魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記 弥生史上最悪の悪役令嬢と記される最強魔力少女は最愛の不死従者を手に入れて破滅フラグを叩き壊します!

佐藤うわ。

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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

選定会議開始 緊急動議 上② フルエレに託された本

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『はい、セレネさんにプレゼントですよ、有難く受け取りなさい』

 等と言いながら砂緒は突然謎の薄い本を取り出した。

「な、なんだよ怖いなコレ」
『セレネさんに愛の言葉を並べた自筆のポエム本です。ちなみにペンネームは星乃☆歩絵夢です』
 
 突然セレネは顔を真っ赤にした。

「わわっバカかっみんな見てるだろが」

 メラン達主要メンバー以外の給仕やメイドや家臣達が慌てるセレネをチラッと見た。

『当然嘘です。それはこの後行われる新女王選定会議の重要な台本です。今から熟読して暗記して下さいよ』
「はぁ? 何訳わかんねー事言ってるんだよ? これがあるだろが」

 セレネは自筆のメモがびっしり添えられた式次第をペラペラ振った。

『又ちょっと貸して下さい』

 ピカッ! バリバリバリ……
 早業で無理やり式次第が書かれた紙を奪うと、砂緒は再び雷を発動して燃やして消し去った。

「うっあーーーーーーーーー!? おおい? それ細かいメモとか昨日ほぼ徹夜して完成させたんだぞ!?」
「ほぼ徹夜って言い方がリアルね。徹夜じゃないんだ」

 セレネは目に涙を浮かべながら握った拳を振り被った。

「歯ァ食いしばれやああああああ!! ハッ!?」

 しかしその瞬間、セレネは同じ様な場面で砂緒をタコ殴りにした雪乃フルエレの事を思い出した。その途端振り上げた拳を降ろし、はしっと砂緒の両肩に手を置いた。

「あ、あたしはお前の事好きだからな、お、お前の事信じるぞ!? 何か今度も深い理由があるんだよな??」

 滝の様な涙を流しながらセレネは訴えた。

『特に深い理由は無いです』
「お前な~~~~」

 セレネは砂緒の肩に指先がめり込む程握り込んで床に膝から崩れ落ちた。

『すいません嘘です、その台本をよく読んでみて下さい! その通りすれば盛り上がる事間違い茄子ですから!!』

 砂緒は殴らないセレネの号泣を見て、多少やり過ぎたかなと思い、即座に土下座してお詫びした。

「はぁ何だよ……本当だろうな?? ふむふむ……こ、コレは!?」
「何ゝ何が書かれてるのよ??」

 メランは覗き込んだ。
 パタン!
その途端に閉じられる台本。

「まあいいだろう。やってみよう」
「恥ずかしがっては駄目ですよ」
「はいはい、好きなお前の頼みだ聴いてやるよ」
「……本当に好きなの? 脅されてるなら相談して」

 メランは割と真顔で言った。

「メランさん……別に脅されてないが」

 しかし砂緒はもう冷や汗を掻くセレネを放置して、次の目的地に走り出した。


 ―雪乃フルエレ女王特別控室。
 コンコン。

「はい、どうぞ入りなさいな」
『お邪魔します』

 少し開いた隙間からホワイトボードが差し込まれた。

「何だよコレ不気味だな」
「声が先に伝わる事を表現してる!?」

 ライラとシャルが同時に突っ込んだ。

「スナコちゃんね、入っていいのよ」
「スナコちゃんって砂緒かよ」

 入って来たスナコちゃんを見て有未うみレナードがおえっと舌を出した。レナードは砂緒の素性を知っているので舌を出したが、予備知識が無ければスナコの女装は十分美少女に見える物だ。

 キュキュッ
『お邪魔します、やたら人が多い……人気者ですなって何で此処にコーディエまで居るのよ? 』
「居るのヨって……これがあの砂緒殿ですか? 確かに不気味だな」

 何故か馴染んで紅茶を飲んでいるコーディエが居た。

「来ないでって言ったのに行く所が無いからって居ついちゃって……迷惑してるのよ」
「ハッキリ言うタイプですな! ゆ、雪乃フルエレ女王は……」

 コーディエは床を見ながら言った。彼の中ではいつまでも幼い儚い夜宵やよい姫なので、あまり雪乃フルエレと言いたくないのだった。

『コイツ……もしフルエレが許してくれるなら消し炭にしてやりましょうか?』
「なっ」

 スナコちゃんの指先から小さな雷が迸る。

「消し炭にしちゃダメ。まだ利用価値はあるわ」
「なんという言い方」
「俺もそんな感じか?」
「利用価値て」

 シャルが肩をすぼめ、レナードが目を細めた。

『私の臨時代用妹の猫呼ねここの姿が見えませんが』
「その言い方なんか変にエロいからダメよ」
「姫、エロいとか言ってはダメです」

 スナコちゃんは部屋中を見回した。

「猫呼さまなら兄上の猫弐矢ねこにゃさまと大事な話があると二人きりです」
『そ、そう?』

 ライラの答えに砂緒はスピナの事だなと思った。

「でも……直前になってスナコちゃんが来てくれて嬉しい。私が此処まで来たのも全て貴方との出会いが始まりだもの。まあ突然スナコちゃんになって慌てたけど」

 フルエレはクスッと笑った。コーディエは終始陰鬱だったフルエレがようやく笑って驚いた。

『そう思ってきました。私もいつもフルエレの事を心配しているのをお忘れなく』
「ありがとう」

 二人はしばし久しぶりに見つめ合った。

「ゴホン、スナコ殿それだけで来たのでは無いのでしょう? 何か用事があるのではないですか」

 コーディエが二人の間に割って入る。

「何でお前が仕切る?」

 シャルが冷たい目でコーディエを見た。

『この男に突然襲われるとかヘンな事されなかったでしょうな?』
「だ、だだだ大丈夫よっ」
「そんな事する訳無いでしょう、しし、失敬な!」
「二人して慌てるとか怪しさ爆発じゃないか」

 ライラは首を振った。

「それより、その持ってる本は何なの?」

 雪乃フルエレはスナコが大事に持っている薄い本が気になった。

『そう……これを貴方に託そうと思って来たの。貴方にコレがお出来になるかしらっ!?』

 器用に片手で書きながら、片手で薄い本をフルエレに渡した。

「ふみふみ……こ、コレはぁ!?」

 フルエレは雷に打たれた様な衝撃を受けた。

『くくくフルエレ、貴方にコレが出来るかしら??』
「何だフルエレ姫、何が書かれている??」

 コーディエが覗き込もうとするが、フルエレがずずいっと隠して見る。

「ごくり、凄いわ……堂々と嘘八百が書かれている……」
『そう、歴史は勝者が作る物なのデス。でも……〇天女を目指す貴方なら出来るハズよっ!』

 スナコはビシッと指をさした。

「そうね……例え嘘八百だとしても、紅〇女を目指す身なら完璧にこなして見せるわ……」
「だから〇天女って何だよ??」
「スナコちゃん、私貴方に負けないわ!!」(女王は嫌だけど……)
「同じく、正々堂々と戦いましょう!!」

 スナコとフルエレは握手をした。コーディエとレナードは、先程までずっと塞ぎ込んでいたフルエレが、砂緒が来た途端に明るく復活した事を感じていた。
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