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1、オアシスの夜
魔獣
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アデライードと別れ、シウリンとエールライヒの、一人と一羽の旅が始まった。
シウリンは環状列石と日の出の位置から、自分たちの進路がやや西よりにずれてしまったことに気づき、正しく北を割り出して方角を定める。少し戻ってもう一度湿原に出て、そこから乾いた草原を北へと向かうことにした。
食料と水が圧倒的に少ないけれど、シウリンは聖地で羊の放牧の経験があって、野外生活には慣れていた。その土地は表面は乾燥しているが、地下に伏流水があるのか、あちらこちらに泉が湧き出ていた。さすがエールライヒは野性の勘でそれを目ざとく見つけだしてくれるので、この調子なら、シウリンは渇きに苦しめられることなく、旅を続けられそうだった。アデライードが傍にいない孤独は辛いけれど、乗り越えなければならない試練なのだろう。
一度湿原に戻った時に、シウリンは長くて丈夫な葦を数本、ナイフで切って繊維を細く割き、夜、焚火の明りで長く編み込み、投石用の紐を作った。手ごろな石を拾い、中央を少しだけ太くした紐に挟んで二つ折りにして振り回す。紐の一方は手首に巻き付けて固定し、タイミングを計って片方を手放すと、石は弾丸のように飛んでいく。聖地では戒律によって、刃物のついた武器の使用が禁止されていたため、シウリンは罠や投石で野ウサギや野鳥を仕留めていたのである。
(――本当は、これも戒律違反かもしれないけど。でもまあ、食べる前にお祈り捧げてるし、「無駄な」殺生ってわけじゃないから)
本来は畑を荒らしたり、人に危害を加える害獣に限り、刃物に依らずに狩ることが許されているのだが、泊りがけの放牧に用意される食事はやけに量が少なく、途中で野鳥や川魚などを各自調達しなければ、到底、足りなかった。
十年ぶりなのと、シウリン自身の身長や腕力が変わっていることもあって、カンを取り戻すのに少し時間がかかったが、しばらく練習すると狙ったところに投げられるようになった。シウリンは上空の獲物を狙いながら、乾いた草原を歩く。
蒼穹に数羽、鴨か鴈のような鳥が飛んでいるのを目ざとく見つけ、シウリンは狙いを定めてスリングを振り回す。
「今だ!」
ヒュンっ!と勢いよく投げ上げられた石が、頭上を飛んでいた鳥に見事に命中する。エールライヒとともに拾いに行けば、鴨は頸の骨を折って絶命していた。素早く血抜きしてぶら下げて歩いていく。
(鴨は鍋がいいんだけどな、鍋がないから焼くしかないな。塩があるだけ感謝しないとな)
何よりエールライヒの食事が確保できたことに、シウリンはほっとしていた。
ふと、シウリンは首筋に警告を察知し、上空を飛ぶエールライヒも注意を促すような鳴き声を上げた。
前方に、大きな獣がいた。
赤い両目を光らせ、よたよたとシウリンの方に向かってくるそれは、はじめ大型の犬かと思ったが、明らかに犬よりも大きい。
シウリンのいた僧院の周辺で、大型の肉食獣と言えば狼くらいであった。もっと北の山地には大型の虎や雪豹がいるそうだが、シウリンは見たことはない。狼ならば、罠にかかったものを一、二度、目にしたことがあるが、今目の前にいる獣は、確実に狼よりも巨大であった。
そして何より――。
(これ――屍だ。屍に、魔物が憑依しているんだ!)
風が、死臭を運んでくる。脇腹のあたりの肉が削げ落ちて、白い骨が露わになり、腐った内臓に蝿が集っている。シウリンは咄嗟に足元の石を拾い、スリングに入れて投げつける。
だが、命中したはずの石は魔物の身体から弾かれて、何のダメージも与えることができなかった。
(聖別された武器しか効かないって、このことか――!)
シウリンは素早く周囲に目を光らす。他の、魔物はいない。黒い影のような集団は去って、何等かの理由で、この死体に憑依したものだけが、ここに残ったのだ。
魔物は真っ直ぐに、シウリンに向かってくる。おそらく、魔物はシウリンの発する強烈な〈王気〉に惹かれてやってくるのだろう。シウリンは左手に〈聖剣〉を呼び出した。
剣を構え、真横に薙ぎ払う。光の帯が魔物に向かい、掠る。だが――。
(前の、狐に憑依していた奴より、年季が入っていて強いってことか――)
憑依したばかりの魔物であれば、実体のない黒い影と同様、聖剣から発する光だけで消滅させられるようだが、憑依してある程度の時間が経ってしまうと、憑依した死体そのものに物理的な攻撃を加えなければならないらしい。
(マニ僧都の魔物についての講義、もっと真面目に聞いておけばよかった)
プルミンテルンのお膝元、聖地から出ることのないはずだったシウリンは、一生、魔物などに遭遇することはないと、高を括っていた。だから魔物の話よりも、陰陽の理論の話の方に興味があったのだ。いや、そもそもが、マニ僧都だって魔物なんて見たことはないから、「ここで魔物っていうのは、人の心の中の悪心の喩えで――」みたいな解説を加えていた。本物を見せたらびっくりするに違いない。
さらに近づいてくる魔物に、シウリンは緊張で唇を舐める。
「〈光よ、地に満ちよ。聖なる力よ、わが身に満ちよ――〉」
『聖典』の文句を唱え、両手で剣を構える。身体の感覚を思い出すように、腰が引けないようにして、聖剣の力を意識する。
グルルルル……
口から、涎のような血のようなものを垂れ流しながら、獣が吠える。赤い目を爛々と光らせて、それが跳躍し、信じられない距離を一気に飛び越えてきた。
「ええい!」
シウリンが剣を横に薙ぎ払う。聖剣は獣の首を正確に断ち切って、獣が断末魔の悲鳴を上げる。
ギャアアアアア――――!
聞くに堪えない声を遺して、頭と胴体に分かれた獣は、ぶわっと金色の光に呑み込まれるようにして、消えた。
ほっとして、シウリンが剣を下すと、上空にいたエールライヒが彼の元に降りて来る。
「はー、助かった……」
しかしエールライヒはシウリンの黒い頭を、黒い嘴でつつく。
「痛いなあ、なんだよ……」
シウリンが見上げると、エールライヒは着いてこい、というように飛び立つ。そして少し離れた灌木の茂みの方に飛んで、枝に止まってピギーと鳴いた。その様子が普通ではない。シウリンが近づくと、ヒンヒンと、何とも憐れを誘う鳴き声が聞こえる。
「エールライヒ、何かが近くにいるの?」
鳴き声は、半ば枯れた草の茂みの陰の、外から見えにくい場所からしていた。シウリンが草を掻き分けて用心ぶかく覗き込むと、草の陰に穴があって、声はその奥から聞こえた。――動物の巣穴か、あるいは穴に落ちたのか。
「おーい、大丈夫か?……今、助けてやるから……でも、噛みつくなよ?」
ほら、おいで、と穴に半分足を踏み入れて、シウリンは奥から、ミウミウ鳴く丸い毛玉のようなものを引っ張り出す。茶色っぽく薄汚れたそれは、ちょうど子猫ぐらいの大きさで、しかし前足は子猫にあるまじき太さであった。今は小さいけれど、相当にデカくなることが予想される前足の太さ。
その穴の奥にはあと数匹、同じような色の毛玉があったが、いずれもすでに冷たくなっていた。
(……兄弟か……)
何かの理由で母親が戻って来ず、巣穴に子供達だけ残されて、一匹だけが生き残ったらしい。
(もしかして――さっきのは、母親?)
死んで魔物に憑依されても、なお子供たちを守ろうとしたのだろうか。
そう思うと、シウリンはその小さな毛玉を見捨ててはいけず、それを懐に入れて、旅を続けることにした。
シウリンは環状列石と日の出の位置から、自分たちの進路がやや西よりにずれてしまったことに気づき、正しく北を割り出して方角を定める。少し戻ってもう一度湿原に出て、そこから乾いた草原を北へと向かうことにした。
食料と水が圧倒的に少ないけれど、シウリンは聖地で羊の放牧の経験があって、野外生活には慣れていた。その土地は表面は乾燥しているが、地下に伏流水があるのか、あちらこちらに泉が湧き出ていた。さすがエールライヒは野性の勘でそれを目ざとく見つけだしてくれるので、この調子なら、シウリンは渇きに苦しめられることなく、旅を続けられそうだった。アデライードが傍にいない孤独は辛いけれど、乗り越えなければならない試練なのだろう。
一度湿原に戻った時に、シウリンは長くて丈夫な葦を数本、ナイフで切って繊維を細く割き、夜、焚火の明りで長く編み込み、投石用の紐を作った。手ごろな石を拾い、中央を少しだけ太くした紐に挟んで二つ折りにして振り回す。紐の一方は手首に巻き付けて固定し、タイミングを計って片方を手放すと、石は弾丸のように飛んでいく。聖地では戒律によって、刃物のついた武器の使用が禁止されていたため、シウリンは罠や投石で野ウサギや野鳥を仕留めていたのである。
(――本当は、これも戒律違反かもしれないけど。でもまあ、食べる前にお祈り捧げてるし、「無駄な」殺生ってわけじゃないから)
本来は畑を荒らしたり、人に危害を加える害獣に限り、刃物に依らずに狩ることが許されているのだが、泊りがけの放牧に用意される食事はやけに量が少なく、途中で野鳥や川魚などを各自調達しなければ、到底、足りなかった。
十年ぶりなのと、シウリン自身の身長や腕力が変わっていることもあって、カンを取り戻すのに少し時間がかかったが、しばらく練習すると狙ったところに投げられるようになった。シウリンは上空の獲物を狙いながら、乾いた草原を歩く。
蒼穹に数羽、鴨か鴈のような鳥が飛んでいるのを目ざとく見つけ、シウリンは狙いを定めてスリングを振り回す。
「今だ!」
ヒュンっ!と勢いよく投げ上げられた石が、頭上を飛んでいた鳥に見事に命中する。エールライヒとともに拾いに行けば、鴨は頸の骨を折って絶命していた。素早く血抜きしてぶら下げて歩いていく。
(鴨は鍋がいいんだけどな、鍋がないから焼くしかないな。塩があるだけ感謝しないとな)
何よりエールライヒの食事が確保できたことに、シウリンはほっとしていた。
ふと、シウリンは首筋に警告を察知し、上空を飛ぶエールライヒも注意を促すような鳴き声を上げた。
前方に、大きな獣がいた。
赤い両目を光らせ、よたよたとシウリンの方に向かってくるそれは、はじめ大型の犬かと思ったが、明らかに犬よりも大きい。
シウリンのいた僧院の周辺で、大型の肉食獣と言えば狼くらいであった。もっと北の山地には大型の虎や雪豹がいるそうだが、シウリンは見たことはない。狼ならば、罠にかかったものを一、二度、目にしたことがあるが、今目の前にいる獣は、確実に狼よりも巨大であった。
そして何より――。
(これ――屍だ。屍に、魔物が憑依しているんだ!)
風が、死臭を運んでくる。脇腹のあたりの肉が削げ落ちて、白い骨が露わになり、腐った内臓に蝿が集っている。シウリンは咄嗟に足元の石を拾い、スリングに入れて投げつける。
だが、命中したはずの石は魔物の身体から弾かれて、何のダメージも与えることができなかった。
(聖別された武器しか効かないって、このことか――!)
シウリンは素早く周囲に目を光らす。他の、魔物はいない。黒い影のような集団は去って、何等かの理由で、この死体に憑依したものだけが、ここに残ったのだ。
魔物は真っ直ぐに、シウリンに向かってくる。おそらく、魔物はシウリンの発する強烈な〈王気〉に惹かれてやってくるのだろう。シウリンは左手に〈聖剣〉を呼び出した。
剣を構え、真横に薙ぎ払う。光の帯が魔物に向かい、掠る。だが――。
(前の、狐に憑依していた奴より、年季が入っていて強いってことか――)
憑依したばかりの魔物であれば、実体のない黒い影と同様、聖剣から発する光だけで消滅させられるようだが、憑依してある程度の時間が経ってしまうと、憑依した死体そのものに物理的な攻撃を加えなければならないらしい。
(マニ僧都の魔物についての講義、もっと真面目に聞いておけばよかった)
プルミンテルンのお膝元、聖地から出ることのないはずだったシウリンは、一生、魔物などに遭遇することはないと、高を括っていた。だから魔物の話よりも、陰陽の理論の話の方に興味があったのだ。いや、そもそもが、マニ僧都だって魔物なんて見たことはないから、「ここで魔物っていうのは、人の心の中の悪心の喩えで――」みたいな解説を加えていた。本物を見せたらびっくりするに違いない。
さらに近づいてくる魔物に、シウリンは緊張で唇を舐める。
「〈光よ、地に満ちよ。聖なる力よ、わが身に満ちよ――〉」
『聖典』の文句を唱え、両手で剣を構える。身体の感覚を思い出すように、腰が引けないようにして、聖剣の力を意識する。
グルルルル……
口から、涎のような血のようなものを垂れ流しながら、獣が吠える。赤い目を爛々と光らせて、それが跳躍し、信じられない距離を一気に飛び越えてきた。
「ええい!」
シウリンが剣を横に薙ぎ払う。聖剣は獣の首を正確に断ち切って、獣が断末魔の悲鳴を上げる。
ギャアアアアア――――!
聞くに堪えない声を遺して、頭と胴体に分かれた獣は、ぶわっと金色の光に呑み込まれるようにして、消えた。
ほっとして、シウリンが剣を下すと、上空にいたエールライヒが彼の元に降りて来る。
「はー、助かった……」
しかしエールライヒはシウリンの黒い頭を、黒い嘴でつつく。
「痛いなあ、なんだよ……」
シウリンが見上げると、エールライヒは着いてこい、というように飛び立つ。そして少し離れた灌木の茂みの方に飛んで、枝に止まってピギーと鳴いた。その様子が普通ではない。シウリンが近づくと、ヒンヒンと、何とも憐れを誘う鳴き声が聞こえる。
「エールライヒ、何かが近くにいるの?」
鳴き声は、半ば枯れた草の茂みの陰の、外から見えにくい場所からしていた。シウリンが草を掻き分けて用心ぶかく覗き込むと、草の陰に穴があって、声はその奥から聞こえた。――動物の巣穴か、あるいは穴に落ちたのか。
「おーい、大丈夫か?……今、助けてやるから……でも、噛みつくなよ?」
ほら、おいで、と穴に半分足を踏み入れて、シウリンは奥から、ミウミウ鳴く丸い毛玉のようなものを引っ張り出す。茶色っぽく薄汚れたそれは、ちょうど子猫ぐらいの大きさで、しかし前足は子猫にあるまじき太さであった。今は小さいけれど、相当にデカくなることが予想される前足の太さ。
その穴の奥にはあと数匹、同じような色の毛玉があったが、いずれもすでに冷たくなっていた。
(……兄弟か……)
何かの理由で母親が戻って来ず、巣穴に子供達だけ残されて、一匹だけが生き残ったらしい。
(もしかして――さっきのは、母親?)
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