694 / 698
魔呂学科実習
フルエレさん……? 惨劇
しおりを挟む『よし、勝負は面打ちか胴に有効打を入れたら勝ちとする。籠手はノーカウントだ。それと前に出ず無気力試合をやらかしても減点するからな! まずは両者礼!!』
『お願いします』
『お願いします』
『構えーー、始めっっ!』
セレネは勢いよく竹刀を振り下ろした。それを見て、雪布留の蛇輪はビクッとする。
『は、始まっちゃった!?』
「雪布留がんばりなさいよ? 斬り殺されにゃいで」
『うおーーやっちまって下さい!』
『負けたくないっス!』
大人数の蛇輪内はガヤガヤ言って、雪乃フルエレの気が散った。
『ちょっとうるさいわよっ!』
等と言っている間にも、木剣を構えたユリィーナのXS25はどんどんとにじり寄って来る。
カシィーーン!
遂に両者の木剣がかち合った。
『行きますわ!』
カシィーンカシィーンと次々に繰り出すユリィーナの剣を、なんとか蛇輪の雪布留はかわして行く。余程腕に覚えがあるのか、ユリィーナはド派手な蛇輪の姿にも気圧される事無く余裕で剣を繰り出して来る。蛇輪は防戦一方で手を出す事が出来ない。
『雪布留がんばってーー! と、スナコちゃんが言ってるぴょん』
『ややこしいな』
声を出す事が出来ないスナコはひたすら必勝の念を送った。だからと言って何になる訳でも無いが。
カシィーン、カシィーーン!
その間もやはりユリィーナのXS25が優位に次々と攻撃を繰り出す。
『めーーーーーんっ!』
ヒュッ!
隙を見て、遂にXS25が蛇輪の頭頂部に木剣を振り下ろしたが、寸前で蛇輪は横に避けた。
『危ないっ!?』
『ふふふ、避けてばかりでは勝負になりませんよ! その派手な機体はコケ脅しですか??』
遂に見切ったとばかりに、今度はすり抜けざまに胴を切り裂こうとする。
カシィーーン!
しかし雪布留は、かなり無理な体勢で逆手に持った木剣でなんとか胴斬りを防いだ。
『うっ』
『あぶない雪布留さん!』
ミラが叫ぶが、受けた衝撃で足がふら付いた。
『ふふっそんな事では情けないですよ! えいっ』
ガシッ!!
ふらついた蛇輪の胸の辺りを、XSの足の裏が思い切り蹴った。
ドシーーーン!!
衝撃で後ろに尻もちを着いて倒れる蛇輪。中では凄い衝撃が走った……
『キャーーーーーーッ!?』
『ちょっとしっかりしにゃさいよーー!』
(フルエレ!?)
(フルエレさん??)
『こらーー! ピッピーーッ組打ちは禁止だぞ、手足を出すな!!』
思わずセレネは竹刀を振り上げた。蛇輪は尻もちをついたまま動かない。
『あの雪布留さんて子のド派手な魔呂、たいした事ないですわね?』
『所詮どこかのお金持ちの道楽なのかしら?』
『XS25って案外性能が良いですのね』
『もう勝負ありましたわ……』
ユーキュリーネ始め、生徒達がひそひそと会話し合った。
『…………』
「雪布留?」
ゆっくりと起き上がった蛇輪の上の操縦席内では、横に立つ猫呼がフルエレの様子の違いに気付いた。彼女は天使で聖女の様な容姿とは裏腹に気が短くそこそこ心が狭い……
『……よくも……やったわね……』
「うっフルエレ、これは練習試合よ、しかも相手は実戦も知らないヒヨッコよ」
猫呼は小声で必死に彼女をなだめた。
『ふふふ、怖くて動けませんか? ならこちらから行きますよ、でやーーーーーーっ!』
XS25のユリィーナは決着を決めてやろうと木剣を振りかぶりながら走って来た。しかし蛇輪は全く微動だにしない。
ドシンドシンドシンドシン……
『でやーーーーっ覚悟ぉーーーー!!』
『ちょっとぉーー動きにゃさい!?』
『雪布留さん!?』
ビシューーッ!
木剣が振り下ろされ、蛇輪の頭にヒットしようかという瞬間、フルエレの目がビカッと光りスッと身を屈め余裕で避けた。
ドシューーーッ!!
しかし次の瞬間、蛇輪の鋭く尖った爪がXS25の片腕を切り落として飛ばしていた。
『えっ?』
一瞬過ぎてユリィーネ自身も気付いていない程だった。
『まだだっ!』
ビシュッ!
残りの腕が飛んだ直後次の瞬間、さらにXS25の首根っこを掴んだ蛇輪は恐ろしい怪力でブンッと身体を振り上げるとそのまま地面に叩き付けた。
ドシャーーーン!!
『ぎゃーーーーーー!?』
バシャッ!
断末魔の叫びの直後、地面に叩き付けられ緊急脱出ボルトが飛び散り、ハッチが開いてXS25は動かなくなった。
ビシュッ!!
その直後、駄目押しに鋭い爪で首まで刎ねてしまった……
シィーーーーン……
全ては一瞬の惨劇であった。生徒達もセレネも余りの惨状に一瞬誰も何も言う事が出来なかった。
『……ハッやってしまった!? 私なんて事を……怖い』
『雪布留さんのアホーーーッ!!』
自分のやってしまった事に愕然とする雪布留にセレネは血相を変えて怒鳴った……
(君それ、全く笑えない未〇や〇えやないか)
スナコも眼前の出来事に言葉を失った。
0
あなたにおすすめの小説
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった
ぐうのすけ
ファンタジー
無才・貧乏・底辺高校生の稲生アキラ(イナセアキラ)にゲームの悪役貴族が憑依した。
悪役貴族がアキラに話しかける。
「そうか、お前、魂の片割れだな? はははははは!喜べ!魂が1つになれば強さも、女も、名声も思うがままだ!」
アキラは悪役貴族を警戒するがあらゆる事件を通してお互いの境遇を知り、魂が融合し力を手に入れていく。
ある時はモンスターを無双し、ある時は配信で人気を得て、ヒロインとパーティーを組み、アキラの人生は好転し、自分の人生を切り開いていく。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる