B.B.HEARTS

池谷光

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勇士集う

森を抜けて

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「やっと出られたよ!」

 サイガとアリシアは長かった森の一本道を抜け、太陽の光の眩しさに思わず目を瞑る。森を抜けた先は丈の長い雑草が辺り一面を覆っており、それらを分けるように1つの道ができている。

「うわ、また鬱陶しい位長い草がいっぱい・・・周りが全然見えない」
「どうせこの一本道行けば良いんだから問題ないだろう」

 行くぞと言ってサイガが歩き出すとわかってるよと言ってアリシアも後について行く。伸びた雑草は1つが揺れると隣の雑草も揺れそれにつられてまた隣も、と言った具合に少しの揺れでさざめいており、風が吹く事でそのさざめきも一層増していた。

「それにしてもあんたよくここまで来れたな。あんたの言動を見てるととてもここまで来れるようには思えないんだが」
「失礼だなぁ、こう見えてもしっかりしているの私は。さっきのは少し油断していただけだから。って何その顔!信じてないでしょ!」

 疑いの目を向けていたサイガに対してアリシアは声を若干荒らげる。いや、だってさぁと言いながらサイガはアリシアを見る。

「本当に今まで一人だったのか?普通に考えてあんたぐらいの歳の女が一人でここまでなんてとうてい無理な話だろ」
「私のこと何歳だと思ってるの?もう今年で19だよ!」
「え、12歳くらいかと思ってたわ」
「馬鹿にしてるよね!?言動を含めて子供っぽいって言いたいんでしょ!?」
「いやまさか。若く見えるって話だ」
「物は言いよう!私はまだ若く見られてうれしい歳じゃないからね!」

 今でも十分若いもんとアリシアは若干ふてくされながら言う。そんなに怒るなよとサイガは呆れながら呟く。

「サイガは?何歳なの?」
「あぁ・・・一応17かな」
「何一応って・・・って言うか私より年下なんだ。ちゃんと年上の私を敬いなさい」
「年増の私?いくら子供に見られたくないからってさすがにそれは・・・」
「年上の私!やっぱり私のこと馬鹿にしているよね!」

 サイガはなんとか弁明しようとするがアリシアはすっかり機嫌を損ねたようでそっぽを向いてしまい聞く耳持たずである。そんなアリシアの様子を見てサイガは呆れたようにボソッと子供かよと呟くと、アリシアは鬼のような形相でサイガをにらみつけた。サイガはその顔を見て一瞬動揺してしまった。

 そんな感じでしばらく歩いていた二人であったが、しばらく進んでいくと何やら奇妙なものを見つける。
 
「あれ、なんか落ちてる」

 そう言ってアリシアは地面に落ちていたそれを拾い上げる。それは棒状の小さな木の塊で、その先端部分には何かに千切られたような金属部分が不自然に残っていた。

「これはナイフだな。しかし妙だ、刃の部分が無くなっている」
「なんか折れたにしては変な形状だよね」
「確かにな。まるで噛み千切られたような・・・」
「見て、この先にもいっぱい落ちてるよ」

 道の先には何かの破片らしきものが地面にたくさん転がっており、その多くは金属部分が噛み千切られたように無くなっていた。

「金属部分だけが同じ様な痕を残して無くなっている」
「もしかしてこれ・・・・・・」

 アリシアが何か言いかけたとき、前方から傷だらけの男が足を引きずりながら歩いてきた。その顔は恐怖に満ちており、まるで何かから逃げているようである。どうしたんだと思いながらサイガは男を見ていたが、男の近くの草むらが不自然に揺れたかと思われた瞬間、草むらから何かが飛び出てきた。それは男の頭を掴んだかと思うと目にもとまらぬ速さで再び草むらの中に消えていった。
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