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6、〈混沌〉
南に向かう目的は
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秋分を過ぎ、南に向かうゾーイらの一行は、荷車に荷物を満載し、北に向かう人々の群れと頻繁にすれ違うようになった。
ゾーイ、トルフィン、ゾラは真っ黒な髪をそれぞれ鮮やかな布で包んで、何とか東方的な容貌を誤魔化しているが、どうしても目立つ。ただでさえ、ゾーイは見上げるほどの偉丈夫だし、ランパは振り返ってしまうほどの美形だ。それ以外の男たちも皆、黙っていれば涼やかな騎士然としていて、否が応でも女たちの注目を集めてしまう。だが、人の多い街道を避けるにも限度があった。道が悪いとシリルとアルベラが遅れがちになるからだ。
「アルベラ姫はご病気、ってことになってるみたいっすよ」
父ウルバヌスは秋分の日にアルベラの即位式を行うと布告していたが、どうなったのか。
アルベラはそのことがずっと気になっていた。
街道沿いの小さな町の食堂で、昼食のためにテーブル一つ陣取って早々にゾラが言った。はっとしてゾラの顔を見つめるアルベラの耳に、ゾーイの低く落ち着いた声が響く。
「確かな情報か?」
「昨夜の街の娼館で、敵娼に聞いたっすよ。あすこの領主館の騎士たちになじみがいて、結構情報が入ってくるみたいっすよ?」
どうりで昨夜、ゾラは宿にいなかったとアルベラが合点する。ゾーイは妊娠中の妻がいて、トルフィンは正月に結婚したばかりの奥さんが怖いからと言って、せいぜい酒場の女中を揶揄うくらいで、娼館には行かない。潔癖症のランパと十三歳のフエルは娼館など魔窟だと思っているから、結局、ゾラだけが一人、フラフラと遊び歩いているのだ。
「でも、俺のおかげで情報が入ってきてんすよ?少しは感謝して欲しーなー」
アルベラにじっとりと非難の眼差しを向けられ、ゾラが肩を竦める。顔も声もテセウスそっくりなのに、性格と喋り方、そして素行は正反対であった。しかも帝国の超名門の貴種の跡取り。テセウスにその門地があれば、あんな最期を遂げることもなかったのに、とアルベラは胸が痛む。ーーゾラを見るたびに、どうしてもテセウスを思い出してしまう。結ばれない恋だと、アルベラも、そしてテセウスもわかっていた。それでも、命がけでアルベラを救おうとして死んでいった人。普段は懸命に頭から追い出しているけれど、ふとした拍子にテセウスの面影が胸に過ぎり、アルベラは涙ぐむのを見られまいと、懸命に瞬きを繰り返す。
そんなアルベラをよそに、トルフィンとシリルがカウンタ―の料理を取り分けてテーブルに運んできた。ランパは無言で、取り皿をいちいち綺麗に拭いてから、各自の前に並べていく。フエルはお湯をもらってきて、それぞれの湯呑に注ぎわける。
「お茶はないっぽいですね。このあたりじゃあ、飲まないんですかね?」
「この辺りは炒った大麦を煮出したものを飲むんだよ」
「麦湯?」
シリルの答えにフエルが首を傾げるので、シリルが立っていって店の者に頼んでくる。二つばかりカップに持ってきたそれは、真っ黒であった。
「レイノークス伯の領地で飲んだ珈琲みたいなものか」
「珈琲ほど苦くないよ?」
シリルも珈琲は苦手だと言った。
豆と腸詰のスープ、馬鈴薯入りニョッキの赤茄子ソース添え、キノコの燻製肉巻、青椒の挽肉詰に、甘藍の酢漬け、食べ放題の雑穀のパン。麦酒を呷りながら、男たちはあっと言う間にテーブルの上の食事を平らげていく。
「あー、銀シャリが食いたいなあ」
ゾラが雑穀のパンを噛みちぎりながら言う。
「この辺は雨が少ないみたいだから、米なんて採れないよ」
「でもコメが食いたい。パンもいい加減、飽きてきた」
「そうは言ってもねぇ……」
「あとどれくらい行けば殿下に遇えんのかな?」
「さあねぇ……」
ゾラとトルフィンがブツブツ言いながらニョッキを匙で豪快にかきこむ。
「ねぇ……あなたたちはどうして、南に行くの?」
ずっと聞けなかったことを、アルベラが勇気を出して尋ねてみる。男たちは互いの顔を見合わせ、それからゾーイを見る。ゾーイは周囲をさりげなく見回して、聞き耳を立てている者がいないことを確認し、言った。
「我らがご主君を捜しに行くのだ」
「ご主君って……総督?」
ゾーイが頷く。
なんで総督が女王国の南に? とアルベラとシリルが目を瞬く。トルフィンが言いにくそうに説明する。
「姫君がさ、帝都まで転移で迎えに来たのはよかったんだよ。殿下を監禁したイフリート家の魔術師の、魔力障壁を姫君が破壊して、ようやく救け出せたから。……その後がよくなかった」
「姫君……アデライードが、帝都まで転移したの?」
思わず裏返りそうになる声を、必死に抑える。そんな魔法、始祖女王ディアーヌ以外で聞いたことない。
「ところがさ、その魔法陣、一人用だったらしいの。瀕死の殿下を目にして慌てふためいた姫君がさ、二人で転移しちゃって……何かよくわからんけど、照準が狂うらしいのよ。んで、西南辺境のわけのわからん場所に……」
「!!」
アルベラが両手を口にあてて声を押さえる。
「ちょうど、ガルシア辺境伯領では結界が破れて魔物が出現して……殿下は姫君をソリスティアに転移させ、ご自身は徒歩でソリスティアに向かわれているのだ」
心なし、ゾーイの声が尖っている。最愛の主君をそんな場所に連れて行き、さらに置き去りにしてきた姫君には、丸一日説教しても、したりないくらいだ。
「だ、大丈夫なの……?」
「〈聖剣〉が魔物を消滅させられるらしい。逆に姫君の魔力による攻撃は全く効かなくて……」
「まあ、姫様のおかげで殿下が死にそうな目に遭うのも、いつものことだし」
ゾーイの説明を受けてトルフィンが肩を竦める。ゾラがテーブルに頬杖をついて大麦(オルゾ)を啜りながら、溜息をついた。
「でもよ、記憶までなくなっちゃうとか、殿下、絶対、呪われてるわ」
「まさかそれも、アデライードが?」
身を乗り出すアルベラに、フエルがアデライードを庇うようにして、言った。
「監禁中に魔術師から受けた虐待が原因で、心が折れて治療を拒否したそうなんです。それで、姫君がその時の記憶を封印しようとして――」
「うっかり十年分封印しちゃったってさ、きゃはは!」
面白おかしくゾラが茶化し、フエルが姫を庇う。
「もとはと言えば魔術師が悪いんですよ! 姫君はただ……」
アルベラは蒼白になって、思わず聞いた。
「ちょっと待ってよ、つまり、魔物が溢れる辺境を、皇子様が一人で歩いて旅しているの?」
「しかも精神年齢は十二歳でちゅ!」
ゾラが調子に乗って揶揄して、さらにフエルが躍起になる。
「ゾラさん、茶化していいことと悪いことがあるでしょう!」
言い争う二人をよそに、アルベラとシリルは顔を見合わせる。自分たちの状況も大概不幸だと思っていたが、上には上がいた。
「問題は、殿下が俺たちのことも、忘れてるってことだ」
ゾーイの溜息を聞いて、アルベラは思う。いや、そんなことより、そもそも、総督生きてるの――?
ゾーイ、トルフィン、ゾラは真っ黒な髪をそれぞれ鮮やかな布で包んで、何とか東方的な容貌を誤魔化しているが、どうしても目立つ。ただでさえ、ゾーイは見上げるほどの偉丈夫だし、ランパは振り返ってしまうほどの美形だ。それ以外の男たちも皆、黙っていれば涼やかな騎士然としていて、否が応でも女たちの注目を集めてしまう。だが、人の多い街道を避けるにも限度があった。道が悪いとシリルとアルベラが遅れがちになるからだ。
「アルベラ姫はご病気、ってことになってるみたいっすよ」
父ウルバヌスは秋分の日にアルベラの即位式を行うと布告していたが、どうなったのか。
アルベラはそのことがずっと気になっていた。
街道沿いの小さな町の食堂で、昼食のためにテーブル一つ陣取って早々にゾラが言った。はっとしてゾラの顔を見つめるアルベラの耳に、ゾーイの低く落ち着いた声が響く。
「確かな情報か?」
「昨夜の街の娼館で、敵娼に聞いたっすよ。あすこの領主館の騎士たちになじみがいて、結構情報が入ってくるみたいっすよ?」
どうりで昨夜、ゾラは宿にいなかったとアルベラが合点する。ゾーイは妊娠中の妻がいて、トルフィンは正月に結婚したばかりの奥さんが怖いからと言って、せいぜい酒場の女中を揶揄うくらいで、娼館には行かない。潔癖症のランパと十三歳のフエルは娼館など魔窟だと思っているから、結局、ゾラだけが一人、フラフラと遊び歩いているのだ。
「でも、俺のおかげで情報が入ってきてんすよ?少しは感謝して欲しーなー」
アルベラにじっとりと非難の眼差しを向けられ、ゾラが肩を竦める。顔も声もテセウスそっくりなのに、性格と喋り方、そして素行は正反対であった。しかも帝国の超名門の貴種の跡取り。テセウスにその門地があれば、あんな最期を遂げることもなかったのに、とアルベラは胸が痛む。ーーゾラを見るたびに、どうしてもテセウスを思い出してしまう。結ばれない恋だと、アルベラも、そしてテセウスもわかっていた。それでも、命がけでアルベラを救おうとして死んでいった人。普段は懸命に頭から追い出しているけれど、ふとした拍子にテセウスの面影が胸に過ぎり、アルベラは涙ぐむのを見られまいと、懸命に瞬きを繰り返す。
