婚約破棄をされたので、次の婚約をせずに薬師として生きます!

羽山由季夜

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五章 涙と初恋

涙と初恋

「……あの、それで、今回の黒幕の方々はどうなるのでしょうか?」

 不毛な竜王家の兄弟の言い合いを目の前で見る羽目になったリヴィアスは、話を変えるためにラディウスとヴェントゥスに声を掛ける。

「どうなる、とは?」

「内政干渉にあたるのは分かってます。ただ、ラディウス様に飲ませた薬のレシピがもしあるなら、回収して、処分して頂きたいのです。あのような薬が出回れば、大変なことになります」

 膝の上で両手を組んで、リヴィアスは強く握り締める。

「薬は、確かに今後のことを考えれば回収、処分がいいだろうな。竜神の加護とリヴィアスの薬のお陰で、命拾いしたが、俺以外の竜王家や肉体強化が出来るような他の加護持ちが飲まされれば、命が危ない」

「そうだね……。私が飲まされれば、多分、命を落としている。リヴィアス殿がいたとしても。国内の薬は全て回収出来てるんだよね? 兄上」

「出回っているものは全て回収出来ているが、侯爵家と伯爵家は今から捜査だな」

「証拠隠滅してなければいいけどね」

「そこは、とりあえず陛下にも報告した上で、早くても明日までには動いてもらう。元々、誘き寄せる話をしていたからな」

 苦笑しながら、ラディウスは薬草茶を飲む。
 リヴィアスが用意した、状態異常を緩やかに回復させる効能があるものだ。
 だいぶ身体の麻痺が落ち着いたとはいえ、完全に治ってないとリヴィアスに言われ、出された。
 自分のことをこんなに心配してくれるとは、とラディウスが感動しているのは言うまでもないが、リヴィアスは気付いておらず、リヒトは憐れな視線を乳兄弟に送っている。

「父上に報告はいいけど、母上から拳骨がないといいね、兄上」

 にこにことヴェントゥスが告げると、ラディウスは視線を明後日の方向へ向ける。
 その様子をリヴィアスは不思議そうにするが、他家の家族事情なので、何も聞かないことにした。何故か、聞いてはいけないような気がした。

「そこは、祈るしかない。それと、リヴィアスには申し訳ないが、今回のことで巻き込んでしまったから、両親に会うことになると思う。事情聴取もあるが、貴方に助けてくれたお礼をしたい」

「えっ、ご両親ということは、国王陛下と王妃陛下ですか……?! あの、僕は薬師として当然のことをしただけですので、高貴な方々のお礼は辞退させて下さい……!」

 慌てて、リヴィアスは首を左右に振った。
 自分も準王族だが、大公家を継がない次男なので、棚上げだ。

「しかし、麻痺で動けない俺の代わりに、リヒトがプロミネンスを通して、貴方に要請したはずだ。緊急事態ではあるが、正式に要請したから、陛下達にも話が行くと思うが……」

 ラディウスの言葉に、リヴィアスの顔色が青くなる。
 よく考えれば、そうだ。
 リヒトはプロミネンス公爵家を通して、リヴィアスに要請してきた。
 この時点で、竜王家には話が行っている上に、今回のことに首を突っ込んだことになる。
 緊急事態で、ラディウスの命も掛かっていたこともあり、そこまで考える余裕はリヴィアスにはなかった。
 何より、ラディウスが命を落とすかもしれないという恐怖が強かった。
 家族、親族、侍従達を除き、自分に対して誠実に接してくれた人達を失いたくなかった。

「……あ、う……そうですよね……。分かりました……。あの、今からではないですよね……?」

「ああ。貴方も疲れているだろうし、今日は陽光宮に泊まってゆっくりして欲しい。貴方の部屋は用意してある」

 何故か嬉しそうに真紅色の目を煌めかせ、ラディウスはリヴィアスに告げる。

「ありがとうございます……」

 ラディウスの笑みが何故か、直視出来ず、リヴィアスは伏し目がちに礼を述べた。

「あの、レイン兄様やアウラ姉様はプロミネンスに帰るのですか?」

「いや、流石に初めて来た場所に貴方を一人にさせるのはレイン達も反対するのは分かっているから、レインにはいてもらおうと思っている。アウラはリヒトのところだろう」

「え? リヒト様のところですか?」

 不思議そうに、リヴィアスはリヒトとアウラを見る。

「あ、そういえば言ってなかったね。私の婚約者はリヒト君だよ」

「そうだったのですか?!」

「ごめんね。伝えたかったんだけど、リヴィ、冤罪を吹っ掛けられて、一方的に婚約破棄されたばっかりでしょ? だから、言ったら、辛いことを思い出させるかもしれないって思って……」

