魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記 弥生史上最悪の悪役令嬢と記される最強魔力少女は最愛の不死従者を手に入れて破滅フラグを叩き壊します!

佐藤うわ。

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2-プロローグ~EX夢部分

exエピローグ Ⅰ 白鳥號Ⅱ

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 ヴィィイイイイイイイイイキュイイイイイイイイイイイ
 ガタガタガタ……

 長い間一人で俯いていると、突然最近は聞いた事が無い様な奇妙な騒音が聞こえ始めた。寂しい寒村は途端に大騒ぎになった。

『皆さん、恐れる事はありません。神聖連邦帝国軍の者です。家から出ないで静かにしてて下さい』

 突然ぶしつけな魔法スピーカーの大音声が流れる。

「もしかして旧同盟の残党狩り!? 私も対象なの??」

 美女の脳裏に、何の変哲も無い退屈な日常処か今度は牢屋にぶち込まれる恐怖感が巡った。

 ドンドンドン!!
 心配する暇も無く、激しくドアを叩く音が。

 だが覚悟を決めた美女は、軽く身繕いをすると最後は高貴な者らしく平静の顔に戻して、毅然としてドアを開けようと立った。

 一瞬漁師ABが颯爽と駆け付けて助けてくれないかと期待したが、それも無理な話だろう。


 ガチャッ
 呼吸を整え無表情でドアを開けた。

「あっ」
「あ……」

 ドアを開けた外には、きっちりと神聖連邦帝国軍のパイロットスーツに身を包んだ見知った青年が立っていた。

「もしかしてサッワくん?」
「七華王女、やっぱり此処にいたんだ!」

 ドアから身を乗り出して見ると、先程まで何も無かった漁村に真っ白い巨大な魔ローダーが立っている。

「あれは白鳥號?」
「ああ、あれは白鳥號Ⅱ、僕の魔ローダーさ!」
「嘘付かない、帝国の装備品でしょ?」

 にゅっと後ろから冒険者スタイルの依世が身を乗り出した。

「依世ちゃんまで!? どうして此処に??」

 七華は突然過ぎて目をぱちくりさせた。

「僕から説明するよ。今度貴城乃シューネ様と陛下からも直々に、【東の地の東の地】の探索を命じられてね、どうせ行くならパーティーに美女も居た方がいいと思ってさ、探していたんだ!」

 もちろん美女を適当に探していたというサッワの言葉は嘘である。

 サッワから見て、かつての主人ココナツヒメと同じ雰囲気がしている気がする七華は、かつてからほのかに慕っており、その行先を心配していた。

「東の地の東の地??」

 かつてまおう城から脱出した紅蓮と依世は、一時期サッワと七華とも一緒に行動していた事があった……

 そして七華は知る由も無いが、成長したサッワは修行と経験を重ね強くなり、今や聖帝紅蓮の影武者と呼ばれる程になっていた。白鳥號の少数量産型は紅蓮から直々に受領して預かっている機体である。


「ささっ行こう!!」

 七華はあまりの急展開に少し混乱した。

「で、でも……お父様も五華も居ないのに……私だけ……わたくしなんて役立たず」

 七華は首を振った。

「ああ、心配しなくていいよ! お父さんも五華ちゃんも神聖連邦帝国内で領地貰って、のほほんと生きてるよっ!」
「ええええ!!??」

 依世の言葉に七華は腰を抜かす程に驚いた。

「パーティーの王女は文句だけ言ってりゃ良い役だからいいの! さささっ僕がエスコートしますよ七華王女! むふふふふ両手に花」

 サッワが鼻を伸ばして七華の腰を触ろうとした。

「こらっ止めなさい。ボクの目が黒い内は貴様にセクハラはさせない」

 操縦席から遅れて出て来たナリが何故か七華では無く依世をサッと庇う。

「依世さま、セクハラタッチされていませんか!?」

 依世女王のいる所、当然の様に執事のナリも付いて来ていた。

「私じゃ無いでしょ、七華が危ないのよ?」
「は、はぁ?」


 特に持って行く荷物も無いままに、七華達四人は慌ただしく白鳥號Ⅱに乗り込んだ。

 先程までの茶色い板に囲まれた殺風景な小屋と、メカメカしい操縦席の景色の違いにクラクラする七華。仮設シートからふと魔法モニターを見ると、優しい漁師ABの若者がポカンと口を開けて見上げている。

「ハッチを開けて頂戴」
「ああ、うん?」

 バシャッ
 サッワが閉じたばかりのハッチを無造作にまた開けた。途端に冷たい風が吹き込む。

「漁師さん今までありがとーーー! 小屋は差し上げますわっ!!」

 漁師二人は突然可愛いヨメ候補を取り逃がした悔しさと、喪失感で言葉も無くポカンとしていた。


「じゃ、取り敢えず七華のお父さんの領地に戻りますか?」
「そうだね~~」
「はい依世さま」

 依世が言うとサッワは神聖連邦帝国の中央部に向けて舵を切った。ビューーーンと小気味良い音と振動と共に飛行形態に変形した白鳥號Ⅱは飛んで行く。

(どんどん漁村が小さくなって行く……)

 七華の目からぽろぽろと涙が流れ続けた。

(……わたくしにこんな幸せが訪れていいの!? ごめんなさい砂緒さまフルエレ、私このままこの人達と旅をします……)

 七華はその砂緒が生きていて、貴城乃シューネに成り代わっている事を知らない。七華探索は当然シューネの命令でもあった。

「ちょ、ちょっと何泣いてるの!?」
「人間色々な苦労があるもんなんだよ~わっかるなァ~~~」
(スピネルさん、カヤちゃん……)

 言いながらサッワはポケットの中で、カヤから最期にもらったキバのペンダントを握りしめた。

「何よ分かった風に!」
「そうだ、サッワの癖に依世様に話し掛けるな!」
「何?」

 七華は楽し気に会話する懐かしい仲間達を眺めて、機体の振動を揺り籠にして安心して少し眠り始めた。
 スーーー……






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