そんなアルベラをよそに、トルフィンとシリルがカウンタ―の料理を取り分けてテーブルに運んできた。ランパは無言で、取り皿をいちいち綺麗に拭いてから、各自の前に並べていく。フエルはお湯をもらってきて、それぞれの湯呑に注ぎわける。
「お茶はないっぽいですね。このあたりじゃあ、飲まないんですかね?」
「この辺りは炒った大麦を煮出したものを飲むんだよ」
「麦湯?」
シリルの答えにフエルが首を傾げるので、シリルが立っていって店の者に頼んでくる。二つばかりカップに持ってきたそれは、真っ黒であった。
「レイノークス伯の領地で飲んだ珈琲みたいなものか」
「珈琲ほど苦くないよ?」
シリルも珈琲は苦手だと言った。
豆と腸詰のスープ、馬鈴薯入りニョッキの赤茄子ソース添え、キノコの燻製肉巻、青椒の挽肉詰に、甘藍の酢漬け、食べ放題の雑穀のパン。麦酒を呷りながら、男たちはあっと言う間にテーブルの上の食事を平らげていく。
「あー、銀シャリが食いたいなあ」
ゾラが雑穀のパンを噛みちぎりながら言う。
「この辺は雨が少ないみたいだから、米なんて採れないよ」
「でもコメが食いたい。パンもいい加減、飽きてきた」
「そうは言ってもねぇ……」
「あとどれくらい行けば殿下に遇えんのかな?」
「さあねぇ……」
ゾラとトルフィンがブツブツ言いながらニョッキを匙で豪快にかきこむ。
「ねぇ……あなたたちはどうして、南に行くの?」
ずっと聞けなかったことを、アルベラが勇気を出して尋ねてみる。男たちは互いの顔を見合わせ、それからゾーイを見る。ゾーイは周囲をさりげなく見回して、聞き耳を立てている者がいないことを確認し、言った。
「我らがご主君を捜しに行くのだ」
「ご主君って……総督?」
ゾーイが頷く。
なんで総督が女王国の南に? とアルベラとシリルが目を瞬く。トルフィンが言いにくそうに説明する。
「姫君がさ、帝都まで転移で迎えに来たのはよかったんだよ。殿下を監禁したイフリート家の魔術師の、魔力障壁を姫君が破壊して、ようやく救け出せたから。……その後がよくなかった」
「姫君……アデライードが、帝都まで転移したの?」
思わず裏返りそうになる声を、必死に抑える。そんな魔法、始祖女王ディアーヌ以外で聞いたことない。
「ところがさ、その魔法陣、一人用だったらしいの。瀕死の殿下を目にして慌てふためいた姫君がさ、二人で転移しちゃって……何かよくわからんけど、照準が狂うらしいのよ。んで、西南辺境のわけのわからん場所に……」
「!!」
アルベラが両手を口にあてて声を押さえる。
「ちょうど、ガルシア辺境伯領では結界が破れて魔物が出現して……殿下は姫君をソリスティアに転移させ、ご自身は徒歩でソリスティアに向かわれているのだ」
心なし、ゾーイの声が尖っている。最愛の主君をそんな場所に連れて行き、さらに置き去りにしてきた姫君には、丸一日説教しても、したりないくらいだ。
「だ、大丈夫なの……?」
「〈聖剣〉が魔物を消滅させられるらしい。逆に姫君の魔力による攻撃は全く効かなくて……」
「まあ、姫様のおかげで殿下が死にそうな目に遭うのも、いつものことだし」
ゾーイの説明を受けてトルフィンが肩を竦める。ゾラがテーブルに頬杖をついて大麦(オルゾ)を啜りながら、溜息をついた。
「でもよ、記憶までなくなっちゃうとか、殿下、絶対、呪われてるわ」
「まさかそれも、アデライードが?」
身を乗り出すアルベラに、フエルがアデライードを庇うようにして、言った。
「監禁中に魔術師から受けた虐待が原因で、心が折れて治療を拒否したそうなんです。それで、姫君がその時の記憶を封印しようとして――」
「うっかり十年分封印しちゃったってさ、きゃはは!」
面白おかしくゾラが茶化し、フエルが姫を庇う。
「もとはと言えば魔術師が悪いんですよ! 姫君はただ……」
アルベラは蒼白になって、思わず聞いた。
「ちょっと待ってよ、つまり、魔物が溢れる辺境を、皇子様が一人で歩いて旅しているの?」
「しかも精神年齢は十二歳でちゅ!」
ゾラが調子に乗って揶揄して、さらにフエルが躍起になる。
「ゾラさん、茶化していいことと悪いことがあるでしょう!」
言い争う二人をよそに、アルベラとシリルは顔を見合わせる。自分たちの状況も大概不幸だと思っていたが、上には上がいた。
「問題は、殿下が俺たちのことも、忘れてるってことだ」
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