「気を遣わせてしまって、ごめんなさい。アウラ姉様とリヒト様はとてもお似合いだと思います! 絶対に幸せになって下さいね!」

 ソファから立ち上がり、リヴィアスは俯くアウラの下へ駆け寄り、従姉の両手を握る。
 天色の目が幸せを願うようにきらきらと輝く。

「ありがとう! 今まで元婚約者のせいで辛かったリヴィこそ、幸せになって! 私もリヒト君も全力で守るから! ね、リヒト君!」

「そうですね。アウラさんの仰る通りですね。あ、リヴィアス様、宜しければ、私のことも是非ともリヒト“兄様”と仰って頂けますか? アウラさんとは婚約者ですし、ゆくゆくは結婚しますので、リヴィアス様とは義理の従兄弟同士になりますし?」

 笑顔でリヒトはリヴィアスに提案する。
 ラディウスにとって、とんでもない提案をしている側近兼乳兄弟を見て、目を剥く。
 羨ましいとは思わない。羨ましいとは。
 しかも、リヒトはラディウスをちらりと見て、笑って煽っていた。早く、口説けと言いたげな目だ。

「リヒト! お前っ」

「よぉ、リヒト。お前、調子に乗るなよ? 妹のアウラは婚約者だから目は瞑るが、リヴィは違うよなぁ?」

 にっこりと笑顔でリヒトの右肩を強く掴み、レインが凄む。彼のこめかみと左手には青筋が出来ていた。

「い、嫌だなぁ……レイン。ほんの冗談ですよ? 場を和ませるための……」

「なら、時と場合をしっかり考えような? 頭の良いライトニング公爵家の次期当主サマなら、俺が言ってること、分かるよな?」

 笑顔のままのレインに、リヒトは冷や汗が流れる。
 つまり、リヴィアスを困らせるなということだった。
 ちらりと見ると、リヴィアスは少し困った表情をしていた。
 そこで、リヒトはハッとした。
 婚約していても、破棄され、結婚しない可能性がある。
 リヒトはアウラにそんなことをしなくても、リヴィアスは経験している。
 そこで『兄様呼び』を提案をすると、傷を抉るようなものだ。軽率だった。

「申し訳ございません、リヴィアス様。軽率でした」

 深々とリヒトはリヴィアスに頭を下げた。

「えっ、リヒト様?! あの、別に“兄様”と呼ぶのは構わないんです。ただ、もし、ご兄弟がいらっしゃれば、ご兄弟がご不快かもしれないと思っただけなので……! 頭を上げて下さい!」

「リヴィアス様は本当にお優しいですね……。私には確かに弟と妹がいますが、不快ではないと思います。ですが、時期尚早でした。アウラさんと結婚したら、是非呼んで下さい」

「は、はい……!」

 花が綻ぶような笑顔で、リヴィアスは頷いた。
 その笑顔を直撃したアウラはリヴィアスを抱き締め、リヒトは胸を押さえた。

「……凄いね、“月華の君”……」

 遣り取りを見ていたヴェントゥスは呆気に取られた。








 ヴェントゥス、リヒト、アウラは陽光宮を出て、それぞれ帰っていった。
 本当ならリヴィアスとレインも、プロミネンスに帰るはずだったのに、事情聴取や竜王家からのお礼があるらしく、陽光宮に泊まることになった。
 静養のはずが、まさかエリスロース竜王家と交流することになるとはリヴィアスも思いもしなかった。
 流石に国王夫妻に会うにあたり、普段着で、という訳にはいかないので、レインを通して、アンブラ、ルーチェ、アクアにプロミネンスから来てもらった。
 その際に事情を説明すると、アンブラ達に心配されてしまった。

「両親に会わせることになってしまい、本当にすまない、リヴィアス」

 ラディウスはリヴィアスをじっと見つめ、頭を下げた。
 リヴィアスにと用意された客室の隣の部屋で、慌ただしくアンブラ達が準備している音がする。
 ルーチェは客室の前の廊下で、警戒している。

「いえ、今回は緊急事態だったのですから、仕方がないことです。ラディウス様の命が危なくて、助けられるのが僕しかいないとリヒト様が判断して、呼んで下さったのですから。もし、呼んで下さらなくて、ラディウス様が命を落としたと、後になって聞いたら、僕は悔やんでも悔やみきれません……」

 眉をハの字にして小さく笑い、リヴィアスはラディウスを見上げる。

「ですが、僕は、ラディウス様にも怒ってます」

「リヴィアス……?」

「加護を、過信しないで下さい……! 何度も言ってますが、ラディウス様は人間です。竜神ではないんです! 確かに加護のお陰で、ラディウス様の身体は強靭です。魔力量も多く、状態異常にも一般人と比べれば、耐性があるかもしれません。ですが、今回のような強力な薬を今後も使われたらどうするんですか? 薬以外にも魔法とか魔導具を使われ、僕はもちろん、他の皆様が助けるのが遅れたら? 加護があっても、命は一つしかないんです! どうか、慎重になさって下さい……!」

