舞台の幕が下りるまで

代永 並木

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ダンジョンの主、異能の真髄に触れる

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「外で何かあったのか」

連絡を受けていたレイに葉一が聞く

「大量の魔物が押し寄せてるらしい」
「ほう、大量の魔物か。天音が行って正解だったな」
「ダンジョンの主を倒せば終わるそうだ」
「ダンジョンの主が元凶……そのダンジョンの主は何階層に居るのだろうな」
「そう遠くなければいいが」

レイは走って魔物を倒しながら進む
武器で防御した魔物を槍で武器ごと貫く
(これだけの数が湧くなんて)
倒し損ねた数体が葉一に襲いかかる
攻撃を躱して撫で斬る、首を両断する
背後からの攻撃を見ずに避けて首に剣を突き刺して倒す
下の階層へ進む

「だいぶ降りたが今何階層か分かるか?」
「今は十二階層だ。長くともそろそろの筈だが」
「十二階層か、そうだな。もう少しだと良いが……分かれ道か」

少し歩くと二手に分かれ道が現れる

「別れて確認する」
「分かった。俺はこっちに行く」
「何かあったら報告」
「分かっている」

2人は二手に別れて分かれ道に入っていく
レイ側は正解の道のようで何も無く通れる
(こっちが正解か?)
葉一は外れの道を歩く
目の前に魔物が数体現れ襲いかかってくる
後ろに飛び攻撃を避けて踏み込み剣で頭を両断する
接近して剣を突き刺し切り上げて倒し続けて剣を投げて頭に突き刺す

『こっちが正解の道のようだ。何かあったか?』
「魔物が数体居ただけだ。先進んでろすぐに合流する」
『分かった』

来た道を戻る
戻っている最中に一度立ち止まる
すると葉一の前方から矢が飛んでくる
葉一は素手で矢を掴みへし折る

「矢? ……ちっ」

剣を構える
構えた瞬間、複数の矢が飛んでくる
剣を振るい飛んでくる矢を何本も真っ二つにする
首を動かして頭目掛けて飛んできた矢を避ける

「来た時は無かっただろ。……チッ、面倒な」

舌打ちをして進む
すると1体の魔物が現れる
人に近い姿をした魔物、ロボットのような見た目をしている

「懐かしいな」
『何があったのか?』
「面倒な魔物が出てきただけだ。気にせずお前は進め、こいつは1人でやる」

魔物は拳を振るって突っ込んでくる
剣で攻撃を防ぎ押し合う

『分かった。危なければすぐ呼べ』
「不要だ。今更この程度に負けはしない」

剣の向きを逸らして受け流す
そしてバランスを崩した魔物に蹴りを叩き込み斬る

「相変わらず硬いが叩けば良い」

剣を勢いよく叩きつける
剣を鈍器のように扱い何度も叩き付ける
葉一の使っている剣は大きさ以上の重量がある
魔物は身体を逸らして攻撃を回避して蹴りを繰り出す
その蹴りを避けて再び斬り掛かる
僅かだが傷が付く

「時間はかかるが余裕だな」

魔物の攻撃を余裕で躱して剣で攻撃をし続ける
素早い拳による攻撃も蹴りも容易く避ける
魔物は素早い連撃を繰り出す
一撃一撃が重く鋭い
当たれば並の人間なら致命傷になる、そんな一撃を連続で繰り出す

「その程度当たらん」

全て最小限の動きで躱していく
柄先で叩いて剣で複数回斬る
攻撃を避けて攻撃を叩き込み魔物を削っていく
攻撃の速度を上げていく、魔物も攻撃を仕掛けてくるが避ける
葉一は全て避ける、視界外からの攻撃も素早い一撃も全てを避ける
湧いた別の魔物が葉一に襲いかかる

「邪魔だ!」

躱して胴体を真っ二つに切り裂く
ロボットのような見た目の魔物の胴体に穴が空く
手を差し込んで掴んで力を入れる
ベギベギと音を立てる
魔物は抵抗するが攻撃は一切当たらない

「くたばれ」

胴体の一部を剥ぎ取る
魔物は動きを止め消滅していき魔石を落とす
魔石を拾う

「合流するか」

レイの通った道を進み合流を目指す
レイは一足先に降りて進んでいる
魔物を切り裂いて進む
(この程度なら刀は使わなくていいか)
槍で薙ぎ払っていき異能による瞬間移動も多用して進んでいく
そして葉一が合流する前に最下層に付く
目の前に大きな扉がある
ボス部屋だ

「まだ合流は出来ないか。なら1人で行くか」

扉をこじ開けて進む
広い部屋に1体の魔物が佇んでいる
人型の魔物、子供程度の身長
少女のような見た目をしている

「ほう、ここまで来るとはな。成程、真髄に至った者か」

魔物が話し始める
友好的に話し始める、魔物側に敵意は一切無い

「人語を介するか。まぁ良い殺す」

槍を仕舞い刀を引き抜く
相手はダンジョンの主、全力で行く

「野蛮な者だな。話し合う気は無いのか」

魔物は両手を上げる
戦う気は無いと意思表示をする

「話し合い?」
「こちらは殺し合う気は無い。邪魔をするのならこちらも加減はしないが」
「殺し合う気がないのなら何故魔物を集めている」
「それは異能の関係だ。そちらにも居るだろ。魔物を操る異能者が」
「魔物を操る?」
「……居ないかそれとも死んだか。まぁどちらでも良い。魔物を操る異能のせいで我には直接戦う力は無い。支配下に置いた魔物が居なければならん」
「まぁお前に戦うつもりが無かろうが関係ない」

目の前まで瞬間移動して刀を振るう

「……!?」

魔物は反応が僅かに遅れるが異能を使う
レイ目掛けて壁を突き破って大きな拳が飛んでくる
異能で瞬間移動して避ける

「そう殺気立ってどうした? 同胞が死んだか?」

魔物は会話を試みる
戦う気がない、そもそもレイ相手には勝てないのだ
人型の魔物はまだ真髄に至っていない
異能は説明した通り、ほぼ勝ち目がない

「そうかもな。どうかは分からんが」

大きな拳を持つ魔物が現れる
4メートルはある巨体の魔物
(最低でも中ボスクラスはありそうな)
魔物は何かを確認する

「支配下の魔物が人間を2人ほど殺しているな。疑問だが何故ダンジョンの前に陣取る?」

瞬間移動して刀を振るう
巨体の魔物の腕で刀を防ごうとする
異能を纏った刀は斬撃を生み出す
そして腕を切り裂き止まらずに人型の魔物へ向かう
斬撃を回避する

「覇王の異能か。我が転送された後、あの道化から聞いたが本当に居るとはな。それもあの目の異能者も……多くの異能を持つ者が死んだと聞いたんだがな」
「知っているのか」
「当然だろ。バルは有名だ、死んだと聞いて驚いたが同じ異能相手では仕方あるまい」

レイは何度も素早く刀を振るう
人型の魔物はレイの攻撃を避ける。防御は無理、当たれば死ぬと知っている
支配している魔物をレイにけしかける
けしかけられた魔物を刀で素早く切り裂き刀の能力を使う
刀を地面に突き刺し地面を凍らせる
範囲が広がり魔物の足元を凍らせ足を凍らせる
人型の魔物は逃げようにも身動きが取れない

「厄介な」

足が動かなくなり焦る
魔物は大量の魔物をけしかけるがレイは全て一撃で切り裂く
切られた魔物が消滅し魔石が転がる
巨体の魔物の拳が頭上から叩き込まれる
巨体の腕は切り刻まれる

「話を聞かず襲いかかるなんて野蛮か!」
「野蛮? 昔魔物は戦いを望んでいると聞いたんだけど」
「本能はな! しかし、戦いを望まぬ者も居る!」
「そちらの事情なんて知らないし興味もない」
「何それ……ようやく解放されたのに……ふざけるな! ふざけるなぁ!」

魔物は叫び大量の魔物をけしかける

「我は死ぬ気なんて無い! 役目なんて知らない、神なんて関係無い! 私は運命に従うつもりなんて無い!」

大量の魔物をけしかけるが容易く切り裂かれる
必死に異能を使って魔物をけしかける

「死ぬ気は無いんだよ!」

魔物を突っ込ませる
異能が込められた斬撃が飛んでくる
足が氷漬けにされ回避は出来ない
防御も出来ない

「あっ……」

死を避けられないと理解する
それでも無意味と知っていても僅かな抵抗を見せる
斬撃が寸前まで来る
そして寸前で斬撃は止まる

「何?」

斬撃は何かに阻まれて消滅する
魔物が目を見開く
死ぬと思っていたが生きている

「……あはははははははは! はぁ……そうなんだ。やったぁ。私も……私も! 至れたんだ至れるんだぁ」

魔物は高笑いをする
(なんだ?)
葉一が最下層につき合流する

「なんだあの魔物は」
「人語を介する、魔物を操る異能を持つ魔物、そして斬撃を止められた」
「何?」

死を前にして僅かな足掻きが異能の真髄に触れる切っ掛けとなった

「そっちのも真髄に至ってるね。それで戦う? 確かに君達は私に勝てるかもしれない」

人型の魔物は葉一を指差す
口調が変わった、雰囲気も変わった
何処か硬い雰囲気があったが今は自由な少女のように変わった

「戦わないとでも?」
「勝てるのなら戦わない理由は無いだろ」

葉一も構える

「君達が勝ったとしても君達の守りたい物は壊し切る。ちょうど真髄に至った人間はこの付近に集まっている。つまり守れないよね?」
「何を言って」
「頭悪いなぁ、私の異能は元々大群を操れる異能、その異能が強化されたんだよ。その規模は元の数倍にも及ぶ。それだけじゃない」

魔物が手を振るう
葉一が気づき叫ぶ

「避けろ!」

葉一の声に反応してレイは横に飛んで回避する

「あれ? 避けられた。確実に殺る気だったんだけど」

魔物は回避された事に驚く
地面が切られている、細い何かが通った跡だ
空中を飛んでいたカメラが全て切り落とされる
(何も見えなかった)
レイが斬撃を飛ばすが再び魔物の目の前で止まる

「なんだあれ」
「あれは糸だな。避けなければ切り刻まれていた」
「そう、大正解ぃ! 魔物を操るこの糸で君達と戦えるようになったの! 他にもあるけどそれで戦う? それとも対話する? 前者の場合は近くにある君らの住処ぶっ壊す! そこに住む人間も皆殺しぃ」
「させるとでも思っているのか?」
「させるとでも思っているのかぁ? あはっ、それじゃ試す?」

笑いながら異能を発動させる
先程までとは規模が違う、遠くに居た魔物を支配下に置き操り都市に向かわせる
真髄に至って得た力はそれだけではない
支配下に置いた魔物を強化出来るようになったのだ、1体1体が強くなる
守護隊も英雄もゼラや夢と言った強い異能騎士が今、身動きが取れない
そんな状態で都市に強化された魔物の大群が襲いかかれば一溜りもない
都市には待機中の異能騎士が居る、騎士も探索者も居る
中には実力者も居る、だが規模が大き過ぎる

「今、魔物を向かわせてるよぉ」

煽るように笑う
レイは異能で瞬間移動して刀を振るう
人型の魔物は透明な糸を前方に張り防ぐ

「無駄ぁ」
「これならどうだ」

レイは自分が持つ刀の能力である凍らせる力を広げる、拡張された力は空間をも凍らせ始める
しかし、束ねられた透明な糸が凍り始めていた空間の間に入り食い止める
広がるのを抑える

「それは空間に干渉する力の延長線、私のこの糸は~、元々空間を無視出来る糸なのぉ。干渉は出来なかったけどね」

葉一が横から斬り掛かる
剣を糸で防ぎ糸を振るう
葉一は回避してもう一度斬り掛かるが糸で防がれる

「ちっ」
「もしかして見えてる? 糸か……それとも未来かなぁ」

葉一は一旦距離を取る

「詳しいな」
「知ってるからね。私も生き残った魔物だからあのクソッタレな世界を私は生き抜いた、漸くあの地獄の日々から解放されたのに」

透明な糸を振るう
レイは空気が切れる音を頼りに刀で防ぐ
葉一は回避する

「まだ戦わないと駄目なんて、これで最後、殺し合うか対話をするか。よく考えたほうがいいよ。時間は上げる」

攻撃はせず透明な糸を防御に回して考える時間を与える
今も地上では魔物の大群との戦闘が繰り広げられ大量の魔物が都市に向かっている

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