魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記 弥生史上最悪の悪役令嬢と記される最強魔力少女は最愛の不死従者を手に入れて破滅フラグを叩き壊します!

佐藤うわ。

文字の大きさ
525 / 698
Ⅴ 千岐大蛇(チマタノカガチ)

カガチ後⑩ どーせーゆーんじゃ

しおりを挟む
『いかん、フルエレさんに負けとる。メランさんもっとガンガン行くぞっ!』
『おおーっ!』
『いけーっ』

 叫びながらセレネは蛇輪へびりんをぎゅーんっと旋回させて千岐大蛇チマタノカガチに接近すると、前に浮かぶ光の輪から伸びる光の剣を気持ち広角に開く様に願った。

『撃つっ!! 行けっ光の矢ッ』
『わたしもっ連射!!』

 シュパパパパパパパ!!
 ドドーーン! ドドーーン!! ドンドン!
 蛇輪とメランのル・ツー漆黒ノ天はそれぞれの武器を乱射しまくった。ヒットしたそれぞれの攻撃は、あたかもB級アメリカアクション映画の様に、カガチの首からよく分からない緑色の液体をまき散らして頭を四散させて行く。
 ドチャッ! ビチャッ!!
 そもそもが約五百Nメートルのチマタノカガチの事である、飛び散る液体や組織片の量もハンパでは無い。

『うっわーばっちいなあ、キモい……オエッ』
『……そんな命の尊厳を否定する様な発言はNGでしょ!』
『村ゞを襲った奴相手に命の尊厳も何もないわ! 撃って撃って撃ちまくるだけじゃ!!』

 さらにセレネとメランは攻撃を再開しようとした……
 ヒヨンッカカッ!!
 忘れていた頃に突然真っ赤な瞳が光り、蛇輪とル・ツー目掛けて同時に赤い光線が飛んでくる。

『!?』
『危ないっ』
 
 しかしほぼそれと同時に兎幸うさこが展開していた魔ローンの盾が、寸での所で二発の光線を同時に跳ね返した。その内の一本が魔ローン表面の鏡面に跳ね返され、ヌッ様の顔面の前を掠めて飛び去った。

『危ないっ!!』
「今の何!?」
『セレネくん、跳ね返すにしても方向を考慮してくれっ!』

 慌てて猫弐矢ねこにゃが注文を付けた。

『あいあい、善処しま~~す』
『その言い方は無いわ』

 セレネの言い方にフゥーも猫弐矢もムッとしたが、紅蓮とフルエレは気にしなかった。何故なら彼はセレネの実力を信じ、フルエレは実はセレネは優しい子だと分かっているからだ。

『セレネ大丈夫なのは分かってるけど、気を付けて上げて』
『は~~い』

 二人のやり取りを見て、フゥーは再び発奮した。

『まだまだっ!! 私達も頑張るっ!! このまま削り続ければ!!!』

 ドタドタと走り出すと、フルエレの期待に応える様に飛び蹴りで何本もの首を吹き飛ばした……

『仕方が無い、この私も絶対服従を掛け続けましょうぞっ』

 夜叛やはんモズも男五人でぎっちぎちの桃伝説ももでんせつ操縦席の中で地味だが後衛と補助という己の役割を果たし続けた。


 ―数十分後。

『はぁはぁ……まだまだ……』

 フルエレはケロッとしたままだが、直接操縦を続けるフゥーが連続して必殺の攻撃を続けた挙句、明らかに疲れが見えて来た。

「フゥーちゃん大丈夫!?」
「フルエレ様大丈夫です!!」

 フルエレは心配して魔法モニター上のセレネも見た。

『はぁはぁ……光の矢を撃つだけなのに割りと疲れるんだなあ……』
『あのさぁ、さっきから気になってたんだけど、あんだけずっと首を落としまくっているのに、減らないと思わない?? 回復(弱)!!』

 パシュウッキラキラキラ……
 メランが魔法モニター上からポツリと言った。彼女はライフルを撃つだけなので全く疲れてはいない。言い終わると同時にル・ツーの魔呂スキル回復(弱)を掛けて上げる。

『サンキュー! 確かに……恐ろしい事に気付いたな』

 少し冷や汗を掻きながら、セレネは状況を注意深く見始めた。

『フゥーちゃん、紅蓮くん、さっきから首を爆発させ続けてるけど、減らないと思わないかい?』

 ヌッ様の体内でも同じ事が話題になり始めた。

「うん、実はさっきから首の数を数えてるんだけど……減る処か増えてるような……」

 セレネを越える剣の超人的な達人の紅蓮アルフォードが言った事が皆に衝撃を与えた。

「私もそんな事は無いと自分に言い聞かせて来たけど、気のせいじゃ無かったんだアハハ」

 雪乃フルエレ女王も苦笑いしながら片手で頭を掻いた。

「フゥーちゃんには悪いけど、消された首がどうなるか脳内でマーキングするから、また続けて戦ってくれないかい?」
「ハイ! まだまだああああああ!!」

 紅蓮に言われるまま、ヌッ様は戦闘を再開した。
 ドカーンドカーンと次々に首が千切れて爆発して行った跡を、紅蓮はブレないでひたすら注視し続けた。

「うっ」
「どうしたの!?」

 フルエレが恐々と聞いた。

「うん、もともとの首の数が多過ぎて判りにくいけど、千切れた首が再生してるね……しかも枝分かれしたりして、数が増えてるよ……」
(気のせいか体も微妙にデカくなってる気が)
「ええっ!? 本当なの??」

 紅蓮の言葉にフルエレは衝撃を受けた。もちろん猫弐矢もフゥーも同じだった。

「つまり……攻撃をして飛ばす首よりも復活してる首の方が多いと」
「申し訳ありません、私の力不足でっ!」

 猫弐矢の言葉にフゥーは即座に謝った。

「フゥーくんの責任じゃ無いよ。こっち側のタマ数不足なだけだ。数が圧倒的に足りない」
「じゃ僕も外に出て!」
「ダメだよ、悪いが紅蓮くんが外に出ても焼石に水だ。それは美柑ミカちゃんも同じ事だよ。それよりもキミ達は中に居てて欲しい」
「……」

 その頃、セレネ・メラン組も同じ結論に達していた。

『こんなモン、どーせーーゆーーーんじゃっ!!』
『切っても切っても次から次へと増えて行ってるなんて……』
『猫弐矢さん、コイツが再生する様になった切っ掛けって?』

 溜らずセレネは猫弐矢に聞いた。

『それは、私からお教えしましょう! そのヌッ様が両手を喰われましてな。それでヌッ様同様水から生成する能力を獲得したかと!』
『それは貴様が絶対服従を切ったからだろうがっ!』

 それまで司令部で黙っていた貴城乃たかぎのシューネが思わず叫んだ。

『なんですとっ!? 貴方も同意してたとっ』
『もういいわっ黙れや犯罪者共がっ! 水がエネルギー源なんだな!?』

 セレネは話を聞いて、それまであまり注目していなかった、胴体裏側の下部に旋回、下降して回りこんだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...