100 / 698
II メドース・リガリァと北部海峡列国同盟
路面念車に乗って 3 セレネ、一緒にプレゼントを買いに行きましょう
しおりを挟む
新ニナルティナ港湾都市、喫茶猫呼開店直後。
「聞いて下さいフルエレさん! 朗報ですよ、ラ・マッロカンプ王国が内々に、列国同盟に参加すると表明して来ました! どんどん大きくなっています、締結の日が楽しみですねっ!」
店内に入ってくるなりセレネは笑顔で報告をするが、店内に当のフルエレの姿は無かった。
「あ・れ、フルエレさんは?」
セレネはキョロキョロ店内を探した。
「……フルエレは……再びブラジルに会うそうです。さっき自室前で聞きました」
「……ここって喫茶店ってなってるけど、実際にはあたしらのサロンみたいな物だな……」
「本当だったらギルドマスターオフィスを、共有スペースにしてれば良かったのですが、あそこは猫呼が死守してますので自由に使えません。廊下で立ち話も何なので……という訳で結局ここに集まるしか無いのです」
「まあフルエレさんが出掛けるにしても、一回ここを経由してくれるだけでも有難いという事か」
「お待たせ! じゃあ砂緒、後をよろしくねっ! イェラにも言っておいてね!」
そうこう会話している内に、噂の雪乃フルエレが店内に入って来た。
「……フルエレさん聞いて下さい、列国同盟にラ・マッロカンプが参加を表明してくれました……」
「ふ、ふーん? 凄い事なの? 知らない内に規模がなんかデカくなって行ってて怖いわ……あ、でもごめんねセレネ! 今日はアルベルトさんと政庁移転候補先の下見に行く事になったの! 後でちゃんと聞くからね、どうかしら今日の服は可愛いかしら??」
前回のパーティー事件の時に匹敵するくらいに、ひらひらした可愛い服を着たフルエレが、にこにこ笑顔でくるくる回転した。
「あ、あのフルエレさん……結構大事な話なんですが……」
「ごめんね! 絶対に今度聞くからね、あと砂緒、絶対に付いて来ないでよ。今日は路面念車を使って移動して、常に周囲に人がいっぱい居て、二人きりで喫茶店にすら入らないんだからね。あとクレウさん、姿が消せる魔法使って追跡しないでね。二人共絶対よ!」
最初は笑顔だったが、砂緒とクレウに釘を刺す瞬間には恐ろしい顔になっていた。
「いいえ、その様な事は致しません。どうぞごゆっくり」
「いいですかブラジルはド変態です。その事は絶対に忘れないで下さい」
「………………付いて来ないという事だけは嬉しいわ、じゃあねっ! うふふふふふふ」
フルエレは背中に羽根でも生えている様に、軽やかに店を飛び出ると階段を駆け上がって、路面念車・港湾都市中央駅に向かって行った。喫茶猫呼の入るビルは港湾都市のちょうど都心部中央に位置していた。
「……フルエレさんが、あんなに男の事ばっかり考えてる女の子とは思わなかった。最近は幻滅してばかりだよ」
「やめて下さい! フルエレはそんな女性ではありません。今のフルエレは一種の熱病の様な物で、もうすぐ目を覚まして私の元に戻って来ますから!」
「あんたのそのメンタルの強さには関心するよ……でも列国同盟はラ・マッロカンプだけじゃ無くて、今やブラザーバンド島国やシィーマ島国も参加する事が決まっていて、とても大きな物になりつつあります。フルエレさんにはもっと、天下国家について想いを馳せる様になって欲しい……」
セレネは頭を抱えた。
「そういう話は猫呼が大好きですからねえ、思い切って猫呼に乗り換えてみたらどうでしょうか?」
「いや、猫呼ちゃんは……あんまり会った事ないけど、余りにも権力に向かってガツガツするタイプはむしろ良く無いかと。あたしがフルエレさんに目を付けた事は間違いだったのだろうか……」
そこに厨房からイェラが出て来た。
「じゃあ、フルエレと猫呼を混ぜて二つに割ったら、丁度良いのが出来るな!!」
「いや、フルエレはモンスターじゃ無いのですから、合成しちゃったら駄目でしょう……」
「モンスターじゃない、料理の食材のつもりで言っただけだっ!」
「もっと駄目じゃん……」
セレネは首を振った。
「……………………」
そのセレネを砂緒がじっっと凝視し始めた。
「いや何だよキモイな、何か言えよ、何見てるんだよ」
「………………いや、セレネ……」
砂緒は一言二言何か言うと、また黙り込んで凝視した。
「いやだから何だよ、喧嘩売ってるのか??」
「………………何か買います」
砂緒が珍しく小声で、もじもじしながら言った。
「買う……喧嘩をか?」
「違います………………その、何かプレゼントを買います」
「はぁ? 何でお前にプレゼント買われる理由があるんだよ、ていうかプレゼントって買う事を表明する物か??」
「この前セレネ、私が魔ローダーの始動鍵の宝石を見せた時、てっきりプレゼントだと勘違いして激しくときめいたにも関わらず、始動鍵と知りスカを食らい、地獄のどん底に落ちたはずです」
「ときめいてるかっ! ……細かい事覚えてるな」
「ときめいたのにスカだった、あの時セレネが感じた羞恥を思うと、今でも恥ずかしいのです」
砂緒は赤面して顔を隠した。
「話聞いてるか? ときめいてねーしって!」
突然の展開に、イェラは気分を落ち着かせる為にお茶を一口飲んだ。
「それだけでは無いのです。つい先日、激情と欲望のままセレネの両手首を掴み、壁に追いやり、そしてそして、キスを強要した事をお詫びしたいのですっ!!」
ブーーーーー!!
イェラはお茶を噴射した。
「おおおーーーーーーーーーーーーーーーーい!! デリカシーゼロかよっ!? 違いますよ、これは砂緒の妄想です。全部妄想です、そんな事実は全く御座いませんでしたっ!」
(ここでそれ言うか!?)
セレネはこれ以上無いというくらいに赤面しながらも、なんとか平静を装って手を超高速で振った。
「そういう訳で、お詫びのしるしに何か買ってプレゼントしたいのですが……」
「お詫びする前に新たなダメージ作ってどうするよ?」
「しかしセレネがどの様な物で喜ぶのか分からないのです。そこで一緒にプレゼントを買いに行きませんか?」
砂緒が指先をくねくねしながら言った。態度からしてどうやら本気の様である。
「ほえ? 私へのプレゼントを私が選ぶって事? それって実はフルエレさんへのプレゼントでしたってオチじゃ無いだろうな?」
「はぁ~~どうしてそんな捻くれた事を考えるのですか? そういう所が駄目な所ですよ」
「何でお前にそんな事言われなくちゃならん」
「どうするのですか? 行くのですか行かないのですか??」
「ま、まあ……くれるって言う物を断る必要も無いかな……」
セレネは意外にも即座に断るという事は無かった。
「あ、でも店があるしな……イェラお姉さま一人に押し付けるのは悪いしな」
「いやいやいや、行け! 今すぐ行け! どんな事があっても行け! 店なんか私一人で見るぞ! とにかく行け!」
イェラは突然猛プッシュを始めた。
「ひゃ、ひゃい!? わ、わかりました……」
セレネはイェラの迫力に押され、行くことに決めた。
「嬉しいです。では私を魔輪で商店街に連れて行って下さい!」
「私へのプレゼントを買いに、私が魔輪運転して行くのかよ、何か変だな……」
「魔力が使えず面目無い、連れて行って下さい」
セレネは何か一瞬迷った様な顔をした。
「あ、じゃあ制服だと変だから、少し着替えて来るわ。すぐに戻るから、待っててくれ」
「……はぁ」
砂緒は二人共制服のままですぐさま行くつもりだったので、拍子抜けした。
「うんうんそれが良いなっ! 砂緒はいくらでも待つぞ、行って来い!」
イェラが笑顔でセレネを見送った。
―十分後。
「遅いですね……いつになったら降りて来るのか」
「馬鹿なのか、十分で着替えれる訳ないぞ!!」
―三十分後。
「三十分経ちましたが、何時になったら降りて来るのでしょうか……」
「ははは、三十分くらい掛かっても当然なのだ!」
―一時間後。
「一時間はさすがにイェラも遅いと思うでしょう……」
「確かに遅い……何か得体の知れない敵に襲われ、のっぴきならない状況に陥ってる可能性があるぞ!!」
イェラも流石に遅いと思い始めた。
「ごめん……待ったか?」
少し恥ずかしそうにしてセレネが店内に戻って来た。戻って来たセレネは喫茶猫呼の黒いシックな制服とは違い、水色の爽やかな可愛い服を着ていた。普段学園の制服だとか喫茶店の制服だとか黒い色の姿が多いセレネだけに、その着替えた姿はイェラにも砂緒にも鮮烈に映った。
(セレネがすっごいおめかししてるーーーーーーっ、すっごい気合が入った可愛い服着てるーーーーーーーー!!)
イェラは衝撃の展開に言葉を失った。
「どっかそこら辺に落ちてた服を適当に着ただけだ、砂緒あ、あんまじろじろ見んな……」
(うわ、すっごい嘘ついてるーーーーーーーっ、気合が入っている事を恥ずかしがってるーーーーーーーーーっ砂緒、責任重大だぞーーーーーー!?)
イェラはドキドキして砂緒を見た。
「セレネ……馬子にプギャッ」
一瞬、イェラは実力以上のスピードが出、砂緒を殴り飛ばした。
(それじゃ無い、違う違う、そうじゃない……)
イェラは首を振り、ダラダラと鼻から血を流す砂緒に、無言で信号を送った。
「ふぉえ? セレネ……その、すっごく可愛いです。凄く似合って……いますよ?」
砂緒はイェラの表情を確認しながら言った。
「へ、変な事言うな……ホントにどっかそこら辺に落ちてた服を適当に着ただけだっ!」
セレネは褒められて、赤面しつつ隠しきれない笑顔になっていた……
「聞いて下さいフルエレさん! 朗報ですよ、ラ・マッロカンプ王国が内々に、列国同盟に参加すると表明して来ました! どんどん大きくなっています、締結の日が楽しみですねっ!」
店内に入ってくるなりセレネは笑顔で報告をするが、店内に当のフルエレの姿は無かった。
「あ・れ、フルエレさんは?」
セレネはキョロキョロ店内を探した。
「……フルエレは……再びブラジルに会うそうです。さっき自室前で聞きました」
「……ここって喫茶店ってなってるけど、実際にはあたしらのサロンみたいな物だな……」
「本当だったらギルドマスターオフィスを、共有スペースにしてれば良かったのですが、あそこは猫呼が死守してますので自由に使えません。廊下で立ち話も何なので……という訳で結局ここに集まるしか無いのです」
「まあフルエレさんが出掛けるにしても、一回ここを経由してくれるだけでも有難いという事か」
「お待たせ! じゃあ砂緒、後をよろしくねっ! イェラにも言っておいてね!」
そうこう会話している内に、噂の雪乃フルエレが店内に入って来た。
「……フルエレさん聞いて下さい、列国同盟にラ・マッロカンプが参加を表明してくれました……」
「ふ、ふーん? 凄い事なの? 知らない内に規模がなんかデカくなって行ってて怖いわ……あ、でもごめんねセレネ! 今日はアルベルトさんと政庁移転候補先の下見に行く事になったの! 後でちゃんと聞くからね、どうかしら今日の服は可愛いかしら??」
前回のパーティー事件の時に匹敵するくらいに、ひらひらした可愛い服を着たフルエレが、にこにこ笑顔でくるくる回転した。
「あ、あのフルエレさん……結構大事な話なんですが……」
「ごめんね! 絶対に今度聞くからね、あと砂緒、絶対に付いて来ないでよ。今日は路面念車を使って移動して、常に周囲に人がいっぱい居て、二人きりで喫茶店にすら入らないんだからね。あとクレウさん、姿が消せる魔法使って追跡しないでね。二人共絶対よ!」
最初は笑顔だったが、砂緒とクレウに釘を刺す瞬間には恐ろしい顔になっていた。
「いいえ、その様な事は致しません。どうぞごゆっくり」
「いいですかブラジルはド変態です。その事は絶対に忘れないで下さい」
「………………付いて来ないという事だけは嬉しいわ、じゃあねっ! うふふふふふふ」
フルエレは背中に羽根でも生えている様に、軽やかに店を飛び出ると階段を駆け上がって、路面念車・港湾都市中央駅に向かって行った。喫茶猫呼の入るビルは港湾都市のちょうど都心部中央に位置していた。
「……フルエレさんが、あんなに男の事ばっかり考えてる女の子とは思わなかった。最近は幻滅してばかりだよ」
「やめて下さい! フルエレはそんな女性ではありません。今のフルエレは一種の熱病の様な物で、もうすぐ目を覚まして私の元に戻って来ますから!」
「あんたのそのメンタルの強さには関心するよ……でも列国同盟はラ・マッロカンプだけじゃ無くて、今やブラザーバンド島国やシィーマ島国も参加する事が決まっていて、とても大きな物になりつつあります。フルエレさんにはもっと、天下国家について想いを馳せる様になって欲しい……」
