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29、理不尽
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「すごい騒ぎになっているね、何があったの」
従兄のヘンリーに呼び止められ、彼の書斎に通される。修羅場を聞かれた以上、説明をしないで帰るわけにいかない。
ヘンリーは僕より二歳年上で、次期ヘンダーソン侯爵として、儀礼称号のストランド子爵を名乗っている。年は近いが、僕よりも兄のアシュリーと気が合って、僕とはそこまで仲がよかったわけではない。
「どうしたもこうしたもないよ……僕にも意味がわからないね」
煙草を勧められたが断り、僕は注がれたブランデーに口をつける。
「最近、女嫌いの君の家に、若い女性がいるという噂がある」
「……ああ、いるよ?」
ヘンリーが言った。
「……母さんがお冠でね。マーガレットを断っておきながら、て」
「マーガレットは赤ん坊の時から知っているんだよ。結婚する気にならないよ」
「マーガレットは兄の俺よりも、君のことを追いかけまわしていたからな」
「僕は今、好きな人がいて、彼女が妊娠している。彼女と結婚するつもりだと言ったら、マーガレットだけじゃなく、リリー叔母さんやライラまで騒ぎ始めた」
ヘンリーが葉巻をふかしながら、首を傾げる。
「……ライラは、デニスに死なれた上に隠し子まで出て来て、ちょっと不安定なんだ」
「それはそうだろう。僕もライラの耳には入らないようにしたかったが、リントン伯爵という人はどうにも思慮と分別が足りない気がするね」
僕が言えは、ヘンリーも頷いた。
「それは俺も同感だ。デニスが出征後にライラが流産して、かなり露骨に責めたらしい。その上、デニスの隠し子を養育させらようなんて、我が家としては到底、許容できない。父も、ライラの籍を抜く方向で考えている。……我が家としては、マーガレットが嫌なら、再婚にはなるがライラでもいいから、君がもらってくれないかと――」
「ヘンリー。勘弁してくれ。母も従兄妹同士の結婚は血が近すぎると反対しているんだ」
なぜ僕が、従妹のどちらかと結婚しなければならないのか。いい加減にしてくれよ。
「父も母も、日頃、大人しい君が結婚に対して我が侭を言うのに驚いている」
「勝手なことを!」
僕が悪態をつき、ヘンリーが心配そうに尋ねる。
「君の……結婚したい相手というのは、ちゃんと貴族なんだろうね?」
「貴族だよ。ただ、経済的な理由でメイド奉公に出ていた。……僕自身は彼女の身分も気にするつもりはなかったけれど、少なくともとやかく言われるような身分ではない」
「未婚の母だというのは本当なのか?」
ヘンリーの問いに、僕ははっきりと言った。
「僕はその点に関しては、女性の側だけが非難される風潮にはまったく賛同できないね。子供は女性一人で作れるわけじゃない。婚外子が非難されるならば、その責めは妊娠させた男も負うべきだよ。彼女は奉公先の主人の手がついて、妊娠を告げたら追い出された。僕は自力で子供を育ててきた彼女を素晴らしいと思うよ」
「……その、妊娠させた奉公先の男が、つまりライラの夫の……」
僕が無言で頷けば、ヘンリーはため息をついた。
「君は昔から、妙なところで博愛精神を発揮する。女性に優しすぎて食い物にされるぞ?」
「僕はそんな博愛主義者じゃないよ? 女性を食い物にしている世間の男たちとそんなに変わらない」
だがヘンリーはただ、首を振る。
「世間の男たちは、自分たちが女性を食い物にしているなんて、考えていない。君は常に罪の意識に怯えていた。……アシュリーが心配した通りになったよ」
僕はヘンリーの言う意味はよくわからなかったが、亡き兄アシュリーが常に、僕の心が弱すぎると言っていたことを思い出す。
「僕のすることがすべて正しいなんて思わないよ。でも僕は、妊娠した女性を捨てる男は軽蔑するね」
「……だから、君は責任を取って、その女性と結婚するんだね?」
「責任もあるけど、一番の理由は愛しているからだよ?」
「わかったよ、君の考えについては母さんにも告げておくよ」
そう言って、僕はヘンリーに別れを告げた。
家に帰りついた時にはすっかり夜になっていて、僕は疲労困憊してぐったりしていた。
「お帰りなさいませ、旦那様」
