舞台の幕が下りるまで

代永 並木

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休息

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騎士団本部執務室

「よく死者ゼロで抑えてくれた紫織」
「運が良かっただけです。半数近くが重傷の作戦、相当無謀な作戦だったと思いますが」
「規模が想定以上だった」
「なぜ援軍を多く送らなかったんですか?」

紫織は騎士団長を問い詰める
医療班としてあの場に居た紫織は翌日の朝に執務室へ来ていた

「同時作戦を行っていて割ける人員が居なかった」
「同時作戦と言ってもある程度の規模なら貴方や天音さんが出れば問題ないはず、それに同時期に2箇所あの規模の集団が現れる事は低い」

騎士団長は強力な異能者
騎士団長が作戦に参加していれば重傷者を出さずに終わっていただろう

「規模を見誤ったのはこちらの落ち度だ。異能騎士5人居れば足りると考えていたが」
「何か隠しているんですか?」
「隠す?」
「いつもの貴方なら必要以上の戦力を投入します。規模が大きければ援軍として英雄達を派遣しますよね」
「彼らには動ける者が居なかった」
「異能騎士も少ないとはいえ1人2人は送れたはずです」

英雄、大災厄の時に大活躍した探索者達の事で騎士団の創設者

「大半の騎士を城壁の防衛に回していた。天音や恋歌と一部の騎士は外で別作戦をしていた」
「別作戦?」
「城壁から数キロ先に新しいダンジョンが現れた。その調査だ」
「新しいダンジョン……」

ダンジョンは未だに増え続けている
ダンジョンから魔物が溢れ出す危険がある為近くにダンジョンが出来た場合騎士団が早急な攻略を行う
今回、作戦開始の少し前にダンジョンの出現が騎士団に伝わり即座に今いる人員を派遣していた

「低等級のダンジョンで攻略済みだ。偶然が必然か分からないが事情が重なった」
「成程……早めにその情報を知りたかったです」
「済まない。それで負傷した騎士達の様子は?」
「数名の騎士は騎士としての復帰は無理です。他の騎士も1週間、2週間近く入院です」
「そうか、他になにか報告はあるか?」
「薬の在庫がもう無くなりそうです」
「薬か」

とある異能者が作った薬、特殊な薬で様々な種類がある

「消息は?」
「未だに不明だ」

そしてその薬を作った異能者は現在行方不明となっている

「そうですか……それでは失礼します」

紫織は部屋を出る

「間違いなく何か起こるな。どう動くべきか」


数日後ゼラは治療を終えて解放される
しかし、激しい運動と異能の使用は暫く禁止とされた

「まぁ手品は出来るからいいか」

家に帰り手品の練習をする

「数日触れてなかったけど腕は鈍ってない。これなら次のショーは問題なく参加出来る。騎士団の仕事が無ければ」

今回の作戦参加は本来の予定には無かった
騎士団の要請は急に来る、魔物の動きやダンジョンの動きの予測は出来ていない

「ゲリラで手品やるか」

手品道具を確認して支度をして家から出る
手品をするに良い場所を探す
(人気程々の広い歩道……確かあっち側にあったかな)
暫く歩いて少し広い歩道を見つける
近くに店は無い
これなら営業の邪魔にはならない

「ここなら行けるかな」

通行人が居る中、帽子を取り手に持った杖で帽子を叩く
すると中から鳩が現れ飛んでいく
突然鳩が現れて通行人の視線が集まる
視線が集まったのを確認してトランプを取り出して手品をする

「ゼラだ」
「おぉ!」
「おっ、手品やるのか?」
「なになに」
「手品か」
「手品見ようぜ」

ゼラの姿を確認した人々が集まる

「もう復帰出来たのか」
「元気そうでよかった~」
「本当になぁ」
「良かったぁ」
「動画見た時は本当に焦った」
「死んじゃうかと思った」

あの戦いは翌日に騎士団の公式サイトで動画が流れていた
編集された動画で戦いの一部が写っている
その中にゼラが戦っているシーンがあった
戦闘を人々に見せる、それはかつて一部の探索者がやっていたダンジョン配信という行為と同じ物
リアルな戦い、人死が出る事もある
それでも騎士団はその方法を取った
その理由は幾つかある
騎士団の創設者達の大半が探索系配信者というダンジョン配信を行っていたメンバーであったからや魔物に勝つ姿を見せる事で人々を安心させる為になど
大災厄で人類は追い詰められる、今も魔物やダンジョンは増え続けている
騎士団が魔物を倒す姿を見せる事でまだ希望があると信じ込ませる為には戦っている姿の配信が一番効果的と判断した
(……あれは)
手品の最中、観客の視線や表情を見ていたゼラは観客の中に不安げにしている人々が居る事に気付いた
今回の作戦は城壁付近で行われた作戦、魔物に攻め込まれてもおかしくはなかったのだ
それを知った国民の一部は不安に駆られている
(動画を見たんだな)
指を鳴らし不安げにしている人々に花を配る
手元に花が来た人々はゼラを見る

「今回の作戦は城壁付近であった。しかし、安心したまえ、民の安全は我々騎士団が護る。それに我々には英雄達も居るからね」

声を上げて語る
不安が伝播するのは危険、早い段階で不安を断ち切る必要がある

「そうだ騎士団は負けない」
「そうだよなあの数にだって勝ったんだ」
「うん」
「騎士団が居れば大丈夫だ」
「そう、君達は心配しなくていい」

再び指を鳴らす

「さぁ皆々様、手品はまだ始まったばかりですよ。見逃し厳禁」

盛り上がる
本来ショーで見せるはずだった手品を見せる
トランプ、杖、帽子、手元にある手品道具を駆使して行う
観客を巻き込む手品をして意識を手品に向けさせる

「想像以上に人が集まってたなぁ」

手品を終えて家に帰ったゼラは手品道具を手入れする
丁寧に傷がないか確認する
道具に何かあれば思うように手品が出来なくなる
道具の手入れは毎回行う

「こっちは問題ない。さてこっちは」

異能を発動させる
剣を1本ずつ作り出す
4本目を作った瞬間頭に痛みが走る、そして剣が崩れる

「3本……これは本当に暫く休まないとだな」

本来作り出せる数の半分
ゼラの戦闘はほぼ異能任せ、数が半分になれば戦力が半分になる様な物

「うん?」

携帯に通知が来る
画面を見ると騎士団長からだった
内容は明日、騎士団本部に来て欲しいとの事だった
直ぐに返信する

「騎士団本部……また何かあったのか?」

明日に備える
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