の草と自分の手があった。手はリアルとの感覚とさほど変わりなく、自由に動く。
 そして、耳から入ってきたのは銃声の音だった。
 
 「撃ち合ってる!?」
 
 思わず声を上げる。
 周囲を見渡すとただの森で平和そうに感じたが、銃を撃ち合う音が響いていた。
 そんでもって隣には、
 
 「やっほー!! 違うゲームの世界に来れたわ!! やった!! やった!!」
 
 と両手を上げて喜ぶ少女。黒髪の彼女はターコイズブルーのキレイなドレスをまとっていた。
 
 「よかったわ。婚約破棄される前にこっちの世界に来れて……………………ほんとあの王子、クソだわ、クソ」
 「あの……………………」
 「あんな女のどこがいいのかしら?? ドジばっかして、みんなに迷惑かえてさ。そりゃあ魔法の能力はあったでしょうけど。私はあんな女嫌いだわ」
 「あの……………………」
 「まぁ、あんな世界とはおさらばだし。……………………ん??」
 
 黒髪の女の子はやっと俺に気づいたのか、目をこちらに向けてくれた。
 艶やか黒髪、吸い込まれるような水色の瞳、そんでもって、瞳と同系色ターコイズブルーのドレス。
 俺はその少女を見たことがあった—————————乙女ゲームの世界で。
 なぜ俺が乙女ゲームのキャラクターを知っている理由についてはおいおい説明するが……………………なぜこんなところに乙女ゲームのキャラクターが??
 
 「君って『True Closer』の悪役令嬢と言われるアイシャ??」
 「そうだけど……………………なんで乙女ゲームのこと知ってるのよ」
 「それはまぁ色々あって……………………」
 
 とその瞬間。
 アイシャのこめかみにレッドのレーザーポインターが見えた。
 まさか狙われてるっ!?
 俺はすぐさま走って、彼女を押し倒す。
 その後すぐに一発、誰かが撃ってきた。
 
 「ちょっと……………………何してるのよ」
 「いや……………………狙われてたから」
 「それはどうもありがとう。でも、早くどいてくれるかしら」
 
 俺は体をどかすと、アイシャはキレイな自分のドレスのすそをビリっと大胆に破った。
 
 「何してんのっ!?」
 「邪魔だから切っただけ。もうこのドレスには用はないわ」
 
 冷静な彼女はそう言って、太ももの部分までドレスを短くした。白く美しい足が見える。
 
 「どこ見てるのかしら」
 「いや……………………なんでもないっす」
 
 女の子の足を見るのは初めてだったからつい。
 すると、アイシャは俺の手首を掴み、走り出す。俺もついていくため、足を動かした。
 
 「どうしたっ!?」
 「どうした、じゃないわよ。さっき狙われてたのよ。逃げなきゃやられる」
 
 この世界、ゲームだから1回死んでやり直したらいいじゃないか。
 というと背を向けて駆けるアイシャは、
 
 「そうね。あなただったらそうよね」
 
 と呟くだけだった。
 そして、俺たちは近くの廃墟化した街へと逃げていった。
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