「――ああ、疲れたよ」
出迎えた執事のブレナンに帽子とステッキをと手渡し、僕はため息をつく。
「母上たちは?」
「大奥様たちはご夕食を済まされて、今はもうお部屋に」
「そう――僕は、明日にもアーリングベリに向かうつもりだ」
「……アーリングベリに?」
「ああ、ルーカスのことで」
僕がまっすぐ食堂に向かえば、メイドたちは心得て、簡単な夕食を運んでくる。
パンとシチューの夕食を食べながら、ブレナンに指示を下す。
「時刻表を調べておいてくれないか。アーリングベリ行きの列車の」
「かしこまりました」
「今回はリントン伯爵家には宿泊しない予定だ。だから、アーリングベリのホテルも調べられるかな?」
「旦那様がお泊りになるような宿だと、おそらくは一軒しかないと思います。この時期ならば予約は必要ないかと」
そんな話をして、僕は立ち上がった。
「従僕のシンプソンに命じて、最低限の支度をさせておいてくれ」
「かしこまりました」
僕はまっすぐに自分の部屋ではなく、ローズマリーの部屋に向かう。が、ちょうどルーカスの部屋から戻って来たらしい、ローズと部屋の前で行き会った。
「ローズ!」
「イライアス。……お帰りなさい。ルーカスは今、眠ったところ」
「今日はすまなかった……」
「あのご令嬢は大丈夫でした?」
ローズマリーに聞かれ、僕は肩を竦める。
「ああ、なんだか母娘ともども大泣きして……ライラまで妙なことを言い出すし」
「……妙なこと?」
僕はローズマリーの腰に手を回し、二人で部屋に入るとランプを点け、パタリと戸を締める。
「僕は、マーガレットと結婚する気はないと、以前にもはっきり断っているのに。君のお腹に子供がいるから、結婚するつもりだと言ったのだけど」
「でもこの子は――」
ローズマリーの言葉を遮り、僕は続ける。
「ライラは、本当にルーカスはデニスの子なのか、デニスは妊娠させた女を捨てるような男じゃない、なんて言い出した」
「……でも、ルーカスはデニス様にそっくりよ?」
「ライラだって一目で気づいたくらいよく似てる。なのに支離滅裂なことを言い出すから、リリー叔母さんがさらに、デニスの子を産んで、さらに僕の子を妊娠するなんてアバズレとの結婚は認められないなんて言い出して、僕は怒って帰ってきた」
「アバズレ……」
そう繰り返すローズマリーに、僕が言った。
「君はアバズレじゃないよ」
「それが、普通の反応よ。結婚しないのに子供を産むなんて、許されないことだって。あの人――あの、家庭教師の人にも言われたわ」
「ローズ!」
ローズマリーがまっすぐに僕を見上げる。
「あの人、お腹の子の父親はあなたじゃないに違いないって。……そうやって疑う人だっているし、あなただって、探偵を雇って、わたしとクライブの関係に気づいたのでしょう? 他の人だって探偵を雇うかもしれないわ。そもそも、町医者の血を、この由緒あるマクミラン侯爵家に入れるつもりなの?」
「由緒? そんなのどうだっていい。人間は遡れば所詮はサルなんだから!」
「イライアス!」
僕は疲れていた。
ローズマリーを批判する人々の、悪意ある言葉に曝されて。
力のない彼女が、主家の嫡男に逆らえるわけもないのに。十六歳だった彼女が、どうやって男を誘惑すると言うんだ。そうして子を孕めば追い出され、未婚の母として貶められてきた。その上、その弱い立場につけこまれて、あの忌々しい偽医者の子まで孕まされて。ローズマリーは被害者でしかない。なのに――
なのに結局、ふしだらなアバズレと批判されるのはローズマリーであって、彼女を踏みにじったデニスもマコーレーも、少なくともそのことでは罰を受けないのだ。
かたや、ローズをアバズレと非難する、リリー叔母さんやマーガレットや、ライラは。
彼女たちは確かに清く正しいかもしれない。でも、それは、彼女たちが名門の家門と財産、そして叔父やヘンリーらの、しっかりした親族の男の庇護を得ているからだ。恵まれた立場故に貞節を守ることができた貴族の女たちが、守られず、踏みにじられてきたローズマリーらをさらに貶める。
その悪循環が僕は許せない。なのに頭に血が上っている僕の激情は、目の前のローズに向けられてしまう。
――間違っているのはわかっているのに、僕は自分を止めることができなかった。
荒ぶる気持ちのまま、僕はドア付近の壁にローズマリーを押し付け、強引にスカートを捲りあげた。
