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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

選定会議開始 緊急動議 中 会議開始

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 遂に"セブンリーフ北部海峡列国及び中部七葉後川流域国家群同盟"の新女王選定会議の開始となった。旧ニナルティナの首都ハルカ城と中部最大国家ユッマランドのクラッカ城の中間地点に位置するザ・イ・オサ新城に設けられた投票会場には、同盟に所属する事となる約三十七の王家と、その王国に吸収されたり消滅したりした旧王家で今は家臣や重臣となっている者達中心に百票の投票権を持つ者達が集まっていた。その中には便宜上雪乃フルエレ現女王の弟という事になったスナコちゃんこと砂緒や、旧ニナルティナの重臣ライス氏などもいた。

「あー皆さま……遠路はるばる……お越しくださいまして有難う……御座います」

 前回の北部海峡列国同盟成立時に引き続き、セレネ・ユティトレッド王女が司会進行を行っているが、その彼女は全く元気が無かった。

「どうしたのかしら、王女さまお元気がないわぁ」

 どこかの王族の御婦人が心配して言った。

「あわわわ、私が余計な事をしたばかりに、セレネさんの目が死んだ様に……」

 舞台袖で彼女をこんなにした張本人のスナコちゃんもセレネの事を心配気に見た。

「えー、旧ニナルティナの滅亡から始まり先のメドース・リガリァ征伐戦によって、百年の戦乱が続いたこのセブンリーフ大陸に遂に新たな平和の時代が訪れました。それもこれも偉大な北部海峡列国同盟現女王、雪乃フルエレ陛下の御威光のお陰であります」

 会場内に拍手が巻き起こり、白いヴェールを被ったフルエレがゆっくりと手を振った。それに合わせてセレネも頭を下げる。

「有難う御座います女王陛下。そして今この平和を恒久的な物とする為、新たに"セブンリーフ北部海峡列国及び中部七葉後川流域国家群同盟"を成立させることとなり、またそれにともなって現女王フルエレ陛下の御意向により次の女王を投票で決める事と相成りました」
「フルエレ女王で良いじゃないかーーーっ!!」

 何者かが叫んだ。決してセレネが仕込んだ者では無いが、それが大半の者の考えだった。

「静かに。より公明正大にというフルエレ女王陛下の有難い御意向だ。此処に皆で衆議して一人の新たな女王を立て、それによって平和を永続させる物とする。挨拶とほにゃは短く! これにて開会の宣言とする」

 セレネが頭を下げると、パラパラと拍手がしばらく続いた。

(セレネさん良く頑張りましたよっ! 後で褒めてあげましょう!!)

 スナコちゃんは舞台袖で無責任に感動して涙した。

「えーーーでは引き続き、新女王の立候補者の名前の読み上げになります。実はこの後アピールタイムが設けられていたのですが、諸般の事情で順序変更となりまして……会場にいらっしゃる候補者の方、何か一言ありましたらお願いします」

 砂緒に予定を滅茶苦茶にされたセレネの顔は明らかにムッとしていた。

(セレネさん……ごめんなさい、悪気は無いのです)

「第一候補、雪乃フルエレ女王陛下」

 フルエレは軽く会釈したのみだったが、どっと拍手と歓声が起こった。彼女がメドース・リガリァを征服した事は尾ひれが付いて民衆に既に大きく広まっていた。ちなみに王族席の周囲には金持ちや有力者限定ではあるが、民衆席もあった。

「第二候補……ごほん、セレネ・ユティトレッド王女……この私だ」
(美しいですぞセレネさん!!)

 セレネは恥ずかしそうに頭を下げた。彼女はとてもシックな黒いドレスを着て普段より美少女ぶりが際立っている。

「第三候補、猫呼ねここクラウディアさま」
「よろしくニャー、ニャニャン五割増しだニャー」

 必死に笑顔で両手を振るが猫呼は空気を読み間違えた。シーンとなる会場。

(我が妹猫呼……何故魅力に気付かない? 会場の男共の目は節穴か)

「第四候補、まおう抱悶だもん、不在」
(抱悶ちゃん置いてけぼりにして済まなんだ)

 引き続きシーンとなる会場。

「第五候補、アイイ酋長、不在」
(アイイ殿、元気であろうか)

 さらにシーンとなる会場。キィーナール諸島南の島の彼女の存在を知らない者の方が多かった。

「第六候補、七華リュフミュラン王女」

 真っ赤な派手なドレスに身を包んだ七華は舞台上で深々と頭を下げ、ざっくりと開いた胸元から美しい胸が丸見えになる。舞台に近い男共の視線は釘付けになった。

(七華さん見せ過ぎです!)
「おお、あれはワシの娘ですじゃ」
「お姉さま頑張って!」
「喜んでいいの? コレ……」

 メランは余り関係の薄い七華の関係者一団を冷たい目で見た。

「第七候補、大アリリァ乃シャル王の娘」
「見て下さい! 私のこのダイエットに成功した美ボディをっ!!」

 シャル王の娘がマントを脱ぐと非常に露出度の高いドレスを着ていた。会場の男達から先程を越える歓声が上がる。

「おおっ山奥に隠れ住んでおった我が娘にもこの様な魅力がっ!?」

 シャル王は娘のあられもない姿にどうして良いか戸惑ったが、取り敢えず良しとした。

(えっこんな子いましたっけ?)
「完全に色物じゃない。方向性がおかしくなってるわよ」

 メランは眉間にシワを寄せて首を振った。

「第八候補、伽耶クリソベリル嬢不在」

 盛り上がった会場が再びシーンとなった。不在候補者は全て同盟の威光が広く行き渡っていると示す為の賑やかし的存在だ。もともと呼ぶつもりも無かった。

「伽耶くん、元気でやってるかい?」

 猫弐矢ねこにゃは遠い目をした。

「第九候補者、謎の美少女スナコちゃん以上」
「はやっ!」

 セレネはスナコちゃんの挨拶の時間を与えず即座にお開きにしようとした。

(えっちょ、ちょっとセレネさん!?)

 舞台上で派手に挨拶をしようとしていたスナコはつんのめった。

「意義アリッッ!! ちょっと待ったあああああああああ!!!」

 が、その直後だった。静まりかえる会場内に貴城乃たかぎのシューネの大声が響き渡った。

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