魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記 弥生史上最悪の悪役令嬢と記される最強魔力少女は最愛の不死従者を手に入れて破滅フラグを叩き壊します!

佐藤うわ。

文字の大きさ
383 / 698
Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

困った時の決闘頼み! の巻 下 スナコちゃん決闘す

しおりを挟む
「本当にその黒猫仮面とやらの正体は庭師殿では無いのだな?」
「へ、へいそんな人間本当に知りませんのじゃ!」

 予告状カードをしげしげ眺めながら聞いたお館様に庭師猫弐矢ねこにゃは必死に弁解した。

「ふむ……この晩餐会の主役は高貴なるこの私ぞ? 何故そんな黒猫仮面なる良く分からない者に話題を独占されねばならんのか。風撃ウインド!」

 パシッ!
 お館様は弱い魔法でカードを割って捨てた。スナコはお館様、貴城乃たかぎのシューネの仮面越しに感じる不満の表情を見て、彼が黒猫仮面を仕掛けた者とは思えなかった。

『でも七華メイドの身が心配よ』

 スナコは壁際に立つ七華を見た。

「わたくしは大丈夫で御座いますわ」
「ふむ、七華メイドは安全の為に私の部屋で寝れば良いぞワハハハ」
「おお、それが良いのぉ、お館様と一緒に寝れば安心じゃて、ふぉっふぉっふぉっ」
「え? お兄様……??」

 女性に優し過ぎる性格の猫弐矢がお館様の下品な物言いに同調して猫呼は一瞬違和感を感じたのだった。

『そんな七華それで良いの?』
(あれ、私なんで七華に拘るのかしら??)
「お館様のお申し付けであれば、誠心誠意お勤めさせて頂きますの……」
「そんな」

 スナコちゃんは自分で言っていて良く分からなくなって来た。

「もう良いだろう、今晩は戸締りを厳重にして黒猫仮面とやらの話題は一旦横に置こうではないかっ」
「お前と話す事なんて別にねーな、なあスナコちゃん」
『そうね、もうそろそろ本来の目的を……あれ本来の目的って何だっけ?』
「貴方達はおきゃんな街娘の旅グループで一夜の宿を借りに来たのですわ」

 七華が助け舟を出してくれてスナコは一瞬戸惑った。

『そ、そうだったかしら?』
「そんな事よりも、セレネくんのぼっち問題の方が重要だよ? 確か君の通うユティトレッド魔導学園は北部列国の名家から学生が通う名門校らしいが……どうやら君は王女という事を鼻に掛けていると大変評判が悪いらしいね?」
「ち、違う……」
「もはや学生レベルに止まらず親御さんたちの間にまで君の傲慢でお高く留まっているという悪評が広がっていて、皆から大層嫌われてしまっているそうな……今はおじい様の王が健在だから良いが、もしおじい様が居なくなればどうなるだろうか? 数多く居る親族間で王位争いが起こり、人間関係が上手く築けない君は人心を掌握する事が出来ずに、王位を継ぐ事が出来なくなるかも知れないね? 喧嘩が強いだけではどうにもならない事があるのだよ、フハハハハハハ」
「お、おじい様が居なくなるとか止めろ! うわーーー」

 突然セレネは頭を抱えて床にうずくまった。彼女が普段決して言わないが常に抱えている不安を指摘されて言い返す事が出来なかった。

「酷いわこの男……許せない」
「本当よ、今すぐ裏ギルド員を派遣して、やっちゃってしまいたいわっ!」

 スナコは雪布瑠ユキ・ふると猫呼の会話を聞いてスッと立ち上がるとセレネの下に歩いた。

『ほら、立って下さいセレネ。貴方は私が絶対に守りますよ。王位争いだかなんだか知りませんが、セレネの敵は全て私が倒しますから』
「砂……コちゃん」
(砂緒、セレネの事本当に大事なのね……)

 律儀にホワイトボードに書いてはいるが、口調は完全に砂緒の言葉だった。セレネはゆっくりと手を取って席に着いた。雪は複雑な心境で二人の様子を眺めた。

「嬉しい、でも……あいつは今あたしが倒してやるよ」
『待って私が先に行くわ! もし負けそうになったら助けてよね!』
「おいおい」

 スナコはすたすたと、どかっと座るお館様の前に立った。

『お館様っ! 貴方に決闘を申し込むわ、セレネに言った数々の侮辱を取り消しなさい!!』

 スナコちゃんはビシッと指を指して決闘を申し込んだ。

「ククク、侮辱って事実じゃないのかね?」
『なんですって!?』
(うっ言い返せない……砂緒スマヌ)

