舞台の幕が下りるまで

代永 並木

文字の大きさ
8 / 39

騎士団本部

しおりを挟む
翌日、騎士団本部へ向かう

「騎士団長は今会議室に居ます」
「会議室? 会議中ですか?」
「はい、会議終了時間は30分後ですね」

(タイミング悪いな。まぁ30分程度なら良いか)

「分かりました」

本部に入り内部を散歩して時間を潰す

「おっ、ゼラ退院したのか」

適当に歩いていたら見覚えのある男性を見つける
相手も気づいて声を掛けてくる
前回の作戦の指揮官を担当していた異能騎士だ

「昨日退院したよ。ただ暫くは異能使用禁止」
「そうか安静にしろよ。てかよくあれに勝てたな」
「ギリギリだったけどね。魔物の等級分かった?」
「あぁ、奴の等級は3級だ」
「へぇ3級か」

(強かったけど3級とはね)
3級ダンジョンは人類の限界値とも言われている
そこの中ボスクラスの単独撃破は記録に残っている限りだと2名のみ
そもそも単独で挑むケースが少ないと言う理由もあるがそれを抜きにしても世界で数人程度

「3級の中ボスクラスを単独撃破なんて異能騎士の中でも英雄クラスくらいしか出来ない。ここ最近騎士団内はその話で持ち切りだ」
「まぁ彼ら英雄達には遠く及ばないけどね。ちょっと強さがおかしい」
「それは同感だ。同じ異能者なのに差があり過ぎる」

英雄と呼ばれる人々は皆強力な異能を持つ
騎士団長や天音も英雄と呼ばれている

「そういや今日は珍しく騎士団に来てるが何かあるのか?」
「騎士団長に呼ばれてね。人気者は大変だよ」
「確かにお前は人気者だな。同僚がショーが中止になったって嘆いてたぜ」
「安静にしないと麻酔ぶっ刺すと脅されてね」
「なんだそりゃ怖ぇな」
「相原さん今日の見回りのルートの確認を」
「あぁ、分かった。それじゃゼラまたな」
「仕事がんばれ~」

相原と呼ばれた異能騎士は騎士と話ながら立ち去る
(もう少し時間あるけどもう向かうかな)
時間を確認して執務室に向かう
騎士達は慌ただしくしている
執務室に着きノックするが返事は無い

「流石に居ないか」

中に入る
殺風景な部屋、誰も居ない
棚を確認するが興味を引く本は無い

「暇……そういえばなんの写真入ってるんだろ。バレないよね」

慎重に写真立てを手に取り入っている写真を確認する
9人の人物が写っている集合写真

「半分以上知らないけどこの4人は英雄と呼ばれている人達だ」

ゼラが知っている4人は今では英雄と呼ばれている人々
皆若い
まだ顔に傷が無い時の騎士団長レイの姿
幼さが残る天音
他2名も今とはかなり違う印象を受ける
大災厄以前から探索者として活動していた当時の写真だろう

「この人達も探索者?」
「1人は違う」

後ろに騎士団長が居た
入ってきた音に全く気づかなかった

「この5人について聞いても大丈夫ですかね?」
「構わん。別に隠してはいないからな。1人は見覚えが無いだけで知っているはずだ。騎士団が使っている特殊な薬の製造者だ。現在行方不明になっているがな」

