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七、御寝侍御*
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後宮に入って名前を呼ばれるのは初めてだった。
「あ……名前……知っていらした……」
「当たり前だ。忘れるものか。――そなたは朕の名は覚えてはおるまいが」
「陛下の御名は覚えておりますよ! 迂闊に口走っては不敬罪になりますので!」
皇帝の名前は避諱と言って避ける決まりになっている。地名や人名も、文字が被っていたら変えなければならない。だが陛下は少し笑ったらしい。
「あの頃は幼名を名乗っていた。――それも覚えてはおるまい」
ぐいっと顎を掴まれ、顔を上向けにされれば、真正面に端麗なお顔があって、わたしはどぎまぎする。
「……そ、それは申し訳――」
「よい。咎めるつもりはない。――詩阿」
陛下のお顔が間近に迫ってきて、唇を塞がれる。
「んんんん!」
ほとんど無意識に目の前の硬い身体を押しのけると、陛下が心外だという表情で言った。
「なぜ、逃げる。そなたは朕の妻だろう。本来なら、二か月前にこうするはずだった」
「で、で、でも、突然、こんな……」
陛下のもう一つの手が腰紐に伸びて、するりと引かれて解かれる。そのまま前をはだけられて肩を絹の襦衣が滑り落ちた。
なんとなく聞いてはいたが、本当に裸に剥かれるとは思ってもいなくて、動揺したわたしは頭が真っ白になる。ちょっと待って! 皇帝陛下の前でこんなの、無理!
「やだ、待って……」
「もう、十分すぎるほど待った。これ以上は無理だ」
もう一度唇を塞がれて抵抗を封じられ、陛下がわたしの襦衣を剥ぎ取り、わたしは素裸にされてしまう。熱い舌が咥内を犯し、大きな手が素肌を這いまわる。一つの手が胸を覆い、もう一つの手が腹から臍を撫で、そうして足の付け根に触れる。
「んんん!」
自分でも触れたことのない場所を触れられて、わたしは必死に両足を閉じてその手を拒もうとしたが、それを許さないとばかりに強引に分け入ってくる。口蓋の裏を舐められ、乳首を摘ままれ、チリチリとした感覚にわたしは戸惑い、身を捩った。わたしの怯えを感じ取ったのか、陛下が唇を解放し、囁く。
「詩阿……怖がらずともよい」
「そんな、こと、言われて、も……」
「大丈夫だ……ちゃんと慣らしてやるから……」
陛下が耳もとで囁くと、わたしの身体に覆い被さるようにして片方の乳首を咥え、吸い上げる。背筋に走る感覚に思わず悲鳴を上げた。
「やあ! やめっ……」
「止めることはできぬ……力を抜け、詩阿……」
陛下の指がわたしの中に突き立てられる。わたしの中に陛下の一部を受け入れる場所があると、説明を受けたが理解できていなかった。――本来ならば、閨のことは嫁ぐ前に母親に教えられるという。だが母のいないわたしは、ほとんど何も知らぬまま後宮に入ったから――
あの、同牢礼の後であれば、どんな非道なことが行われてもそういうものと諦めたかもしれない。でもあれから二か月過ぎて、すっかり覚悟も失せた今夜になってこんな――
陛下が舌で胸の尖りを転がし、時に吸い上げる。同時に足の付け根を丁寧に愛撫され、長い指がゆっくりと出し入れされる。敏感な場所に触れるたびに、身体に不思議な感覚がせりあがってきて、わたしの息が上がり、恥ずかしい喘ぎ声が唇から零れ落ちてしまう。――帳のすぐ外に宦官が控えているのを思い出し、わたしは慌てて両手で口を塞ぐ。
「詩阿、声を堪えずともよい――宦官のことは気にするな。そなたがちゃんと皇后の役目を果たすか否か、見極める役でもあるのだ」
――皇后の役目?
