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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
フゥーの旅立ち ⑤ 七華の涙……と、しんみりさせてっ
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「七華さま……」
フゥーもハッチの端っこに立って、喫茶猫呼で短期間同僚として働いた七華リュフミュラン王女と目が合った。
「どうしてっどうしてそんな所に乗っているの? まさか東の地に行くつもりじゃないですわよね!?」
「行きます……私、この方々の召使となったのです」
貴城乃シューネ一人の召使いから何故か猫弐矢も主人の一人に昇格していた。
「何を言っているの?? さぁ早く降りるの蛇輪の砂緒さまに助けて頂いて!」
「違います、私の意思で東の地に行くと言っているのです、さらわれた訳ではありませんっ!」
感動の再会かと思いきや、フゥーの言葉には多少の怒気が含まれていた。
「そんな……元々メド国の戦士だったフゥーちゃんだからこそ真の友達になれると信じていたのに!? 寂しいですわ、本当に寂しいの……置いて行かないで」
七華は本気で悲しいのか、泣き声になっていた。横で見ている元々七華が嫌いなイェラは、鉄面皮だと思っていた彼女の哀しい表情を見て、この女でもこんな顔をするのかと驚いた。
「……だったら本当に友達だと思って下さるなら、七華も侍女達との変わり映えのしないいつものお喋りも、お城の豪華な暮らしも頑迷な父王様も、全てお捨てになって私と共に新天地に参りましょう! 貴方が新ニナルティナに来た時もそうでしたのでしょう? さぁ!!」
今度はフゥーが物理的にも上からの立場で手を伸ばした。
「な!? そ、それは……」
思い掛けないフゥーからの逆提案に七華は戸惑った。リュフミュランからニナルティナまで駅魔車で数駅の日帰り可能な小冒険でも大きな決断だった七華王女にとって、本当に未知の大地の東の地に飛び込む勇気は無かった。それこそお城の豪華な暮らし等とは無縁のフゥーだからこその身軽さだったのだ。
「無理なんでしょう……結局友達だなんて嘘、お姫さまのお遊びね」
「違う! 友達になりたかったのは本当なの、信じて!!」
「そうよ、今の言い方には棘があるわよ! フゥーちゃん私が贈ったドレスはどうなったのよっ」
今度は何故か多少牙を剥いた猫呼が食って掛かった。
「申し訳ありません猫呼さま、頂いたドレスはお礼状を付けて畳んでお返ししてあります」
「何よソレ! 逆に失礼だわ。私は七華と違ってアンタの態度に腹が立つわよ」
猫呼も七華も共に王女だが、それぞれ性格により対応が違ったが、想像とは逆の態度となった。
「申し訳ありません」
「猫呼本当に済まない! フゥーちゃんも加耶ちゃん同様ちゃんと面倒を見るよ! だから安心して任せて欲しい!!」
「お兄様……」
(え、加耶ちゃん??)
てっきり朴訥で真面目で女っ気の無いと思っていた猫弐矢から違う女の名前が出てフゥーはドキッとした。
「フゥーちゃんいつでも戻って来て!!」
それでも七華は最後までフゥーが諦めきれ無くて声を掛けた。
「……はい、いろいろ出過ぎた事を言って申し訳ありませんでした七華さま」
フゥーは頭を下げて黙った。
「と、言う訳なんだ、そろそろ私達はお暇いたそうか! 所で雪乃フルエレ女王陛下、我らが安全に帰還出来る様に我らに回復魔法を掛けてもらえぬかな?」
安全が保障されたと確信した途端に気が大きくなったシューネが大胆な事を言った。
「てめ、ふざけてんのかオラー!?」
再びスナコがセレネの口調で叫んだ。
『わかったわ。友好の印に貴方達を信じてあげましょう。メラン、回復(強)を掛けてあげて!』
「フルエレッ! 賛成できません!!」
『私も同じく反対よ、こんな奴に私の回復は掛けて上げないわよ』
メランも即座に反対した。
『じゃ仕方ないわね、蛇輪の超強力な回復を掛けてあげるわね』
「光栄です、女王陛下」
シューネはしめしめとほくそ笑んだ。
『フルエレさん駄目よっ! なら私が回復(弱)を掛けるわ、それで良いでしょう?』
甚だ不満顔だが黒い稲妻Ⅱが両手を金輪にかざし、魔呂スキル回復(弱)を渋々掛けた。
パシュッキラキラキラ……
金輪にキラキラ粒子が舞い降りて、中に乗る三人の魔力と体力が微量回復した。
シュバッッ!!
その直後にシューネは意気揚々とスキル金輪の光の輪を回復させた。
「ハハハこれは良い、マシントラブルも回復したのかね?」
(飛んだ間抜け野郎共だなっ!)
声には出さないがシューネは心の中で高笑いし、もちろん必ずの復讐を誓っていた。そしてすかさず金輪はフワリと宙に浮いた。
『ハハハでは美しき女王陛下、それにセブンリーフの諸君またお会いしようぞ!! ははははは』
シューネはあたかも勝ち誇るかの様に、指をスチャッと振ってから金輪の背を向けて堂々と帰還しようとした。
『んな訳ねーーーだろがぁあああああああああ!!!』
ザシュッッッ!!
フルエレ以外の皆が歯ぎしりして金輪を見届けた瞬間、突然スナコちゃんがライラの魔力を使って蛇輪を勝手に動かし、素早く片手でフルエレを強制的に収納した直後に、大ジャンプして鋭く尖った爪を持つ手刀で背を向ける金輪の肩にかけて思い切り突いた。その勢いは凄まじく突かれた直後に残っていた片腕も千切れ飛んだ。
『よし、これでどうだ……出でよっ光の輪っか!!!』
スナコは目を輝かせて叫んだ。
フゥーもハッチの端っこに立って、喫茶猫呼で短期間同僚として働いた七華リュフミュラン王女と目が合った。
「どうしてっどうしてそんな所に乗っているの? まさか東の地に行くつもりじゃないですわよね!?」
「行きます……私、この方々の召使となったのです」
貴城乃シューネ一人の召使いから何故か猫弐矢も主人の一人に昇格していた。
「何を言っているの?? さぁ早く降りるの蛇輪の砂緒さまに助けて頂いて!」
「違います、私の意思で東の地に行くと言っているのです、さらわれた訳ではありませんっ!」
感動の再会かと思いきや、フゥーの言葉には多少の怒気が含まれていた。
「そんな……元々メド国の戦士だったフゥーちゃんだからこそ真の友達になれると信じていたのに!? 寂しいですわ、本当に寂しいの……置いて行かないで」
七華は本気で悲しいのか、泣き声になっていた。横で見ている元々七華が嫌いなイェラは、鉄面皮だと思っていた彼女の哀しい表情を見て、この女でもこんな顔をするのかと驚いた。
「……だったら本当に友達だと思って下さるなら、七華も侍女達との変わり映えのしないいつものお喋りも、お城の豪華な暮らしも頑迷な父王様も、全てお捨てになって私と共に新天地に参りましょう! 貴方が新ニナルティナに来た時もそうでしたのでしょう? さぁ!!」
今度はフゥーが物理的にも上からの立場で手を伸ばした。
「な!? そ、それは……」
思い掛けないフゥーからの逆提案に七華は戸惑った。リュフミュランからニナルティナまで駅魔車で数駅の日帰り可能な小冒険でも大きな決断だった七華王女にとって、本当に未知の大地の東の地に飛び込む勇気は無かった。それこそお城の豪華な暮らし等とは無縁のフゥーだからこその身軽さだったのだ。
「無理なんでしょう……結局友達だなんて嘘、お姫さまのお遊びね」
「違う! 友達になりたかったのは本当なの、信じて!!」
「そうよ、今の言い方には棘があるわよ! フゥーちゃん私が贈ったドレスはどうなったのよっ」
今度は何故か多少牙を剥いた猫呼が食って掛かった。
「申し訳ありません猫呼さま、頂いたドレスはお礼状を付けて畳んでお返ししてあります」
「何よソレ! 逆に失礼だわ。私は七華と違ってアンタの態度に腹が立つわよ」
猫呼も七華も共に王女だが、それぞれ性格により対応が違ったが、想像とは逆の態度となった。
「申し訳ありません」
「猫呼本当に済まない! フゥーちゃんも加耶ちゃん同様ちゃんと面倒を見るよ! だから安心して任せて欲しい!!」
「お兄様……」
(え、加耶ちゃん??)
てっきり朴訥で真面目で女っ気の無いと思っていた猫弐矢から違う女の名前が出てフゥーはドキッとした。
「フゥーちゃんいつでも戻って来て!!」
それでも七華は最後までフゥーが諦めきれ無くて声を掛けた。
「……はい、いろいろ出過ぎた事を言って申し訳ありませんでした七華さま」
フゥーは頭を下げて黙った。
「と、言う訳なんだ、そろそろ私達はお暇いたそうか! 所で雪乃フルエレ女王陛下、我らが安全に帰還出来る様に我らに回復魔法を掛けてもらえぬかな?」
安全が保障されたと確信した途端に気が大きくなったシューネが大胆な事を言った。
「てめ、ふざけてんのかオラー!?」
再びスナコがセレネの口調で叫んだ。
『わかったわ。友好の印に貴方達を信じてあげましょう。メラン、回復(強)を掛けてあげて!』
「フルエレッ! 賛成できません!!」
『私も同じく反対よ、こんな奴に私の回復は掛けて上げないわよ』
メランも即座に反対した。
『じゃ仕方ないわね、蛇輪の超強力な回復を掛けてあげるわね』
「光栄です、女王陛下」
シューネはしめしめとほくそ笑んだ。
『フルエレさん駄目よっ! なら私が回復(弱)を掛けるわ、それで良いでしょう?』
甚だ不満顔だが黒い稲妻Ⅱが両手を金輪にかざし、魔呂スキル回復(弱)を渋々掛けた。
パシュッキラキラキラ……
金輪にキラキラ粒子が舞い降りて、中に乗る三人の魔力と体力が微量回復した。
シュバッッ!!
その直後にシューネは意気揚々とスキル金輪の光の輪を回復させた。
「ハハハこれは良い、マシントラブルも回復したのかね?」
(飛んだ間抜け野郎共だなっ!)
声には出さないがシューネは心の中で高笑いし、もちろん必ずの復讐を誓っていた。そしてすかさず金輪はフワリと宙に浮いた。
『ハハハでは美しき女王陛下、それにセブンリーフの諸君またお会いしようぞ!! ははははは』
シューネはあたかも勝ち誇るかの様に、指をスチャッと振ってから金輪の背を向けて堂々と帰還しようとした。
『んな訳ねーーーだろがぁあああああああああ!!!』
ザシュッッッ!!
フルエレ以外の皆が歯ぎしりして金輪を見届けた瞬間、突然スナコちゃんがライラの魔力を使って蛇輪を勝手に動かし、素早く片手でフルエレを強制的に収納した直後に、大ジャンプして鋭く尖った爪を持つ手刀で背を向ける金輪の肩にかけて思い切り突いた。その勢いは凄まじく突かれた直後に残っていた片腕も千切れ飛んだ。
『よし、これでどうだ……出でよっ光の輪っか!!!』
スナコは目を輝かせて叫んだ。
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