セレネは頭を抱えた。
「そういう話は猫呼が大好きですからねえ、思い切って猫呼に乗り換えてみたらどうでしょうか?」
「いや、猫呼ちゃんは……あんまり会った事ないけど、余りにも権力に向かってガツガツするタイプはむしろ良く無いかと。あたしがフルエレさんに目を付けた事は間違いだったのだろうか……」
そこに厨房からイェラが出て来た。
「じゃあ、フルエレと猫呼を混ぜて二つに割ったら、丁度良いのが出来るな!!」
「いや、フルエレはモンスターじゃ無いのですから、合成しちゃったら駄目でしょう……」
「モンスターじゃない、料理の食材のつもりで言っただけだっ!」
「もっと駄目じゃん……」
セレネは首を振った。
「……………………」
そのセレネを砂緒がじっっと凝視し始めた。
「いや何だよキモイな、何か言えよ、何見てるんだよ」
「………………いや、セレネ……」
砂緒は一言二言何か言うと、また黙り込んで凝視した。
「いやだから何だよ、喧嘩売ってるのか??」
「………………何か買います」
砂緒が珍しく小声で、もじもじしながら言った。
「買う……喧嘩をか?」
「違います………………その、何かプレゼントを買います」
「はぁ? 何でお前にプレゼント買われる理由があるんだよ、ていうかプレゼントって買う事を表明する物か??」
「この前セレネ、私が魔ローダーの始動鍵の宝石を見せた時、てっきりプレゼントだと勘違いして激しくときめいたにも関わらず、始動鍵と知りスカを食らい、地獄のどん底に落ちたはずです」
「ときめいてるかっ! ……細かい事覚えてるな」
「ときめいたのにスカだった、あの時セレネが感じた羞恥を思うと、今でも恥ずかしいのです」
砂緒は赤面して顔を隠した。
「話聞いてるか? ときめいてねーしって!」
突然の展開に、イェラは気分を落ち着かせる為にお茶を一口飲んだ。
「それだけでは無いのです。つい先日、激情と欲望のままセレネの両手首を掴み、壁に追いやり、そしてそして、キスを強要した事をお詫びしたいのですっ!!」
ブーーーーー!!
イェラはお茶を噴射した。
「おおおーーーーーーーーーーーーーーーーい!! デリカシーゼロかよっ!? 違いますよ、これは砂緒の妄想です。全部妄想です、そんな事実は全く御座いませんでしたっ!」
(ここでそれ言うか!?)
セレネはこれ以上無いというくらいに赤面しながらも、なんとか平静を装って手を超高速で振った。
「そういう訳で、お詫びのしるしに何か買ってプレゼントしたいのですが……」
「お詫びする前に新たなダメージ作ってどうするよ?」
「しかしセレネがどの様な物で喜ぶのか分からないのです。そこで一緒にプレゼントを買いに行きませんか?」
砂緒が指先をくねくねしながら言った。態度からしてどうやら本気の様である。
「ほえ? 私へのプレゼントを私が選ぶって事? それって実はフルエレさんへのプレゼントでしたってオチじゃ無いだろうな?」
「はぁ~~どうしてそんな捻くれた事を考えるのですか? そういう所が駄目な所ですよ」
「何でお前にそんな事言われなくちゃならん」
「どうするのですか? 行くのですか行かないのですか??」
「ま、まあ……くれるって言う物を断る必要も無いかな……」
セレネは意外にも即座に断るという事は無かった。
「あ、でも店があるしな……イェラお姉さま一人に押し付けるのは悪いしな」
「いやいやいや、行け! 今すぐ行け! どんな事があっても行け! 店なんか私一人で見るぞ! とにかく行け!」
イェラは突然猛プッシュを始めた。
「ひゃ、ひゃい!? わ、わかりました……」
セレネはイェラの迫力に押され、行くことに決めた。
「嬉しいです。では私を魔輪で商店街に連れて行って下さい!」
「私へのプレゼントを買いに、私が魔輪運転して行くのかよ、何か変だな……」
「魔力が使えず面目無い、連れて行って下さい」
セレネは何か一瞬迷った様な顔をした。
