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ツルギの柱
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ヒロフミの命令は、ヤマタノオロチに正確に伝わっていた。
ヤマタノオロチは今、姿の見えない侵入者と戦っている。何か、姿を隠す機能を持った車両に乗車しているようだということまでは気づいていた。
このステルス製の車両名はアウリガ二号式という。本来はトビラの所有物だが、アケルに貸し出され、今はウツロイが操縦している。
ウツロイはアウリガ二号式の運転席にあるボタンを片っ端から押して、ヘッドライトの横からミサイルが出ることと、ボンネットのなかからガトリングガンを出すことに成功していた。これらの武器を使いながら、ヤマタノオロチの気を引きつけている。
しかし、攻撃するということは、相手に自分の位置を知らせるも同然だ。ウツロイが攻撃すれば、すぐさまヤマタノオロチの反撃が飛んでくる。そして、ヤマタノオロチはウツロイがどちらに避けるかを予測しながら攻撃し始めていた。
ウツロイは慣れない運転に苦戦しつつ、アウリガ二号式を操った。
「早く……早く戻ってきて!」
必死でヤマタノオロチと戦いながら、ウツロイはアケルたちが無事にユルギとツルギを連れて戻ってくることを祈った。
「こっちじゃ」
ヒロセの案内により、アケルたちは中央棟に侵入することに成功していた。研究員に見つからないように歩みを進め、ついにセキュリティ管理室に向けて階段を上り始めたとき、上方から誰かが降りてくる気配があった。
「しっ」
アケルはヒロセとヒノの腕を引っ張り、自分の後ろに隠すようにした。ズボンのベルトに装着していた拳銃を取り出し、アケルは上方を睨んだ。
「アケルっ」
階段の上から飛び降りてきたのは、敵ではない。ユルギだった。
「ユルギ!?」
ユルギは無言のまま、アケルに抱きついた。
「ちょっと、く、苦しいわよ。何よ、何があったのよ」
力いっぱいしがみついてくるユルギに戸惑うアケルの目に、ツルギの姿が映った。ツルギは、寂しさと安堵が共存するような、複雑な表情をしている。
「ツルギ!」
一番にツルギに駆け寄ったのはヒノだ。
「怪我してる……」
ヒノは心配そうにツルギを見た。ツルギもまた、ヒノの傷を見て、悲しそうに目を細めた。それに気づいたヒノは、「私は大丈夫」と笑ってみせた。
「お、おい」
ヒロセはまだ、階段の上方を見ている。
ツルギがハッとして振り向くと、階段の踊り場に、ミサカをはじめとしたバリアー研究チームがいた。
アケルはユルギを引き離し、自分の後ろに隠した。ツルギとヒノもバリアー研究チームを睨んでいる。
ミサカだけが、へらっと笑った。
「な~んだよ、みんなして怖い顔しちゃって。なに、俺のこと敵だと思ってんの」
「違うんですか」と、ツルギ。
「ははっ、一回敵側につかれたからってもう疑うのか。お前もまだまだ子どもだな」
「何を言っておるんじゃ。邪魔をするなら容赦はせんぞ」と、ヒロセ。
「邪魔なんかしませんよ、ヒロセ先生。俺たちの邪魔をしないなら」
「なんじゃと?」
「俺たちもここを出るんです。ここにいたって、破滅しかない」
ミサカに戦う意思がないことを察すると、アケルはユルギに「行きましょう」と声をかけた。ヒロセも研究所の外に向けて歩き出した。ツルギだけ、数秒、ミサカと目を合わせていた。
ミサカの目は、どこか優しかった。
ツルギはヒノに支えられながら、ユルギたちのあとに続いた。
「もう、解放されちまえよ」
ミサカがぽつりと呟いたことに、ツルギは気付かなかった。
ヤマタノオロチは今、姿の見えない侵入者と戦っている。何か、姿を隠す機能を持った車両に乗車しているようだということまでは気づいていた。
このステルス製の車両名はアウリガ二号式という。本来はトビラの所有物だが、アケルに貸し出され、今はウツロイが操縦している。
ウツロイはアウリガ二号式の運転席にあるボタンを片っ端から押して、ヘッドライトの横からミサイルが出ることと、ボンネットのなかからガトリングガンを出すことに成功していた。これらの武器を使いながら、ヤマタノオロチの気を引きつけている。
しかし、攻撃するということは、相手に自分の位置を知らせるも同然だ。ウツロイが攻撃すれば、すぐさまヤマタノオロチの反撃が飛んでくる。そして、ヤマタノオロチはウツロイがどちらに避けるかを予測しながら攻撃し始めていた。
ウツロイは慣れない運転に苦戦しつつ、アウリガ二号式を操った。
「早く……早く戻ってきて!」
必死でヤマタノオロチと戦いながら、ウツロイはアケルたちが無事にユルギとツルギを連れて戻ってくることを祈った。
「こっちじゃ」
ヒロセの案内により、アケルたちは中央棟に侵入することに成功していた。研究員に見つからないように歩みを進め、ついにセキュリティ管理室に向けて階段を上り始めたとき、上方から誰かが降りてくる気配があった。
「しっ」
アケルはヒロセとヒノの腕を引っ張り、自分の後ろに隠すようにした。ズボンのベルトに装着していた拳銃を取り出し、アケルは上方を睨んだ。
「アケルっ」
階段の上から飛び降りてきたのは、敵ではない。ユルギだった。
「ユルギ!?」
ユルギは無言のまま、アケルに抱きついた。
「ちょっと、く、苦しいわよ。何よ、何があったのよ」
力いっぱいしがみついてくるユルギに戸惑うアケルの目に、ツルギの姿が映った。ツルギは、寂しさと安堵が共存するような、複雑な表情をしている。
「ツルギ!」
一番にツルギに駆け寄ったのはヒノだ。
「怪我してる……」
ヒノは心配そうにツルギを見た。ツルギもまた、ヒノの傷を見て、悲しそうに目を細めた。それに気づいたヒノは、「私は大丈夫」と笑ってみせた。
「お、おい」
ヒロセはまだ、階段の上方を見ている。
ツルギがハッとして振り向くと、階段の踊り場に、ミサカをはじめとしたバリアー研究チームがいた。
アケルはユルギを引き離し、自分の後ろに隠した。ツルギとヒノもバリアー研究チームを睨んでいる。
ミサカだけが、へらっと笑った。
「な~んだよ、みんなして怖い顔しちゃって。なに、俺のこと敵だと思ってんの」
「違うんですか」と、ツルギ。
「ははっ、一回敵側につかれたからってもう疑うのか。お前もまだまだ子どもだな」
「何を言っておるんじゃ。邪魔をするなら容赦はせんぞ」と、ヒロセ。
「邪魔なんかしませんよ、ヒロセ先生。俺たちの邪魔をしないなら」
「なんじゃと?」
「俺たちもここを出るんです。ここにいたって、破滅しかない」
ミサカに戦う意思がないことを察すると、アケルはユルギに「行きましょう」と声をかけた。ヒロセも研究所の外に向けて歩き出した。ツルギだけ、数秒、ミサカと目を合わせていた。
ミサカの目は、どこか優しかった。
ツルギはヒノに支えられながら、ユルギたちのあとに続いた。
「もう、解放されちまえよ」
ミサカがぽつりと呟いたことに、ツルギは気付かなかった。
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