社くん家は居心地がいい

ゆづ

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妖怪神社の大ピンチ

お願いしまーす!

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「こんなところで何をしてるんです?」
「美彌子さんこそ、どうしてここに?」
「私はこの神社の敷地内の離れに住んでいるんです。それで、騒がしい声がしたので様子を見に」

 シンプルなチェック柄のパジャマが昼間の巫女姿とギャップがあってとても可愛い。って、ほのぼのしている場合じゃない。

「ここは危険です! 早く逃げてください!」
「え?」
「──私を無視しないでください」

 黒羽の怒りの声と共に、鳥居の上から再び強風が襲いかかってくる。僕は「危ない!」と叫んで美彌子さんを抱き抱えながら横向きに跳んだ。

「きゃああ~!」

 間一髪、さっきまで僕らのいた場所の砂利が吹き飛ぶ。まるで重い鉄球でも投げ込まれたかのようだ。
 跳びながらなんとか自分が下になって衝撃を受け止めたけど、二度目だから背中がめちゃくちゃ痛い。それに、美彌子さんの重さも地味に堪える。

「いてて……大丈夫ですか、美彌子さん⁉︎ お怪我は⁉︎」
 顔を顰めながら片目を開くと、至近距離に美彌子さんの可愛いおでこがあった。

「何をやってるんですか、尚之介さん? こ、これは一体どういう??」

 美彌子さんは不思議そうに顔を上げ、僕の胸の上で黒髪を暴れさせながらキョロキョロ辺りを見回し、(その瞬間すごくいい匂いがした)鳥居の上の黒羽を見つけた。

「建設業者の方? こんな時間からもう改修工事ですか?」
「はっはっは。その通り。今からこの神社を造り替えさせていただきますよ。私色にね」
「お願いしまーす!」
「お願いしないでください!」

 力が抜ける。どうしてこの人はこんなにボケてるんだ。

「なるほど、工事が始まるから危険なんですね? 理解しました」
「かなりズレていますが、危険度を理解してくださって助かります。早くここから脱出してください!」
 美彌子さんを胸の上から下ろし、僕は転がっていた竹刀を掴んだ。

「そうはさせませんよ」

 黒羽は鳥居から飛行するような大ジャンプで僕らの目の前に片膝をついて着地した。20メートル以上の距離はあったのに、一瞬だ。
 黒羽を中心に波紋が広がるようにして砂塵が舞う。
 
「逃しませんよ、二人とも。ぬらりひょんの居場所を吐くまではここから一歩も出しません」
「くっ……」

 僕は剣先を黒羽の喉元に向けた。
 せめて美彌子さんだけでも逃がさないと。
 僕の決死の覚悟を黒羽が笑う。彼の目には僕の竹刀なんてマッチ棒みたいに貧弱なものに見えているんだろう。
 実際、それほどの効果しか出せないかもしれない。だが最後まで足掻いてみせる。
 
 腰を落とし、膝に力を入れたその時、足元の小石がパキッと鳴った。
 その僅かな音が僕らの決戦の合図だった。


「逃げろ、美彌子さん!」

 
 声を張り上げながら、僕は思い切り前方へ右足を踏み込み黒羽に突進した。そして突きをくらわそうとした次の瞬間だった。

 ドカン! と入り口の鳥居の方で激しい衝突音がした。


「黒羽ええええ! 出てこいや!!」


 


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