 セレネは再び陰鬱になった。心に嘘が付けない人間だった。

「しかし良いだろう、本来砂緒という少年の来訪を待っていたのだが、どうやら怖気付いて今日は来てくれなかった物だからね、丁度暇してた所だワハハ」
『な、何ですって!?』
「おい落ち着けよ、これも半分正しいだろ……お前が怒り出したら変だろが」

 今度はセレネがスナコの腕を持って落ち着かせた。

「君は魔法は使えるのかね? 剣で戦った事は??」

 立ち上がったお館様は言いながら壁に立て掛けてあった細身の長剣をスナコに投げ渡した。

『魔法は使えません! 剣で戦った事は二、三度! いや三、四回? いや五、六回だったっけ?』
「細かい事は良い、剣で戦った事はあるが、魔法は使えないのだね? 良いだろう魔法は使わずに戦ってやろう!」
『いくわよっ!!』

 食事中の広い部屋でいきなり剣での戦いが始まった。

「スナコちゃん頑張るにゃーー!! そんな奴ぶちのめすのよっ!!」
「スナコちゃん、えぐる様に斬るの! わかった??」
「お、お前ら……」

 カキンカキン!!
 キーン!
 お館様は片手で余裕で剣を振るい、スナコも必死に応戦するが実力差は歴然としている様に見えた。

「ハハハハハ、戦う女の子は美しいな」
『駄目だわっこれじゃ戦い辛い……そうだわっ!』

 ビリビリビリ!!
 ババッと後ろに下がったスナコは自ら長めの黒いスカートを切り裂いた。直後に肌の表面だけ硬化して乳白色の透き通る様な白肌の大胆の付け根とニーソに包まれた細い脚が露わになった。

「ヒュ~~~大胆だね」

 お館様はまだまだ本気で女の子だと思い込んでいた。

「オエーーーーーー!!」
「お、おえ~~~~~」
「助けてもらってて悪いけど、オエーーーー!!!」

 三人同時に吐き気を催すのだった……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

国を追放された魔導士の俺。他国の王女から軍師になってくれと頼まれたから、伝説級の女暗殺者と女騎士を仲間にして国を救います。

グミ食べたい
ファンタジー
 かつて「緑の公国」で英雄と称された若き魔導士キッド。しかし、権謀術数渦巻く宮廷の陰謀により、彼はすべてを奪われ、国を追放されることとなる。それから二年――彼は山奥に身を潜め、己の才を封じて静かに生きていた。  だが、その平穏は、一人の少女の訪れによって破られる。 「キッド様、どうかそのお力で我が国を救ってください!」  現れたのは、「紺の王国」の若き王女ルルー。迫りくる滅亡の危機に抗うため、彼女は最後の希望としてキッドを頼り、軍師としての助力を求めてきたのだった。  かつて忠誠を誓った国に裏切られ、すべてを失ったキッドは、王族や貴族の争いに関わることを拒む。しかし、何度断られても諦めず、必死に懇願するルルーの純粋な信念と覚悟が、彼の凍りついた時間を再び動かしていく。  ――俺にはまだ、戦う理由があるのかもしれない。  やがてキッドは決意する。軍師として戦場に舞い戻り、知略と魔法を尽くして、この小さな王女を救うことを。  だが、「紺の王国」は周囲を強大な国家に囲まれた小国。隣国「紫の王国」は侵略の機をうかがい、かつてキッドを追放した「緑の公国」は彼を取り戻そうと画策する。そして、最大の脅威は、圧倒的な軍事力を誇る「黒の帝国」。その影はすでに、紺の王国の目前に迫っていた。  絶望的な状況の中、キッドはかつて敵として刃を交えた伝説の女暗殺者、共に戦った誇り高き女騎士、そして王女ルルーの力を借りて、立ち向かう。  兵力差は歴然、それでも彼は諦めない。知力と魔法を武器に、わずかな希望を手繰り寄せていく。  これは、戦場を駆ける軍師と、彼を支える三人の女性たちが織りなす壮絶な戦記。  覇権を争う群雄割拠の世界で、仲間と共に生き抜く物語。  命を賭けた戦いの果てに、キッドが選ぶ未来とは――?

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

処理中です...