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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

超超大型魔ローダー・ヌの巫女、クラウディアのフゥー

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「えーー高貴な出ってフゥーちゃん凄いじゃない!? 私なんてどこの馬の骨か分からないタダの小市民だよー」

 カレンが目を輝かせ手を組みながら言った。

「……いえ高貴な出ってそんなの言いたい放題じゃないですか、証明も出来ないし。幼い頃にもう死んでしまいましたが母は良く私達は政争に破れたクラウディア王国の高貴な出、超超大型魔ローダー・ヌの巫女の血を引く者、ヌ様を起動させる事が出来るのは我らだけ辛い事があったらヌ様に祈りなさい……と自慢げに言っていました。お笑いですね、明日の生活も知れない貧乏な流浪な身の癖にそんな適当な伝説にすがって希望にするだなんて……どうせ高貴な血もヌ様も全て作り話です。こんな話をしたのは初めて。もう胸にしまっておこうと思っていました。でもそのクラウディアも砂緒の話だと神聖連邦帝国という所に吸収されたとか……証明するまでも無く全て消えてしまった訳です、面白いわ……」

 普段無口なフゥーが突然長文を話しきって、ジェンナとカレンはポカーンとした。二人はフゥーちゃんは内心この事をいつか誰かに話したかったのだろうなと感じていた。

「……でもフゥーちゃんは実際に恐ろしいくらいに魔ローダー操縦適正が高くて、それをココナツヒメのヤツに見抜かれて第一次シャクシュカ隊に無理やりスカウトされたんだよね?」

 ココナツヒメの事を少し嫌そうな顔でジェンナが言った。

「無理やりって……世界の中で何も求められてなかった私はココナツヒメさまにスカウトされてメドース・リガリァの仲間に出会えて幸せだったの、でもそれはチャームで洗脳されてた貴方達には迷惑な話よね」
「迷惑な話ってフゥーちゃんは悪くないです! それに私はトリッシュの義勇兵に入ってただけだから……」
「こらっ同盟軍の中心地でそれ以上は禁句よ」

 盛り上がったカレンにジェンナが釘を刺した。

「それは本当の話なの??」

 フゥーの興味深い話に思わず警戒心を忘れかけていた三人が振り返ると、ネコミミを付けたフリルエプロンの可愛い女の子が驚愕の顔で立っていた。この喫茶猫呼の主人、当のクラウディア王国の家出王女猫呼ねここだ。

「げっ猫呼さまっ」

 カレンはコーヒーを吹きかけた。

「い、いえ……本当の話かどうかは、ただ母が良く言っていたもので」
「ううん、フゥーちゃんのお母様が言っていた事だものきっと本当の事に違いないわ! 私の兄の猫弐矢ねこにゃから嫌という程聞かされたもの、超超大型魔ローダー・ヌ様の全高は約十Nキロメートルで決して人間が動かせる様な物じゃない神の魔ローダーだと。でもそれを起動出来るなんて……」

 猫呼は遠い目をしながら兄と故郷を思い出していた。

「十Nキロメートルて山よりデカいじゃない……さすがに嘘じゃ」
「シッカレンちゃん余計な事言わないっ」

「猫呼さま、い、いえ私が聞いたのは起動出来るだけで動かせるとは……」

 フゥーは必死に手と首を振った。

「いいえ、何にしても同族の貴方に奴隷の首輪の辱めを受けさせる訳には行かないわ、早速外してあげるわね」
「そんなっ! 畏れ多いです!」
「フゥーちゃん良かったじゃない!!」
「やったねっ」

 急展開にカレンとジェンナは本気で喜んだ。

「お止め下さいっ!! 猫呼さま絶対にお止め下さい危険過ぎます!!」

 しかしそこに血相を変えたライラが飛んで来て、羽交い絞めにする勢いで猫呼の両腕を握って止めた。

「何をするの? 無礼だぞっ」
「恐れながら猫呼さま、この奴隷はにっくき敵魔ローダーに笑顔で呼び掛けていたという目撃証言が多数寄せられています。雪乃フルエレさまの……大切な御方を……」

 言われて猫呼はハッとした顔になって直後に暗く沈み込んだ。

「猫呼さま、ご心配無く。私はこの奴隷の身にも気に入っているのです。皆とこうしていられるだけで幸せ。そこの目付きの悪い鎌を振り回す狂暴な女、ご心配無く。ふふ」
「何っ!?」

 ライラとフゥーはキッと睨み合った。

(なんて事……私の探し求める猫名お兄様がフルエレの大切なアルベルトさんを殺めてしまった……こんな事フルエレに言えない……言ったらもう友達で居てもらえない……)

 猫呼は悲し気に目を閉じて首を振った。

「申し訳ありません猫呼さま、でもアイツは危険なニオイがするのです」
「いいわ、貴方の忠誠だと思っていますから」

「猫呼大丈夫かよ? 泣くなら俺の胸で泣けよ」
「シャル? 呼び捨てしないでよ」

 気付くと心配したシャルと砂緒まで来ていた。

「おお、猫弐矢兄者のヌ様ですか懐かしいですなあ、ではいっその事そこの奴隷っ子を蛇輪に乗せてクラウディアに飛んで連れてって、発言が事実かどうか試せば良いではないですか! しかしクラウディア王国の民ってあっちゃこっちゃに居るのですなあ? 以前にも北の海を越えた荒涼回廊で伽耶なる美しい娘も先祖がクラウディア出身だと言い張るので連れて行ったのですぞ。今では猫弐矢兄者とイイ感じになっております」

「え、あのぼくとつな猫弐矢お兄様が女の子と? それは凄いわ」
「砂緒さまお話有難うございます。私はクラウディアに戻るつもりは御座いません」

 フゥーは深々と砂緒に頭を下げてクラウディア行きを断った。


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