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16話

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数日かけてイルダーナに戻る
道中リアと連絡を取り合っていたが魔族が攻め込んできたなどの情報は無かった
城壁もある程度修復できており兵士や冒険者が辺りを忙しそうに走り回っている
城壁にはリアとヴァーミリオンが待っていた

「話は聞いたぞ」
「お怒りのご様子で……でもあれ以外方法はあったかな? こちらの考えた策では最も早い救援要請じゃよ」

ヴァーミリオンはリアから聞いたらしく不満げにしている

「……しかし、他の国との交渉がどうする」
「それについては後回しじゃよ。まずはこの国を研究特化の技術大国に押し上げる。軍事はエルドーダ、技術は我が国で行う。両方とも同盟で協力関係を得たのでなぁ? 押し上げるぞ、まずは2ヶ月後までに研究で世界的な技術を生み出す。私の知識にある異端技術をこの国にくれてやろう……感謝するがよい。私がこの国を作り変える」
「何を言って……」

異世界の異端技術を使うことで他国よりの上の立場に無理やり這い上げる
軍事国家であるエルドーダに新武器の提供、兵器の提供及び開発の手伝いをさせる
裏切られて仕舞えばそれで終わりだがそうなったら情報提供を切ればいい
研究、開発はこちらでやる……情報とは理解出来なければ価値はない
異端技術を解読するのは困難を極めるだろう

……その為には天才と人を集めねばならぬな、2ヶ月以内に最低でも最初の段階に入ってなければならない。シアが目覚めてくれれば良いのだが贅沢は言えんな

馬車から降りて城壁の前で叫ぶ

「これよりこの国の改革を始める。手始めに異端技術をくれてやる」

城壁にいた人々は何があったのかと顔を出してくる

「人手が欲しい、給料は払おう。しかし実力主義だ」

城壁内に入り街へ向かう
3人は私の行動に唖然としている

「我こそはというものは共に来い」

人々がこちらをみるが全員怪しんで警戒している

……まぁ、当然じゃろうな。

「研究に力を注ぐ。他国と力ではなく知能で勝負だ」

城の方へ歩いて行く道中ずっと喋り続けるが誰も協力しようとはしてこない
そりゃ、見知らぬ誰かが改革について喋っていても話に乗る者はそうそう居ないが給料が出ると聞いて動く者も少なからず存在する
どの世界でも金という概念があるなら富裕層と貧困層の2つが存在する
私が住んでいた国でもそれがあった

「それは本当? しっかりと働けばそれに見合ったお金は出る?」
「おい!その話について聞かせろ。人手が足りねえなら俺たちでも構わないよな?」

2人の男女が話しかけてくる
薄汚い服を着ているところを見るに貧困層の者達だろう
後ろには仲間と思われるメンバーが10人近くいた

「構わない、しっかりと働き実績を出せばその分は必ず払おう。今は人手こそ必要だが払える金は少ないが良いかな? そりゃ金が集まれば払わせて貰うよ」

そう言って手を差し出す
すぐに男の方が手を取る
不良のような見た目をしているが仲間思いなのだろうか後ろにいた人々に信頼されているように見える

「構わねえ、俺たちは犯罪者の子供ってだけで裏路地に住む羽目になった……偉そうにしてる貴族どもに仕返しをしてやろうともな」
「させてあげるよ。よろしく、私はシャルレーダ・ベネリリス、貴族でも平民でもない」
「貴女の事は知ってる。貧困層が多く集まるエリアがある南区を守護していた」

少女が私を指差して呟く
少女の方は大人しそうなイメージが強くお金に貪欲とは思えない

「戦争でボロボロになったこの国を立て直す気でいる」
「出来るのか? 俺たちが知ってる情報だけでも簡単じゃねえと分かるぞ」
「簡単じゃないさ、異端技術を使うから簡単とは言えないなぁ~私は研究者でもなければ異端技術の第一人者でもない。記憶を頼りに魔法を組み合わせて作る……異世界とこの世界の技術を混合させて新たに生み出す」
「異世界の技術!? なんでそんな物を」

協力する気のある全員が驚いた
異世界の技術なんて物を取り入れるなど前代未聞だろう
あの世界じゃあ突然、魔法を使い技術を発展させますなんて言っても誰も信じないが魔法があるこの世界では異世界を否定出来ない

「私が転生者だからだよ。この世界とは別の世界で生きた経験を使う」

協力者を連れて城の中に入りヴァーミリオンの案内と共にある部屋に行く

「ここなら広いし誰も使っていないから研究所には出来る。ただ別な場所にも作るのだろう?」
「そうじゃよ、わかっておるのぉ~、第4程度までは欲しい。取り敢えず王を座から下ろすかのぉ」

この場をヴァーミリオンとリアに任せて王の間に行く
数人の騎士団長が扉の前で待機していた
王の座を奪うために集められたことを知っているにも関わらずヴァーミリオンとリオネット以外全員が集まっている

「ようやく来たか問題児、交渉に情報を使うとはな」
「色々とあったのじゃ、それより良いのかのぉ」
「それ言うの遅すぎないですか?」
「そうか? まぁ、良い。行くぞ」

私は扉を蹴り破り王の前に立つ

……さて、王を叩き潰すかの……な、んじゃと

目の前に広がる光景を見て目を見開く
王が手のようなもので背後から貫かれて絶命している
遠目から見てもう死んでいるだろうと分かってしまうのは貫いた手が心臓を持っていたからである
未だに動く心臓を握り潰し周りに血が飛び散る
王の背後から1人の魔族が現れこちらを一瞥して含み笑みを浮かべる

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