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妖怪神社の大ピンチ
最強の助っ人
しおりを挟むギョッとして中途半端になった突きを黒羽がかわす。
彼の視線は衝撃音の方へ既に向けられていた。
「……鬼龍院?」
「テメエ……絶対に許さねえ!」
ブロック塀をぶち壊していきなり乱入してきた激しい怒りのオーラを纏うその人に、僕は見覚えがあった。僕の家が銭湯にされていた時、ホカホカの湯気と共に出てきた謎の金髪スカジャン男だ。
「あ、あの人は鬼龍院さんですう!」
「やべえっす! マジ強えっす!」
コンとポンが突然現れ、解説をしてくれた。
「君たち今までどこにいたの?」
「狛狐に変化してました!」
「ボクは信楽焼のたぬきに」
「逆に目立たない⁉︎」
「そんなことより、早く逃げた方がいいですう! 鬼龍院さんは鬼の一族の中でも最強と呼ばれている暴れん坊なんですう! あの人を怒らせたら確実に死人が出る上、街が半壊してしまいますう!」
なんてこった。黒羽さんよりヤバそうな人が来てしまった。
「そんな人がどうしてここに……」
「助っ人……じゃないっすか?」
ポンが丸い尻尾をフサフサ揺らしながら言った。
「氏神様が言ってたっす! 助っ人を連れてくるって!」
「あの人が助っ人⁉︎」
「そうですよ! 鬼龍院が相手なら黒羽さんも無事では済みません!」
僕はスカジャンにダメージジーンズのチンピラ然とした鬼龍院を目で追った。どう見てもヤンキー。
まさに最強の助っ人だとは思うが、二人が激突する場面を想像すると……。
「この神社、物理的に潰れそうじゃない?」
すると、美彌子さんが動いた。たたっと軽やかに鬼龍院の元へ走って行ってしまう。
「み、美彌子さん!」
「あのう、改修工事のお仲間の方ですか?」
「あ”あ”⁉︎」
鬼龍院の鬼にらみにも臆せず、彼女はにこやかに続ける。
「ご苦労様です! タダでご奉仕いただきありがとうございます。なるべく大きな音を立てずに作業をお願いしますね。もう夜中なので」
「人間か。お前らは邪魔だからとっととどこかへ行け! 巻き添えを喰らいたくなきゃな」
「はい! お心遣い、ありがとうございます! 神のご加護を~!」
ハラハラしたけど、美彌子さんは無事に戻ってきた。
「それでは私、離れに戻りますね! おやすみなさい」
「う、うん。おやすみなさい」
ホッとしたのも束の間だった。
「何を怒っていらっしゃるんですか? 鬼龍院さん。私はあなたを怒らせた覚えはありませんよ」
「ざけんな! ぬらりから聞いたぞ! テメエ、俺のことあることないこと言いふらしてるそうだな!」
鬼龍院がぶち壊したブロック塀の塊を拾い上げ、黒羽に向かって投げつけた。それは時速500キロのリニアモーターカーに匹敵するスピードで飛んでいき、ギリギリでかわした黒羽さんのその向こうに建っていた小さな小屋を粉砕した。
「あ……私の家が」
美彌子さんがポツリとそう呟いた。
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