「イライアス、やめて」
「やめない、君の身体は僕のもので、お腹の子は僕の子だと、証明してやる」
従兄のヘンリーに呼び止められ、彼の書斎に通される。修羅場を聞かれた以上、説明をしないで帰るわけにいかない。
ヘンリーは僕より二歳年上で、次期ヘンダーソン侯爵として、儀礼称号のストランド子爵を名乗っている。年は近いが、僕よりも兄のアシュリーと気が合って、僕とはそこまで仲がよかったわけではない。
「どうしたもこうしたもないよ……僕にも意味がわからないね」
煙草を勧められたが断り、僕は注がれたブランデーに口をつける。
「最近、女嫌いの君の家に、若い女性がいるという噂がある」
「……ああ、いるよ?」
ヘンリーが言った。
「……母さんがお冠でね。マーガレットを断っておきながら、て」
「マーガレットは赤ん坊の時から知っているんだよ。結婚する気にならないよ」
「マーガレットは兄の俺よりも、君のことを追いかけまわしていたからな」
「僕は今、好きな人がいて、彼女が妊娠している。彼女と結婚するつもりだと言ったら、マーガレットだけじゃなく、リリー叔母さんやライラまで騒ぎ始めた」
ヘンリーが葉巻をふかしながら、首を傾げる。
「……ライラは、デニスに死なれた上に隠し子まで出て来て、ちょっと不安定なんだ」
「それはそうだろう。僕もライラの耳には入らないようにしたかったが、リントン伯爵という人はどうにも思慮と分別が足りない気がするね」
僕が言えは、ヘンリーも頷いた。
「それは俺も同感だ。デニスが出征後にライラが流産して、かなり露骨に責めたらしい。その上、デニスの隠し子を養育させらようなんて、我が家としては到底、許容できない。父も、ライラの籍を抜く方向で考えている。……我が家としては、マーガレットが嫌なら、再婚にはなるがライラでもいいから、君がもらってくれないかと――」
「ヘンリー。勘弁してくれ。母も従兄妹同士の結婚は血が近すぎると反対しているんだ」
なぜ僕が、従妹のどちらかと結婚しなければならないのか。いい加減にしてくれよ。
「父も母も、日頃、大人しい君が結婚に対して我が侭を言うのに驚いている」
「勝手なことを!」
僕が悪態をつき、ヘンリーが心配そうに尋ねる。
「君の……結婚したい相手というのは、ちゃんと貴族なんだろうね?」
「貴族だよ。ただ、経済的な理由でメイド奉公に出ていた。……僕自身は彼女の身分も気にするつもりはなかったけれど、少なくともとやかく言われるような身分ではない」
「未婚の母だというのは本当なのか?」
ヘンリーの問いに、僕ははっきりと言った。
「僕はその点に関しては、女性の側だけが非難される風潮にはまったく賛同できないね。子供は女性一人で作れるわけじゃない。婚外子が非難されるならば、その責めは妊娠させた男も負うべきだよ。彼女は奉公先の主人の手がついて、妊娠を告げたら追い出された。僕は自力で子供を育ててきた彼女を素晴らしいと思うよ」
「……その、妊娠させた奉公先の男が、つまりライラの夫の……」
僕が無言で頷けば、ヘンリーはため息をついた。
「君は昔から、妙なところで博愛精神を発揮する。女性に優しすぎて食い物にされるぞ?」
「僕はそんな博愛主義者じゃないよ? 女性を食い物にしている世間の男たちとそんなに変わらない」
だがヘンリーはただ、首を振る。
「世間の男たちは、自分たちが女性を食い物にしているなんて、考えていない。君は常に罪の意識に怯えていた。……アシュリーが心配した通りになったよ」
僕はヘンリーの言う意味はよくわからなかったが、亡き兄アシュリーが常に、僕の心が弱すぎると言っていたことを思い出す。
「僕のすることがすべて正しいなんて思わないよ。でも僕は、妊娠した女性を捨てる男は軽蔑するね」
「……だから、君は責任を取って、その女性と結婚するんだね?」
「責任もあるけど、一番の理由は愛しているからだよ?」
「わかったよ、君の考えについては母さんにも告げておくよ」
そう言って、僕はヘンリーに別れを告げた。
家に帰りついた時にはすっかり夜になっていて、僕は疲労困憊してぐったりしていた。
「お帰りなさいませ、旦那様」
「――ああ、疲れたよ」
出迎えた執事のブレナンに帽子とステッキをと手渡し、僕はため息をつく。
「母上たちは?」
「大奥様たちはご夕食を済まされて、今はもうお部屋に」
「そう――僕は、明日にもアーリングベリに向かうつもりだ」
「……アーリングベリに?」
「ああ、ルーカスのことで」
僕がまっすぐ食堂に向かえば、メイドたちは心得て、簡単な夕食を運んでくる。
パンとシチューの夕食を食べながら、ブレナンに指示を下す。
「時刻表を調べておいてくれないか。アーリングベリ行きの列車の」
「かしこまりました」
「今回はリントン伯爵家には宿泊しない予定だ。だから、アーリングベリのホテルも調べられるかな?」
「旦那様がお泊りになるような宿だと、おそらくは一軒しかないと思います。この時期ならば予約は必要ないかと」
そんな話をして、僕は立ち上がった。
「従僕のシンプソンに命じて、最低限の支度をさせておいてくれ」
「かしこまりました」
僕はまっすぐに自分の部屋ではなく、ローズマリーの部屋に向かう。が、ちょうどルーカスの部屋から戻って来たらしい、ローズと部屋の前で行き会った。
「ローズ!」
「イライアス。……お帰りなさい。ルーカスは今、眠ったところ」
「今日はすまなかった……」
「あのご令嬢は大丈夫でした?」
ローズマリーに聞かれ、僕は肩を竦める。
「ああ、なんだか母娘ともども大泣きして……ライラまで妙なことを言い出すし」
「……妙なこと?」
僕はローズマリーの腰に手を回し、二人で部屋に入るとランプを点け、パタリと戸を締める。
「僕は、マーガレットと結婚する気はないと、以前にもはっきり断っているのに。君のお腹に子供がいるから、結婚するつもりだと言ったのだけど」
「でもこの子は――」
ローズマリーの言葉を遮り、僕は続ける。
「ライラは、本当にルーカスはデニスの子なのか、デニスは妊娠させた女を捨てるような男じゃない、なんて言い出した」
「……でも、ルーカスはデニス様にそっくりよ?」
「ライラだって一目で気づいたくらいよく似てる。なのに支離滅裂なことを言い出すから、リリー叔母さんがさらに、デニスの子を産んで、さらに僕の子を妊娠するなんてアバズレとの結婚は認められないなんて言い出して、僕は怒って帰ってきた」
「アバズレ……」
そう繰り返すローズマリーに、僕が言った。
「君はアバズレじゃないよ」
「それが、普通の反応よ。結婚しないのに子供を産むなんて、許されないことだって。あの人――あの、家庭教師の人にも言われたわ」
「ローズ!」
ローズマリーがまっすぐに僕を見上げる。
「あの人、お腹の子の父親はあなたじゃないに違いないって。……そうやって疑う人だっているし、あなただって、探偵を雇って、わたしとクライブの関係に気づいたのでしょう? 他の人だって探偵を雇うかもしれないわ。そもそも、町医者の血を、この由緒あるマクミラン侯爵家に入れるつもりなの?」
「由緒? そんなのどうだっていい。人間は遡れば所詮はサルなんだから!」
「イライアス!」
僕は疲れていた。
ローズマリーを批判する人々の、悪意ある言葉に曝されて。
力のない彼女が、主家の嫡男に逆らえるわけもないのに。十六歳だった彼女が、どうやって男を誘惑すると言うんだ。そうして子を孕めば追い出され、未婚の母として貶められてきた。その上、その弱い立場につけこまれて、あの忌々しい偽医者の子まで孕まされて。ローズマリーは被害者でしかない。なのに――
なのに結局、ふしだらなアバズレと批判されるのはローズマリーであって、彼女を踏みにじったデニスもマコーレーも、少なくともそのことでは罰を受けないのだ。
かたや、ローズをアバズレと非難する、リリー叔母さんやマーガレットや、ライラは。
彼女たちは確かに清く正しいかもしれない。でも、それは、彼女たちが名門の家門と財産、そして叔父やヘンリーらの、しっかりした親族の男の庇護を得ているからだ。恵まれた立場故に貞節を守ることができた貴族の女たちが、守られず、踏みにじられてきたローズマリーらをさらに貶める。
その悪循環が僕は許せない。なのに頭に血が上っている僕の激情は、目の前のローズに向けられてしまう。
――間違っているのはわかっているのに、僕は自分を止めることができなかった。
荒ぶる気持ちのまま、僕はドア付近の壁にローズマリーを押し付け、強引にスカートを捲りあげた。
「イライアス、やめて」
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