魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記 弥生史上最悪の悪役令嬢と記される最強魔力少女は最愛の不死従者を手に入れて破滅フラグを叩き壊します!

佐藤うわ。

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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

七華の妹 上 投獄と出所

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「おおこれがパト魔ー車内ですか、なかなか快適ですな」
「いやあああ私本当に同盟の女王様なんですよ! 貴方達こんな事して後でどんな酷い目にあうか分かりませんよ!?」

 フルエレは取り乱して泣き叫んだ。

「静かになさい!」
「フルエレさん見苦しいです止めて下さい」
「私の私の魔輪はどうなるの!? 放置されると盗まれるわよっ」
「安心なさい、ちゃんとレッカーされて保管されますから落ち着きなさいって」
「フルエレ落ち着いて中○み○きでも歌ってなさい」
「誰よソレ」

 フルエレは泣きながら振り返り置き去りにされた自身の魔輪を見つめ続けた。


 ガチャッガシャンッッ!!

「処分が決まるまで此処でおとなしくしてなさい」
「いやーーーっ!! 出してっ」

 砂緒達は交通警備署の留置場にまとめて留置された。

「フルエレさん落ち着いて下さい、ユティトレッドの関係者に連絡を取ってなんとかしますから」
「セレネ見て、此処ってお手洗いもつい立も無いのよ、こんな所にいつまで放置されるの?? 私高待遇じゃないと生きられない身体なのよ」

 フルエレは鉄格子を両手で握って切羽詰まった顔で言った。

「落ち着きなさいフルエレ、昔一緒に投獄されたではないですか。そうですねフルエレが尿意をもよおした時点で私とセレネで牢をぶち壊して脱出しましょう。レイディにこんな所でトイレをさせる訳には行きませんから」
「トイレって何? 私トイレに行かないのよ」
「えらい事抜かし出したなフルエレさん……」

 コツコツコツ

「シッ誰か来た! 砂緒余計な事言うなよ」
「あいあい」

「おや~~~そこのお嬢さんと少年は……フルエレさんと騎士砂緒殿では無いですか? ほれほれ黒猫仮面が出た時の牢番ですぞ」

 顔を覗かせたのは見覚えのある人懐っこい感じのおじさんだった。

「ああっ貴方は!」
「おお貴様は」

 彼は以前フルエレと砂緒が七華王女に罪を捏造されて投獄された時に良くしてくれた牢番で、交通警備兵に転属していたのだった。

「……という訳で私は同盟の女王になって、砂緒は今私の弟って事で外交使節で来たのよ、出して!?」
「出して上げたいのは山々なのですが同盟女王は隠して生活しておられるのですね? 分かりました。なんとか王様に使いを送りましょう、しばしお待ちを」
「頼みます!!」

 フルエレは不安な顔で彼を見送った。


 ―数時間後。
 鉄格子の前にとても可愛い着飾った女の子がやって来た。うな垂れた三人は無言でその少女をジロリと見た。

「ダレ?」
「さあ」
「………………砂緒さまです。間違いありません、早く出してお上げなさい」
「良かったですな、今出れますぞ!」

 少女はとてもか細い小さい声で牢番に命令して、ようやく三人は出る事が出来た。

「ようやくね、不安だったわっ!」
「お嬢さん有難う、君のお名前は?」

 砂緒が気取って聞くと少女は突然ぴっとスカートの端を持ってお辞儀をした。

七華しちかお姉さまの妹のリコシェ五華いっかリュフミュラン王女と申します。以後見知りおきを……」
「お、おお七華の妹御……どうりで隠しきれないほのかな色気が……しかし後から取って付けて湧いた様な妹さんですな」
「シッ幼女に色気とか不穏当な事言うなよ……お嬢さんは何歳なのですか?」
「アンタもレディに年齢聞くのは止しなさいよ」
「ここのつに成りました……」

 しかしリコシェ五華は素直に答えた。

「九……抱悶だもんちゃんよりもまだ下ですか。可愛いですねーふふ、お友達になって下さい」
「は、はい……」

 砂緒の言葉にリコシェ五華は頬を赤らめた。

「お前が絡むといちいち色んな意味でドキドキするわ。くれぐれも九の子に不穏当な事すんなよ」
「は~セレネこそ九歳の子に嫉妬とは見苦しいですぞ!」
「誰が嫉妬じゃ!」

 砂緒は肩をすくめ両手を広げた。

「くすっ」

 それを見てリコシェ五華は口元に手を当てて笑った。

「おおっ普段あまり感情を表に出さないリコシェ五華さまが……」

 お付きの侍女達が感情を表した幼い王女に驚いた。

「お父様からの伝言をお伝えします。外交使節ご苦労ですが、今日はもう遅い……よって明日謁見する、今夜は自らで宿を探されい……との事です」
「何っ! 王ならフルエレさんの正体を知っているハズ、なんという無礼な」
「申し訳ありません……」

 突然怒り出したセレネに幼い王女は泣きそうな顔になった。

「リコシェ殿よ気にせずに、この者はカルシュームが足らず年中カッカッしているのです」
「は、はい」

 砂緒が言うと再びリコシェ五華は頬を赤らめてコクンと頷いた。

「何なの、砂緒は目付き悪いのに女子供に好かれる特殊能力でもあるのかしら?」
「しかし今から宿なんてあるのかよ」
「あの……もう一つ御伝言が……」
「何かな言ってみてリコシェちゃん」

 砂緒は優しく耳を傾け、セレネはムッとした。

「お供の猫耳の方が激しくお待ちです……」
「あーーーっ! 猫呼先輩の事忘れてたわっ」
「あらホントだわ、生きるのに必死で」
「怒ってるでしょうな。して今何処に?」
「ご案内します」


 ―旧リュフミュラン冒険者ギルド跡。
 かつて喫茶猫呼一号店があったこの建物は、後を受け継いだメランが居なくなった途端に再び放置され荒廃していた……

「こらーーーーー!! 貴様ら~~~私を殺す気かあああああ!!!」

 ドゲシッ!!
 一行の姿を見た途端に猫呼は砂緒に飛び蹴りを食らわした。

「あうっ」
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