わたしがぎょっとして陛下の顔を見上げれば、陛下の口角がわずかに上がる。
「ちゃんと、声を出して朕を歓ばすことも、皇后の役目ぞ」
「そ、そんなこと言われても……あっあああっ!」
じゅっと音を立てて乳首を吸い上げられ、背筋に走る感覚に思わず声を上げる。そこから先はもう、声を堪えることなどできなかった。
陛下の長い指が二本に増やされて、わたしの中をまさぐる。体の奥から何かが沁みだして、皇上の指が奏でるくちゅくちゅという水音が恥ずかしくて、わたしはギュッと目をつむった。
「ふっ……なにか、へんっ……やっ……」
「濡れてきた……ようやく感じてきたのだ。もっと力を抜け、詩阿……」
「そん、なの……わからっ……」
「ここ、心地よいか? 詩阿? それともこっちか?」
「んんっ……そんな……あああっ」
特に感じる場所を指で弾かれて、わたしが身体を仰け反らせる。初めての感覚がこみあげてきて、わたしは絹の褥を握りしめ、懸命に耐えようとしたが、内部から弾ける快感には抗えなかった。
「あああっ…あぁ……」
荒い息を吐きながら、びくびくと身体を震わせているわたしに、陛下が真上から微笑みかける。
「達したな……詩阿……」
「陛……下……? これは……何?」
「快楽を極めたのだ。気持ちよかったであろう?……もっと、よくしてやる。解さねばそなたが辛い」
陛下はそう言うとわたしを褥に横たえ、両足を開いてそのあわいに顔を寄せ、唇をつけた。
「あああああ!」
熱くて柔らかいものに敏感な尖りを舐め上げられ、あまりの快感にわたしは小さな叫び声をあげてしまう。不浄の場所を皇帝の尊い舌が舐めている事実に頭が真っ白になる。与えられる快感はあまりに強烈で、わたしは何も考えられなくなって、あられもない声を上げて善がり狂った。
「あっ、ああっ、だめっ、やああっ、あっ、あっ……いやあっ……ああっ……あぁ―――っ」
さっきよりも激しく強い絶頂に、わたしは息も絶え絶えになる。
「詩阿……俺ももう限界だ……挿れる……」
陛下も興奮しているのか、言葉遣いが変わっていたが、そんなことを気にする間もなく、陛下は自ら乱暴に襦衣を脱ぎ捨てると、わたしの上に圧し掛かってきた。熱く固い何かが足の間に触れる。
「詩阿、俺がこの日をどれだけ待ったか――」
熱い楔が撃ち込まれるように、わたしの中に強引に割り込んできて、体を引き裂かれる痛みに一瞬、気が遠くなった。
「いっ……」
「すまない、耐えてくれ――少し、だけ……」
わたしの中を、陛下の何かが穿っている。信じられないほどの圧迫感と異物感と――そして単純に、痛い。陛下がわたしの上に覆いかぶさり、肌と肌を密着させて抱きしめられる。こんなに誰かとくっついたことなんて初めてで、圧し掛かってくる体の熱さと重さに圧倒されて、わたしはただ、固い背中に腕を回して縋りつくことしかできない。
「くっ……詩阿……詩阿……」
真上から見下ろしてくる陛下と目が合う。整いすぎて冷たい雰囲気すら漂うお顔が、上気して少し息を荒げいてた。微かに微笑んでくださると感じて、わたしは尋ねる。
「陛下……? わたし、皇后の、お役目、果たし、ました?」
陛下がぎょっとしたように目を見開かれたので、わたしは何かまずいことを言ってしまったのかと思ったが、すぐに陛下の唇が降りて来て、口をふさがれた。
「んんっ……んっ……」
ねっとりと熱い舌が入り込み、舌と舌を絡めてきて、わたしはどうしていいのかわからない。口蓋の裏を舐められて、ゾクリとした感覚が背中を走り、わたしは思わず身体を捩る。――と、わずかな動きでわたしの中に入っている陛下の熱を感じて、痛みとは違う感覚にただ、戸惑う。
「……動くぞ?」
陛下が唇を解放し、そんなことを言い出した。
「え……?」
動くって、何が? と思う間もなく、陛下がわたしの身体を中を出入りし始めて、わたしは悲鳴をあげてしまった。
「ひああっ、あっ……だめっ、それぇ……」
「はあっ……これが好きか……詩阿……」
「ああっ、やあっ、ああっ、陛、下、ああっ……」