写真立てをゼラから取り1人の少女に指を差す
一番小柄な少女、写真が苦手なのか少し嫌がっているように見える

「薬あぁ、秘薬の……行方不明?」
「そうだ、そして3人は大災厄で死んでいる」
「大災厄で……」

刀を持った少女を指差す

「戦死した1人が彼女で彼女は私と同じグループの仲間だった。私の隣にいる子は大災厄以降に探索者を辞めた私の相棒だ」

騎士団長の隣でピースしている少女

「探索者を辞めた?」
「大災厄で色々とあってな」

指を動かし騎士団長の隣にいる男性と男性と天音の肩に腕を乗せてる元気そうな女性を指差す

「この2人は天音のグループメンバーで2人とも戦死した」

この9人は大災厄当時最前線で戦っていたメンバー
そして3人が戦死し1人は探索者を辞めた
この写真は大災厄が起こる数年前の写真

「人類最強の異能者と言う言葉を聞いた事ないか」
「それって貴女の2つ名じゃ」

騎士団長は人類最強の異能者と呼ばれている
その名の通り圧倒的な異能を持つ

「今はそうだが本来は彼が持っていた名だ」

(彼が?)
平凡な顔立ちの男性、見た目は強そうには見えない
本当に人類最強の異能者の2つ名を持っていたのなら相当強い異能者だったのだろう

「話は終わりだ。本題に入ろう」
「何の要件で呼んだんですか? 報酬?」
「いや違う。ゼラお前は今戦えるか?」
「今の僕は余り戦力にはなりません。異能を酷使したせいか暫くは」
「そうか」
「また何かあったんですか?」
「あぁ、昨日城壁の近くでダンジョンが確認された。そして魔物がそのダンジョンに集まっている」
「集まる? 前回の作戦のように?」
「そうだ。外の魔物がダンジョン内部に入っていくのを見回りをしていた騎士が確認した」
「外の魔物が? ダンジョンの中からではなく?」
「見てもらった方が早いな」

タブレットを取り出して手馴れた操作で動画を再生する
見回りしていた騎士が取った映像が流れる
そこには言っていた通り外の魔物、地上を徘徊していた魔物がダンジョンの中に入っていく姿が確認出来る

「……こう言った事は前からありました?」

首を横に振る

「いや、初めて起きた現象だ」
「規模がどのくらいか分かりませんよね」
「ダンジョンが出来てからまだそれほど時間が経っていないから多くとも前回の作戦ほどでは無いと考えている」
「それで僕に攻略を?」
「あぁ、しかし、万全で無いなら仕方がない」
「他の異能騎士を?」
「いや、今回は私と天音と葉一が出る。他の異能騎士では足手纏いになる」
「なっ、そんなに難易度が?」
「たとえ弱い魔物でも大群になれば脅威となる。ダンジョンに詳しい我々が向かうのが良いと言う判断だ」

探索者は数多のダンジョンに潜っていた経験者達
ダンジョン攻略において探索者以上の適任は居ない

「僕は元々要らなかったんじゃ」
「戦力は多い方が良い。ダンジョンは何が起きるか分からないからな」
「それで攻略はいつ」
「私が動けるのが明日以降になる。作戦開始は明日の朝8時、全く面倒だ」
「急いだ方が」
「わかっている。しかし、政府の連中が口出しをしてきてな。無視はできん」
「成程」

騎士団は政府機関ではない
あくまで元探索者が立ち上げた組織でしかない
自衛隊や警察は居るが多くの異能者を抱える騎士団より戦力が少ない
その上、騎士団は政府の指示には従わず独自に動いている
余り良い印象は持たれていない
(明日までに治れば……いや無理か)

「今回は僕の役目は無いですね」
「参加出来そうなら防衛に参加してくれ」
「分かりました」
「恋歌を含めた守護隊が待機しているから参加するなら恋歌に聞いてくれ」
「分かりました」
「話は終わりだ。報酬は事前に送ってあるから確認してくれ」
「失礼します」

部屋を出る
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【悲報】現代ダンジョン時代、俺の職業がLv.1チンピラ【詰み】

道雪ちゃん
ファンタジー
2024年の年末、世界中に突如ダンジョンが出現した。 大学生・三上ひよりも探索者になることを決意するが、与えられた職業は――世界で一人しかいないユニーク職「Lv.1チンピラ」。 周囲からは笑われ、初期スキルもほとんど役に立たない。 それでも、生き残るためにはダンジョンに挑むしかない。 これは、ネット住民と世界におもちゃにされながらも、真面目に生き抜く青年の物語。 ※基本的にスレッド形式がメインです

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

処理中です...