婚約破棄をされたので、次の婚約をせずに薬師として生きます!

羽山由季夜

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二章 エリスロース竜王国へ

閑話2 男爵家養女の誤算(モノリス視点)

 こんなはずじゃなかった。
 本当なら今頃、美しいリヴィアス様と、格好良いアルギロス様――アル様、二人を侍らせて、優雅な生活をしているはずだった。




 私は、王都に住む憲兵の父親、食堂で働く母親との間に生まれた五人兄弟の三番目で、平民だった。
 一番目は兄、二番目は姉、三番目は私、四番目は妹、五番目は弟。
 家族仲も良く、お互いが兄弟達の助けになるように姉と私は母と食堂のお手伝い。兄は父と同じ憲兵になり、妹と弟は両親や私達の仕事が終わるまで、教会で預かってもらい、勉強をしたり、繕い物をして待つ生活をしていた。
 王都に住む平民の中で、私の母親は美人らしく、私や姉、妹は可愛いと言われていた。
 その中でも私が一番可愛いと、平民の中では有名だった。
 そこに、息子はいるけど、娘がいないという男爵家の人が私を養女にしたいという相談が両親にあった。
 両親は養女に出す気はなく、貴族からの相談で断れずに困っていて、私にもどうするかと聞いてきた。
 私の家は、兄弟が多い。
 家族皆で助け合うことは、特に苦ではないけど、成長期に入った妹や弟のことを考えると、このまま生活していくともっと厳しくなる。
 十四歳になった私が養女になったら、お礼として男爵家からお金が両親に支払われるそうだ。
 それなら、しばらくは家族達の生活が豊かになる。
 両親にそう伝えて、私はプサリ男爵家の養女になることを決めた。
 でも本音は、平民の生活が嫌で、貴族の生活に憧れていたから、養女の話を聞いた時、すぐにでもなりたかった。
 ただ、そうすると、両親も、男爵家の人も良い顔をしないと考え、家族のことを思い、悩みに悩んだ女の子のように見せた。
 そっちの方が同情してくれるだろうし。
 結果、両親や兄弟達は涙を流し、新しく家族になるプサリ男爵家の人は同情するように目を潤ませていた。






 プサリ男爵家の養女になった私は、貴族の生活にとても驚いた。
 働かなくてもいい上に、メイド達が身体を洗ってくれたり、お願いすればお菓子等を持って来てくれる。

 至れり尽くせりで、貴族って凄い!

 家族になった養父母はとても優しかった。
 十四歳の私より、五歳離れた義理の兄は格好良く、美形だった。更に優しい。
 平民の私の元家族の兄や弟、近所の男達と比べられないくらい美形でとても驚いた。

 貴族というだけで、こんなにも違うのね!

 感動した私は、養女になって良かったと思った。
 更に、驚くことが起きた。
 養父が私を養女にしたという報告を国王や貴族達にするため、王家主催のパーティーに出席することになった。
 初めてドレスを着て、お化粧をした私は見違えるくらいに可愛かった。
 養父と義理の兄に連れられて、お城のパーティーに出ると、私が知っている世界と違い、世界が輝いていた。
 パーティーでは、たくさんの貴族達がいて、私と同年代だったり、義理の兄くらいの年頃の人達もいた。
 憧れていた貴族のパーティーに目を輝かせ、私は養父と義理の兄の側で辺りを見回す。
 白く長いテーブルには、私が食べたことがないような食べ物がたくさん並び、豪華なドレスやアクセサリーを身に着けた貴婦人達が貴族の男の人達と話している。
 私が憧れた通りの世界で、夢が膨らむ。
 格好良い高位の貴族の男の人から口説かれ、幸せな結婚をしたい。
 このパーティーや、これからのパーティーで、私は声を掛けられるのではないかと期待に胸が膨らむ。
 私が養女になった男爵家は、貴族の中でも下位。
 ドレスやアクセサリーの質も違う。
 高位の貴族は最高級のドレスやアクセサリーを身に着けられるし、格好良い男の貴族に尽くされる。
 そんなことを思い浮かべながら、早く口説かれたいと思ったその時。
 私は息を飲んだ。
 とても綺麗で、美人な人たちが目の前を通り過ぎた。
 その中でも、月のように綺麗な銀色の長い髪を後ろに一つに結び、空のような、水のような色の目、美少女のような顔をした、服装がドレスではないから多分、男の子に目が行く。
 目を見開いて、その人達の後ろ姿を目で追い掛ける。
 私と同じような人達がたくさんいた。

「お養父とう様、お義兄にい様、さっき通り過ぎたあの人達は誰ですか?」

 隣に立つ養父と義理の兄に、私は声を掛けた。

「モノリス。男爵家の養女になったのだから、言葉遣いには気を付けて。不敬になってしまうから。明日から言葉遣いから勉強しよう」

 義理の兄が静かに私に言った。
 思わず、眉を寄せる。
 勉強は嫌いだ。貴族になったのだから、勉強なんて必要ないんじゃないの?
 そう思うけど、そうでもないみたい。
 パーティーやお茶会に参加するには、お手紙と一緒に招待状を送られて来て、参加するとお返事を書いたりするらしい。
 そう聞くと、勉強しないといけないのね……。
 イヤだなぁ……。

「モノリスちゃん。先程、前を通られた方々はね、国王陛下の弟殿下――レイディアンス大公家のご一家だよ」

 養父が私の言葉を訂正しながら、教えてくれた。
 国王陛下の弟家族だと知った私は、更に養父に聞く。

「銀色の髪の子は何て名前なのですか」

「ああ、あの方はご次男のリヴィアス様だよ。薬師をなさっている」

「薬師で、大公家の、リヴィアス様……」

 パーティーに集まっている貴族達の中でも、一番美しい人達で、一際美しいリヴィアス様の後ろ姿を見つめながら、私は狙いを定める。

 あの人リヴィアス様に口説かれたい。
 だって、国王陛下の弟家族なら、男爵家よりお金持ちでしょう?
 最高級のドレスやアクセサリーも買いたい放題!
 更に美しいリヴィアス様が私の隣に立って、私に尽くすのを見たら、貴族達が羨ましがるでしょう?
 平民だった私が、生まれた時から貴族だった人達に羨ましがられるなんて、とっても気持ちいいじゃない!

 だけど、今ではない。私は貴族になったばかりで、まだ決まりとかよく分からない。
 勉強しないと、リヴィアス様には近付けない。
 近付くには、まずは薬師になった方がいいかもしれない。
 同じ仕事なら、共通点の一つになるし、悩みとかの相談や会話も増える。
 近付けるチャンスも増える。
 そう考えた私は、初めてのパーティーで養父と義理の兄と一緒に、国王陛下に挨拶をして、男爵家へ帰った。







 それから私は言葉遣いと貴族の決まりはそこそこに、薬師の勉強を始めた。
 養父母や義理の兄は感心して、色々と助けてくれた。
 ただ、薬師の勉強はとても難しくて、字は読めるけど、書けない字が多くて、二ヶ月が経っても薬師にはなれなかった。
 話によると、薬師になるには勉強を始めて早い人で八年、長い人で十年は掛かるらしい。
 リヴィアス様は五歳の時に勉強を始めて、十歳で薬師になっているから、とても早い。
 将来有望ってことでしょう?
 そんな人を手に入れたら、貴族達は羨ましがるのは間違いない。
 やる気が出た私は、薬師の勉強に力を入れた。
 でも、簡単には薬師にはなれない。
 見習いなら、薬師の勉強を始めて、一週間でなれるらしい。
 私は見習いになった。
 同時にタイバス学園にも通うことになった。
 見習いという肩書きを手に入れた私は、パーティーに参加するようになった。
 参加した時には、リヴィアス様がいないか探す。
 どのパーティーに参加しても、リヴィアス様は見つからない。同じ歳のはずなのに、学園でも見つからない。
 学生や貴族達の会話を聞いていくと、どうやら、時間が許す限り、リヴィアス様は薬を作っているらしい。
 時々、婚約者のウィキッド侯爵の長男がパーティーに連れて来ることがあるみたいだった。
 今回のパーティーが正にそれだった。
 それなら、ウィキッド侯爵の長男に先に声を掛けて、可愛い私に尽くしてもらおう。
 ウィキッド侯爵の長男に惚れてもらってから、リヴィアス様に近付くのもいいかもしれない。
 そう思い、私はウィキッド侯爵の長男に声を掛けることにした。

「初めまして。プサリ男爵家の長女、モノリスと申します」

 声を掛けた私はウィキッド侯爵の長男と、隣のリヴィアス様に挨拶をする。
 挨拶だけは必死に習った。出来ないと、リヴィアス様にはしたないって思われる。

「ああ、プサリ男爵家の養女になった者か。挨拶をありがとう。それじゃあな」

 ウィキッド侯爵の長男は、じっとこちらを見つつも、素っ気なく挨拶を私に返した。隣のリヴィアス様は婚約者に少し怒るような目を向けるけど何も喋らず、私を心配するような顔で笑い掛けてくれた。が、それが気に食わなかったのか、ウィキッド侯爵の長男はリヴィアス様を無理矢理引っ張っていった。
 優しいリヴィアス様を、ウィキッド侯爵の長男は支配しているように見えた。
 リヴィアス様がかわいそう!
 そう思っていると、たまたま遣り取りを見ていた貴族達が囁くのが聞こえた。

「相変わらず、ウィキッド侯爵令息は、婚約者のお美しいリヴィアス様を独占しているな」

「本当に。声を掛けられる嫉妬心から、パーティーではリヴィアス様の方から一切話し掛けるなと言っているようだぞ」

「何よ、それ。それって、リヴィアス様の歌うように美しい声を聞けないのは、ウィキッド侯爵令息のせいなの?」

「リヴィアス様も、そんな婚約者を支えないといけないのはお可哀想だな。あんなに優秀なお方なのに……」

「でも、ウィキッド侯爵令息がリヴィアス様にぞっこんということでしょ? そういう意味なら、あの独占もいいんじゃない? 他の人に目が行かなくて」

「そうでもないんだ。見ていた人がいるらしいんだが、ウィキッド侯爵令息はリヴィアス様という素晴らしい方がいらっしゃるのに、婚約者のいない女性に声を掛けて、浮気をしているらしいぞ」

 ひそひそと囁く貴族達の会話を近くで聞いていた私は、色々な情報を手に入れる。
 やっぱり、ウィキッド侯爵の長男から声を掛けるのがいいみたい。
 ウィキッド侯爵の長男も顔は格好良いから、両方私のものにしたくなった。
 それに、パーティーでは話さないリヴィアス様と、私が会話をしているのを見たら、貴族達はとっても羨ましがるんじゃない?
 更に、独占欲丸出しのウィキッド侯爵の長男も私のものになると、もっと羨ましがるんじゃない?
 そう思った私は作戦を考えるべく、男爵家の邸に戻った。









 それから私は、リヴィアス様とウィキッド侯爵の長男の婚約はそのままに、愛人として私を娶ってもらうという作戦を考えた。
 それを実行するために、少しウィキッド侯爵の長男――アルギロス様とリヴィアス様の仲をギクシャクさせようと思い、まずはリヴィアス様の薬師の貢献したという内容を調べてみた。
 怪しまれないように男爵家の養父母と義理の兄に、『薬師としてリヴィアス様を尊敬しているから、リヴィアス様の貢献した内容を知りたい』と伝えると、公になっている内容を教えてくれた。
 更には義理の兄が、何故、その時にリヴィアス様の薬は必要とされ、国に貢献することになったのかという義理の兄なりの考えを入れた講釈もしてくれた。
 その内容を教えてもらっている間に、ブラカーシュ王国に流行り病が広まった。
 一気に広まった流行り病によって、ブラカーシュ王国は大変なことになった。
 薬師見習いとして、特効薬等が作れないかと養父母や義理の兄に聞かれるけど、私にはそんな頭はないし、リヴィアス様に近付くためになっただけだから、出来る訳がない。
 そんな時、リヴィアス様が流行り病に効く特効薬を作り、国王陛下に報告と薬とレシピを提出したという話が広まった。
 特効薬が承認され、リヴィアス様や薬師が作って、国中に渡っていく。
 特効薬のお陰で、治ったという人達の中に、アルギロス様がいた。
 アルギロス様とリヴィアス様の仲を少しギクシャクさせるチャンスだと思い、薬師見習いとしての特権を活かして、公開された特効薬のレシピを盗み見る。
 必要な材料を紙に書き、お出掛け用の小さなポーチにいれて、私はアルギロス様がいる王都のウィキッド侯爵家に向かった。







 向かった先で、リヴィアス様のことで伝えたいことがあると言って、アルギロス様と面会した。
 そこでリヴィアス様が作った特効薬は、私が作ったもので、リヴィアス様に盗まれたということを伝える。
 始めは信じてくれなかったけど、義理の兄の考えを入れた講釈を織り交ぜながら、今までリヴィアス様が貢献したものは、私から盗まれたものだと伝えていく。
 義理の兄の考えを入れた講釈は、真実味が増し、私が本当に作ったものだとアルギロス様が信じていく。
 どんどん信じていく、アルギロス様のその様子が面白くて、美人に弱いという噂通り、アルギロス様は私に惹かれていったように見えた。
 私も、愛を囁いてくれるアルギロス様に惹かれてしまう。
 今まで、愛を囁かれることがなかったから、アルギロス様にころりと惹かれてしまった。
 ただ、一つ目の誤算だったのが、アルギロス様が私に愛を囁き始めたことで、リヴィアス様を更に蔑ろにし始めたことだ。
 アルギロス様とリヴィアス様の仲を、少しだけギクシャクさせるつもりだったのに。
 二つ目の誤算は、タイバス学園で同じ歳だし、リヴィアス様に近付こうとしようにも、クラスが違うことと、お付きの男の人や護衛の女の人によって阻まれ、最終的にはリヴィアス様にも『婚約者を裏切るような行為はしませんし、近付きません』と断られた。

「私の夢が叶わないじゃない! 美しいお人形のようなリヴィアス様と格好良いアル様が欲しいのに!」

 誰もいない私の部屋で、クッションに抱き着きながら呟く。
 両方手に入れるには、どうしたらいいだろうか。
 そこで、ピン! と閃いた。
 それをすぐ、アル様にも提案してみると、乗ってくれた。




 三つ目の誤算は、アル様にも提案したそれを実行したことで、私とアル様、男爵家と侯爵家がピンチになったことだ。
 それに気付いたのは、提案を実行し、リヴィアス様とアル様の婚約破棄を国王陛下が承認した後だった。
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