陛下がわたしの耳元で囁いた。
「……弘毅、だ……詩阿」
「え……?」
「俺の名だ……閨ではそう呼べ……昔の、ように……」
「昔……? 弘……毅……さま?」
わたしが名を呼べば、陛下がいっそう興奮を煽られるのか、さらに激しく腰を打ち付け始めて、わたしはただ木の葉のように翻弄された。
いつの間にか痛みはなく、陛下に奥を突かれるたびに痺れるような甘い快感が走って、わたしはあられもない声を上げ、はしたなくも陛下の玉体にしがみ付き、脚をからめて淫らな快楽に溺れた。やがて陛下も端麗な眉を快楽に歪め、わたしの中に熱い飛沫を放った。
「あ……名前……知っていらした……」
「当たり前だ。忘れるものか。――そなたは朕の名は覚えてはおるまいが」
「陛下の御名は覚えておりますよ! 迂闊に口走っては不敬罪になりますので!」
皇帝の名前は避諱と言って避ける決まりになっている。地名や人名も、文字が被っていたら変えなければならない。だが陛下は少し笑ったらしい。
「あの頃は幼名を名乗っていた。――それも覚えてはおるまい」
ぐいっと顎を掴まれ、顔を上向けにされれば、真正面に端麗なお顔があって、わたしはどぎまぎする。
「……そ、それは申し訳――」
「よい。咎めるつもりはない。――詩阿」
陛下のお顔が間近に迫ってきて、唇を塞がれる。
「んんんん!」
ほとんど無意識に目の前の硬い身体を押しのけると、陛下が心外だという表情で言った。
「なぜ、逃げる。そなたは朕の妻だろう。本来なら、二か月前にこうするはずだった」
「で、で、でも、突然、こんな……」
陛下のもう一つの手が腰紐に伸びて、するりと引かれて解かれる。そのまま前をはだけられて肩を絹の襦衣が滑り落ちた。
なんとなく聞いてはいたが、本当に裸に剥かれるとは思ってもいなくて、動揺したわたしは頭が真っ白になる。ちょっと待って! 皇帝陛下の前でこんなの、無理!
「やだ、待って……」
「もう、十分すぎるほど待った。これ以上は無理だ」
もう一度唇を塞がれて抵抗を封じられ、陛下がわたしの襦衣を剥ぎ取り、わたしは素裸にされてしまう。熱い舌が咥内を犯し、大きな手が素肌を這いまわる。一つの手が胸を覆い、もう一つの手が腹から臍を撫で、そうして足の付け根に触れる。
「んんん!」
自分でも触れたことのない場所を触れられて、わたしは必死に両足を閉じてその手を拒もうとしたが、それを許さないとばかりに強引に分け入ってくる。口蓋の裏を舐められ、乳首を摘ままれ、チリチリとした感覚にわたしは戸惑い、身を捩った。わたしの怯えを感じ取ったのか、陛下が唇を解放し、囁く。
「詩阿……怖がらずともよい」
「そんな、こと、言われて、も……」
「大丈夫だ……ちゃんと慣らしてやるから……」
陛下が耳もとで囁くと、わたしの身体に覆い被さるようにして片方の乳首を咥え、吸い上げる。背筋に走る感覚に思わず悲鳴を上げた。
「やあ! やめっ……」
「止めることはできぬ……力を抜け、詩阿……」
陛下の指がわたしの中に突き立てられる。わたしの中に陛下の一部を受け入れる場所があると、説明を受けたが理解できていなかった。――本来ならば、閨のことは嫁ぐ前に母親に教えられるという。だが母のいないわたしは、ほとんど何も知らぬまま後宮に入ったから――
あの、同牢礼の後であれば、どんな非道なことが行われてもそういうものと諦めたかもしれない。でもあれから二か月過ぎて、すっかり覚悟も失せた今夜になってこんな――
陛下が舌で胸の尖りを転がし、時に吸い上げる。同時に足の付け根を丁寧に愛撫され、長い指がゆっくりと出し入れされる。敏感な場所に触れるたびに、身体に不思議な感覚がせりあがってきて、わたしの息が上がり、恥ずかしい喘ぎ声が唇から零れ落ちてしまう。――帳のすぐ外に宦官が控えているのを思い出し、わたしは慌てて両手で口を塞ぐ。
「詩阿、声を堪えずともよい――宦官のことは気にするな。そなたがちゃんと皇后の役目を果たすか否か、見極める役でもあるのだ」
――皇后の役目?
