社畜探索者〜紅蓮の王と異界迷宮と配信者〜

代永 並木

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2章天鬼鶏

社畜 想像以上の大群

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七階層手前で止まる

「問題はここから先だな」
「魔物は出ましたが上階層で出た数と比べたら確実に少ないです」
「だなぁ」
「僕が先に降りる」
「分かった」
「私も行きます! 鎖で援護します」
「……分かった」

(防御分の炎はあるが……)

「二人とも気をつけてな」

蓮二と天音が先に降りていく

「長いな」
「ですね」
「怪しいな」
「怪しいですね」

明らかに今までより階段が長くなっている
ダンジョンの階段の長さは基本同じ、間違いなく普通では無い

「大群かそれとも別の魔物か」
「強い魔物の場合即撤退ですね」
「撤退の場合は階段を炎で塞ぐ、ある程度の距離までなら炎維持出来るからそれで逃げられるとは思う」

七階層、ダンジョンの見た目は変わらない
そして魔物の姿も見えない

「居ませんね」
「居ないな」

二人はホッとする
弱い魔物とは言え大群は相手にしたくない

「竜胆さんは獅子神さんを呼んできて、念の為に周辺を確認する」
「分かりました。お気をつけて」

天音が階段を登っていく
蓮二はすぐに周辺を確認する
魔物の姿も音もしない

「階段が長くなっていたのはただそういう設計? 気にし過ぎたか?」

奥には行かずに二人を待つ
暫く待機するが来ない

「そろそろ来てもおかしくないはずだが」

階段が長いと言ってもそこまで時間はかからない
階段を覗くが二人は見えない

「上で何かあったのか?」

そう考えている蓮二の前に魔物が現れる
四足の獣型、姿は若干違うが一体だけ
蓮二は炎を放つ
魔物は炎に焼かれて消滅する

「魔物の強さは上と変わらないな。それも一体だけ……いや、奥から来てるのか」

奥から二体の魔物が現れる
先程の魔物と同じ姿
炎を放って攻撃する
二体とも容易く倒せる
弱い魔物、対処も容易い
(この程度なら問題ない。気にし過ぎたみたいだな。前のダンジョンの事がどうも頭から離れないな)
集中して耳を立てるが奥から何も聞こえない
一向に二人が降りてこない
(……流石に遅い、一旦戻るか。何も無ければ三人で降りればいい)
何かあったと考えて階段を登ろうと振り返ると後ろから足音がする

「足止めか」

同じ種類の魔物が三体
今階段を登れば付いてくるかもしれない
炎で倒してから向かう為に三体目掛けて炎を放ち倒す
そうするとまた奥から魔物が現れる
炎を放ってから急いで階段を登る

「これは多過ぎる。鶏くんは戻ってこないか?」
「通信が出来ない」

二人は大量の魔物と戦っていた
小型の通信機を使おうとしても通じない
何かしらに通信を妨害されているのか蓮二がオフにしているのかは分からないが緊急事態を伝えられない

「マジか」
「蓮二さんはこの騒動に気付いていないか下で何かあったかも」
「鶏くんなら相当の事が無い限りは問題は無いと思うが……何とか異変に気づいて戻ってこないか?」
「私が呼びに行く?」
「そうすると戻ってくるまでに私が食われる。一体一体は弱くともこの数は凌げん」
「だよね」

魔物の数は三十どころではない
どんどん湧いてきて埒が明かない
鎖で壁に叩き付けながら風の短剣で吹き飛ばす
槍を振り回して魔物を両断していく

「この数はおかしい」
「全然5級の難易度じゃない」

魔物を蹴り飛ばし槍で突く
横に振って数体に槍を叩き付ける
五本の鎖を召喚して鎖で縛り上げて壁や地面、魔物に叩き付けて倒す
近くの魔物を倒しているが数が多く段々押されていく
倒しても倒しても次から次へと新しい魔物が突っ込んでくる

「獅子神さん伏せて!」

蓮二が階段を登り切り叫ぶ
一鬼は声を聞いてすぐに低姿勢になる
そしてその上を炎が飛んでいく
纏めて数体の魔物を焼き払う
蓮二が来たのを確認して一鬼は下がる

「鶏くん溜めてるよね」
「準備万端!」

溜めた炎を放つ
拡散する炎は大きく広がり大量の魔物を焼き払う
魔物の数が一気に減った

「この数はやばいな」

蓮二は一度魔物を見る
近くの魔物は炎で一掃した
それでも奥にまだ大量に居て突っ込んでくる

「大群が出るって予想はしたけど限度あるだろうがぁ」

槍を振るって薙ぎ払う
前のダンジョンの大群はこの魔物より強い魔物とは言え三十体程度だった
それに対してこのダンジョンの大群は数が完全に不明、二人で三十体以上はもう倒している

「正直私も何体倒したか分からない……蓮二さんよく戻ってきてくれました」
「二人が来なかったから何かあったのかと、あと下の階層だと数体ずつで来て足止めでもしようとしてるように思えた」
「マジナイス判断」

会話してる間も魔物は突っ込んでくる
それを炎で迎撃する
範囲を狭めた風が魔物を吹き飛ばす

「これどうする? この大群突破して撤退? それとも進むか」

蓮二は二人に判断を任せる
間違いなく異常事態、素人な自分よりも経験豊富な二人に判断を委ねる事を選択した

「ダンジョンはコア粉砕すれば脱出出来る、しかし、下の階層の情報は無い。何階層が主の階層か分からないから危険だな」

(かと言ってだ、この魔物の大群がこの階層だけの話とも限らない。上の階層でも出てくる可能性は考えられる)
一鬼は考える
これほどのイレギュラーは初めて体験する
単純に強い魔物とは何度も遭遇しているがこのような罠は経験が無い

「上なら道はわかってるし魔物も弱い。一点突破なら何とかなると思う」
「下に行かせないのではなく戻らせないように現れた事を考えるとほぼ確実に下の階層に何かありそうです」
「……上だな。天音と鶏くん頼めるか。この数は私じゃ無理だ」

広範囲攻撃の出来る二人の方が適任
一鬼は倒し損ねた魔物を倒す事に集中する

「柩」

槍の形状を変化させる
穂が龍の髭のように二股に広がり伸びる

「任せたぞ」
「分かった」

炎の腕を作り上げて構えて走る
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