 リヴィアスの叫ぶような訴えに、ラディウスは目を見開いた。
 身体が動いて、リヴィアスを抱き締めた。

「ごめん……リヴィアス。貴方を泣かせるつもりはなかったんだ……」

 耳元に聞こえるラディウスの言葉に、自分が泣いていることにリヴィアスは気付いた。

「……僕は、辺境領で、何度も人の死を見ました。僕が駆けつける前に、命を落として、泣き崩れるご家族をたくさん、見ました……。だから、誰かの涙を少しでも減らしたくて薬を作ってます。ラディウス様が、強力な薬を飲まされたと聞いた時、血の気が一気に引きました。もう、優しい貴方に会えなくなってしまうのでは、とまで思うくらいに……。冷たくなってしまった貴方に会わないといけないのかと……」

 抱き締めるラディウスの大きな背中に、リヴィアスは腕を回す。腕の中に、ちゃんと暖かな、生きている命があるかを確認するように。
 リヴィアスの行動に、ラディウスは驚きつつも、口元に笑みを綻ばせ、更に強く抱き締める。

「それは、俺に愛を囁いてくれているのか? リヴィアス」

 耳元で囁くラディウスに、リヴィアスの耳が一気に赤くなる。

「……あ、愛……かどうかは分かりません。恋をしたことがなくて……。ですが、ラディウス様が、いなくなるのは嫌だったんです……」

「そうか。貴方にそこまで言われるのは、とても嬉しいな」

「……初めて、だったんです。家族や親族、侍従の……身内以外の人で、優しい言葉を、尊重して下さるのが初めてで……。たくさんお話がしたくて……。笑って下さるラディウス様を見るのが嬉しくて……」

 抱き締めてくれるラディウスから少し離れ、リヴィアスは微笑む。窓から射し込む太陽の光で、目尻にある涙が輝き、リヴィアスが神々しくラディウスには見えた。

「ラディウス様のお側にいたいなと思うのは……これが、恋、なのでしょうか……」

 首を傾げながら、ラディウスを見上げ、リヴィアスは小さく笑う。

「そうであれば、俺は嬉しい。俺は、貴方に愛を囁きたいし、触れたいし、どんなものからも守りたい」

 勘違いさせないように、ラディウスは真紅色の目を煌めかせ、リヴィアスに真っ直ぐ告げる。
 ラディウスの真っ直ぐな言葉に、リヴィアスは顔がこれでもかというくらいに真っ赤になる。

「だから、俺に、貴方に愛を囁き、触れて、守る権利を――婚約者になる権利をくれないか? 俺を選んでくれないか?」

 リヴィアスの両手を握り締め、ラディウスは見つめる。
 リヴィアスは、ラディウスを見ていると、胸が激しく鳴っているのが聞こえる気がした。
 爛々と輝く二つの真紅色に、目を奪われる。
 両手を握り締める温もりが心地良い。
 真っ直ぐに告げる言葉が耳朶に優しく響く。
 爽やかな柑橘系の香りが柔らかく包む。
 元婚約者と違い、触れられても全く不快に感じない。
 ラディウスと言葉を交わす度に、好感を感じていた。 

(……僕は、前からラディウス様に、好意を抱いていたんだ……)

 元婚約者にも言われたことがない嬉しい言葉達を、真っ直ぐ告げるラディウスに、リヴィアスは誤魔化すことも、気付かないふりはもう出来ない。

「……僕で、宜しければ、是非……」

 顔を真っ赤にしながら、ぽつりと呟くようにリヴィアスは告げた。
 花が綻ぶような微笑みを浮かべ、ラディウスを見上げる。
 小さな、けれどはっきりと告げるリヴィアスに、ラディウスは目を大きく見開いた。

「本当に?! ありがとう、リヴィアス! 絶対に貴方を離さない! 一生、貴方を守る!」

 ぎゅっとリヴィアスを抱き締め、ラディウスは宣言した。

「はい、僕も、ラディウス様をお守りします。ですが、約束して下さい」

「約束?」

「絶対に、加護を過信せず、命を粗末にしないで下さい。それと……僕を、泣かせるようなお別れはしないで下さい……」

 顔を真っ赤にしながら、小さな我儘を言うように、リヴィアスは呟いた。
 それはつまり、命を落とすような無謀なことをしないで欲しいというお願いだった。

「――約束する。貴方を泣かせるような死に方はしない。死ぬ時は、貴方の側で」

 力強く頷き、安心させるようにラディウスは笑う。

「リヴィアス、貴方に触れても良いだろうか」

 真剣な表情でラディウスは問い掛ける。
 先程まで、抱き締めたり、手を握っていたのに、今更ではとリヴィアスは一瞬、思ったが、頷いた。

「ありがとう」

 ラディウスは嬉しそうに微笑み、リヴィアスの両頬を両手で包み、口に触れた。

 外はいつの間にか、ラディウスの真紅色の目のような空の色だった。









※いつも読んで下さり、ありがとうございます!
 ついに……! となりましたが、作者自身もついにストックが消えました。
 間に合えば、毎日更新出来るかと思いますが、20時には間に合わないかもしれません……。
 間に合わない時は23時までに更新となるかと思います。
 これからは、殿下の溺愛モードになる……はず? です。まぁ、お相手の実家との精神的な戦いもあるかと思います(笑)
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