「あ、じゃあ制服だと変だから、少し着替えて来るわ。すぐに戻るから、待っててくれ」
「……はぁ」
砂緒は二人共制服のままですぐさま行くつもりだったので、拍子抜けした。
「うんうんそれが良いなっ! 砂緒はいくらでも待つぞ、行って来い!」
イェラが笑顔でセレネを見送った。
―十分後。
「遅いですね……いつになったら降りて来るのか」
「馬鹿なのか、十分で着替えれる訳ないぞ!!」
―三十分後。
「三十分経ちましたが、何時になったら降りて来るのでしょうか……」
「ははは、三十分くらい掛かっても当然なのだ!」
―一時間後。
「一時間はさすがにイェラも遅いと思うでしょう……」
「確かに遅い……何か得体の知れない敵に襲われ、のっぴきならない状況に陥ってる可能性があるぞ!!」
イェラも流石に遅いと思い始めた。
「ごめん……待ったか?」
少し恥ずかしそうにしてセレネが店内に戻って来た。戻って来たセレネは喫茶猫呼の黒いシックな制服とは違い、水色の爽やかな可愛い服を着ていた。普段学園の制服だとか喫茶店の制服だとか黒い色の姿が多いセレネだけに、その着替えた姿はイェラにも砂緒にも鮮烈に映った。
(セレネがすっごいおめかししてるーーーーーーっ、すっごい気合が入った可愛い服着てるーーーーーーーー!!)
イェラは衝撃の展開に言葉を失った。
「どっかそこら辺に落ちてた服を適当に着ただけだ、砂緒あ、あんまじろじろ見んな……」
(うわ、すっごい嘘ついてるーーーーーーーっ、気合が入っている事を恥ずかしがってるーーーーーーーーーっ砂緒、責任重大だぞーーーーーー!?)
イェラはドキドキして砂緒を見た。
「セレネ……馬子にプギャッ」
一瞬、イェラは実力以上のスピードが出、砂緒を殴り飛ばした。
(それじゃ無い、違う違う、そうじゃない……)
イェラは首を振り、ダラダラと鼻から血を流す砂緒に、無言で信号を送った。
「ふぉえ? セレネ……その、すっごく可愛いです。凄く似合って……いますよ?」
砂緒はイェラの表情を確認しながら言った。
「へ、変な事言うな……ホントにどっかそこら辺に落ちてた服を適当に着ただけだっ!」
セレネは褒められて、赤面しつつ隠しきれない笑顔になっていた……
0
あなたにおすすめの小説
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚
咲良喜玖
ファンタジー
アーリア戦記から抜粋。
帝国歴515年。サナリア歴3年。
サナリア王国は、隣国のガルナズン帝国の使者からの通達により、国家滅亡の危機に陥る。
従属せよ。
これを拒否すれば、戦争である。
追い込まれたサナリアには、超大国との戦いには応じられない。
そこで、サナリアの王アハトは、帝国に従属することを決めるのだが。
当然それだけで交渉が終わるわけがなく、従属した証を示せとの命令が下された。
命令の中身。
それは、二人の王子の内のどちらかを選べとの事だった。
出来たばかりの国を守るため。
サナリア王が下した決断は。
第一王子【フュン・メイダルフィア】を人質として送り出す事だった。
フュンは弟に比べて能力が低く、武芸や勉学が出来ない。
彼の良さをあげるとしたら、ただ人に優しいだけ。
そんな人物では、国を背負うことなんて出来ないだろうと。
王が、帝国の人質として選んだのである。
しかし、この人質がきっかけで、長らく続いているアーリア大陸の戦乱の歴史が変わっていく。
西のイーナミア王国。東のガルナズン帝国。
アーリア大陸の歴史を支える二つの巨大国家を揺るがす。
伝説の英雄が誕生することになるのだ。
偉大なる人質。フュンの物語が今始まる。
他サイトにも書いています。
こちらでは、出来るだけシンプルにしていますので、章分けも簡易にして、解説をしているあとがきもありません。
小説だけを読める形にしています。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる