146 / 236
13、認証式
月神殿の戦い
しおりを挟む
「魔術師が来る!」
ドゴーン! と凄まじい破壊音とともに、天井が突き破られ、真っ白な土煙がおき、バラバラと天井の破片が降り注ぐ。それに紛れるようにして、黒いローブを纏った大柄の男たちが三人、下りてきた。ぶわりと黒いローブが広がり、その下の灰色の僧衣が見える。ローブのフードが外れ、赤く長い髪がばさりと散る。その髪の色も、衣装も、何もかもがアタナシオスにそっくりだった。
その姿を見たジュルチ僧正が廉郡王に注意喚起する。
「赤い〈気〉を纏っている! 魔術師だ!」
「了解だ!……残念ながら俺には視えねえんだよ!」
廉郡王が剣を振るい、まず一番目の黒い魔術師に突進する。大上段に振りかぶって一気に振り下ろす。だが――。
ガキーン!
強力な魔力障壁に、廉郡王の渾身の攻撃が弾かれ、廉郡王は吹っ飛ばされて床に転がる。
「殿下!」
ユキエルが悲鳴を上げるが、リックが素早く前に出て、魔術師に次なる攻撃を仕掛けて廉郡王への攻撃を躱す。それを見たジュルチ僧正が額の前で印を結び、真言を唱える。
「破!」
ジュルチ僧正の足元に広がる魔法陣から、焔のような赤い光が沸き起こり、真っ直ぐ魔術師を狙う。赤い光が互いに衝突し、バンっ!と火花をあがり、魔術師が少し後退する。ジュルチの攻撃も大して効かないようであったが、魔力障壁にヒビが入ったのがわかった。
「いまだ! ウオー!」
床の上で素早く一回転してすでに態勢を立て直していた廉郡王は、すかさず雄叫びを上げて床を蹴り、常人ではなし得ない跳躍を見せて魔術師に迫り、袈裟懸けにする。
「ぐあああああ!」
聞くに堪えない断末魔の声は、まさしく人ではない。赤い、蜥蜴のような影が飛び上がり、だがまだ霧散しないそれを、リックが追いかけて斬る。ぶわりと光の粒子になって消えるその向こうで、別の魔術師が印を結び、大きな魔法陣を呼び出した。
その魔法陣から赤い焔が起こって、広間を舐めるように広がっていく。
冬のことで空気は乾いており、騎士のマントに火が移って、周囲のものが剣でマントを引きちぎったり、地面に転がりまわったりして火を消している。だが、火勢は強くなる一方だ。
「火事と喧嘩はナキアの華ってヤツなのかよ!……導師、何とかしてくれよ!」
廉郡王がジュルチに言うが、ジュルチも困惑する。
「俺は消防士でないから、火を消す魔術は習得していない……」
ジュルチが周囲を見回し、ある僧侶を見つけて叫ぶ。
「レスター! お前の出番だ!」
するとその僧侶は弾かれたように腰に下げていた竹筒の水筒を掴んで、ラッパ飲みに水を口に含むと、ブワっと噴水のように勢いよく水を噴き出す。何やってんだよ、と廉郡王が呆気にとられる間もなく――。
突如、抜けた天井から滝に打たれるほどの豪雨がひとしきり降り注ぎ、瞬く間に鎮火した。ただしその場の者は全員、ぐっしょり濡れ鼠だ。
「びええっくしょい! 温暖な気候だからって、冬が寒くないわけじゃねーんだぞ! こんな季節に屋内で土砂降りとか!」
盛大に廉郡王が悪態をつくと、自分だけは要領よく、広間の隅の雨にあたらない場所に避難していたレスターと呼ばれた若い僧侶が、申し訳なさそうに頭を下げた。
「……すいません。火を消すのに必死で、そこまで思いいたりませんで……」
「なんなんだよっ……たく!」
すっかりずぶ濡れのマントをぎゅっと絞りながらブツブツ言う廉郡王に、ジュルチが取り成す。
「あれは遠隔地の火事を消す、割とポピュラーな技でな。だが距離が近かったので、加減を誤ったのだろう」
そうこうするうちに、火をつけた魔術師はふわりと踵を返し、神殿の奥へと走り出す。
「やべぇ! 追え! 奴は認証の間を狙っている! お姫様を危険にさらすな!」
「待て、そちらにはゾーイもゾラも、マニも、何より陛下がいる。それよりもこっちには新手が来たぞ!」
ジュルチの指摘どおり、神殿の外部からやって来る気配に廉郡王が舌打ちする。
「二面作戦かよ! 俺の頭が悪いことに気づいちまったのか!」
「殿下の脳筋とは関係ないっすから! あっちはゾラに任せて、新しいお客を気兼ねなく殺りまくりましょーや!」
リックに言われ、廉郡王がニヤリと微笑むと、濡れそぼったマントを捌いて、背後の聖騎士に振り返る。
「野郎ども!次なるご一行様のお出迎えと行こうじゃないか!」
「応!」
彼らが待ち受ける一行の先頭に立つのは白髪交じりの燃えるような赤い髪。いまだ壮健な、堂々たる体躯に深紅のマントを翻した壮年の男――。
「イフリート公爵だ!」
その姿に、廉郡王の唇がこれ以上なく残虐に歪む。
「なんだよ、お誂え向きじゃねぇかよ。……こんなに早く真打のご登場とはな!」
剣を手に走り込んできた公爵もまた、紫紺の瞳を見開いた。
「ほう……これはまた見事な、金の〈王気〉……お前が女王の夫……のはずがないな?」
「俺はあいつの甥っ子さ。といっても、誕生日は十日しか違わねぇんだけどな」
「つまり、おぬしは例の廃太子の息子……」
「そうともよ。よくも俺の親父を誑かしてくれたな。親父はどうでもいいが、そのおかげで弟たちが危うく死ぬところだったよ。――ここで、恨みを晴らせるとは、天と陰陽はつくづく粋なはからいをしてくれる」
剣を正眼に構えた廉郡王がニヤリと笑う。それを受けて、イフリート公爵もまた、手にする長大な剣を構える。赤銅の鎧には、赤い火蜥蜴の紋章が打ち出され、旗幟も赤い。しかし彼の背後に控える者たちは、全員、黒一色の装束に黒い頭巾で、目だけを出している。
「イフリートの〈黒影〉だ。――それに、この気配は魔物憑きだ」
ジュルチ僧正が廉郡王の背後で囁く。廉郡王が頷き、黒い瞳を眇めて、すうっと周囲を見回す。
「なるほどなあ。最強の訓練を積んだ奴等を魔物憑きにして、不死身にしようって魂胆か……だが、魔力の無い奴が、どれだけ耐えられるのか……」
〈黒影〉の多くは平民と聞いている。辺境の魔物を信奉する異民族の中には、身の内で魔物を飼って、自ら不死の肉体を得る者がいるが、普通はその民族の指導者層――つまり、龍種で言うところの貴種にあたる、魔力を持つ者たちに限られる。魔力のない平民が身に魔物を宿せば、その身が魔力に耐えきれない。――ずいぶんと、無茶なことをさせるものだ。
廉郡王は剣を構え直すと『聖典』の文句を唱えた。
「〈光よ、地に満ちよ、聖なる力よ、わが身に満ちよ〉……いっくぜぇ!野郎ども! 魔物憑きだろうがなんだろうが、皆殺しだ!」
「応!」
月神殿の広間で、壮絶な戦いが始まった。
ドゴーン! と凄まじい破壊音とともに、天井が突き破られ、真っ白な土煙がおき、バラバラと天井の破片が降り注ぐ。それに紛れるようにして、黒いローブを纏った大柄の男たちが三人、下りてきた。ぶわりと黒いローブが広がり、その下の灰色の僧衣が見える。ローブのフードが外れ、赤く長い髪がばさりと散る。その髪の色も、衣装も、何もかもがアタナシオスにそっくりだった。
その姿を見たジュルチ僧正が廉郡王に注意喚起する。
「赤い〈気〉を纏っている! 魔術師だ!」
「了解だ!……残念ながら俺には視えねえんだよ!」
廉郡王が剣を振るい、まず一番目の黒い魔術師に突進する。大上段に振りかぶって一気に振り下ろす。だが――。
ガキーン!
強力な魔力障壁に、廉郡王の渾身の攻撃が弾かれ、廉郡王は吹っ飛ばされて床に転がる。
「殿下!」
ユキエルが悲鳴を上げるが、リックが素早く前に出て、魔術師に次なる攻撃を仕掛けて廉郡王への攻撃を躱す。それを見たジュルチ僧正が額の前で印を結び、真言を唱える。
「破!」
ジュルチ僧正の足元に広がる魔法陣から、焔のような赤い光が沸き起こり、真っ直ぐ魔術師を狙う。赤い光が互いに衝突し、バンっ!と火花をあがり、魔術師が少し後退する。ジュルチの攻撃も大して効かないようであったが、魔力障壁にヒビが入ったのがわかった。
「いまだ! ウオー!」
床の上で素早く一回転してすでに態勢を立て直していた廉郡王は、すかさず雄叫びを上げて床を蹴り、常人ではなし得ない跳躍を見せて魔術師に迫り、袈裟懸けにする。
「ぐあああああ!」
聞くに堪えない断末魔の声は、まさしく人ではない。赤い、蜥蜴のような影が飛び上がり、だがまだ霧散しないそれを、リックが追いかけて斬る。ぶわりと光の粒子になって消えるその向こうで、別の魔術師が印を結び、大きな魔法陣を呼び出した。
その魔法陣から赤い焔が起こって、広間を舐めるように広がっていく。
冬のことで空気は乾いており、騎士のマントに火が移って、周囲のものが剣でマントを引きちぎったり、地面に転がりまわったりして火を消している。だが、火勢は強くなる一方だ。
「火事と喧嘩はナキアの華ってヤツなのかよ!……導師、何とかしてくれよ!」
廉郡王がジュルチに言うが、ジュルチも困惑する。
「俺は消防士でないから、火を消す魔術は習得していない……」
ジュルチが周囲を見回し、ある僧侶を見つけて叫ぶ。
「レスター! お前の出番だ!」
するとその僧侶は弾かれたように腰に下げていた竹筒の水筒を掴んで、ラッパ飲みに水を口に含むと、ブワっと噴水のように勢いよく水を噴き出す。何やってんだよ、と廉郡王が呆気にとられる間もなく――。
突如、抜けた天井から滝に打たれるほどの豪雨がひとしきり降り注ぎ、瞬く間に鎮火した。ただしその場の者は全員、ぐっしょり濡れ鼠だ。
「びええっくしょい! 温暖な気候だからって、冬が寒くないわけじゃねーんだぞ! こんな季節に屋内で土砂降りとか!」
盛大に廉郡王が悪態をつくと、自分だけは要領よく、広間の隅の雨にあたらない場所に避難していたレスターと呼ばれた若い僧侶が、申し訳なさそうに頭を下げた。
「……すいません。火を消すのに必死で、そこまで思いいたりませんで……」
「なんなんだよっ……たく!」
すっかりずぶ濡れのマントをぎゅっと絞りながらブツブツ言う廉郡王に、ジュルチが取り成す。
「あれは遠隔地の火事を消す、割とポピュラーな技でな。だが距離が近かったので、加減を誤ったのだろう」
そうこうするうちに、火をつけた魔術師はふわりと踵を返し、神殿の奥へと走り出す。
「やべぇ! 追え! 奴は認証の間を狙っている! お姫様を危険にさらすな!」
「待て、そちらにはゾーイもゾラも、マニも、何より陛下がいる。それよりもこっちには新手が来たぞ!」
ジュルチの指摘どおり、神殿の外部からやって来る気配に廉郡王が舌打ちする。
「二面作戦かよ! 俺の頭が悪いことに気づいちまったのか!」
「殿下の脳筋とは関係ないっすから! あっちはゾラに任せて、新しいお客を気兼ねなく殺りまくりましょーや!」
リックに言われ、廉郡王がニヤリと微笑むと、濡れそぼったマントを捌いて、背後の聖騎士に振り返る。
「野郎ども!次なるご一行様のお出迎えと行こうじゃないか!」
「応!」
彼らが待ち受ける一行の先頭に立つのは白髪交じりの燃えるような赤い髪。いまだ壮健な、堂々たる体躯に深紅のマントを翻した壮年の男――。
「イフリート公爵だ!」
その姿に、廉郡王の唇がこれ以上なく残虐に歪む。
「なんだよ、お誂え向きじゃねぇかよ。……こんなに早く真打のご登場とはな!」
剣を手に走り込んできた公爵もまた、紫紺の瞳を見開いた。
「ほう……これはまた見事な、金の〈王気〉……お前が女王の夫……のはずがないな?」
「俺はあいつの甥っ子さ。といっても、誕生日は十日しか違わねぇんだけどな」
「つまり、おぬしは例の廃太子の息子……」
「そうともよ。よくも俺の親父を誑かしてくれたな。親父はどうでもいいが、そのおかげで弟たちが危うく死ぬところだったよ。――ここで、恨みを晴らせるとは、天と陰陽はつくづく粋なはからいをしてくれる」
剣を正眼に構えた廉郡王がニヤリと笑う。それを受けて、イフリート公爵もまた、手にする長大な剣を構える。赤銅の鎧には、赤い火蜥蜴の紋章が打ち出され、旗幟も赤い。しかし彼の背後に控える者たちは、全員、黒一色の装束に黒い頭巾で、目だけを出している。
「イフリートの〈黒影〉だ。――それに、この気配は魔物憑きだ」
ジュルチ僧正が廉郡王の背後で囁く。廉郡王が頷き、黒い瞳を眇めて、すうっと周囲を見回す。
「なるほどなあ。最強の訓練を積んだ奴等を魔物憑きにして、不死身にしようって魂胆か……だが、魔力の無い奴が、どれだけ耐えられるのか……」
〈黒影〉の多くは平民と聞いている。辺境の魔物を信奉する異民族の中には、身の内で魔物を飼って、自ら不死の肉体を得る者がいるが、普通はその民族の指導者層――つまり、龍種で言うところの貴種にあたる、魔力を持つ者たちに限られる。魔力のない平民が身に魔物を宿せば、その身が魔力に耐えきれない。――ずいぶんと、無茶なことをさせるものだ。
廉郡王は剣を構え直すと『聖典』の文句を唱えた。
「〈光よ、地に満ちよ、聖なる力よ、わが身に満ちよ〉……いっくぜぇ!野郎ども! 魔物憑きだろうがなんだろうが、皆殺しだ!」
「応!」
月神殿の広間で、壮絶な戦いが始まった。
11
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる