婚約破棄をされたので、次の婚約をせずに薬師として生きます!

羽山由季夜

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三章 薬神の加護

薬神の加護

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 エリスロース竜王国の王太子ラディウスに初めて会い、非公式で会うことをリヴィアスは約束させられてしまった。
 お忍びでやって来る度に、「静養しているのに、俺の我儘で会いに来てしまい、申し訳ない」と、お詫びのお菓子を必ず持参し、必死に様々な世間話をしてくるラディウスを見て、初めて会った時に抱いていた恐怖に近い感情はリヴィアスの中から少しずつ薄れていった。
 それでも、緊張とほんの少しの恐怖はまだある。
 そんな状態を感じ取り、レインまたはアウラのどちらかが、リヴィアスの隣に必ず付いてくれている。
 何度もお忍びでやって来る王太子と従者にも少しずつ慣れ、趣味や世間話といった話がリヴィアスもようやっと出来るようになった。
 ラディウスと共にやって来る、肩甲骨くらいまで伸びた深緑色の髪を緩く結び、右肩に垂らし、冷静な山吹色の目をした従者は、リヒト・ピロス・ライトニングという名で、王太子の側近でエリスロース竜王国のライトニング公爵家の次期当主という肩書きを持つ。
 世間話で知ったが、ラディウスの乳兄弟らしい。
 名前の通り、雷神の加護を持っていると聞いた。
 そして、何故か二人から名前呼びも許された。
 そういった世間話をしていたリヴィアスは、ラディウスから質問をされた。

「リヴィアスは何か、加護を持っているのだろうか」

 今日はレインが付いてくれており、リヴィアスの隣でぴくりと手が反応していた。

「えっと……殿下とライトニング公爵令息は、他言なさらないと信じて申し上げるのですが……僕の加護は、薬神の加護です」

 自分より二人のことを知っているレインが止めないことを確認したリヴィアスは、ぽつりぽつりと呟くように静かに答えた。
 彼のその言葉に、ラディウスとリヒトは目を大きく見開いた。

「薬神……これはまた、俺と似たような希少な加護を……」

 ラディウスは目を見開いたまま、呆然と呟いた。
 この世界には、神の加護を与えられた者がいる。
 ブラカーシュ王国にも、王家に連なる者や貴族の一部の者で様々な神の加護を与えられた者がいる。
 エリスロース竜王国もだ。
 プロミネンス公爵家の長男レインは炎神の加護、長女のアウラは地神の加護を持つ。
 レイディアンス大公家の長男グレイシアの水神の加護、三男アイシクルの風神の加護のように、水、炎、地、風、雷といった属性に関する神の加護が主流だ。
 その次に多いのが、光や闇、氷、聖、剣、槍、弓、魔法といった、主な属性より比較的少ない属性に関する神の加護や、武器や道具に関する神の加護。
 更にその次がリヴィアスの母ステラの魔導具の神の加護、植物の神の加護等が知られている。
 いずれも与えられた者の総数は少ないが、その中での割合も属性の神の加護が七割とすると、武器や道具に関する神の加護、ステラのような加護は二割くらいだ。
 残りの一割がリヴィアスやラディウスが持つ薬神、竜神の加護だ。
 薬神、竜神の加護を持つ者は、同じ時代にそれぞれ一人のみとされている。
 ポーションといった主流な薬から、希少な薬まで何でも作れてしまう薬神の加護を持つ者がたくさんいると、世界の均衡が崩れてしまう。加護を持たない薬師達の暴動が起きる可能性もある。
 竜神の加護も然り。そんな強い魔力、強靭な身体、竜の特性を持つ者がこれまたたくさんいると、世界の均衡どころか、混沌と化してしまう。
 だからなのか、神界にいるとされる神達も割合を計算しているようにリヴィアスは感じた。

「王太子殿下、ライトニング公爵令息。従弟のリヴィアスの加護は、どうか、他言無用に願います。悪意を持つ者に知られれば、従弟は狙われ、拉致されるようなことになれば、死ぬまで道具のように利用されてしまいます。大事な従弟を、そのような目に遭わせたくありません」

 レインが必死の表情で、ラディウスとリヒトに懇願するように見据えた。
 ラディウスの竜神の加護は、強い魔力、強靭な身体、竜の特性といった、自身にしか影響はない。竜の威圧といった精神的な攻撃等はあるが、主に自身に加護を齎す。
 対するリヴィアスの薬神の加護は、相手の状態を見ただけでその相手に必要な薬を精製することや、希少な薬を精製することが出来る。主に自身ではなく、相手に加護を齎す。
 その結果、どの時代も薬神の加護を持つ者を悪意をもって欲する者が現れ、狙われるという歴史がある。
 レイディアンス大公ミストラルの機転で、リヴィアスの加護は秘匿され、一部の者にしか知られておらず、知る者も全員制約魔法を掛け、守っている。
 そのお陰で、リヴィアス自身にまで、薬神の加護に対する悪意はまだ届いていない。

「もちろんだ。俺もリヒトも、リヴィアスをそのような目に遭わせたくない」

「そうですね。こんなに素晴らしい心持ちで、純粋な方を酷い目に遭わせたくありません」

 ラディウスもリヒトも同意するように頷くと、レインはホッと安堵の表情を浮かべた。

「少し、確認したいのだが、リヴィアスの元婚約者は加護のことを知っているのか?」

「いえ、元婚約者は僕の加護のことは知りません。彼自身が加護を持っていないので、伝えていません。結婚をしてから、父を通して元婚約者の家に伝える予定でした」

「そうか……。伝えていなかったのは不幸中の幸いだな。教えていれば、どんなことをしてでも貴方を逃すことはしなかっただろう」

「そう……ですね。それは仰る通りです」

 否定が出来ない。元婚約者のアルギロスは婚約中もリヴィアスを装飾品のように隣に据え、様々なパーティーに出席していた。リヴィアスに相手と会話をさせることもなく、ただ付属品のように連れ回し、何か自慢をするような態度で、アルギロスは友人達に接していた。
 何も喋らず、笑っているようにとアルギロスに言われたリヴィアスは、空虚な気持ちを抱いていたのを思い出す。
 パーティーのことは、流石に家族や侍従には伝えていない。大公家の影から報告されているかもしれないが。
 ただ、そこから解放されたリヴィアスは、内心、安堵している。

「……僕の正直な気持ちは、加護のことは別として、婚約破棄が出来て良かったと思っています。どうしても彼とは性格が合わなくて、居心地も悪かったので」

 逆にアルギロスの家族はとても優しかった。リヴィアスを人として、将来の家族として接してくれた。
 そんな彼等と家族になる道はもうないが、病気や怪我等、薬が必要であれば支援したいとリヴィアスは思っている。

「そうか。婚約破棄は辛かったかもしれないが、貴方にとっても僥倖だったのかもしれないな」

 リヴィアスに向けて穏やかに微笑み、ラディウスは紅茶を飲む。
 そのラディウスをレインとリヒトは、とんでもないものを見たといった表情を浮かべている。
 それを不思議そうにリヴィアスは見るのだが、触れてはいけないのかもしれないと感じ、静かにそっと様子を見る。

「リヴィアス。もし良ければなんだが、薬神の加護について、教えてもらえないだろうか」

「え?」

「薬神の加護を持つ者は、どの時代も悪意ある者に狙われていた。世界中を探してもたった一人しか、その加護を持たない。俺の竜神の加護もそうだ。ただ、竜神の加護はエリスロース竜王国の王族にしか現れない。狙われたとしても、強靭な身体のお陰で自分を守れる。だが、薬神の加護は違う。その希少性はもちろん、その力は悪用されやすい。貴方と出会えたのも何らかの縁なのかもしれない。守るために教えてもらえないだろうか」

 真摯な眼差しで、真紅色の目を煌めかせてラディウスはリヴィアスを見つめる。
 ラディウスの言葉に、リヴィアスは困惑する。
 まだ両手くらいの数しか会っていない、お忍びでたまたま見掛けられただけで、静養が終われば、まず会うことはないだろう隣国の王太子が、何故、こうも真摯に自分を守ろうとするのだろうか。

(守るためというのも、何に対してなんだろう?)

 悪意から守るためというのも分かる。だが、父ミストラルの機転で秘匿している現在、リヴィアス自身にまで、その魔の手は届いていない。
 危機感がないと言われれば、そうかもしれない。
 でも、それはリヴィアス自身とレイディアンス大公家が考えることだ。

「リヴィアス様。殿下は王太子です。エリスロースの上から二番目の権力者です。エリスロースに滞在中は、プロミネンス公爵家はもちろんですが、是非とも殿下にも頼って頂けるとこちらも助かります。リヴィアス様にお会いするために、書類仕事を溜めずに素早く終わらせて下さるので、側近としてもとっても助かっています。そのお礼だと思って、殿下に守られて下さい。リヴィアス様に頼られると、喜ぶ竜なので。あ、もちろん、我がライトニング公爵家にも頼って下されば、全力でお守り致しますよ?」

 困惑の表情のままのリヴィアスに、茶目っ気たっぷりの表情でリヒトが助け舟を出す。
 突然のリヒトの言葉に、リヴィアスは呆気に取られてぽかんと小さく口を開ける。
 一拍置いてから、リヴィアスはくすくすと小さく笑った。
 その表情がとても可憐で美しく、花も恥らうような笑みで、ラディウスとリヒトは見惚れた。

「……あ、申し訳ございません。リヒト様の言い回しが面白くて……」

 笑いながら、隣のレインに確認するようにリヴィアスは見上げる。

「リヴィ。殿下やリヒトなら、大丈夫だと思う。高位貴族の中でも、信頼出来る方々だぞ」

「それを当人達の目の前で、さらりと言うレインは豪胆だと思いますよ」

「子供の時からの顔見知りの二人だし、公の場ならちゃんと改めてるだろ。さっきみたいに」

「公の場でもあまり変わらないが?」

 ジトっとした目でレインを見つつ、ラディウスはリヴィアスに目を移した。

「リヴィアス、どうだろうか? 薬神の加護について、教えてもらえないだろうか」

「えっと……その、僕が答えられることなら……お答えします。ただ、制限のようなものがあって、あまり加護の内容をお伝え出来ないのです。以前、家族に加護の全容を伝えようとしたのですが、口を開いても、文字に書こうとしても、誰にも伝えられないようになっていて、それでも宜しければ……」

「もちろん。答えられる範囲で構わない。知っていると、知らないとでは守り方も変わる」

 静かに頷き、ラディウスは促すようにリヴィアスを見つめた。

「ご配慮痛み入ります。僕の薬神の加護についてですが、相手の状態を見ただけでその相手に必要な薬を魔力で精製すること、希少な薬を魔力で精製することが出来る……というのは広く知られているので、殿下もリヒト様もご存知だと思います」

「そうだな。薬神の加護のことを調べる際には、付いて回る内容だな」

「この二つ以外にもありまして、あと二つだけなら家族やプロミネンスの伯母家族、ブラカーシュ王家には伝えています。どちらも僕の家族なので……」

「あと二つ? それ以外は制限されるのか?」

 僅かに眉を顰め、ラディウスはリヴィアスを見る。

「はい。この二つしか言えませんでした」

「そうか……。その二つも教えてもらえるだろうか?」

「はい。一つ目は僕以外の人が作った薬が、どういう効能があるのか分かります。偽物なのか、本物なのか、何という薬なのか、素材は何なのか……そういった薬についてのことが分かります」

 リヴィアスの言葉に、ラディウスとリヒトは目を大きく見開いた。

「レイン兄様から聞きました。今、偽物の効能を謳った薬がエリスロース竜王国でも、プロミネンス公爵領でも横行していると。殿下がプロミネンスの領都にお忍びに来られたあの日、僕とレイン兄様は領都の薬屋に行く途中でした」

「……成程。そういうことだったのか。不思議だったんだ。貴方は薬師として我が国でも有名だ。だが、社交に参加していてもなかなか会話することはなく、時間が許す限りレイディアンス辺境領や国のために薬を作っていると。そんな貴方が伯母家族が治める領とはいえ、外に出ているのが不思議だったんだ」

「あの、そこは、少し語弊がありまして……。僕が社交に参加する際は、元婚約者から“何も喋らず、微笑み、隣で据えるようにと”厳命されていて、父と元婚約者のお父様は友人同士でしたので、僕が拒否することで関係を壊したくないと我慢していたのです。今、思えば拒否すれば良かったと思っています。本当は皆様とお話したかったので……。時間が許す限り薬を作っているのは、その通りなのですが……」

「ま、待て。リヴィ、その話、ミストラル叔父上達は知ってるのか……?」

 突然の従弟の暴露に、レインはふるふると震える手でリヴィアスの肩に触れて尋ねる。

「いいえ。社交やパーティーでのことは話してません。これ以上、父様達に迷惑を掛けたくなかったので……。もしかしたら、大公家の影の皆さんから父様にその都度、報告があったのかもしれませんが……」

「いや、それだったら、グレイが俺に伝えてるって。うわ、マジか……。後で、俺からグレイに伝えておこう。アレ、本当に取り返しの付かない馬鹿で、最低だな……」

 こめかみを揉みながら、レインは溜め息混じりに呟いた。

「ごめんなさい、レイン兄様……」

「気にするなと言いたいところだが、これからは我慢せずに何か不快に感じたら、俺やアウラ、母上達、レイディアンスの家族、側近達に伝えるようにな。リヴィが我慢することで、皆、心配するし、取り返しの付かないことが起きた時に助けることも守ることも出来ない。分かったな?」

 子供を諭すように、レインは頭を撫でながらリヴィアスに伝える。
 この従弟は、人のことになると小さなことでも気付いて、気遣うのに、自分のことになると無頓着になる。
 自分の身を削っても、助けようとする。
 これも、ある意味、薬神の加護の特性なのかもしれない。

「はい……レイン兄様」

 しゅんと俯きながら、リヴィアスはしっかりと頷いた。ちゃんと理解したようだ。

「リヴィアス。ついでに、俺やリヒトにも不快に感じたことを伝えてもらえると、更に助けになれる。是非とも伝えて欲しい」

 便乗するように、これ幸いといった顔でラディウスがリヴィアスに告げた。隣ではリヒトが何度も頷いている。

「えっ、あ、はい。分かりました。あの、殿下。話が逸れてしまいましたが、薬神の加護について、お伝え出来る、最後の一つなのですが……」

「ああ、そうだったな。聞いてもいいだろうか?」

「はい。お伝え出来る、最後の一つですが……」

 そこで一度、言葉を止めて、リヴィアスは小さく深呼吸をして、もう一度、口を開いた。

「――毒を、精製出来ます」

「毒?!」

 リヒトが大きく目を見開いて、声を上げた。

「はい。もちろん、毒を毒として使うことはしません。そこについては、薬神の加護の影響で僕は毒のまま使うことが出来ません。毒を精製し、それを分解することで、新たな薬の材料として使う。そのための、毒の精製です。毒を精製する影響で、僕にはあらゆる毒が効きません。毒かどうかも分かります。ですので、毒見役が出来ますので、いつでも仰って下さい」

 にっこりと告げるリヴィアスを呆然とラディウスとリヒトは見つめる。

「……これは確かに、どの時代も薬神の加護を持つ者が狙われるのは納得ですね。レイディアンス大公殿下の機転は素晴らしいです。この内容を知れば、悪用しようと考える者が出て来るのは必然です。よく、今までご無事でした……」

 案じるようにリヒトはリヴィアスを見つめ、小さく息を吐いた。

「これはリヴィアスを守るためにも、早急に俺達も制約魔法を掛けた方が良さそうだな、リヒト」

「そうですね。城に戻り次第、準備致します」

 ちらりと横目で合図するラディウスに、リヒトはしっかりと頷いた。




 お忍びから帰ってすぐ、制約魔法を掛けたラディウスとリヒトは、その次のお忍びで更に驚愕することになるのをこの時はまだ知らないでいた。
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