わたしがぎょっとして陛下の顔を見上げれば、陛下の口角がわずかに上がる。
「ちゃんと、声を出して朕を歓ばすことも、皇后の役目ぞ」
「そ、そんなこと言われても……あっあああっ!」
じゅっと音を立てて乳首を吸い上げられ、背筋に走る感覚に思わず声を上げる。そこから先はもう、声を堪えることなどできなかった。
陛下の長い指が二本に増やされて、わたしの中をまさぐる。体の奥から何かが沁みだして、皇上の指が奏でるくちゅくちゅという水音が恥ずかしくて、わたしはギュッと目をつむった。
「ふっ……なにか、へんっ……やっ……」
「濡れてきた……ようやく感じてきたのだ。もっと力を抜け、詩阿……」
「そん、なの……わからっ……」
「ここ、心地よいか? 詩阿? それともこっちか?」
「んんっ……そんな……あああっ」
特に感じる場所を指で弾かれて、わたしが身体を仰け反らせる。初めての感覚がこみあげてきて、わたしは絹の褥を握りしめ、懸命に耐えようとしたが、内部から弾ける快感には抗えなかった。
「あああっ…あぁ……」
荒い息を吐きながら、びくびくと身体を震わせているわたしに、陛下が真上から微笑みかける。
「達したな……詩阿……」
「陛……下……? これは……何?」
「快楽を極めたのだ。気持ちよかったであろう?……もっと、よくしてやる。解さねばそなたが辛い」
陛下はそう言うとわたしを褥に横たえ、両足を開いてそのあわいに顔を寄せ、唇をつけた。
「あああああ!」
熱くて柔らかいものに敏感な尖りを舐め上げられ、あまりの快感にわたしは小さな叫び声をあげてしまう。不浄の場所を皇帝の尊い舌が舐めている事実に頭が真っ白になる。与えられる快感はあまりに強烈で、わたしは何も考えられなくなって、あられもない声を上げて善がり狂った。
「あっ、ああっ、だめっ、やああっ、あっ、あっ……いやあっ……ああっ……あぁ―――っ」
さっきよりも激しく強い絶頂に、わたしは息も絶え絶えになる。
「詩阿……俺ももう限界だ……挿れる……」
陛下も興奮しているのか、言葉遣いが変わっていたが、そんなことを気にする間もなく、陛下は自ら乱暴に襦衣を脱ぎ捨てると、わたしの上に圧し掛かってきた。熱く固い何かが足の間に触れる。
「詩阿、俺がこの日をどれだけ待ったか――」
熱い楔が撃ち込まれるように、わたしの中に強引に割り込んできて、体を引き裂かれる痛みに一瞬、気が遠くなった。
「いっ……」
「すまない、耐えてくれ――少し、だけ……」
わたしの中を、陛下の何かが穿っている。信じられないほどの圧迫感と異物感と――そして単純に、痛い。陛下がわたしの上に覆いかぶさり、肌と肌を密着させて抱きしめられる。こんなに誰かとくっついたことなんて初めてで、圧し掛かってくる体の熱さと重さに圧倒されて、わたしはただ、固い背中に腕を回して縋りつくことしかできない。
「くっ……詩阿……詩阿……」
真上から見下ろしてくる陛下と目が合う。整いすぎて冷たい雰囲気すら漂うお顔が、上気して少し息を荒げいてた。微かに微笑んでくださると感じて、わたしは尋ねる。
「陛下……? わたし、皇后の、お役目、果たし、ました?」
陛下がぎょっとしたように目を見開かれたので、わたしは何かまずいことを言ってしまったのかと思ったが、すぐに陛下の唇が降りて来て、口をふさがれた。
「んんっ……んっ……」
ねっとりと熱い舌が入り込み、舌と舌を絡めてきて、わたしはどうしていいのかわからない。口蓋の裏を舐められて、ゾクリとした感覚が背中を走り、わたしは思わず身体を捩る。――と、わずかな動きでわたしの中に入っている陛下の熱を感じて、痛みとは違う感覚にただ、戸惑う。
「……動くぞ?」
陛下が唇を解放し、そんなことを言い出した。
「え……?」
動くって、何が? と思う間もなく、陛下がわたしの身体を中を出入りし始めて、わたしは悲鳴をあげてしまった。
「ひああっ、あっ……だめっ、それぇ……」
「はあっ……これが好きか……詩阿……」
「ああっ、やあっ、ああっ、陛、下、ああっ……」
陛下がわたしの耳元で囁いた。
「……弘毅、だ……詩阿」
「え……?」
「俺の名だ……閨ではそう呼べ……昔の、ように……」
「昔……? 弘……毅……さま?」
わたしが名を呼べば、陛下がいっそう興奮を煽られるのか、さらに激しく腰を打ち付け始めて、わたしはただ木の葉のように翻弄された。
いつの間にか痛みはなく、陛下に奥を突かれるたびに痺れるような甘い快感が走って、わたしはあられもない声を上げ、はしたなくも陛下の玉体にしがみ付き、脚をからめて淫らな快楽に溺れた。やがて陛下も端麗な眉を快楽に歪め、わたしの中に熱い飛沫を放った。
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